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2014-09-09

二人の目が出会った (1)

フランス語中級です。

今日から数回に分けて、19世紀の小説家 フロベールの 『感情教育』 という作品からの例文、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.
    Elle lui dit : -- " Je vous remercie, monsieur. "
    Leurs yeux se rencontrèrent.

    [ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]

を見ていきましょう。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education"


まず、最初の文の発音をおおまかに確認します。

    Frédéric fit un bond

    フレデリック フィ アン ボン

    et le rattrapa

    エ ル ラトラパ


この文には動詞が二つあります。

fit と rattrapa です。

fit の不定詞は faire、 rattrapa の不定詞は rattraper です。

それぞれ時制は直説法単純過去形です。

単純過去形は話し言葉では使われず書き言葉で使われる時制です。

そして活用がちょっと面倒です。

とりあえず、faire は三人称単数で、

    il fit

となり、rattraper は 三人称単数で

    il rattrapa

となります。


文章に戻って、

    Frédéric fit un bond

の bond は、

    跳躍、ジャンプ (男性名詞)

です。


なので、

    Frédéric fit un bond

は、

    フレデリックはジャンプした

です。

そして、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.

で、rattraper は「つかむ、キャッチする」という意味なので、

    フレデリックはジャンプしてそれをつかんだ

となります。


「それ le」 とは何かというと、

    フレデリックは学生で、いま客船で川をさかのぼって帰省の途中
    船の甲板で楽団の演奏を聞いている人妻に一目惚れ
    風でその人妻の帽子が吹き飛ばされます
    フレデリックはすかさずジャンプしてその帽子を捕まえます

私の記憶によれば、おおよそ以上のような場面でした。

上に掲載したイラストは、その帽子が飛ぶ直前、人妻とその夫がなにか話をしている場面です。


吹き飛ばされた 「帽子」 は、

    le chapeau

で男性名詞なので、 「それ le」となります。


□ 単純過去形の活用例

_ faire

    je fis ジュ フィ
    tu fis テュ フィ
    il fit イル フィ
    nous fîmes ヌ フィーム
    vous fîtes ヴ フィット
    ils firent イル フィール

_ rattraper

    je rattrapai ジュ ラトラペ
    tu rattrapas テュ ラトラパ
    il rattrapa イル ラトラパ
    nous rattrapâmes ヌ ラトラパーム
    vous rattrapâtes ヴ ラトラパート
    ils rattrapèrent イル ラトラペール


聞くところによるとフランス人でも単純過去形の活用を正確に書けない人は多いようなので、私たちも正確に書けなくても大丈夫!?

でも、文中に出てきたらそれが 「おっ、単純過去形!」 とわかるようにしておく程度でよい、と聞いたことがあります。


が、きちんとフランス語を学びたい人はきちんと覚えましょう!