フランス語中級
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
( Albert Camus, "La Peste" )
フランスの小説家、アルベール・カミュ ( 1913-1960 ) の『ペスト』 の冒頭です。
→ このブログのカミュに関連する記事
『ペスト』 新潮文庫版 (以前の表紙画像)
アルジェリアのオランという都市がペストに襲われ、その中でもがき・闘う人々が描かれています。
○ 発音
Les curieux événements
レ キュリウゼヴェヌモン
qui font le sujet
キ フォン ル シュジェ
de cette chronique
ドゥ セットゥ クロニーク
se sont produits
スソン プロデュィ
en 194.,
オン ミルヌフサンキャラントゥポワン
à Oran.
ア オラン
→ 発音例 (ネイティブの発音ではありません!)
○ 語句
curieux : 奇妙な、変な
événement : (男性名詞) 出来事、事件
qui : (関係代名詞)
font : 動詞 faire の直説法現在、三人称複数形
sujet : (男性名詞) 主題、テーマ
chronique : (女性名詞) 年代記, 編年史
produit : 動詞 produire の過去分詞
produire : 生産する、産み出す
se produire : 生じる、起こる
Oran : オラン(架空の街の名)
Albert Camus :
peste : (女性名詞) ペスト
○ 直訳
この記録の de cette chronique 主題となる qui font le sujet 奇妙な出来事は Les curieux événements、194x年に en 194. オランで à Oran 起こった se sont produits 。
○ 分かち訳
Les curieux événements (奇妙な出来事は)qui font le sujet (←主題となる)de cette chronique (←この記録の)se sont produits (起こった)en 194.(194x年に), à Oran(オランで).
○ 文の骨格
この文の骨格となるのは次の部分です。
Les curieux événements se sont produits en 194..
→ 奇妙な出来事が194x年に起きた。
○ 代名動詞の複合過去形
動詞の部分 se sont produits は se produire の複合過去形になっています。
se produire は代名動詞で、代名動詞の複合過去では、助動詞に être を使います。
さらにここでは se sont produits と、過去分詞 produit に s が付いています。
これは、代名動詞で使われている代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語のときは、複合形(複合過去や大過去など)で過去分詞がその代名詞に性数一致するからです。
se produire の代名詞 se は、動詞 produire の直接目的語です。
* なぜそうなのかはまたの機会に!
なので、複合形になると produire の過去分詞 produit は人称代名詞se に性数一致します。
この文、
Les curieux événements se sont produits en 194..
の場合、se は主語の les curieux événements を受けているので、se は男性複数です。
そこで過去分詞 produit が se に性数一致して produits となります。
○ 関係代名詞 qui
qui font le sujet de cette chronique の qui は関係代名詞です。
関係代名詞の役割は二つあります。
一つは、関係代名詞の直前にある名詞を修飾(説明)すること。
もう一つは、関係代名詞の後に続く部分の主語や目的語となること。つまり関係代名詞はその後に続く語句と一緒になって、[主語+述語]というセットを作ります。
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
この文の場合、qui が関係代名詞で、直前の名詞 les curieux événements を修飾しています。
また、qui は font le sujet de cette chronique の主語になっています。
[ les curieux événements ] <= [ qui font le sujet de cette chronique ]
[ 奇妙な出来事 ] <= [ (それは)この記録の主題となっている ]
なので「この記録の主題となっている奇妙な出来事」みたいになります。
○ faire の活用
動詞 faire (の直説法現在形の、とくに複数形)は独特の活用をしますので、確認しておきましょう。
je fais (ジュ フェ)
tu fais (テュ フェ)
il fait (イル フェ)
nous faisons (ヌ フゾン)
vous faites (ヴ フェットゥ)
ils font (イル フォン)
faisons の発音は「フェゾン」ではなく、「フゾン」なので注意!
○ 訳例
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
この記録のテーマである一連の奇妙な出来事は、194x年にオランで起こった。
○ 関連リンク
→ フランス語原文