19世紀フランスの大作家、ギュスターヴ・フローベール (Gustave Flaubert) のラブレター ( Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )、とりあえずの最終回 (第9回目) です。
(ラブ・レターの宛先: ルイーズ・コレ)
→ これまでの Flaubert の文章の解説
前回までは、
Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ?
空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 それとも窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているのかな。
というかんじになりました。
では、きょうの文の発音の確認から。
Rêves-tu ?
レーヴ テュ
Quelle est la couleur de ton songe ?
ケレ ラ クルール ドゥ トン ソンジュ
rêves は動詞 rêver (夢を見る) なので、 Rêves-tu ? は、
夢を見ているの
です。
つぎの、
Quelle est la couleur ...
の couleur は 「色、カラー」 (女性名詞) 。
quelle は疑問詞 (疑問形容詞) で
どんな、何の、どれくらいの
というような意味で、形容詞として使われるので、関係している名詞の性 (男性・女性) と数 (単数・複数) に応じて形が変わります。
男性単数 : quel
女性単数 : quelle
男性複数 : quels
女性複数 : quelles
発音はいずれも 「ケル」 です。
今回の場合は、 la couleur が女性名詞で単数形なので、
quelle
という形になっています。
ここまでで、
Quelle est la couleur... ?
色は何ですか
となります。
続く、
Quelle est la couleur de ton songe ?
の songe は、男性名詞で、
夢
という意味です。
「夢」 には動詞 rêver の名詞の形である、
rêve
もあります(男性名詞)が、 rêve よりも songe のほうがより固いというか、文章語として使われるようです。
で、
Quelle est la couleur de ton songe ?
ということになります。
全文を再掲します (ラブ・レターの内容はまだまだ続きますが → 原文 ) 。
Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ? Rêves-tu ? Quelle est la couleur de ton songe ?
空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているの。 夢でも見ているの。 君の夢の色は何色かな。