グローバルメニュー

2012-03-25

ナンビクワラの人たちは(2)

(フランス語中級)

Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

[ Claude Lévi-Strauss, "Tristes tropiques", 1955 ]

前回の続き。きょうはこの文章の後半部分、puis se nourrissent ... からです。


【発音】

puis se nourrissent 
ピュイ ス ヌリッス

légèrement 
レジェールモン

des reliefs de la veille. 
デ ルリィエフ ドゥ ラ ヴェイユ


【語句】

puis : (副詞) 次に、それから

nourrissent < nourrir。
* ここの se nourrissent の主語は文頭の Les Nambikwara ですね。

nourrir (ヌリール) : 食べ物を与える
* se nourrir de ~ で、 「を食べる、摂取する」。
* 名詞は nourriture (ヌリチュール/女性名詞) で 「栄養, 食べ物」などのいみ。
* 活用は finir, choisir などと同じ。
* nourrir の直説法現在形の活用の実際は 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)」 を見てください。
*choisir の直説法現在形の活用は 「ああ、俺は苦しいんだ。」 で確認しています。


légèrement : (副詞) 軽く、少しばかり 
* 形容詞は léger (レジェ) で 「軽い」。

des : (ここでは) 前置詞 de + 定冠詞 les。
* des が文中に現れたら、「不定冠詞複数形のdes」 か、「前置詞 de + 定冠詞複数形のles」 かのどちらかです。
* ここの de は se nourrissent につながります。

relief : (男性名詞)[複数形で] 食事の残り物

veille : (女性名詞)前日
* 「昨日」は hier


【分かち訳】

puis se nourrissent
それから(…を)食べる

légèrement 
軽く

des reliefs de la veille. 
前日の残り物を(食べる)


【全体の訳】

Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

ナンビクワラの人たちは日の出とともに起きて、残り火をかき立て、夜のあいだに冷えた体をなんとか暖める。そして、前日の残り物で軽い食事をする。


上級仏単語: hilare


【発音】
hilare
イラール

【品詞】
形容詞

【意味】
陽気な、上機嫌の


2012-03-13

ナンビクワラの人たちは(1)


Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

[ Claude Lévi-Strauss, "Tristes tropiques", 1955 ]


クロード・レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』 より。
きょうは、この文章の前半を見てみます。


【発音】

Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

avec le jour, 
アヴェク ル ジュール

raniment le feu,
ラニーム ル フゥ

se réchauffent tant bien que mal
ス レショッフ タン ビヤン ク マル

du froid de la nuit,
デュ フロワ ドゥ ラ ニュイ


【語句】

◇ Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

Nambikwara : 「ナンビクワラ族」。ブラジルのアマゾン奥地に住む人々。
les Nambikwara : 「ナンビクワラ族の人たち」 
se réveiller (ス レヴェイェ): (代名動詞)[眠りから]目覚める

→ 「ナンビクワラの人たちは目覚める」


◇ avec le jour,
アヴェク ル ジュール

jour : (男性名詞) 一日、日中、陽の光
se réveiller avec le jour : 日の光とともに目覚める

→ 「陽の光とともに」


◇ raniment le feu,

ranimer : 生気をかきたてる、活気づける
feu : (男性名詞) 火、暖炉、こんろ
ranimer le feu : 火をかきたてる

→ 「火をかきたてる」


◇ se réchauffent tant bien que mal

réchauffer : 温め直す
se réchauffer : (代名動詞) 体を暖める
tant bien que mal : どうにかこうにか、やっと、なんとか

→ 「どうにかこうにか体を暖める」


◇ du froid de la nuit,

froid : (男性名詞) 寒さ、冷たさ。 (形容詞) 寒い、冷たい。
nuit : (女性名詞) 夜

* du froid の de は、ここでは「寒さから(体を暖める)」の「から」。

→ 「夜の寒さから」


◇ Claude Lévi-Strauss : クロード・レヴィ=ストロース、1908-2009。フランスの人類学者。

◇ Tristes tropiques

triste : (形容詞) 悲しい
tropique : (男性名詞) 回帰線。[複数形で] 熱帯地方
Tristes tropiques : 「悲しき熱帯」。 レヴィ=ストロースの初期の作品。


【意味】

Les Nambikwara se réveillent avec le jour,
ナンビクワラの人たちは日の光とともに目覚め

raniment le feu,
火をかきたて

se réchauffent tant bien que mal
なんとか体を暖める

du froid de la nuit
夜の寒さから


【訳】

ナンビクワラの人たちは、日の出とともに起きて、残り火をかきたて、夜の冷えからなんとか体を暖める。


【補足】

* ranimer は re + animer から。re は「再び」、animer は「活気づける」。

* réchauffer も re + chauffer から。 chauffer は「温める、暖める」。

* se réveiller や se réchauffer は、いわゆる「代名動詞」。

* réveiller の直説法現在形の活用を確認してみましょう。aimer や parler などとおなじ 「第一群規則活用動詞」ですね。

je réveille (ジュ レヴェイユ)
tu réveilles (テュ レヴェイユ)
il réveille (イル レヴェイユ)
nous réveillons (ヌ レヴェイヨン)
vous réveillez (ヴ レヴェイェ)
ils réveillent (イル レヴェイユ)



* レヴィ=ストロースは、なんと100歳すぎまで生きてました!

* レヴィ=ストロースという姓は、ジーパンのリーバイ・ストラウス(Levi Strauss) と(ほぼ) 同じ綴り。 橋爪大三郎さんの 『はじめての構造主義』(講談社現代新書) にこのネタが載っていたような記憶があります。

→ 追記(2012/3/25): 本棚の本を調べてみました。 『はじめての構造主義』の冒頭に出てました。

「そんなことを考えながら、ある日ぶらぶら、渋谷の道玄坂を歩いていきますと ― なんと、私の知らぬまに、はやばやとでっかい広告の看板まで出ているではないか。 『 LEVI STRAUSS 』 こりゃ不思議だ。どうしてこんなところに、レヴィ=ストロースの広告が出ているんだろ。そうか、ボクの知らないうちに、世の中は意外に進んでいるのかもしれないな。」 ( 『はじめての構造主義』 講談社現代新書、1988、12ページより )



上級仏単語: racaille


【発音】
racaille
ラカーユ

【品詞】
女性名詞

【意味】
(集合的に)下層民、社会の屑、ごろつき、ろくでなし


2012-03-09

上級仏単語: éparpiller


【発音】
éparpiller
エパルピィエ

【品詞】
動詞

【意味】
散らす、散乱させる


2012-03-05

上級仏単語: chahuter


【発音】
chahuter
シャユテ

【品詞】
動詞

【意味】
大騒ぎする; をやじる


2012-03-04

愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)


[フランス語中級]

La sottise, l'erreur, le péché, la lésine,
Occupent nos esprits et travaillent nos corps,
Et nous alimentons nos aimables remords,
Comme les mendiants nourrissent leur vermine.
[Baudelaire, "Les Fleurs du mal", 1861]

ボードレールというフランスの詩人の『悪の華(はな)』という詩集の冒頭 Au lecteur の書き出し。 前回の続きです。

今回は後半の2行を見てみます。


【発音】

Et nous alimentons
エ ヌザリモントン

nos aimables remords,
ノゼマーブル レモール

Comme les mendiants nourrissent
コム レ モンディアン ヌリッス

leur vermine.
レール ヴェルミヌ


【語句】

alimenter (アリモンテ) : (動詞) に食べ物を与える、を養う
aimable : (形容詞) 愛想がいい、感じがいい
remords : (男性名詞) [単数形でも -s がつく] 悔恨、良心の呵責
comme : (接続詞) ~と(同じ)ように
mendiant : (名詞) 乞食。女性は mendiante (マンディアント)。
nourrir (ヌリール) : (動詞) に食べ物を与える、を養う
leur : (所有形容詞) 彼らの~、それらの~。 
vermine : (女性名詞) [ノミ・シラミなどの] 害虫。


【意味】

Et nous alimentons
そして私たちは養っている

nos aimables remords,
私たちの愛すべき悔恨を

Comme les mendiants nourrissent
乞食どもが栄養を与えているように

leur vermine.
彼らのノミ・シラミに。


【訳】

そしてわれらは自らの愛すべき悔恨たちを養っている、
ちょうど乞食どもが自分のノミ・シラミを育てるように。


【補足】

* vermine (害虫) は「集合名詞」 なので単数形で使われています。ですので、一匹だけしかいないというわけじゃありません。

* comme のあとは [主語+動詞] のセットが来ています。 主語は les mendiants、動詞は nourrissent です。

* nourrir は choisir、réussir、finir などと同じ活用です。 いわゆる 「第2群規則動詞」 です。 choisir の直説法現在形の活用は 「ああ、俺は苦しいんだ。」 を見てください。

(nourrir の直説法現在形の活用)

je nourris (ジュ ヌリ)
tu nourris (テュ ヌリ)
il nourrit (イル ヌリ)
nous nourrissons (ヌ ヌリソン)
vous nourrissez (ヴ ヌリセ)
ils nourrissent (イル ヌリッス)


【関連情報】

* 前半の解説 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(1)」 をご覧ください。

(読み上げ)
MP3ファイル ( 約2.7MB / Litterature audio.com

* MP3ファイル(音声)ファイルへの直接のリンクですので、クリックするとたいていはそのまま再生されます。
* ファイルを保存する場合は、リンクを右クリックしてファイルを保存するメニューを選んでください。
* 約2分56秒のファイルです。該当箇所は冒頭1秒あたりです。
* Au Lecteur をふくむ 『悪の華』 のMP3ファイルは、BAUDELAIRE, Charles – Les Fleurs du mal (Litterature audio.com) にあります。



どこへ行くの?

[フランス語初級]

Jan, où vas-tu?

[ Alphonse Daudet, "L'Arlésienne", 1866 ]

ゴッホ 「アルルの女」 / Van Gogh - L'Arlésienne
(ゴッホ 「アルルの女」 / Van Gogh - L'Arlésienne [Wikipediaより])


【発音】

Jan, où vas-tu?
ジャン ウ ヴァチュ

Alphonse Daudet
アルフォンス ドーデ

L'Arlésienne
ラルレズィエンヌ


【語句】

Jan : 人名
où : (疑問副詞) どこへ、どこに、どこで
vas : 動詞 aller の直説法現在二人称単数形、つまり tu に対する形

Alphonse Daudet : アルフォンス・ドーデ、1840-1897、フランスの小説家
Arlésienne (アルレズィエンヌ) : Arlésien (アルレズィアン)「アルルの人」 の女性形。「アルルの女性」。アルル( Arles ) はフランス南部の町。

L'Arlésienne : ドーデの短編。 Lettres De Mon Moulin (レットゥル ドゥ モン ムーラン / 風車小屋だより) という短編小説集 (1869) に入っています。 この作品は戯曲化され、そのときにジョルジュ・ビゼー (1838-1875) が作曲を担当しました。


【文法】

* aller の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。

je vais (ジュ ヴェ)
tu vas (テュ ヴァ)
il va (イル ヴァ)
nous allons (ヌザロン)
vous allez (ヴザレ)
ils vont (イルヴォン)


【意味】

「ジャン、どこへ行くの?」


【関連情報】

(翻訳)
→ 『アルルの女』 ( 桜田佐 訳 / 岩波文庫 )

(原文)
→ L'Arlésienne (Wikisource)

(読み上げ)
MP3フィアル ( 約9.7MB / Litterature audio.com

* MP3ファイル(音声)ファイルへの直接のリンクですので、クリックするとたいていはそのまま再生されます。

* ファイルを保存する場合は、リンクを右クリックしてファイルを保存するメニューを選んでください。

* 約10分38秒のファイルですが、該当箇所は 9分1秒あたりです。

* L'Arlésienne をふくむ 『風車小屋だより』 の各短編のMP3ファイルは、Lettres De Mon Moulin (Litterature audio.com) にあります。


(音楽)
→ 「アルルの女」 (ビゼー 作 / ウィキペディア)


2012-03-02

その状況は長く続いた

[フランス語初級]

Cette situation se prolongea.
[Benjamin Constant, "Adolphe" ]

【発音】
Cette situation se prolongea.
セット シチュアシオン ス プロロンジャ


Benjamin Constant
バンジャマン コンスタン

Adolphe
アドルフ (「フ」は f (エフ)の「フ」と同じ発音)


【語句】
cette : 指示形容詞 ce (この、あの、その)の女性形。次の situation が女性名詞なので。
situation : (女性名詞) 状況、情勢
prolonger [プロロンジェ] : (動詞) を延ばす、延長する
se prolonger : (代名動詞) 延長される、長引く

Benjamin Constant : 1767-1830。フランスの思想家、政治家、小説家
Adolphe : コンスタンの小説、1816年


【文法】
* prolongea は 直説法単純過去形になっています。

* prolonger という動詞は manger と同じ活用をする。

確認してみましょう。

[prolonger の直説法単純過去形の活用]
je prolongeai [プロロンジェ]
tu prolongeas [プロロンジャ]
il prolongea [プロロンジャ]
nous prolongeâmes [プロロンジャーム]
vous prolongeâtes  [プロロンジャート]
ils prolongèrent [プロロンジェール]


[manger の直説法単純過去形の活用]
je mangeai [モンジェ]
tu mangeas [モンジャ]
il mangea [モンジャ]
nous mangeâmes [モンジャーム]
vous mangeâtes [モンジャート]
ils mangèrent [モンジェール]

【訳】
「この状況は長引いた。」

【関連情報】
(翻訳)
→ 『アドルフ』  (新庄嘉章 訳 / 新潮文庫)
→ 『アドルフ』 (大塚幸男 訳 / 岩波文庫)

(原文)
原文(目次) (Wikisource)
当該箇所の原文の前後 (Wikisource)

(映画)
→ 「 イザベル・アジャーニの惑い (2002) ADOLPHE