2012-01-21
新しい批評と呼ばれているものは
[フランス語中級]
Ce qu'on appelle « nouvelle critique » ne date pas d'aujourd'hui.
[ Roland Barthes, "Critique et vérité" ]
【発音】
Ce qu'on appelle
スコンナペッル
« nouvelle critique »
ヌーベル クリティーク
ne date pas
ヌダットパ
d'aujourd'hui
ドジュルデュイ
Roland Barthes
ロラン バルトゥ
Critique et vérité
クリティーク エ ヴェリテ
【語句】
_ Ce qu'on : ce que の最後の e が、次に on という母音で始まる語が来ているので、取れて ce qu' と on がくっついた。
_ ce que : ce que のあとに主語と動詞が来ると、「~するところのもの」 という意味になる。
_ appelle : 動詞 appeler (アプレ)「呼ぶ」が onに合わせて活用したもの。直説法現在形。
_ on appelle ~ : 「人が(…を)~と呼ぶ」
_ Ce qu'on apelle : 「人が~と呼ぶもの」、「人に~と呼ばれるもの」
_ nouvelle : 形容詞 nouveau (ヌーヴォー)「新しい」の女性形。この形容詞に修飾される、次の名詞 ciritique が女性名詞なので女性形 nouvelle になっている。
_ critique : 女性名詞。「批評」
_ nouvelle critique : 「新しい批評」、「新批評」。それまでの文学批評にたいして、ロラン・バルトなどが行った、それまでにないやり方の批評が当時こう呼ばれた。
_ Ce qu'on appelle « nouvelle critique » : 「人が『新批評』と呼ぶもの」、「『新批評』と呼ばれているもの」。ここまでが、この次に来る動詞 date の主語の部分(主部)になっている。
_ date : 動詞 dater の直説法現在形の活用。主語(主部)は Ce qu'on appelle « nouvelle critique »。
_ dater : (de から, に) 「始まる、遡る」
_ aujourd'hui : 「今日(きょう)」、「本日」。「今日(こんにち)」、「今」。
_ ne date pas d'aujourd'hui : 「今日に始まるのではない」、「今に始まったわけじゃない」
_ Roland Barthes : ロラン・バルト。フランスの批評家。1915-1980。
_ vérité : 女性名詞。「真実、真理、事実」。
_ Critique et vérité : 『批評と真実』。ロラン・バルトの1966年の作品。
【試訳】
Ce qu'on appelle « nouvelle critique » ne date pas d'aujourd'hui.
_ 人が「新しい批評」と呼んでいるものは、今日に始まったのではない。
_ 現在「新批評」と呼ばれているものは、べつに最近になって始まったわけではない。
【翻訳】
→ 『批評と真実』( 保苅瑞穂 訳 / みすず書房 )