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2015-12-16

空は澄み、月は輝く 9 (終)

Rêves-tu ? Quelle est la couleur de ton songe ?

19世紀フランスの大作家、ギュスターヴ・フローベール (Gustave Flaubert) のラブレター ( Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )、とりあえずの最終回 (第9回目) です。



(ラブ・レターの宛先: ルイーズ・コレ)

    → これまでの Flaubert の文章の解説


前回までは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ?

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 それとも窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているのかな。

というかんじになりました。


では、きょうの文の発音の確認から。

    Rêves-tu ?

    レーヴ テュ

    Quelle est la couleur de ton songe ?

    ケレ ラ クルール ドゥ トン ソンジュ


rêves は動詞 rêver (夢を見る) なので、 Rêves-tu ? は、

    夢を見ているの

です。

つぎの、

    Quelle est la couleur ...

の couleur は 「色、カラー」 (女性名詞) 。

quelle は疑問詞 (疑問形容詞) で

    どんな、何の、どれくらいの

というような意味で、形容詞として使われるので、関係している名詞の性 (男性・女性) と数 (単数・複数) に応じて形が変わります。

    男性単数 : quel
    女性単数 : quelle
    男性複数 : quels
    女性複数 : quelles

発音はいずれも 「ケル」 です。


今回の場合は、 la couleur が女性名詞で単数形なので、

    quelle

という形になっています。

ここまでで、

    Quelle est la couleur... ?

    色は何ですか

となります。

続く、

    Quelle est la couleur de ton songe ?

の songe は、男性名詞で、

     夢

という意味です。

「夢」 には動詞 rêver の名詞の形である、

    rêve

もあります(男性名詞)が、 rêve よりも songe のほうがより固いというか、文章語として使われるようです。

で、

    Quelle est la couleur de ton songe ?

    君の夢の色は何ですか

ということになります。


全文を再掲します (ラブ・レターの内容はまだまだ続きますが → 原文 ) 。

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ? Rêves-tu ? Quelle est la couleur de ton songe ?

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているの。 夢でも見ているの。 君の夢の色は何色かな。












2015-12-14

空は澄み、月は輝く 8

Penses-tu à celui qui pense à toi ?


フロベール Flaubert の手紙第8弾。 第7回の続きです。




フロベールの恋人、ルイーズ・コレ


発音の確認から。

    Penses-tu à celui qui pense à toi ?

    ポンスチュ ア スリュイ キ ポンス ア トワ


最初の、

    Penses-tu

の、penses は動詞 penser なので (直説法現在形) 、

    あなたは考えてますか、思ってますか

という感じで、

    Penses-tu à ...

の前置詞 à は、

    penser à ...

で、

   …のことを思う、考える

という表現の à です。


で、何を考えている(思っている)かというと、 à のあとに celui という代名詞が来ています。

celui にはいくつかの用法がありますが、いまみたいに、

    celui qui ...

というふうに関係題名詞 qui や que が続くと、

    …な人、…するところの人

という意味になります。

いまは、

    celui qui pense à toi

となっているので、

    あなたのことを思っている人

です。


以上で、

    Penses-tu à celui qui pense à toi ?

は、

    あなたのことを思っている人のことを思っているの?

という感じです。


◆ 確認

penser の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。

    je pense                ジュ ポンス
    tu penses              テュ ポンス
    il pense                 イル ポンス
    nous pensons         ヌ ポンソン
    vous pensez           ヴ ポンセ
    ils pensent             イル ポンス

penser の活用は、aimer や parler などと同じです。


2015-11-23

空は澄み、月は輝く 7

Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

フロベール (Flaubert) のルイーズ・コレ宛の手紙、第7回目です。


(手紙の相手: ルイーズ・コレ)

ここまでは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. 

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。

という感じでした。


今日は、その続きの、

    Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

    エ トワ ドールチュ エチュ ア ラ フネートゥル

です。

Et toi は、手紙の相手に呼びかけています。

dors は dormir 「眠る」 の直説法現在形、tu に対する形です(二人称単数)。 

fenêtre は女性名詞で 「窓」。


以上から、

    Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

   そして君、君は眠っているの。 (それとも) 窓辺にいるの?

ということになります。



2015-11-18

空は澄み、月は輝く 6

Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. 


フロベール (Flaubert) の手紙、第6回目です。

    → 1回目、2回目、3回目、4回目、5回目

(手紙の相手: ルイーズ・コレ)

Les papillons se jouent

レ パピヨン ス ジュ

autour de mes bougies

オトゥール ドゥ メ ブジ

et l'odeur de la nuit m'arrive

エ ロドゥール ドゥ ラ ニュイ マリーヴ

par mes fenêtres ouvertes.

パル メ フネートゥル ウヴェルト


papillon は 「蝶 (チョウ)、蛾 (ガ)」 (男性名詞)。

    ※ こちら ↓ は胸に蝶の刺青のある囚人の脱獄の物語。

        

    ( スティーブ・マックイーン と ダスティン・ホフマン が出てます。 )

    ※ それから、「パピヨン」 という犬種がありますが、あれは耳の形が蝶みたいだから 「パピヨン」 って呼ぶらしいです。


で、話は戻って、そのパピヨンたち (les papillons) が何をしているかというと、

    Les papillons se jouent

jouer は英語の play とほぼ同じで、「遊ぶ、(スポーツなどを)する、(楽器を)演奏する」 などの意味があります。

se jouer は代名動詞で、ここでは、

    戯れる (たわむれる)、遊ぶ

という感じです。

    autour de mes bougies

の、bougie は 「ろうそく」 (女性名詞) なので、

    私のろうそくの周りで

    ( autour de ~ は、「~のまわりで(を)」 )

となり、

    Les papillons se jouent autour de mes bougies

までで、

    蝶たちが私のろうそくのまわりで戯れている

となります。


つづいて、後半の文です。

    et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes

odeur は 「匂い、香り」 (女性名詞) なので、

    et l'odeur de la nuit m'arrive

までで、

    そして夜の香りが私にやって来る

です。

続く、

    par mes fenêtres ouvertes

の、ouvert は 「開いた、開いている」 という形容詞で、-e がついているのは、修飾している fenêtre が女性名詞だから。

    空いた窓を通って

です。 ( 前置詞 par はここでは 〈~を通って、~から〉 という感じでしょう。)

なので、

    et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes

で、

    そして、夜の香りが開いた窓から私にやって来る

となります。


    Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes.

では、

    蝶たちが私のろうそくのまわりで戯れ、そして夜の香りが開いた窓を通して私にやって来る。

です。

    ※ この訳だと、ろうそくが何本もあることとか、窓が複数だとかということが訳されてないです...。



2015-11-10

空は澄み、月は輝く 5

La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. 


フロベール (Flaubert) の手紙、第5回目です。

    → 1回目、2回目、3回目、4回目

(手紙の相手: ルイーズ・コレ)


おおまかな発音を確認:

    La rivière est blanche sous la lune,

    ラ リヴィエール エ ブランシュ ス ラ リュヌ

    noire dans l'ombre.

    ヌワール ダン ロンブル


この文の構成は、

    A est B, C.

    AはBであり、Cだ

という比較的単純なものです。


単語の意味がわかればなんとかなりそうです。

ラブレターなので、フロベールといえど複雑な構文や難解な単語は使っていません!


単語の意味を確認しましょう。

    rivière : 川。女性名詞。
    blanche : 形容詞 blanc の女性形。
    sous : 前置詞。〜の下で。
    lune : 月。女性名詞。
    noir : 形容詞。黒い。
    ombre : 影、陰、暗闇。女性名詞。

となります。

では、直訳で分かち訳してみましょう。

    La rivière est blanche / sous la lune, / noire / dans l'ombre.

    川は白い  /  月の下で、 /  黒い  /  影の中で

となり、

まとめると、

    川は月の下では白く、影の中では黒い

という感じです。


ここまでのまとめ。

Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. 

空は澄み渡り、月は輝いている。 やって来る潮に乗って出発しようと、錨を引き上げる水夫たちの歌声が聞こえる。 雲もなく、風もない。 川は月の下では白く、影の中では黒い。


きれいな文なので暗唱しましょう!



2015-11-08

空は澄み、月は輝く 4

Pas de nuages, pas de vent.

19世紀の作家フロベール (Flaubert) の手紙、第4回目です。

    → 1回目、2回目、3回目

(手紙の宛先のルイーズ・コレ)


ここまでは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

で、そこにきょうは、

    Pas de nuages, pas de vent.

    パ ド ニュアージュ パ ド ヴォン

と続きます。


nuage は 「雲」 、vent は 「風」 ですね。 (いずれも男性名詞)

では、pas de ... は何でしょうか。

pas といえば、否定の ne ... pas で使う pas の他に、名詞で 「歩(ほ)、歩み」 という意味の pas があります (男性名詞)。

ここではどちらなのかというと、この pas de ... は、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

の pas 以降だけが残ったものなのです。

なので、意味としては、

    雲もなく、月もない

という感じです。


pas de の de は何かというと、

    動詞の目的語につく不定冠詞・部分冠詞は、否定文では de になる

みたいな規則がありました。

いま、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

という否定文を肯定文にしてみると、

    Il y a des nuages.

    Il y a du vent.

となり、数えられる名詞の nuage の複数形には不定冠詞の複数形の des が、数えられない名詞の vent には部分冠詞の du がついています。

両者ともに、動詞 a (= avoir) の目的語になっていて、この動詞 a が否定されているので、

    des => de
    du   => de 

となっています。


ここまでの意味を確認しておきましょう。

Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent.

空は澄み渡り、月は輝いている。 やって来る潮に乗って出発しようと、錨を引き上げる水夫たちの歌声が聞こえる。雲もなく、風もない。


2015-11-01

空は澄み、月は輝く 3

J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

(→ Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

 (ルイーズ・コレ)

ギュスターヴ・フロベールが、恋人のルイーズ・コレに宛てたラブレター、3回目。

    → 空は澄み、月は輝く 1
    → 空は澄み、月は輝く 2


2回目は、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たちが歌っているのが聞こえる

    水夫たちが歌いながら錨を引き上げているのが聞こえてくる

まででした。

あとには、

    pour partir avec le flot qui va venir

と続いています。


paritir は 「出発する」。

pour は前置詞で 「目的」 を表すことができるので、

    pour partir

で、

    出発する目的で

    出発しようと(して)

というかんじです。

水夫たちは、船の引き上げて出発しようとしているのでしょう。

つぎの、

    avec le flot

の flot は 「上げ潮、海流、川の流れ」 なので、

   潮とともに、潮に乗って (出発しようと)

しているわけです。


最後の、

   qui va venir

ですが、この文の前半にあった qui lèvent の qui と同じく、主格(=主語になる)の関係代名詞です。

 va venir の va は aller で、〈 aller + 不定詞 〉 で、「近い未来」 を表すのでしたから、

    le flot qui va venir

で、

    これからやって来る上げ潮

となります。

ですので、

    pour partir avec le flot qui va venir

で、

    これからやって来る上げ潮とともに出発するために

    やって来る潮に乗って出発しようと

となるので、文全体では、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir.

    やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえる

        ↓

    歌いながら錨を上げている水夫たちの声が聞こえて来ます。上げ潮に乗って出航しようというのでしょう。

というかんじです。


2015-10-28

空は澄み、月は輝く 2

J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

(→ Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

フロベールが、ルイーズ・コレに宛てたラブレターの書き出し2回目です。

    → 空は澄み、月は輝く 1


 ルイーズ・コレ



1回目の、

    Le ciel est pur ; la lune brille.

    空は澄み、月は輝く

の続きです。


発音は、

    J'entends des marins chanter

    ジャンタン デ マラン シャンテ

    qui lèvent l'ancre

    キ レーヴ ローンクル
 
    pour partir avec le flot
 
    プール パルティール アヴェク ル フロ

    qui va venir.

    キ ヴァ ヴニール

です。

qui という語が2箇所あります。 文の構成はどうなっているのでしょう。


文の前のほうから見ていきましょう。

    J'entends

    私には聞こえる

entends は entendre の直説法現在形です。


次の、

    J'entends des marins chanter

で、marin は 「水夫・船乗り」 (男性名詞)、chanter は動詞 「歌う」 の不定詞(原形)。

entendre は

    entendre + 人/物 + 不定詞

の語順で、

    人/物が~するのが聞こえる

という意味なので、

    J'entends des marins chanter 

は、

    水夫たちが歌うのが聞こえる

となります。
    
    ※ des marins の des は不定冠詞の複数形。


続いて、qui lèvent l'ancre が続きます。

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

ancre は 「(船の) 錨(いかり)」 (女性名詞) です。

    ※ 英語の anchor (アンカー) ですね。

l'ancre の前の lèvent は、動詞 lever (上げる・持ち上げる) の直説法現在形 三人称複数 なので、

     lèvent l'ancre

は、

    錨を引き上げる

といういみで、動詞 lèvent の主語は三人称複数形のはずです。


では、lèvent の直前の qui は何でしょうか。

関係代名詞ですね。

qui は 「主格の関係代名詞」 なので、lèvent の主語になっています。

そして関係代名詞なので、qui 以降の qui lèvent l'ancre (=関係代名詞節) が修飾する名詞 (先行詞) を探さなくてはなりません。

つまりこの場合、「錨を引き上げ」 ているのは 〈だれ〉 か、ということです。

関係代名詞の先行詞は、ふつうその関係代名詞の直前、つまりすぐ左にあります。

いまの場合、関係代名詞 qui の直前には chanter という動詞 (不定詞) があります。

が、動詞は先行詞にはなりません。

    ※ 先行詞は基本的に 「名詞」 です。

そこでさらに左 (chanter の左) を見ると、 des marins という名詞がありました。

ちょうど des marins は複数形 (三人称複数形) なので、lèvent の主語としてバッチリです。


結局、

    des marins ... qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たち

という関係で、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たちが歌っているのが聞こえる

        ↓

    水夫たちが歌いながら錨を引き上げているのが聞こえてくる

というかんじになります。


最後の、pour partir avec le flot qui va venir は次回...。



2015-10-27

空は澄み、月は輝く 1

Le ciel est pur ; la lune brille. 

( Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

ギュスターヴ・フロベール というフランス19世紀の作家が、恋人のルイーズ・コレに宛てたラブレターの書き出しから。

    → このブログのフロベールの記事

 ルイーズ・コレ Louise Colet



発音は、

    Le ciel est pur

    ル スィェル エ ピュール

    la lune brille

    ラ リュヌ ブリィーユ

というかんじです。


ciel の意味は「空(そら)」。

    ※ 定冠詞 le が付いているので男性名詞です。

Le ciel est ... で 「空は...だ」。


で、空はどんなかというと、pur です。

pur は形容詞で、意味は、

    純粋な、澄んだ

で、英語の pure ですね。

Le ciel est pur で、「空は澄みわたっている」 というかんじでしょうか。


つぎの、

    la lune brille

の lune は 「 月、お月さま 」 です (女性名詞)。

brille は動詞 briller (ブリィェ) が活用したものです。

    ※ 直説法現在形、三人称単数です。

意味は、

   月は輝いている

となります。


全体で、

    Le ciel est pur ; la lune brille. 

    空は澄みわたって、月は輝いている

です。


この文の原文は、


のページ冒頭にあります。

この手紙の日付がページ右上に記載されていて、

    Nuit de samedi au dimanche, minuit. 8-9 Août 1846

なので、1846年8月8日土曜日の深夜に書いてるようです。


土曜の深夜に、澄んだ空と明るく輝く月を窓から見ながら、書いたラブレターでしょうか。



2015-01-30

音楽が止まったとき 2

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague. Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois, comme si elle sortait d'un songe.

[フランス語中級]


フロベール 『感情教育』 ( Flaubert, "L'Education Sentimentale" ) の一節の続き、三回目です。


    → 一回目 遠くをぼんやりと

    → 二回目 音楽が止まったとき 1


前回は、

    Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois

    音楽が止まったとき、彼女は瞼を何度も動かした。

まで見てみました。


今日は、その続きの

     comme si elle sortait d'un songe

についてやりましょう。


発音:

    comme si

     コム スィ

    elle sortait

    エル ソルテ

    d'un songe

    ダン ソンジュ


comme si は決まりきった表現で、

    まるで...のように

という意味になります。

    ※ 英語でいうと as if みたいなものです。


comme si の後には直説法半過去あるいは直説法大過去の文が続きます。

今回の場合は、

    elle sortait

なので半過去形です。

    ※ sortait は sortir の半過去形。 もし大過去だったら elle était sortie となります。


半過去を使うのか大過去なのかは、表現されている内容が現在のことなのか過去のことなのかということには関わりません。

どちらが使われるかの基準は、

    comme si ...が修飾している文の時と同じ時点の場合は半過去

    comme si ...が修飾している文の時とより以前の時点の場合は大過去

となります。

今回の場合、 comme si elle sortait d'un songe の sortais は半過去ですので、「 comme si ...が修飾している文の時と同じ時点 」 を表現していることになります。


では、ここで言う 「comme si ...が修飾している文」 とはどういうことでしょうか。

まずは例文全体の意味を解釈してから考えましょう。


さて、

    comme si elle sortait d'un songe

の、songe は

    夢、夢想

です。

un がついているので男性名詞だとわかります。

「夢、夢想」という意味では、

    rêve (レーヴ)

というのもありましたね。

    ※ こちらも男性名詞です。
    ※ songe も rêve も同じような意味ですが、songe のほうがより “文学的” になります。
    ※ つまり普段の会話とかでは rêve のほうを使うということです。


でこの箇所の、

    sortir d'un songe

とはどういうことでしょうか。

この de を「から」ととって、

    夢から出る

つまり、

    夢から覚める

という感じでいいでしょう。

そうすると

    comme si elle sortait d'un songe

は、

    まるで夢から覚めたかのように

みたいになります。

文全体では、

    Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois, comme si elle sortait d'un songe.

    音楽が止まったとき、まるで夢から覚めたかのように、彼女は何度も瞼を動かした。

という感じです。


さて、 「comme si ...が修飾している文」 はどこでしょうか。


日本語で考えると、「まるで夢から覚めたかのように」 → 「彼女は何度も瞼を動かした」 という関係になるので、

「まるで夢から覚めたかのように」 が、「彼女は何度も瞼を動かした」 を修飾しているということになります。

いわゆる 「修飾」 と 「被修飾」 の関係です。


で、 「comme si ...が修飾している文」 は、

    elle remua les paupières plusieurs fois

で、その時(時制) は単純過去 (← remua)です。


つまり、

    comme si elle sortait d'un songe の半過去形の sortait が表している時点は、

    elle remua les paupières plusieurs fois の単純過去の remua の時点と同じ、

ということになります。


「彼女が夢から覚めている」 のと、「彼女が瞼を動かした」のは同じ時間の中でだということです。

なのでそれっぽく訳しましょう。


    Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois, comme si elle sortait d'un songe.

    音楽が止まったとき、まるで夢から覚めつつあるかのように、彼女は何度も瞼を動かした。



今回の説明はちょっとわかりずらかったかもしれません...。 ごめん。



2014-10-28

音楽が止まったとき 1

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague. Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois, comme si elle sortait d'un songe.

(フランス語中級)

フロベール 『感情教育』 ( Flaubert, "L'Education Sentimentale" ) の一節の続き。


最初の文、

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague.

については、

→ 遠くをぼんやりと

を見てください。


今日はそれに続く二文目(の途中まで)の、

Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois

を見ていきます。


発音は、

Quand la musique

カン ラ ミュズィーク

s'arrêta,

サレタ

elle remua

エル ルミュア

les paupières

レ ポピエール

plusieurs fois

プリュズィウール フォワ

です。


まず、最初の箇所、

Quand la musique s'arrêta

は、

音楽が止まった時、

となります。


s'arrêta は s'arrêter の直説法単純過去形。

arrêter は

止(と)める、止(や)める

です。

ここでは s'arrêter と代名動詞になっています。


代名動詞の用法の一つに

自分を〜する

というのがあります。

いわゆる再帰的用法です。


s'arrêter の場合は、

自分を止める → 止める, 止まる

みたいな感じになります。


なので

Quand la musique s'arrêta

で、

音楽が止まった時

となります。


続きは、

elle remua les paupières plusieurs fois

で、前から見ていくと、

彼女は動かした / 瞼を / 何度も

です。


paupière は「瞼(まぶた)」、女性名詞。

瞼は両眼それぞれの上下にある(つまり四つある)ので複数形になってます。


remua は動詞 remuer の直説法単純過去形。

remuer は

動かす

という意味です。


つぎの、

plusieurs fois

ですが、 plusieurs は

いくつかの、若干の

という意味の形容詞で、英語の several です。

fois は男性名詞で、何回目とか何度目とかいう場合の「回」や「度」です。

fois は単数形でも最後に s が付きます。

結局、

plusieurs fois

で、

何度も、何回も

となります。


ここまでをまとめると、

Quand la musique s'arrêta, elle remua les paupières plusieurs fois

音楽が止まったとき、彼女は瞼を何度も動かした。

となります。


s'arrêter と remuer の直説法単純過去形の活用を確認しておきましょう。

je m'arrêtai ジュ マレテ
tu t'arrêtas テュ タレタ
il s'arrêta イル サレタ
nous nous arrêtâmes ヌ ヌザレターム
vous vous arrêtâtes ヴ ヴザレタート
ils s'arrêtèrent イル サレテール

je remuai ジュ ルミュエ
tu remuas テュ ルミュア
il remua イル ルミュア
nous remuâmes ヌ ルミュアーム
vous remuâtes ヴ ルミュアート
ils remuèrent イル ルミュエール

です。


続きます。


2014-10-11

遠くをぼんやりと

[フランス語初級]

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague.


フロベール( Flaubert ) 、『感情教育 ( L'Education Sentimentale ) 』 の一節。



最初の文の発音から。

Mme Arnoux regardait
マダム アルヌー ルガルデ

au loin
オ ロワン

d'une manière vague
デュヌ マニエール ヴァーグ

です。


まず、

Mme Arnoux regardait

で、

アルヌー夫人は見つめていた

という意味になります。


※ アルヌー夫人は、「二人の目が出会った (1)」 で、主人公の青年フレデリックに、帽子を拾ってもらった人です。


regardait は動詞 regarder の半過去形。

活用させてみましょう。



まず活用語幹ですが、直説法半過去形の活用語幹は直説法現在形の nous の活用語幹と同じでした。

regarder は parler や aimer と同じ第一群規則活用動詞なので、現在形の活用はシンプルです。

[直説法現在形]


je regarde ジュ ルガルド
tu regardes テュ ルガルド
il regarde イル ルガルド
nous regardons ヌ ルガルドン
vous regardez ヴ ルガルデ
ils regardent イル ルガルド

nous のときは nous regardons なので、半過去形の活用語幹は regard- になります。



では半過去形に活用させましょう。

[直説法半過去形]


je regardais ジュ ルガルデ
tu regardais テュ ルガルデ
il regardait イル ルガルデ
nous regardions ヌ ルガルディオン
vous regardiez ヴ ルガルディエ
ils regardaient イル ルガルデ

です。



続きを見ましょう。

Mme Arnoux regardait au loin

loin は「遠くに」という意味の副詞ですが、ここでは定冠詞の le が付いているので男性名詞になります。

辞書を見ると意味は「遠方」などとなっていますが、

au loin

で、

遠くに、遠くへ

という表現です。

ですので、

Mme Arnoux regardait au loin

は、

アルヌー夫人は遠くに見つめていた。

→ アルヌー夫人は遠くを見つめていた。

という感じです。



続いて、

d'une manière vague

です。

manière は「やり方」「様式」というような意味の女性名詞ですが、

d'une manière + 形容詞

で、

〜な仕方で、やり方で

となります。

vague

は

漠然とした、曖昧(あいまい)な、ぼんやりした

という意味の形容詞なので、

d'une manière vague

で、

曖昧な仕方で、漠然と、ぼんやりと

となるので、

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague.

アルヌー夫人はぼんやりと遠くを見つめていた。

という感じです!


※ vague には女性名詞として、

波

という意味もありますね。



2014-09-23

二人の目が出会った (3)

Leurs yeux se rencontrèrent.

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト


Flaubert の "L'Education Sentimentale" の、帽子が飛ぶ場面、三回目。

→ 一回目、二回目


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.


風に飛ばされた帽子を捕えてくれたフレデリックに婦人がお礼を言った後です。


Leurs yeux

レールズュ

se rencontrèrent

ス ロンコントレール


この文の主語は、

Leurs yeux

彼らの目は

で、動詞は

se rencontrèrent

です。


se rencontrer は rencontrer の代名動詞。

rencontrer は「〜に出会う、ぶつかる」というような意味。

代名動詞の用法は四つありました。

1. 再帰的用法
「自分を〜する」

2. 受動的用法
「〜される」

3. 相互的用法
「互いに〜する」

4. 本質的用法
代名動詞としてのみ使われる動詞


rencontrer の場合は 4 ではないので、1 から 3 までの用法で意味を考えると、

1. 再帰的用法
「彼らの目は自らに出会った」

2. 受動的用法
「彼らの目は出会われた」

3. 相互的用法
「彼らの目はお互いに出会った」

となり、ここでは 3の相互的用法であることがわかります。


確認のため辞書を見てみたら、『クラウン仏和辞典』の、se rencontrer の「ぶつかる, 衝突する; 合流する」という意味の例文に、

Leurs yeux se rencontrèrent.

という今回の文と同じ文があり、意味は、

彼らの目が合った.

となっています。


se rencontrèrent の時制ですが、直説法単純過去です。

直説法現在形だと、

Leurs yeux se rencontrent.

ですね。

rencontrer 単体で単純過去に活用させてみましょう。

je rencontrai
tu rencontras
il rencontra
nous rencontrâmes
vous rencontrâtes
ils rencontrèrent

ジュ ロンコントレ
テュ ロンコントラ
イル ロンコントラ
ヌ ロンコントラーム
ヴ ロンコントラート
イル ロンコントレール

となります。


これで今回の例文が終わりました。

全体を確認しておきましょう。

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.

フレデリックは跳び上がって帽子を捕まえた。
彼女は言った。「あら、ご親切にありがとう。」
二人の視線が出会った。


2014-09-12

二人の目が出会った (2)

Elle lui dit :  -- " Je vous remercie, monsieur. "


「二人の目が出会った」の 2回目です。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education")


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :

-- " Je vous remercie, monsieur. "

Leurs yeux se rencontrèrent.

[ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]


風で吹き飛んだ帽子を捕まえてくれたフレデリックにその婦人はどう対応したでしょうか。


その婦人はフレデリックに語りかけます。

Elle lui dit :

エル リュイ ディ


彼女は彼に言った。


lui は「彼に」とも「彼女に」ともなりますが、ここでは帽子を捕まえてくれたフレデリックに、その婦人が何か言ったのです。

そうすると dit は現在形ではないはずです。

dire の直説法現在形は、

je dis ジュ
tu dis
il dit
nous disons
vous dites
ils disent

なので、

Elle lui dit :

は、

彼女は彼に言う

と現在形にとることもできますが、

でもその前からの流れでいけば単純過去形ではないでしょうか。

dire の直説法単純過去形の活用は、

je dis ジュ ディ
tu dis テュ ディ
il dit イル ディ
nous dîmes ヌ ディーム
vous dîtes ヴ デイット
ils dirent イル ディール

なので、一人称(je, tu, il)の活用は直説法現在形も単純過去形も同じです。


さて、その人妻はフレデリックに何と言ったのか。

Je vous remercie, monsieur.

ジュ ヴ ルメルシ ムシュー

「ありがとうございます。」

と、感謝の言葉をかけました。

remercier (ルメルシィエ)は、「〜に感謝する、~にお礼を言う」 といういみです。


ここまでで、

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "

フレデリックは飛び上がって、帽子を捕まえた。
彼女は 「ありがとうございます」 と言った。

という感じになります。


(続く)


■ 翻訳

翻訳は文庫で手に入るものだけでも数種ありますが、ここでは岩波文庫版を紹介します。


・ 感情教育〈上〉 (岩波文庫)




・ 感情教育〈下〉 (岩波文庫)