Je me suis enfui.
[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]
これまでにも数回出てきた、アルチュール・ランボー 『地獄の一季節』 からです。
まずは、だいたいの発音です。
Je me suis enfui.
ジュムスュィ ザンフュィ
suis の最後の -s と、次の動詞 enfui の en- をリエゾンさせて 「ザンフュィ」 と読みましょう。
その、me suis enfui の箇所ですが、ここは代名動詞の複合過去形になっています。
me suis enfui の不定詞 (原形) は s'enfuir (サンフュィール) で、「逃げる、逃げ去る」 という意味です。
この s'enfuir という代名動詞から、人称代名詞 se を取り去ると enfuir が残りますが、enfuir 単体で利用されることはありません。
enfuir はいつも代名動詞 s'enfuir としてしか使われません。
こういう代名動詞を 「本質的代名動詞」 と言ったりします。
他には se souvenir (「 [de を] 思い出す 」)なども本質的代名動詞です。
* 代名動詞の分類はふつう、「再帰的」 「相互的」 「受動的」 「本質的」 の四つあります。
さて、代名動詞の複合過去形は助動詞に avoir ではなく être を使います。
なので、
× Je m'ai enfui.
ではなく、
○ Je me suis enfui.
となります。
さらに、本質的代名動詞の複合過去形の過去分詞 (この場合 enfui ) は、主語に性数一致します。
つまり、主語が複数なら -s が、主語が女性名詞なら -e がつきます。
この文の場合、もし主語の Je が女性なら、
Je me suis enfuie.
となるわけです。
「彼らは逃げた」 なら、
Ils sont enfuis. (イルソン タンフュィ)
「彼女たちは逃げた」 なら
Elles sont enfuies. (エルソン タンフュィ)
ですね。
代名動詞の複合過去形については、「奇妙な出来事がオランで起こった」 という記事でも触れていますので参考にしてください。
他にも、Webで 「フランス語 代名動詞 複合過去」 とかで検索すればいろんな人がたくさん解説してくれています!
◇ 訳例
Je me suis enfui.
俺は逃げた。
◇ 翻訳
"Une saison en enfer" は、『地獄の季節』 という題名でいくつかの翻訳が出ています。
とくに 小林秀雄という人の訳 (岩波文庫) が有名です。
また、ランボーのフランス語原文の息づかいに忠実に、注釈付きで訳したものとして、( あのクイズダービーの迷回答で有名な ) 篠沢秀夫さんの 『地獄での一季節』 (大修館書店 / 3,675円) があります。
"Une saison en enfer" は、『地獄の季節』 という題名でいくつかの翻訳が出ています。
とくに 小林秀雄という人の訳 (岩波文庫) が有名です。
また、ランボーのフランス語原文の息づかいに忠実に、注釈付きで訳したものとして、( あのクイズダービーの迷回答で有名な ) 篠沢秀夫さんの 『地獄での一季節』 (大修館書店 / 3,675円) があります。