à huis clos
発音は、「 ア ユィ クロ」 。
フランス人による発音は、いつもの FORVO で確認できます。
huis は、同じ 「ユィ」 という発音で一字違いの huit がありますが、こちらは数字の 8ですね。
à huis clos の意味は、「扉を閉めた状態で」 「非公開で」 です。
huis はもともと 「(家の) 戸口 ・ 扉 」 (男性名詞) という意味ですが、単独で使われることはなく、いつも huis clos という形になります。
clos は clore (閉じる)[クロール] という動詞の過去分詞ですので、「閉じた (閉じられた)」 「閉まった」 です。
なので、 huis clos を直訳すれば 「閉じた扉」 になりますが、実際には huis clos だけだと 「傍聴禁止」 という意味で使われます。
それに前置詞 à がついて à huis clos で、 「扉を閉ざして」 「非公開で」 になります。
◆ サルトルの 「出口なし」
昔 ジャン=ポール・サルトル ( Jean-Paul Sartre ) という有名なフランスの文学者・哲学者がいました (1905-1980)。
その人の戯曲に "Huis clos" というのがあります。
翻訳では 「出口なし」 というタイトルになっています。
つまり huis clos を 「接見禁止」 という訳ではなく、もともとの意味の 「閉ざされた扉」 という意味で訳しているわけです。
その戯曲のなかでとても有名になった言葉があります。
L'enfer, c'est les Autres.
地獄っていうのは、他人たちのことなんだな。
です。 ちょっとこわいですね。
※ 蛇足ですが、サルトルの生没年を覚える語呂合わせがあります。
重苦負いつ、行く我。
(じゅうく[19] おいつ[05]、 いく [19] われ [80])
たしか 『ジョーク哲学史』 ( 加藤尚武 ) という本に載っていたような気がします。
いざというときに役立てましょう!
※ 『ジョーク哲学史』 も 「出口なし」 も手に入りにくいようです。 図書館で探してみてください。