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2012-03-13

ナンビクワラの人たちは(1)


Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

[ Claude Lévi-Strauss, "Tristes tropiques", 1955 ]


クロード・レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』 より。
きょうは、この文章の前半を見てみます。


【発音】

Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

avec le jour, 
アヴェク ル ジュール

raniment le feu,
ラニーム ル フゥ

se réchauffent tant bien que mal
ス レショッフ タン ビヤン ク マル

du froid de la nuit,
デュ フロワ ドゥ ラ ニュイ


【語句】

◇ Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

Nambikwara : 「ナンビクワラ族」。ブラジルのアマゾン奥地に住む人々。
les Nambikwara : 「ナンビクワラ族の人たち」 
se réveiller (ス レヴェイェ): (代名動詞)[眠りから]目覚める

→ 「ナンビクワラの人たちは目覚める」


◇ avec le jour,
アヴェク ル ジュール

jour : (男性名詞) 一日、日中、陽の光
se réveiller avec le jour : 日の光とともに目覚める

→ 「陽の光とともに」


◇ raniment le feu,

ranimer : 生気をかきたてる、活気づける
feu : (男性名詞) 火、暖炉、こんろ
ranimer le feu : 火をかきたてる

→ 「火をかきたてる」


◇ se réchauffent tant bien que mal

réchauffer : 温め直す
se réchauffer : (代名動詞) 体を暖める
tant bien que mal : どうにかこうにか、やっと、なんとか

→ 「どうにかこうにか体を暖める」


◇ du froid de la nuit,

froid : (男性名詞) 寒さ、冷たさ。 (形容詞) 寒い、冷たい。
nuit : (女性名詞) 夜

* du froid の de は、ここでは「寒さから(体を暖める)」の「から」。

→ 「夜の寒さから」


◇ Claude Lévi-Strauss : クロード・レヴィ=ストロース、1908-2009。フランスの人類学者。

◇ Tristes tropiques

triste : (形容詞) 悲しい
tropique : (男性名詞) 回帰線。[複数形で] 熱帯地方
Tristes tropiques : 「悲しき熱帯」。 レヴィ=ストロースの初期の作品。


【意味】

Les Nambikwara se réveillent avec le jour,
ナンビクワラの人たちは日の光とともに目覚め

raniment le feu,
火をかきたて

se réchauffent tant bien que mal
なんとか体を暖める

du froid de la nuit
夜の寒さから


【訳】

ナンビクワラの人たちは、日の出とともに起きて、残り火をかきたて、夜の冷えからなんとか体を暖める。


【補足】

* ranimer は re + animer から。re は「再び」、animer は「活気づける」。

* réchauffer も re + chauffer から。 chauffer は「温める、暖める」。

* se réveiller や se réchauffer は、いわゆる「代名動詞」。

* réveiller の直説法現在形の活用を確認してみましょう。aimer や parler などとおなじ 「第一群規則活用動詞」ですね。

je réveille (ジュ レヴェイユ)
tu réveilles (テュ レヴェイユ)
il réveille (イル レヴェイユ)
nous réveillons (ヌ レヴェイヨン)
vous réveillez (ヴ レヴェイェ)
ils réveillent (イル レヴェイユ)



* レヴィ=ストロースは、なんと100歳すぎまで生きてました!

* レヴィ=ストロースという姓は、ジーパンのリーバイ・ストラウス(Levi Strauss) と(ほぼ) 同じ綴り。 橋爪大三郎さんの 『はじめての構造主義』(講談社現代新書) にこのネタが載っていたような記憶があります。

→ 追記(2012/3/25): 本棚の本を調べてみました。 『はじめての構造主義』の冒頭に出てました。

「そんなことを考えながら、ある日ぶらぶら、渋谷の道玄坂を歩いていきますと ― なんと、私の知らぬまに、はやばやとでっかい広告の看板まで出ているではないか。 『 LEVI STRAUSS 』 こりゃ不思議だ。どうしてこんなところに、レヴィ=ストロースの広告が出ているんだろ。そうか、ボクの知らないうちに、世の中は意外に進んでいるのかもしれないな。」 ( 『はじめての構造主義』 講談社現代新書、1988、12ページより )