グローバルメニュー

2014-02-22

不幸が俺の神だった

[フランス語初級]

Le malheur  a été mon Dieu.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


今回もアルチュール・ランボーの『地獄の季節』から。

この文は A = B型のシンプルな文ですね。


とりあえず発音を確認しておきましょう。

    Le malheur    ル マルール
    a été                ア エテ
    mon Dieu.      モンディゥ


では、単語の意味を確認しながら文を見ていきましょう。

malheur は男性名詞(定冠詞の le がついていることからもわかります)で、「不幸、災い」といった意味。

a は動詞 avoir が活用したものですね( avoir の直説法現在、三人称単数形 )。

次の été は「夏」でしょうか。

ではなくて、ここでは動詞 être の過去分詞です。

つまり [ avoir + 過去分詞 ] で複合過去形になっています。

現在形にすると 、 a été が est になるので、

    Le malheur est mon Dieu.

となります。


mon は文法用語でいうと 「所有形容詞」で、「私の」 という意味。

Dieu は「神」です。

直前の所有形容詞の mon は男性名詞の単数形につくときの形( 女性名詞の単数形につくときは ma [マ] )なので、Dieu (神) は男性名詞です。

さきほどの現在形にした文、

    Le malheur est mon Dieu.

は、「不幸は私の神である」 ということになります。


で、もとの文は、

    Le malheur  a été mon Dieu.

という過去形 (複合過去形) の文なので、 意味は、

    不幸は私の神でした。

みたいになりますが、「地獄の季節」 は詩なので、それっぽく訳して、

    不幸は俺の神だった。

でどうでしょう。


◆ 所有形容詞

英語でいうと my, your, his, her, our, their などに該当するのが、 mon, ton, son, notre, votre, leur  などの所有形容詞です。

なぜ 「所有形容詞」 というかといえば、「私の」 とか 「あなたの」 とか、「彼の」 とかの意味なので、つまり、「だれだれの」 ということなので、「所有」 の概念・意味を持っていることと、

「だれだれの」 のあとには、そのだれかの 「もの」 となる名詞が付きます。 名詞を修飾するのは 「形容詞」 なので、 「だれだれの」 を表す mon, ton, son, notre, votre は 「所有」 の意味を持った 「形容詞」 ということになります。


[練習]

* フランス語に直せ。

    「不幸はあいつの(彼の)神だった。」

    → Le malheur  a été son Dieu.


※ ランボーの 「地獄の季節」 の翻訳についての情報は、投稿 「俺は逃げた。」 をご覧ください。

※ 原文は、Wikisource にあります。