フランス語中級
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.
[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]
レーニンという人が書いた『帝国主義論』という本のフランス語訳の序文です。
1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)
レーニンは20世紀初頭にロシア革命を首謀して、ロシア帝国を崩壊させ、ソ連という国を創った人です。 ソ連は20世紀の終わりに消滅して、今はまたロシアという国になってます。
この文章は最後までピリオド period (フランス語では point [プワンまたはポワン] )が出てこないので、これ全体で一つの文ですね。
ちょっと長いですが文の最初から見ていきたいと思います。
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Ce livre montre (スリーヴル モーントゥル)の、montre は動詞 montrer の直説法現在形。意味は「見せる」とか「示す」で、英語で言えば show でしょう。
なので、ここまでで 「この本は...を示している」「...ということを明らかにしている」、「この本に書いてあることはこうである」 というような意味になります。
続いて Ce livre montre que ... と続くので、 「この本は que 以下のことを示している」 という文なんだなと予想をつけます。
こういう時の que の後には「主語」と「述語」からなる〈文〉が来るはず。つまり「〜は…である( …する )ことをこの本は示している」というふうになるはず。
と思って続きを見ると que の後は la guerre (ラ ゲール)となっています。
_ Ce livre montre que la guerre ...(スリーヴル モーントゥル ク ラゲール)
guerre は女性名詞で「戦争」。
la guerre のすぐ後には de 1914-1918 とあるので、この戦争は 「1914から1918年にかけての戦争」 、つまり第一次世界大戦のことだとわかります。
ところで 1914 の読み方は、ミルヌフソンカトルズ mille neuf cent quatorze 、つまり 千・九・百・十四で、1918 は、ミルヌフソンディズユィット mille neuf cent dix-huit、つまり 千・九・百・十八 です。
de 1914-1918 の年号の間の 「 - 」 ですが、ここでは à と同じです、つまり、de 1914 à 1918 ということです。
de ~ à … で、「~から…まで」、 英語の from ~ to … という表現と同じです。
さて、 que の後には「主語」 と 「述語」 が来るのではないかという予想でした。
そうだとすると la guerre de 1914-1918 が主語で、「1914年から1918年の戦争は....だったということをこの本は明らかにしている」 ということになります。
そういう予想で、la guerre de 1914-1918 の後を見ると、 予想通り述語となる動詞表現 a été が来ています。
_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
a été (ア エテ) ですが、a は 動詞 avoir の直説法現在形、 été は名詞だと 「夏」 という意味ですが、ここでは動詞 être の過去分詞形です。
つまり、[avoirの直説法現在形 + 動詞の過去分詞] のかたちなので、「複合過去」 ということになります。
意味は、être は 「~です、~である」 という意味があるので、それを過去っぽく言えば 「~であった」 です。
la guerre de 1914-1918 a été ... で、「1914年から1918年までの戦争は、...だった」 となります。
では、その戦争は「何」だったのか。
a été のあとに de part et d'autre という表現があります。 これはなんかちょっと 「熟語」 っぽい。
そこで辞書を調べてみると、de part et d'autre には、
どちら側も, 双方とも(に)、互いに
などの意味があります。
発音は「ドゥ パール エ ドートゥル」とふつうに読むのではなく、 part と et をつなげて(=リエゾンさせて) 「ドゥパルテドートゥル」と読んでください。
そうすると、
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre ...
で、
この書籍が示しているのは、1914から1918年にかけての戦争は、どちら側も ... であったということである。
という感じになりそうです。
で、結局、どんなんだったかといと、
_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
une guerre impérialiste (ユヌ ゲール アンペリアリスト)の impérialiste は、「帝国主義の」という形容詞。
名詞形は impérialism (アンペリアリスム)。男性名詞で意味は「帝国主義」。
ですので une guerre impérialiste で 「帝国主義の戦争」「帝国主義的戦争」「帝国主義戦争」などとなります。
さて、これで、
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
までは、
1914年から1918年の戦争はどちらの側も帝国主義戦争であったことをこの本は明らかにしている。
となります。
が、「 どちらの側も」というのがなんだかまだあいまいです。
もういちど de part et d'autre を、今度は仏仏辞典(つまりフランス語の国語辞典)で調べてみました。
或る仏仏辞典では de part et d'autre を réciproquement と説明しています。
réciproquement (レシプロークモン)は「お互いに」「相互に」です。
ここは戦争の話なので、「 どちら側も 」「お互いに」 というのは、戦争をしている両方の側ということでしょう。
そこでこんな訳文にしてみます。
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
「この本によって明らかにされるのは、1914年から18年にかけての戦争が両陣営ともに帝国主義による戦争だったことである。」
→ 続き 「 この本が明らかにしているのは 2 」
◆ リンク
_ フランス語訳 (Marxists Internet Archive)
_ 日本語訳 『帝国主義論』 (光文社古典新訳文庫)