[ Antoine de Saint-Exupéry, "Le petit prince" ]
今回は、アントワーヌ・ドゥ・サン=テグジュペリの 『ちっちゃな王子』 ( 『星の王子さま』 ) の有名な一節。
※ Le Petit Prince de Saint Exupéry
だいたいの発音は、
On ne voit bien
オンヌヴォワビャン
qu'avec le coeur.
カヴェク ル クール
です。
この最初の文には ne ... que という表現が使われています。
この ne ... que を取り去ると、
On voit bien avec le coeur.
となります。
意味は、
On voit bien 人はちゃんと見える
avec le coeur 心で
となり、「心でもってちゃんと見える」、「心で見ればちゃんと見える」みたいな感じになります。
この場合の前置詞の avec は〈手段〉を表します。つまり「〜を使って」「〜を手段として」といういみです。
avec le coeur で「心を使って」「心を手段として」、です。
voir は「見える、目に入る」(英語の see )ですが、「何が」見えるのか(つまり動詞 voir の目的語)は記述されていません。
※ ここでちょっと voir の現在形(直説法現在形)の活用を確認しておきましょう。
je vois ジュ ヴォワ
tu voit テュ ヴォワ
il voit イル ヴォワ
nous voyons ヌ ヴォワィヨン
vous voyez ヴ ヴォワィエ
ils voient イル ヴォワ
さて ne ... que ですが、これは「〜しか...ない」という〈限定〉の表現ですね。
何を 〈限定〉するかというと、que の直後にある語句を限定します。
On ne voit bien qu'avec le coeur.
この文の場合は、 qu'avec le coeur なので、「心でしか...しない」となるわけです。
※ que は次に母音で始まる語がくると 〈エリジオン〉 します。つまり 〈 qu' 〉 という形になって次の語とくっつきます。
まとめると、
On ne voit bien 人はよく見えない
qu'avec le coeur. 心を手段としてしか
となって、つまり、この文の意味は、
人は心でのみちゃんと見える。
心で見ないとちゃんと見えないんだよ。
という感じです。
◆ リンク
→ 翻訳はいっぱいあります、たとえば 『ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫) 』。