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2022-05-05

ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所で

Dans un bouge de quartier de Londres, dans un lieu hétéroclite des plus sales, au sous-sol, Dirty était ivre. Elle l'était au dernier degré, j'étais près d'elle (ma main avait encore un pansement, suite d'une blessure de verre cassé). Ce jour-là, Dirty avait une robe du soir somptueuse (mais j'étais mal rasé, les cheveux en désordre). Elle étirait ses longues jambes, entrée dans une convulsion violente. Le bouge était plein d'hommes dont les yeux devenaient très sinistres. Ces yeux d'hommes troublés faisaient penser à des cigares éteints. Dirty étreignait ses cuisses nues à deux mains. Elle gémissait en mordant un rideau sale. Elle était aussi saoule qu'elle était belle : elle roulait des yeux ronds et furibonds en fixant la lumière du gaz.


フランスの20世紀の思想家・作家の Gerotes Bataille の小説 "Le Bleu du ciel"(空の青)の冒頭部分です。

一文ずつざっと見てみます。


01. Dans un bouge de quartier de Londres ロンドンの街の安酒場で, dans un lieu hétéroclite des plus sales 一番汚い場所のうちの雑多な一箇所で, au sous-sol 地下で, Dirty était ivre ダーティーは酔っていた. 

  • bouge : 汚く狭苦しい家, 安酒場
  • hétéroclite : 雑多な

→ ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所、その地下で、ダーティーは酔っていた。


02. Elle l'était au dernier degré 彼女はこの上なく酔っていた, j'étais près d'elle 私は彼女のそばにいた (ma main avait encore un pansement 私の片手にはまだ包帯があった, suite d'une blessure de verre cassé 割れたグラスによる傷の結果[としての] ). 

  • au dernier degré : この上なく
  • pansement : 包帯
  • suite : (女性名詞) 結果

→ 完全に酔っ払っていた。私は彼女のそばにいた(私の手にはまだ包帯が巻かれていた。割れたグラスで手を切ったのだ)。


03. Ce jour-là その日, Dirty avait une robe du soir somptueuse ダーティーは豪華なイブニングドレスを着ていた (mais j'étais mal rasé しかし私はちゃんと髭を剃ってなかった, les cheveux en désordre 髪はくしゃくしゃで). 

  • somptueux : 豪華な
  • raser : 髭を剃る

→ その日のダーティーは豪華なイブニングドレスをまとっていた(私のほうはちゃんと髭も剃らず、髪はぼさぼさだった)。


04. Elle étirait ses longues jambes 彼女は長い脚を伸ばしていた, entrée dans une convulsion violente 激しい麻痺状態に入って. 

  • étirer : (手足を)伸ばす
  • convulsion : 痙攣, 身悶え

→ 彼女は長い脚をピンと伸ばして、激しく身悶えし始めた。


05. Le bouge était plein d'hommes その安酒場は男たちでいっぱいだった dont les yeux devenaient très sinistres その男たちの目はとても陰険になっていた. 

  • sinistre : 不吉な, 陰鬱な, 陰険な

→ 酒場は男たちでいっぱいで、みなひどく陰鬱な目つきになっていた。


06. Ces yeux d'hommes troublés 男たちの濁った目は faisaient penser à des cigares éteints 火の消えた葉巻を思わせた . 

  • troublé : 濁った
  • éteint : 消えた [ éteindre(消す)の過去分詞 ]

→ 男たちの濁った目つきは火の消えた葉巻を思わせた。


07. Dirty étreignait ダーティーは抱きしめていたい ses cuisses nues 自分のむきだしのももを à deux mains 両手で . 

  • étreignait : étreindre(抱きしめる)の半過去形
  • cuisse : (女性名詞)腿(もも)。(女性の)尻。

→ ダーティーはむき出しになった自分の太ももに両手でしがみついていた。


08. Elle gémissait 彼女は呻いていた en mordant un rideau sale 汚いカーテンを噛みながら . 

  • gémir : 呻く(うめく)、嘆く(なげく) 

→ 汚らしいカーテンに噛みつき呻く。


09. Elle était aussi saoule qu'elle était belle 彼女は彼女が美しいのと同じくらい酔っていた : 

saoul : soûl と同じ。「酔った」。発音は「スー」。女性形 saoule は「スッル」 

→ 彼女の酩酊の度合いは、彼女の美しさに比例していた。


10. elle roulait des yeux ronds et furibonds 彼女は丸く怒りに満ちた両目を回していた en fixant la lumière du gaz ガスの明かりをじっと見つめながら . 

  • furibond :  怒り狂った, 怒気を含んだ → furieux
  • fixer : じっと見つめる

→ 怒りに満ちた丸い目をくるくるさせて、ガスの明かりにじっと目を凝らしている。


まとめて:

ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所、その地下で、ダーティーは酔っていた。完全に酔っ払っていた。私は彼女のそばにいた(私の手にはまだ包帯が巻かれていた。割れたグラスで手を切ったのだ)。その日のダーティーは豪華なイブニングドレスをまとっていた(私のほうはちゃんと髭も剃らず、髪はぼさぼさだった)。彼女は長い脚をピンと伸ばして、激しく身悶えし始めた。酒場は男たちでいっぱいで、みなひどく陰鬱な目つきになっていた。男たちの濁った目つきは火の消えた葉巻を思わせた。ダーティーはむき出しになった自分の太ももに両手でしがみついていた。汚らしいカーテンに噛みつき呻く。彼女の酩酊の度合いは、彼女の美しさと比例していた。怒りに満ちた丸い目をくるくるさせて、ガスの明かりにじっと目を凝らしている。 


(ここまで)