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2014-09-30

1844年10月の午後3時ころ 1

[フランス語中級]

Vers trois heures de l'après-midi, dans le mois d'octobre de l'année 1844, un homme âgé d'une soixantaine d'années, mais à qui tout le monde eût donné plus que cet âge, allait le long du boulevard des Italiens, le nez à la piste, les lèvres papelardes, comme un négociant qui vient de conclure une excellente affaire, ou comme un garçon content de lui-même au sortir d'un boudoir. ( Balzac, "Le cousin Pons")




バルザックという人の『いとこポンス』という小説の最初の文です。

長いですが、始めの方から見ていきましょう。

Vers trois heures
ヴェール トロワゼール

三時頃

vers はいくつか意味を持っていますが、ここでは時間で「〜頃」の意味です。

Vers trois heures de l'après-midi

ヴェール トロワゼール ドゥ ラプレミディ

午後の三時頃



つぎは、

dans le mois d'octobre

ドン ル モワ ドクトーブル

で、

10月に

です。



さらに、

dans le mois d'octobre de l'année 1844

ドン ル モワ ドクトーブル ドゥ ラネ ミルユィッソン カラントゥカトゥル

なので、

1844年の10月に

となります。



ここまでで

Vers trois heures de l'après-midi, dans le mois d'octobre de l'année 1844

1844年10月の午後3時ごろ

です。



さて、1844年10月の午後3時ころに、何が起きるのでしょうか。



続きを見ましょう。

un homme âgé d'une soixantaine d'années

アンノッム アジェ デュン スワソンテーヌ ダネ

âgé de ... で「…歳の」、 soixantaine は「約60」(女性名詞)です。

ですので、

60歳くらいの男(が)

となります。



この un homme が文の主語なのでしょうか。



これから、もう少し見ていきましょう。


上級仏単語: chantage

本日は、

    chantage

発音は、

    シャンタージュ

品詞は、

    男性名詞


-age で終わるのはたいてい男性名詞です。


意味は、

     ゆすり、おどし、恐喝

です。


きのうの、

    carnage

とちょっと音の感じが似てるような気がします...。


それから意味も両方とも良い意味じゃありません。




2014-09-29

上級仏単語: carnage

本日の上級なフランス語の単語は、

    carnage

    カルナージュ

です。


意味は、

    虐殺、殺戮

で、男性名詞です。


中東の過激派のニュースなどで目にする単語です。


2014-09-28

彼女の秘密を知ろうとしたが

(フランス語初級)

今日の例文:

En vain je cherchais à découvrir son secret.


François-René de Chateaubriand (1768 - 1848), "René"


発音の確認から。

En vain
オンヴァン

je cherchais à découvrir
ジュ シェルシェ ア デクヴリール

son secret
ソンスクレ

François-René de Chateaubriand

フランソワ ルネ ドゥ シャトブリアン


シャトーブリアンという19世紀初頭の作家の 『ルネ』 という小説からの引用です。


En vain
むだに

vain は「むなしい」「むだな」という意味の形容詞ですが、前置詞の en と組み合わせて en vain で「むなしく」「むだに」という意味になります。


En vain je cherchais

むだに私は探していた

→ 探していたがむだだった

cherchais は chercher の半過去形。

「 むだに探していた 」といのは、つまり「探してるけど無駄」「見つかってない」ということになります。


En vain je cherchais à découvrir
むだに私は見いだそうとしていた

[chercher à 不定詞]で、「〜しようとする、〜しようと試みる」。

découvrir は「見いだす」「発見する」。


En vain je cherchais à découvrir son secret.

むだに / 私は見いだそうとしていた / 彼女の秘密を

→ 私は彼女の秘密を明らかにしようとしたがむだだった。

→ 私は彼女が隠していることをどうにかして知りたいと思っていたが、それは虚しい試みだった。


son secret は「彼の秘密」「彼女の秘密」あるいは「その秘密」などのいずれにもとれますが、この文の文脈からすると「彼女の秘密」となります。


◆ 翻訳


『ルネ』 の翻訳は書店では手に入らないようです。 図書館で探しましょう。

大学書林という出版社から抜粋の対訳版で 『ルネ が出ていますが、今回の例文が掲載されているかは未確認です...。




2014-09-23

二人の目が出会った (3)

Leurs yeux se rencontrèrent.

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト


Flaubert の "L'Education Sentimentale" の、帽子が飛ぶ場面、三回目。

一回目二回目


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.


風に飛ばされた帽子を捕えてくれたフレデリックに婦人がお礼を言った後です。


Leurs yeux

レールズュ

se rencontrèrent

ス ロンコントレール


この文の主語は、

Leurs yeux

彼らの目は

で、動詞は

se rencontrèrent

です。


se rencontrer は rencontrer の代名動詞。

rencontrer は「〜に出会う、ぶつかる」というような意味。

代名動詞の用法は四つありました。

1. 再帰的用法
「自分を〜する」

2. 受動的用法
「〜される」

3. 相互的用法
「互いに〜する」

4. 本質的用法
代名動詞としてのみ使われる動詞


rencontrer の場合は 4 ではないので、1 から 3 までの用法で意味を考えると、

1. 再帰的用法
「彼らの目は自らに出会った」

2. 受動的用法
「彼らの目は出会われた」

3. 相互的用法
「彼らの目はお互いに出会った」

となり、ここでは 3の相互的用法であることがわかります。


確認のため辞書を見てみたら、『クラウン仏和辞典』の、se rencontrer の「ぶつかる, 衝突する; 合流する」という意味の例文に、

Leurs yeux se rencontrèrent.

という今回の文と同じ文があり、意味は、

彼らの目が合った.

となっています。


se rencontrèrent の時制ですが、直説法単純過去です。

直説法現在形だと、

Leurs yeux se rencontrent.

ですね。

rencontrer 単体で単純過去に活用させてみましょう。

je rencontrai
tu rencontras
il rencontra
nous rencontrâmes
vous rencontrâtes
ils rencontrèrent

ジュ ロンコントレ
テュ ロンコントラ
イル ロンコントラ
ヌ ロンコントラーム
ヴ ロンコントラート
イル ロンコントレール

となります。


これで今回の例文が終わりました。

全体を確認しておきましょう。

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.

フレデリックは跳び上がって帽子を捕まえた。
彼女は言った。「あら、ご親切にありがとう。」
二人の視線が出会った。


2014-09-12

二人の目が出会った (2)

Elle lui dit :  -- " Je vous remercie, monsieur. "


「二人の目が出会った」の 2回目です。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education"


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :

-- " Je vous remercie, monsieur. "

Leurs yeux se rencontrèrent.

[ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]


風で吹き飛んだ帽子を捕まえてくれたフレデリックにその婦人はどう対応したでしょうか。


その婦人はフレデリックに語りかけます。

Elle lui dit :

エル リュイ ディ


彼女は彼に言った。


lui は「彼に」とも「彼女に」ともなりますが、ここでは帽子を捕まえてくれたフレデリックに、その婦人が何か言ったのです。

そうすると dit は現在形ではないはずです。

dire の直説法現在形は、

je dis ジュ
tu dis
il dit
nous disons
vous dites
ils disent

なので、

Elle lui dit :

は、

彼女は彼に言う

と現在形にとることもできますが、

でもその前からの流れでいけば単純過去形ではないでしょうか。

dire の直説法単純過去形の活用は、

je dis ジュ ディ
tu dis テュ ディ
il dit イル ディ
nous dîmes ヌ ディーム
vous dîtes ヴ デイット
ils dirent イル ディール

なので、一人称(je, tu, il)の活用は直説法現在形も単純過去形も同じです。


さて、その人妻はフレデリックに何と言ったのか。

Je vous remercie, monsieur.

ジュ ヴ ルメルシ ムシュー

「ありがとうございます。」

と、感謝の言葉をかけました。

remercier (ルメルシィエ)は、「〜に感謝する、~にお礼を言う」 といういみです。


ここまでで、

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "

フレデリックは飛び上がって、帽子を捕まえた。
彼女は 「ありがとうございます」 と言った。

という感じになります。


(続く)


■ 翻訳

翻訳は文庫で手に入るものだけでも数種ありますが、ここでは岩波文庫版を紹介します。


感情教育〈上〉 (岩波文庫)




感情教育〈下〉 (岩波文庫)



2014-09-09

二人の目が出会った (1)

フランス語中級です。

今日から数回に分けて、19世紀の小説家 フロベールの 『感情教育』 という作品からの例文、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.
    Elle lui dit : -- " Je vous remercie, monsieur. "
    Leurs yeux se rencontrèrent.

    [ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]

を見ていきましょう。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education"


まず、最初の文の発音をおおまかに確認します。

    Frédéric fit un bond

    フレデリック フィ アン ボン

    et le rattrapa

    エ ル ラトラパ


この文には動詞が二つあります。

fit と rattrapa です。

fit の不定詞は faire、 rattrapa の不定詞は rattraper です。

それぞれ時制は直説法単純過去形です。

単純過去形は話し言葉では使われず書き言葉で使われる時制です。

そして活用がちょっと面倒です。

とりあえず、faire は三人称単数で、

    il fit

となり、rattraper は 三人称単数で

    il rattrapa

となります。


文章に戻って、

    Frédéric fit un bond

の bond は、

    跳躍、ジャンプ (男性名詞)

です。


なので、

    Frédéric fit un bond

は、

    フレデリックはジャンプした

です。

そして、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.

で、rattraper は「つかむ、キャッチする」という意味なので、

    フレデリックはジャンプしてそれをつかんだ

となります。


「それ le」 とは何かというと、

    フレデリックは学生で、いま客船で川をさかのぼって帰省の途中
    船の甲板で楽団の演奏を聞いている人妻に一目惚れ
    風でその人妻の帽子が吹き飛ばされます
    フレデリックはすかさずジャンプしてその帽子を捕まえます

私の記憶によれば、おおよそ以上のような場面でした。

上に掲載したイラストは、その帽子が飛ぶ直前、人妻とその夫がなにか話をしている場面です。


吹き飛ばされた 「帽子」 は、

    le chapeau

で男性名詞なので、 「それ le」となります。


□ 単純過去形の活用例

_ faire

    je fis ジュ フィ
    tu fis テュ フィ
    il fit イル フィ
    nous fîmes ヌ フィーム
    vous fîtes ヴ フィット
    ils firent イル フィール

_ rattraper

    je rattrapai ジュ ラトラペ
    tu rattrapas テュ ラトラパ
    il rattrapa イル ラトラパ
    nous rattrapâmes ヌ ラトラパーム
    vous rattrapâtes ヴ ラトラパート
    ils rattrapèrent イル ラトラペール


聞くところによるとフランス人でも単純過去形の活用を正確に書けない人は多いようなので、私たちも正確に書けなくても大丈夫!?

でも、文中に出てきたらそれが 「おっ、単純過去形!」 とわかるようにしておく程度でよい、と聞いたことがあります。


が、きちんとフランス語を学びたい人はきちんと覚えましょう!