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2013-05-01

他人を評価するより自分を評価することのほうが

Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.

[Antoine de Saint-Exupéry, "Le Petit Prince"]


アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ  『星の王子さま』 から。

今回は 「比較」 の表現と、「非人称構文」 が出てきます。




   ※ Le Petit Prince de Saint Exupéry


■ 発音

Il est
イレ

bien plus difficile
ビャン プリュ ディフィシィル

de se juger soi-même
ドゥ ス ジュジェ スワメーム

que de juger autrui.
ク ドゥ ジュジェ オトゥリュィ

Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ ドゥ サン テグジュペリ

Le Petit Prince
ル プティ プランス


■ 語句

bien : ここでは次の plus difficile の強調。「かなり」「ずっと」
plus 〜 que ... : 比較の表現。「... より 〜 だ」
juger : 動詞。「を裁く」「判断する、評価する」

se juger : 「裁かれる」「自分を評価する」
soi-même : 代名詞。soi の強勢形。
se juger soi-même : 「自分自身を評価する」

autrui : 代名詞。「他人」
juger autrui : 「他人を評価する」

Antoine de Saint-Exupéry : アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。 フランスの作家。 1900-1944。
Le Petit Prince : サン=テグジュペリの小説。 日本語訳題名は 『星の王子さま』 など。


■ 文の構成: 非人称構文

この文をもうちょっとわかりやすい単純な形にしてみます。

Il est difficile de se juger soi-même.
(それはむずしい / 自分自身を評価することは)

これは Il est ~ de ... という構文で、「...するのは~だ」 となります。

Il est ~ de ... の 「...」 には動詞の原形(不定詞) がきます。
また、主語の Il はいわゆる 「非人称主語」 とか 「形式主語」 と呼ばれるもので、この Il 自体は意味(内容)をもっていません。

" Il est difficile " だけをみると 「(それは) むずかしい 」 となります。
この場合に 「むずかしい」 とされている 「 Il (それ) 」 の中身は何か?

その中身が、「 de ... 」 の部分になります。

Il est difficile de se juger soi-même.
(自分自身を評価することはむずかしい)

つまり、Il は de以下の 「自分自身を評価すること」 を受けている (指している) わけです。

ですので、この場合の 「 de ... 」 の箇所を 「意味上の主語」 と言ったりもします

* この形式主語については 「 フランス語の非人称のil - 北鎌フランス語講座 - 文法編 」 で詳しく解説されています。


■ 文の構成: 比較

この文中の 「 plus 〜 que ... 」 は、比較の表現で、「... より 〜 だ」 となります。

Il est plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
(自分自身を評価することは、他人を評価するすることよりむずかしい)


■  強調の bien

plus の前についている bien はplus を強調しています。「ずっと」って感じです。


■ 分かち訳

Il (それは) bien plus difficile よりずっとむずかしい  est です de se juger soi-même 自分自身を評価するのは  que de juger autrui 他人を評価するのより .


■ 逐語訳

(Il それは=) de se juger soi-même 自分自身を評価するのは  que de juger autrui 他人を評価するのより
bien plus difficile よりずっとむずかしい  est です


■ 訳文

Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.

自分自身を評価するのは、他人を評価するよりずっとむずかしい。


■ 関連情報

→ 「あのときの王子くん」 (大久保 ゆう 訳 / 青空文庫)