[Antoine de Saint-Exupéry, "Le Petit Prince"]
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 から。
今回は 「比較」 の表現と、「非人称構文」 が出てきます。
※ Le Petit Prince de Saint Exupéry
■ 発音
Il est
イレ
bien plus difficile
ビャン プリュ ディフィシィル
de se juger soi-même
ドゥ ス ジュジェ スワメーム
que de juger autrui.
ク ドゥ ジュジェ オトゥリュィ
Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ ドゥ サン テグジュペリ
Le Petit Prince
ル プティ プランス
■ 語句
bien : ここでは次の plus difficile の強調。「かなり」「ずっと」
plus 〜 que ... : 比較の表現。「... より 〜 だ」
juger : 動詞。「を裁く」「判断する、評価する」
se juger : 「裁かれる」「自分を評価する」
soi-même : 代名詞。soi の強勢形。
se juger soi-même : 「自分自身を評価する」
autrui : 代名詞。「他人」
juger autrui : 「他人を評価する」
Antoine de Saint-Exupéry : アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。 フランスの作家。 1900-1944。
Le Petit Prince : サン=テグジュペリの小説。 日本語訳題名は 『星の王子さま』 など。
■ 文の構成: 非人称構文
この文をもうちょっとわかりやすい単純な形にしてみます。
Il est difficile de se juger soi-même.
(それはむずしい / 自分自身を評価することは)
これは Il est ~ de ... という構文で、「...するのは~だ」 となります。
Il est ~ de ... の 「...」 には動詞の原形(不定詞) がきます。
また、主語の Il はいわゆる 「非人称主語」 とか 「形式主語」 と呼ばれるもので、この Il 自体は意味(内容)をもっていません。
" Il est difficile " だけをみると 「(それは) むずかしい 」 となります。
この場合に 「むずかしい」 とされている 「 Il (それ) 」 の中身は何か?
その中身が、「 de ... 」 の部分になります。
Il est difficile de se juger soi-même.
(自分自身を評価することはむずかしい)
つまり、Il は de以下の 「自分自身を評価すること」 を受けている (指している) わけです。
ですので、この場合の 「 de ... 」 の箇所を 「意味上の主語」 と言ったりもします
* この形式主語については 「 フランス語の非人称のil - 北鎌フランス語講座 - 文法編 」 で詳しく解説されています。
■ 文の構成: 比較
この文中の 「 plus 〜 que ... 」 は、比較の表現で、「... より 〜 だ」 となります。
Il est plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
(自分自身を評価することは、他人を評価するすることよりむずかしい)
■ 強調の bien
plus の前についている bien はplus を強調しています。「ずっと」って感じです。
■ 分かち訳
Il (それは) bien plus difficile よりずっとむずかしい est です de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより .
■ 逐語訳
(Il それは=) de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより
bien plus difficile よりずっとむずかしい est です
■ 訳文
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
自分自身を評価するのは、他人を評価するよりずっとむずかしい。
■ 関連情報
→ 「あのときの王子くん」 (大久保 ゆう 訳 / 青空文庫)