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2014-02-16

俺は逃げた。

[フランス語初級]

Je me suis enfui.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


これまでにも数回出てきた、アルチュール・ランボー 『地獄の一季節』 からです。

まずは、だいたいの発音です。

   Je me suis enfui.
   ジュムスュィ ザンフュィ

suis の最後の -s と、次の動詞 enfui の en- をリエゾンさせて  「ザンフュィ」 と読みましょう。

その、me suis enfui の箇所ですが、ここは代名動詞の複合過去形になっています。

me suis enfui の不定詞 (原形) は s'enfuir (サンフュィール) で、「逃げる、逃げ去る」 という意味です。

この s'enfuir という代名動詞から、人称代名詞 se を取り去ると enfuir が残りますが、enfuir 単体で利用されることはありません。

enfuir はいつも代名動詞 s'enfuir としてしか使われません。

こういう代名動詞を 「本質的代名動詞」 と言ったりします。

他には se souvenir (「 [de を] 思い出す 」)なども本質的代名動詞です。

* 代名動詞の分類はふつう、「再帰的」 「相互的」 「受動的」 「本質的」 の四つあります。


さて、代名動詞の複合過去形は助動詞に avoir ではなく être を使います。

なので、

   × Je m'ai enfui. 

ではなく、

   ○ Je me suis enfui.

となります。

さらに、本質的代名動詞の複合過去形の過去分詞 (この場合 enfui ) は、主語に性数一致します。

つまり、主語が複数なら -s が、主語が女性名詞なら -e がつきます。

この文の場合、もし主語の Je が女性なら、

   Je me suis enfuie.

となるわけです。

「彼らは逃げた」 なら、

   Ils sont enfuis. (イルソン タンフュィ)

「彼女たちは逃げた」 なら

   Elles sont enfuies. (エルソン タンフュィ

ですね。


代名動詞の複合過去形については、「奇妙な出来事がオランで起こった」 という記事でも触れていますので参考にしてください。

他にも、Webで 「フランス語 代名動詞 複合過去」 とかで検索すればいろんな人がたくさん解説してくれています! 


◇ 訳例

Je me suis enfui.

俺は逃げた。


◇ 翻訳

"Une saison en enfer" は、『地獄の季節』 という題名でいくつかの翻訳が出ています。

とくに 小林秀雄という人の訳 (岩波文庫) が有名です。




また、ランボーのフランス語原文の息づかいに忠実に、注釈付きで訳したものとして、( あのクイズダービーの迷回答で有名な ) 篠沢秀夫さんの 地獄での一季節』 (大修館書店 / 3,675円) があります。