グローバルメニュー

2009-12-30

正門は開いたままだった

Le portail était resté ouvert.
(Daudet, "L'Arlésienne")

[フランス語初級]

アルフォンス・ドーデ( Alphonse Daudet, 1840-1897 )の「アルルの女」より。

作品集『風車小屋だより』("Lettres de Mon Moulin")に収録。

ゴッホ 「アルルの女」 / Van Gogh - L'Arlésienne
(ゴッホ 「アルルの女」 / Van Gogh - L'Arlésienne [Wikipediaより])


【発音】
Le portail était resté ouvert.
ル ポルターユ エテ レステ ウベール.

Daudet, "L'Arlésienne"
ドーデ 「ラルレズィエンヌ」

【語句】
portail : (教会・城などの)正面玄関, 扉口
était : êtreの半過去形
resté : resterの過去分詞
rester : 「~な(状態の)ままでいる」。複合過去, 大過去などの複合形になるときの助動詞はêtre。
était resté : resterの大過去形。「(或る過去の時点で)~な状態のままでいた。」
ouvert : [形容詞] 「開かれた」「開いている」。ouvrir(「開く」「開ける」)の過去分詞から。
Arlésien : [アルレズィアン] 「アルルの人」。女性形は Arlésienne [アルレズィエンヌ]。

【試訳】
正面玄関は開けっ放しになっていた。
正門は開いたままだった。

【翻訳】
『風車小屋だより』(岩波文庫)
『風車小屋だより』(大学書林語学文庫, 1050円)

2009-12-24

下唇を上唇より前に伸ばして、彼女はちょっと不満な顔をした。

Allongeant sa lèvre inférieure au delà de la lèvre supérieure, elle fit une petite moue.

(Hugo, "Notre Dame de Paris", 1832)

[フランス語中級]

ヴィクトル・ユゴー (Vitor Hugo) の 『パリのノートルダム』 より。




ユゴー直筆の草稿1ページ目(Wikipediaより)


【発音】
Allongeant sa lèvre inférieure
アロンジョン サ レーヴル アンフェリウール

au delà de la lèvre supérieure,
オドゥラ ドゥ ラ レーヴル シュペリウール

elle fit une petite moue.
エル フィ ユヌ プティット ム

【語句】
allongeant : [アロンジョン] 動詞 allonger の現在分詞。"allongant" という綴りにははならない。"allongant" という綴りだと [アロンガン] という発音になってしまう。

allonger : [アロンジェ](動詞) …を伸ばす
lèvre : [レーヴル]
inférieure : [アンフェリウール] 下の, 低い
delà : [ドゥラ] m. 向こう, あちら
au delà de : [オドゥラドゥ] …を超えて, の向こうに
supérieure : [シュペリウール] 上の, 上部の
fit : [フィ] faire の直説法単純過去、三人称単数形。
moue : [ム] f. 仏頂面, 口をとがらすこと

【直訳】
Allongeant sa lèvre inférieure
彼女の(自分の)下唇を伸ばして

au delà de la lèvre supérieure,
上唇より向こうに(上唇を超えたところに)

elle fit une petite moue.
彼女は小さな仏頂面をした。

【試訳】
下唇を上唇より前に伸ばして、彼女はちょっと不満な顔をした。
下唇を突き出して、彼女はちょっとふくれ面をした。

【翻訳】
『ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)』(潮出版社, 5670円)


2009-12-19

俺の眼から流れる涙が見えるか

Voyez les pleurs qui coulent de mes yeux.

( Chateaubriand [1768-1848], "René" )

【発音】
Voyez les pleurs
ヴォワイエ レ プルール

qui coulent de mes yeux.
キ クッル ドゥ メズュ

Chateaubriand, "René"
シャトブリアン ルネ

【語句】
voyez : [ヴォワイエ] voir 「見る,見える」の命令形。「見なさい」「見よ」。
pleur : [プルール] m. [複数で]涙
pleurer : [プルレ] 泣く
qui : [キ(クィという発音にはなりません)] 関係代名詞。quiの後には動詞が来る。つまりquiは「主格」。
couler : 流れる
mes : 「私の」(所有形容詞)の複数形
yeux : [ウ] 眼(oeil)の複数形。
oeil : [ウーユ] m.眼
les yeux : [レズュ] yeux [ウ] は oeil の複数形。発音注意。

【直訳】
Voyez / les pleurs / qui coulent / de mes yeux.
見よ / 涙を / (それは)流れている / 私の(両)眼から。

【試訳】
私の眼から流れ出ている涙を見てください。
わが眼(まなこ)から流れ落ちる涙を見よ。

【翻訳】
『シャトーブリアン ルネ』 (大学書林語学文庫) 
『アタラ ルネ』(岩波文庫)

シャトーブリアンについては

2009-12-17

辞書は夢想のための装置だ

[フランス語初級]

Le dictionnaire est une machine à rêver. 

(Roland Barthes)


【語句と表現】

dictionnaire : [ディクショネール] (男性名詞) 辞書

machine : [マシーヌ] (女性名詞) 機械

rêver : [レヴェ](動詞) 夢を見る


【訳】

辞書は夢見るための機械だ。

辞書は夢想装置だ。



2009-12-04

ブルドン大通りには人っ子一人いなかった

[フランス語中級]

Comme il faisait une chaleur de 33 degrés, le boulevard Bourdon se trouvait absolument désert.

( Flaubert, "Bouvard et Pécuchet", 1881)

フロベールという作家の『ブヴァールとペキュシェ』という小説の出だしです。


【語句と表現】

[ Comme il faisait une chaleur de 33 degrés ]

comme S+V : [コム] ~は…なので(理由)
faisait : [フゼ (発音注意)] faireの直説法半過去形
il fait ~ : [イルフェ] 非人称構文。天候・時刻などを表す。
chaleur : [シャルール] f. 暑さ
33 : trente-trois [トゥラントゥ トゥロワ]
degre# : [ドゥグレ] m. (温度,経度などの)度


[ le boulevard Bourdon se trouvait absolument désert ]

boulevard : [ブルヴァール] 大通り
Bourdon : [ブルドン] (通りの名)
trouvait : [トゥルヴェ] trouverの直説法半過去形
se trouver : [ス トゥルヴェ] (或る状態に)いる,なる
absolument : [アプソリュモン] 絶対に,まさしく
absolu : [アプソリュ] 絶対的な
désert : [デゼール] 人気(ひとけ)のない,無人の / m.砂漠


【試訳】

「33度の暑さだったので、ブルドン大通りは完全に人気(ひとけ)がなかった。」
「33度という暑さのせいで、ブルドン大通りには人っ子一人いなかった。」


 【翻訳】

『ブヴァールとペキュシェ (上) 』 岩波文庫 ( → amazon )


2009-12-02

なぜ自然の作品ははこんなに完璧なのか

Pourquoi les ouvrages de la nature sont-ils si parfaits?

( Buffon, "DISCOURS SUR LE STYLE", 1753 )

【発音】
ぷるこわ れずヴらーじゅ どぅ ら なちゅーる そんてぃる すぃ ぱるふぇ?

【語句と表現】
pourquoi : [プルクォワ] なぜ(~なのか)
ouvrage : [ウヴラージュ] m. 仕事, 作品, 著作; 仕業, 所業
nature : [ナチュール] f. 自然
les ouvrages de la nature : 自然の作品, 自然の作り出したもの
si : [スィ] とても, 非常に; そんなに, これほど
parfait : [パルフェ] 完全な, 完璧な

(* [ m. ] は男性名詞、[ f. ] は女性名詞 )

【逐語訳】
なぜ…なのか/自然の作品は/(それらは)そんなに完全(なのか)?

【訳例】
自然の作り出すものは何ゆえかくも完全なのか?

【関連リンク】
発見記録: 「文体は人間そのものです」 ビュフォンの文体論 (