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2017-10-13

もしサンローランを愛していなかったら...。

"Si je n'avais pas aimé Saint Laurent, je ne me serais jamais lancé dans la haute couture" (Pierre Bergé)

フランスのニュース週刊誌 "Le Nouvel Observateur" (ル・ヌヴェル・オプセルヴァトゥール) の 2017.9.8 の記事から


L'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé est mort - L'Obs

記事のタイトルは、

    L'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé est mort
    ロッムダフェール エ メセーヌ ピエール ベルジェ エモール

となっています。

affaire は複数形で「商売」(女性名詞)という意味があり、homme d'affaires だと「実業家」です。

mécène は男性名詞で「芸術の庇護者・パトロン」。
homme d'affaires et mécène で「実業家で芸術の庇護者」となります。

この l'homme d'affaires et mécène はつぎの Pierre Bergé の同格( Pierre Bergé の説明)で、

    l'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé
    実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェ

となります。 ですので、

    L'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé est mort
    実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェが死んだ
         ↓
    実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェ死去

というタイトルです。

ピエール・ベルジェという人は「イヴ・サンローラン」の共同創業者です。 イヴ・サンローランはすでに2008年に他界。2014年の映画『イヴ・サンローラン』ではピエール・ベルジェ本人が出演して、サンローランについて、二人の関係について語っています。

それでは、引用箇所です。

    Si je n'avais pas aimé Saint Laurent,
    スィ ジュナヴェパ エメ サンロラン

    je ne me serais jamais lancé
    ジュヌムスレ ジャメ ランセ

    dans la haute couture
    ダン ラ オトクチュール

この文は、条件法過去を使っていますね。

条件法過去は、「過去の事実に反する仮定」を表現するときに使われます。

    ※ 条件法現在の活用については
          → 「チャンは...だろうか? その1
        を見てください。

条件法過去を使った文のパターンは、

    Si ... 直説法大過去..., ~ 条件法過去 ~.

で、「もし...だったなら、~だったろうに」みたいな感じです。

この文の場合は、

    Si je n'avais pas aimé Saint Laurent,
    もし私がサンローランを愛していなかったら

    je ne me serais jamais lancé dans la haute couture
    決して私はオートクチュールに身を投じなかっただろう

となります。

直説法大過去は、[ avoir または être の半過去形 ]  + [ 動詞の過去分詞 ]  という形です。

今回は n'avais pas aimé の部分です。

条件法過去のほうは、[ avoir または être の条件法現在 ]  + [ 動詞の過去分詞 ] です。

me serais jamais lancé が条件法過去ですね。

lancer という動詞は「投げる」という意味ですが、 se lancer と代名動詞になると「(事業・冒険などに)身を投じる」という意味があります。

代名動詞は、直説法複合過去や条件法過去などの複合形(avoirまたはêtre + 過去分詞)になるときは être を使います。

ですので今回は être の条件法現在の serais が使われています。

couture は「裁縫、仕立て」という意味(女性名詞)です。

    ※ 動詞は coudre (クードゥル)「縫う」

haute couture で「高級婦人服デザイナー」「高級婦人服仕立て業」といった意味になります。 「オートクチュール」は日本語になっていますね。


まとめると、

    Si je n'avais pas aimé Saint Laurent, je ne me serais jamais lancé dans la haute couture.

    もしサンローランを愛していなかったら、私は決してオートクチュールに身を投じたりしなかっただろう。

です。

2017-10-05

上級仏単語: azote

上級仏単語です。

azote 窒素


ひさびさのきょうは、

    azote

    アゾーット

男性名詞で、

   窒素

という意味になります。


2017-10-04

共和党の候補者、母親が死んだからとうそをつく

Un candidat LR ment sur la mort de sa mère... et perd ses soutiens

Pour justifier son retard à un rendez-vous avec des journalistes, Sébastien Ginet aurait prétexté le décès de sa mère des suites d'une longue maladie.

ニュース週刊誌 Le Point のサイトのちょっと古めのニュース(2017/5/31)からです。

まずこの記事の見出しから。

だいたいの発音の確認:

    Un candidat LR ment sur la mort de sa mère
    アンカンディダ エルエール マン スュル ラ モール ドゥ サメール

    et perd ses soutiens
    エ ペール セ スティアン

単語は、

    candidat : 候補者
    LR: Les Républicains (共和党)略した表記
    ment : mentir (嘘をつく)の直説法三人称現在
    perd  : perdre (失う)の直説法三人称現在
    soutien : 支持者(男性名詞)

となります。 ここまでで、

    Un candidat LR ment sur la mort de sa mère
    共和党の或る候補者が自分の母親の死について嘘をつく

    et perd ses soutiens
    そして 彼の支持者たちを失う

となるので、

    共和党の候補者、母親が死んだと嘘をつき、支持者を失う

と訳しておきます。


ついで、リード文です。

発音:

    Pour justifier son retard à un rendez-vous
    プールジュスティフィエ ソン ルタール ア アン ランデヴ

    avec des journalistes,
    アヴェク デ ジュルナリスト

    Sébastien Ginet aurait prétexté
    セバスチアン ギネ オレ プレテクスゥテ

    le décès de sa mère
    ル デセ ドゥ サ メール

    des suites d'une longue maladie.
    デ スュィット デュン ロング マラディ


意味をとっていきましょう、

    Pour justifier son retard
    自分の遅刻を正当化するために

justifier は「正当化する」、retard は「遅れ・遅刻」(男性名詞)。

    à un rendez-vous avec des journalistes,
    ジャーナリストたちとの会合への

ここまでで、「ジャーナリストたちとの会合への遅刻を正当化するために」。

この後に、この文の主語と動詞が来ています。

    Sébastien Ginet aurait prétexté
    セバスチァン・ギネは言い訳に使ったようだ

aurait prétexté は動詞 prétexter (を口実にする)の条件法過去形です。

条件法現在の動詞の活用については以下の記事を見て下さい。

    → チャンは...だろうか? その2

条件法過去の方は、< avoir または être の条件法現在 + 動詞の過去分詞 > という組み合わせになります。

avoir と être の条件法現在の活用は、

    j' aurais          ジョレ
    tu aurais         テュオレ
    il aurait           イロレ
    nous aurions    ヌゾリオン
    vous auriez      ヴゾリエ
    ils auraient      イルゾレ

    je serais          ジュスレ
    tu serais          テュスレ
    il serait            イルスレ
    nous serions    ヌスリオン
    vous seriez      ヴスリエ
    ils seraient      イルスレ

でした。

    ※ avoir と être のどちらと結びつくかは 直説法複合過去のときと同じです。
        これについては過去の記事「 どこに行ってたの? 」を見てください。

ギネさんは、何を口実に使ったか...。

    Sébastien Ginet aurait pretexté le décès de sa mère
    セバスチアン・ギネは自分の母親の死去を言い訳に使ったようだ

le décès も la mort も「死」ですが、décès は「死亡」「死去」というかんじで mort よりもちょっと硬い言葉です。

この文で la mort ではなく le décès を使っているのは、文を堅苦しく見せたいというよりも、見出しの文ですでに la mort を使っているので同じ単語を続けて使わないようにするためです。

文章術として、同じ単語をなるべく続けて使わないほうがいいよ、っていうのがあります。

ここでは条件法は「伝聞」「推定」を表現しています。

「母親の死を口実に使った」とはっきり断定できる段階ではないので、「どうもそうらしい」という感じを出しています。

最後に、des suites d'une longue maladie と続きます。

    Sébastien Ginet aurait pretexté le décès de sa mère des suites d'une longue maladie.

   セバスチアン・ギネは自分の母親の、長い病気の後の死去を言い訳に使ったようだ

全体で、

    Pour justifier son retard à un rendez-vous avec des journalistes, Sébastien Ginet aurait prétexté le décès de sa mère des suites d'une longue maladie.

    ジャーナリストたちとの会合への遅刻を正当化するために、セバスチアン・ギネは自分の母親の、長い病気の後の死去を言い訳に使ったようだ。
 
   ↓

    ジャーナリストとの会合へ遅刻したことを正当化しようと、セバスチアン・ギネは自分の母親が長い闘病の末に亡くなったのだと言い訳したらしい。