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2015-10-09

二時のバスに乗った。

J'ai pris l'autobus à deux heures. Il faisait très chaud.

(Albert Camus, "L'étranger", 1942)


アルベール・カミュ 『異邦人』 からの引用、3回目です。

    → 一回目: 今日、母さんが死んだ

    → 二回目: 太陽が空に登る速さに


この文章もまだ小説が始まって間もなくのことで、 施設にいる母親の死を知った主人公が、葬式に出席するため出発しようとしている場面です。


発音は、

    J'ai pris l'autobus à deux heures.

    ジェ プリ ロトビュス ア ドゥゼール

    Il faisait très chaud.

    イル フゼ トレ ショ

です。

最初の ai pris は、動詞 prendre (プランドゥル) の複合過去です。

prendre は英語の take っぽい単語で、「取る」 を中心としたいろんな意味の幅を持っています。

ここでは

    prendre l'autobus

で、「バスに乗る」 という表現です。

ですので、

    J'ai pris l'autobus à deux heures.

で、

    私は2時のバスに乗った

となります。


次の文、

    Il faisait très chaud.

は、現在形で言うと、

    Il fait très chaud.  (イル フェ トレ ショ)

の直説法半過去形なので、

    とても暑かった

というかんじです。


「バスに乗った」 は複合過去で、「暑かった」 は半過去で表現されているのがポイント!

(どんなポイント?)


では、訳した日本語を見て、元のフランス語になおしてみましょう。


    私は2時のバスに乗った。 とても暑かった。

        ↓

    J'ai pris l'autobus à deux heures. Il faisait très chaud.


◇ 原文

L'Étranger の原文は、

    Albert Camus, L'ÉTRANGER. Roman

    Camus "L'Étranger "

で手に入ります。


2015-02-12

太陽が空に登る速さに

(フランス語中級)

J'étais surpris de la rapidité avec laquelle le soleil montait dans le ciel.
Albert Camus, "L'Étranger"

アルベール・カミュの 『異邦人』 からです。


発音:

J'étais surpris

ジェテ シュルプリ

de la rapidité

ドゥ ラ ラピディテ

avec laquelle

アヴェク ラッケル

le soleil montait

ル ソレイユ モンテ

dans le ciel

ダン ル シィエル


では、文の先頭から見て行きましょう。

    J'étais

    私は ... (な状態)だった

続けて、

    J'étais surpris
    私は驚かされていた

    → 私は驚いていた

surpris は動詞 surprendre の過去分詞形。

surprendre は「を驚かす」「を突然襲う」という意味で、

    être surpris de quelque chose
で、

    何かに驚く

となります。

今回は、何に驚いているのか。

    J'étais surpris de la rapidité

    私は速さに驚いていた

rapidité に驚いています。

rapidité は「速さ、速度」 という意味です。

定冠詞 la が付いているので女性名詞。

rapidité の形容詞形は rapide(ラピッド)で、「速い」という意味。

    ※ 英語では rapid (ラピッド) と最後の -e がありません。


さらに関係代名詞節が続きます。

    J'étais surpris de la rapidité avec laquelle

laquelle は関係代名詞 lequel の女性形単数です。


関係代名詞というやつは、その関係代名詞より前(左)にある言葉(名詞)の「代わり」を務めます。

なので関係代名詞は 「代名詞」 なのです。

いまの場合は、laquelle は単数の女性形なので、laquelle より前(左)にある 〈単数女性形〉 の名詞を探します。

    ※ 男性単数 lequel、女性単数 laquelle、男性複数 lesquels、女性複数 lesquelles です。

すると、 laquelle より前(左)にある単数女性形の名詞は、
    la rapidité

しかないので、 la rapidité が laquelle の「先行詞」だと言っていいでしょう。


関係代名詞 lequel/laquelle の用法の一つは前置詞といっしょに使われる(前置詞の目的語になる)ことです。

今回は前置詞 avec といっしょに使われて avec laquelle となっています。

そして、関係代名詞の用法のもう一つは、関係代名詞の後に続く文(関係代名詞節)の一部となるという点です。

ここで laquelle の後にある部分をみておきましょう。

    le soleil montait dans le ciel

    太陽が / 登っていった / 空に

montait は動詞 monter の直説法半過去形です。

avec laquelle はこの le soleil montait dans le ciel とどのようにつながるのでしょうか。

avec laquelle の laquelle は la rapidité のことでしたので、

    avec laquelle le soleil montait dans le ciel

は、

    avec la rapidité le soleil montait dans le ciel

となり、わかりやすいように avec 以下を文の後に持っていくと、

    le soleil montait dans le ciel avec la rapidité

    太陽は登っていった / 空に / その速度で

    → 太陽はその速度で空に登っていった

となります。

そして、この太陽の登っていったその速度に「私は驚いていた」ということになります。

    J'étais surpris de la rapidité avec laquelle le soleil montait dans le ciel.

    私はその速度に驚いていた
               ↑
    その速度で太陽は空に登っていった


全体の意味は、

    私は太陽が空に登っていく速さに驚いていた。

という感じになります。

2013-03-05

奇妙な出来事がオランで起こった


フランス語中級

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

( Albert Camus, "La Peste" )


フランスの小説家、アルベール・カミュ ( 1913-1960 ) の『ペスト』 の冒頭です。

    → このブログのカミュに関連する記事


  『ペスト』 新潮文庫版 (以前の表紙画像)


アルジェリアのオランという都市がペストに襲われ、その中でもがき・闘う人々が描かれています。


○ 発音

Les curieux événements
レ キュリウゼヴェヌモン
qui font le sujet
キ フォン ル シュジェ
de cette chronique
ドゥ セットゥ クロニーク
se sont produits
スソン プロデュィ
en 194.,
オン ミルヌフサンキャラントゥポワン
à Oran.
ア オラン

    → 発音例 (ネイティブの発音ではありません!)


○ 語句

curieux : 奇妙な、変な
événement : (男性名詞) 出来事、事件
qui : (関係代名詞)
font : 動詞 faire の直説法現在、三人称複数形
sujet : (男性名詞) 主題、テーマ
chronique : (女性名詞) 年代記, 編年史
produit : 動詞 produire の過去分詞
produire : 生産する、産み出す
se produire : 生じる、起こる
Oran : オラン(架空の街の名)

Albert Camus :
peste : (女性名詞) ペスト


○  直訳

この記録の de cette chronique 主題となる qui font le sujet 奇妙な出来事は Les curieux événements、194x年に en 194. オランで à Oran 起こった se sont produits 。


○  分かち訳

Les curieux événements (奇妙な出来事は)qui font le sujet (←主題となる)de cette chronique (←この記録の)se sont produits (起こった)en 194.(194x年に), à Oran(オランで).


○ 文の骨格

この文の骨格となるのは次の部分です。

Les curieux événements se sont produits en 194..

→ 奇妙な出来事が194x年に起きた。


○ 代名動詞の複合過去形

動詞の部分 se sont produits は se produire の複合過去形になっています。

se produire は代名動詞で、代名動詞の複合過去では、助動詞に être を使います。

さらにここでは se sont produits と、過去分詞 produit に s が付いています。

これは、代名動詞で使われている代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語のときは、複合形(複合過去や大過去など)で過去分詞がその代名詞に性数一致するからです。

se produire の代名詞 se は、動詞 produire の直接目的語です。

* なぜそうなのかはまたの機会に!

なので、複合形になると produire の過去分詞 produit は人称代名詞se に性数一致します。

この文、

Les curieux événements se sont produits en 194..

の場合、se は主語の les curieux événements を受けているので、se は男性複数です。

そこで過去分詞 produit が se に性数一致して produits となります。


○ 関係代名詞 qui

qui font le sujet de cette chronique の qui は関係代名詞です。

関係代名詞の役割は二つあります。

一つは、関係代名詞の直前にある名詞を修飾(説明)すること。

もう一つは、関係代名詞の後に続く部分の主語や目的語となること。つまり関係代名詞はその後に続く語句と一緒になって、[主語+述語]というセットを作ります。

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

この文の場合、qui が関係代名詞で、直前の名詞 les curieux événements を修飾しています。

また、qui は font le sujet de cette chronique の主語になっています。

[ les curieux événements ] <= [ qui font le sujet de cette chronique ]

[ 奇妙な出来事 ] <= [ (それは)この記録の主題となっている ]

なので「この記録の主題となっている奇妙な出来事」みたいになります。


○ faire の活用

動詞 faire (の直説法現在形の、とくに複数形)は独特の活用をしますので、確認しておきましょう。

je fais (ジュ フェ)
tu fais (テュ フェ)
il fait (イル フェ)
nous faisons (ヌ フゾン)
vous faites (ヴ フェットゥ)
ils font (イル フォン)

faisons の発音は「フェゾン」ではなく、「フゾン」なので注意!


○ 訳例

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

この記録のテーマである一連の奇妙な出来事は、194x年にオランで起こった。


○ 関連リンク



2011-08-16

今日、母さんが死んだ。


[フランス語初級]

Aujourd'hui, maman est morte.

(Albert Camus, "L'étranger", 1942)

アルベール・カミュ 『異邦人』 の冒頭です。

  Albert Camus (1913-1960)


【発音】

Aujourd'hui,
オジュルデュイ

maman est morte.
ママン エ モルトゥ

Albert Camus
アルベール カミュ

L'étranger
レトゥランジェ


【語句】

aujourd'hui : [副詞] 今日, 本日
maman : かあさん(自分の母親を呼ぶときに使われる。英語の mama )
est : il, elle (三人称単数)が主語のときの être の現在形の活用(直説法三人称単数現在)
morte : mourir (死ぬ) の過去分詞 mort [モール] の女性形。
est morte : mourir の複合過去。

* être を使う複合過去では、過去分詞(この場合 mort )は、主語に性数一致する。この文の場合、主語が maman で女性名詞なので mort は morte となる。

* 複合過去は avoir または être と動詞の過去分の組み合わせで作る。ほとんどの動詞は avoir を使うが、venir, monter, mourir など一部の自動詞は être を使う。

étranger : [形容詞] 外国の, 外国人の, 関係のない, 無縁の ; [名詞] 外国人, よそ者

* étranger は 「エトランゼ」 という日本語で使われている。 検索してみたら、日本のロックバンド(?) スピッツ(SPITZ )にも 「エトランゼ」 という曲がありました。


【直訳】

今日、お母さんが死にました。


【試訳】

今日、母さんが死んだ。


【補足】

アルベール・カミュは、タレントのセイン・カミュの母親の父の弟です。


【翻訳】

→ 『異邦人』 (窪田啓作 訳 / 新潮文庫)