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2018-05-18

叩くべきか叩かざるべきか

Syrie : frapper ou ne pas frapper, telle est la question

Le Point の 2018.4.13 の記事見出しです。
シリアが化学兵器を使ったことにたいする欧米首脳(マクロン、トランプ、テリーザ・メイ)の反応を述べた記事。

Syrie : frapper ou ne pas frapper, telle est la question


見出しは、

Syrie : frapper ou ne pas frapper, telle est la question
シリ フラペ ウヌパフペ テレラケスチオォン

です。

frapper は「打つ」「叩く」「打撃を与える」という動詞の不定詞(原形)。

ne pas frapper の ne ... pas は否定ですが、不定詞を否定する場合はこのように〈ne pas 不定詞〉となります。

ここで、frapper が意味しているのは、シリアに対して攻撃を加える(かどうか)ということです。

ここまでで、

    叩くのか、叩かないのか、
    叩く、あるいは叩かない

とかです。

telle est la question の tel は形容詞(女性形 telle )で「そのような」という意味がありますが、今回のように動詞が être で、tel が文頭にくると、主語と倒置されて

    tel est 主語...

となって、「以上が...だ」みたいな形になります。

つまり、 telle est la question  は「以上が問題だ」。

frapper ou ne pas frapper, telle est la question で、「叩くか、叩かないか、それが問題だ」。

ここで思い出すのはシェイクスピア(1564-1616)の「ハムレット」(Hamlet)の台詞(せりふ)、

    To be or not to be, that is the question.

です。

今回の見出しは、これをもじっているわけです。

元のシェイクスピアの文は、

「世に在る、在らぬ、それが疑問じゃ」(坪内逍遥、1909年)
「生か、死か、それが疑問だ」(福田恆存、1955年)
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」(小田島雄志、1972年)
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」(河合祥一郎、2003年)

とかいろいろに訳されているみたいです。

     ※ 参考にしたページ : To be or not to be, that is the question. | おもしろき こともなき世を おもしろく  - 楽天ブログ

とにかく、frapper ou ne pas frapper, telle est la question は、

    叩くか叩かないか、それが問題だ

ということでしょう。

シリアが化学兵器を使ったけども、それに対して攻撃をすべきかどうか迷っている欧米の指導者たちのことを言っているわけです。

まとめ:

Syrie : frapper ou ne pas frapper, telle est la question
シリア: 叩くべきか叩かざるべきか、そこが思案のしどころだ


2018-05-08

上級仏単語: acquitter

acquitter  無罪放免する

本日の上級フランス語単語は、

    acquitter
    アキテ

動詞です。


意味は、

    無罪放免する

です。

※ 英語では acquit (アクィット)、でやはり「無罪にする」という意味です。

2018-05-06

200年前カール・マルクスが生まれた。

Karl Marx est né il y a 200 ans à Trèves, dans l’ouest de l’Allemagne.

きのう2018年5月5日はカール・マルクス生誕200周年。

マルクスの生地であるドイツのトリーアの記念行事で、6メートルの高さのマルクスの銅像の除幕式が行われたとのことです。



が、この銅像が物議を醸(かも)しているらしいです。

マルクスが、あの非人間的な「共産主義(国家)」を生み出した張本人だということと、その銅像が中国からの贈り物だということがその原因らしい。

で、今日の引用文は上記ページのリード文から、フランス語初級用、

    Karl Marx est né il y a 200 ans à Trèves,
    カルルマルクス エネ イリヤ ドゥサンザン アトレーヴ

    dans l’ouest de l’Allemagne.
    ダンルェスト ドゥ ラルマ―ニュ

です。

est né の né は動詞 naître(ネートゥル)「生まれる」の過去分詞形。

複合過去は〈avoir + 過去分詞〉が一般的ですが、一部の動詞(一部の自動詞)は〈être + 過去分詞〉になります。

naître もその仲間です。

※ どんな動詞が 〈être + 過去分詞〉になるかについては以下の記事を見てください。

    → どこに行ってたの?(Où es-tu allé?)


なので、 Karl Marx est né までで「カール・マルクスは生まれた」です。

つぎの il y a 200 ans ですが、il y a といえば「~がある」と存在を表す表現でしたが...。

ほかにも「(今から)...前に」という英語の ago と同じ意味もあります。

    ※ ago と違って il y a の後に「...」(期間あらわす表現)が来ます。

200 ans は deux cents ans 。

il y a 200 ans で「200年前に」。

Karl Marx est né il y a 200 ans à Trèves までで、「カール・マルクスは200年前にトリーアで生まれた」です。

Trèves はドイツの都市 Trier(トリーア)のフランス語名。

残りの dans l’ouest de l’Allemagne は、

    ouest は「西」(英語の west)、男性名詞

    Allemagne は「ドイツ」、女性名詞

以上で、

    Karl Marx est né il y a 200 ans à Trèves, dans l’ouest de l’Allemagne.

    カール・マルクスは、200年前、ドイツ西部のトリーアで生まれた。

です。


2018-05-05

ぼくはよく子どもたちに怖がられた。それが悲しかったんだ。

"Souvent les enfants avaient peur de moi,  ça me rendait triste."  
(André le Géant)

スポーツ紙 L'Équipe (レキップ)のWebサイトの特集記事からです。

日本でも大人気だった超巨漢プロレスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントの生涯。


タイトルは、

    La vie incroyable d'André le Géant
    ラヴィ アンクロワィャーブル ダンドレ ル ジェアン

    アンドレ・ル・ジェアンのおどろくべき一生

となっています。

André the Giant はフランス語では、André le Géant (アンドレ ル ジェアン)です。

1946年、フランスのグルノーブル(Grenoble)生まれ。



この記事の中で取り上げられている、アンドレ・ザ・ジャイアントの言葉、

    Souvent les enfants avaient peur de moi,  ça me rendait triste.

を見てみます。

発音はこんな感じです。

    Souvent les enfants avaient peur de moi, 
    スヴァン レザンファン アヴェプールドゥムワ

    ça me rendait triste
    サムランデ トゥリスト


souvent は副詞で「よく・しばしば」(英語の often)。

avaient は avoir の半過去形。

    ※ 半過去形の活用については 「チャンは...だろうか? その1」 を見てください。

peur は女性名詞で「恐れ」(英語の fear)です。

avoir peur de ~ で「~を恐れる、怖がる」。

moi は「私」です。

de は前置詞。前置詞の後に「私」とか「あなた」とか「彼」とか、つまり「人称代名詞」が来るときは「強勢形」になる、と習いました。

強勢形はそれぞれ、

    je - moi    (ムワ)
    tu - toi      (トゥワ)
    il  - lui       (リュイ)
   elle - elle    (エル)
   nous - nous   (ヌー)
   vous - vous    (ヴー)
   ils - eux         (ウ)
  elles - elles     (エル)

となります。

前半は、

    Souvent les enfants avaient peur de moi
    よく、子どもたちが私を怖れました

です。

後半の ça me rendait triste の ça は、その場にあるモノや話題になっている事柄を示す「これ、それ、あれ」です。

rendait は動詞 rendre の半過去形。

  ※ rendre の直説法現在形の活用を確認しておきます。

          je rends            ジュラン
          tu rends           テュラン
           il rend             イルラン
      nous rendons       ヌランドン
      vous rendez         ヴランデ
         ils rendent        イルランド


rendre には〈rendre A B〉という形をとって「AをB(の状態)にする」という用法があります。

    ※ Bの箇所には形容詞が来ます。

たとえば、

    Ça rend André le Géant heureux.
   サ ラン アンドレ・ル・ジェアン ウル

だと、André le Géant が〈A〉で heureux が〈B〉なので

   それはアンドレ・ル・ジェアンをハッピーにする。

です。

ça me rendait triste の場合は、〈A〉にあたるのは me なので、

    それが私を悲しくさせていた

となります。


全部で、

    Souvent les enfants avaient peur de moi,  ça me rendait triste.

    しばしば子どもたちが私を怖がった、それが私を悲しくさせた
          ↓
    ぼくはよく子どもたちに怖がられた。それが悲しかったんだ。


2018-05-03

日本の学校のフランス語の卒業証書

友人の息子さんの調理の専門学校の卒業証書がフランス語なので何て書いてあるのか教えてくれ、と画像を送ってきたので見てみました。

Certificat

次のように書いてあります。

Certificat

Ecole TSUJI Tokyo
certifie que
Monsieur Abc DEFGHI
a suivi les cours de Cuisine Française et Italienne pendant l'année scolaire 2017-2018

Tokyo, le 9 mars 2018
Yoshiki TSUJI
Président-Directeur Général


以下、その友人の息子に送ったLINEのメッセージを名前のみ変えて再録。

Certificat セルティフィカ 「証明書・資格証書」

école エコール  「学校」

ceritifie (セルティフィ)は 動詞 certifier(証明する) が活用したもの。 主語は Ecole TSUJI Tokyo。

certifie que の que はそのあとに「主語+動詞...」の組み合わせがくることを示す接続詞。「~ということを」。英語の that 。

Ecole TSUJI Tokyo certifie que... は英語だと Ecole TSUJI Tokyo certifies that ...

Monsieur Abc DEFGHI はつぎの a  suivi の主語。

a suivi は「複合過去」。

suivi は動詞 suivre の過去分詞。 suivre は「ついていく」という意味だけど、「(授業を)受ける、(講義を)聞く」という意味もある。

a suivi は 「ア シュイヴィ」。

les cours de ...

「...の講義」。 cours は「講義」。単数形も s がつく。この場合は複数形だけど。 de は 英語の of。

Monsieur Abc DEFGHI a suivi les cours de Cuisine Française et Italienne  で 「Abc DEFGHI氏がフランスとイタリア料理の講義を受けた」。

cuisine (キュイズィーヌ)は女性名詞なので、Français (フランセ) と Italien(イタリアン)という形容詞が女性形になって Française (フランセーズ)、 Italienne (イタリエンヌ)となる。

pendant (パンダン)は「~の間」。英語の during (前置詞)。

l'année scolaire (ラネスコレール)。 année は 「年」、scolaire は「学校の」という形容詞。l'année scolaire で「学校の年」つまり「学年」とか「年度」。

l'année scolaire の l’ は定冠詞 la。 le じゃなくて la なのは année が女性名詞だから。

2017-2018 は deux mille dix-sept à deux mille dix-huit

deux mille dix-sept(ドゥ ミル ディセット)à(ア)deux mille dix-huit(ドゥ ミル ディズュィット)

à は「~へ」「~まで」という前置詞。英語の to 。

Tokyo, le 9 mars 2018  「トキョ ル ヌフ マルス ドゥミルディズュイット」。

mars は 3月。

Président-Directeur Général (プレズィダン ディレクトゥール ジェネラル)は「社長」。

président だけだと「大統領」「議長」「会長」(男性名詞)とか。directeur はディレクター、「校長」とか「部長」とか。général は形容詞で「一般的な」「全体の」だけど、この場合だと「統括の」。

以上、卒業証書の文の解説。

全体の訳は、

証書
エコール 辻 東京は、Abc DEFGHI氏が2017年-2018年度においてフランスおよびイタリア料理の講座を受講したことを証する。
2018年3月9日 東京
校長 辻芳樹


2018-05-02

ロボットが人間を殺傷するなんて考えられない

Il n'y a pas de raison de croire qu'on se fera détruire par nos robots

ドアを空けて仲間を通してやる四足歩行のロボット(開発: ボストン・ダイナミクス社Boston Dynamics)に関連したインタビュー記事(RFI, 2018/02/16)。

その記事の見出しです。


[発音]

    Il n'y a pas de raison de croire
    イルニァパドゥレゾンドゥクロワール

    qu'on se fera détruire par nos robots
    コンスフラデトリュィール パルノロボ

[文の意味]

il n'y a pas は il y a の否定なので「~がない」となります。

raison がないと言っていますが、この場合は raison (女性名詞)の持つ次のような意味のうちのどれに当たるでしょうか。

   ・理由
   ・理性
   ・理屈
   ・比率

あと、raison の前の de は何でしょうか。

前置詞の de ?

de には、

    「直接目的語につく不定冠詞(un, une, des)や部分冠詞(du, dela)は否定文で de になる」

という文法規則の de (冠詞の de)もあります。

たとえば、
    → 名詞・冠詞 - 北鎌フランス語講座 - 文法編
さんや、
    → フランス語 文法 否定のde:カード
さんがきちんと解説してくれています。

つづいて、Il n'y a pas de raison de croire までで、

    ...と思う(信じる)理由はない

という感じでしょう。

croire (信じる・思う)の内容は、

   qu'on se fera détruire par nos robots

で示されています。

この場合の que は、つぎに〈主語+動詞...〉からなる「節」がくる印です。

    ※ 節…文の中に組み込まれた〈主語+動詞...〉からなる部分。

この節の単語は、

    on : 人は
    se fera ... : ~されるだろう
    détruire : 破壊する・絶滅させる
    par : ~によって
    nos robots : われわれのロボット

となります。

fera は faire の直説法単純未来形ですね。

活用を確認しておきましょう。

    je ferai            ジュフレ
    tu feras           テュフラ
    il fera              イルフラ
    nous ferons     ヌフロン
    vous ferez       ヴフレ
    ils feront         イルフロン

    ※ ferai を「フェレ]と読まないように注意!

    → 単純未来形が出てくる記事

そして 〈se faire + 不定詞(動詞の原形)〉で「~される」という受け身の意味になります。


[訳文例]

Il n'y a pas de raison de croire qu'on se fera détruire par nos robots.

われわれのロボットによって人が絶滅させられると信じる理由はない。
    ↓
われわれの作るロボットが人間を殺傷してしまうなんてことは考えられない。


2018-05-01

韓国大統領の穏健主義を支持

Les Sud-Coréens plébiscitent le pacifisme de leur président

4月27日の、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン, Kim Jong-un )朝鮮労働党委員長と、韓国の文在寅(ムン・ジェイン, Moon Jae-in)大統領との南北首脳会談を伝えるル・モンド紙の記事の見出しから。

  → Les Sud-Coréens plébiscitent le pacifisme de leur président (Le Monde.fr)


発音の確認:

    Les Sud-Coréens plébiscitent
    レシュドゥコレアン プレビシィット

    le pacifisme de leur président
    ルパシィフィスム ドゥレールプレジダン


つぎに単語と文の意味を確認しましょう。

sud は「南」(男性名詞)。
Coréen は「朝鮮人」「韓国人」。

les Sud-Coréens で「南朝鮮の人たち」「韓国の人々」。

plébisciter は「国民投票で選ぶ」という意味の動詞。

plébiscite は名詞だと「国民投票」「住民投票」です(男性名詞)。

    → 上級仏単語: plébiscite

そこから「圧倒的多数で選ぶ」「支持・承認する」という意味にもなります。

ここでは 「彼らの大統領の pacifisme 」が plébisciter の目的語です。

pacifisme は「平和主義」「穏健主義」(男性名詞)。


以上から、

    Les Sud-Coréens plébiscitent le pacifisme de leur président

    韓国の人々は、自分たちの大統領の穏健主義を支持する。
       ↓
    韓国国民、大統領の穏健主義を指示

というかんじになります。