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2024-11-04

プリゴジン死去

Le leader de la formation paramilitaire, Evgueni Prigojine, est mort dans un avion qui s’est écrasé en Russie.

少し前の記事。ロシアでエフゲニー・プリゴジンの乗った飛行機が墜落した事件の記事からです。(2023.8.23)

→ Prigojine, le patron de Wagner, tué dans un crash aérien

 

【おおまかな発音】

Le leader de la formation paramilitaire, 
ル リドゥール ドゥラフォルマシィオン パラミリテール

Evgueni Prigojine
エフゲニ プリゴジヌ

est mort dans un avion
エモール ダンザンナヴィヨン

qui s’est écrasé en Russie
キセテクラゼ アンリュスィ


【語句】

leader : リーダー, 指導者。男性名詞。英語からきた単語。発音は「リドール」ってかんじなので注意。

formation :  女性名詞(-tionで終わる名詞は女性名詞)。組織、グループ、(軍隊の)部隊。

paramilitaire :  軍隊式の。formation paramilitaire で「軍隊組織」というかんじか。

Evgueni Prigojine: ここは直前の Le leader de la formation paramilitaire と同格。「軍隊組織のリーダー(である)エフゲニー・プリゴジン」。

est mort : mourir(死ぬ)の複合過去、「死んだ」。主語は Le leader 。

dans un avion : 「飛行機(内)で」。

qui s’est écrasé : qui は関係代名詞、先行詞は直前の un avion。つまり、「s’est écrasé した飛行機」。

s’est écrasé : 代名動詞 s'écraser(砕ける、墜落する) の直説法複合過去、「墜落した」。 écraser は「押しつぶす」「砕く(くだく)」。

en Russie : 「ロシアで」


【試訳】

Le leader de la formation paramilitaire, Evgueni Prigojine, est mort dans un avion qui s’est écrasé en Russie.

軍事組織のリーダー、エフゲニー・プリゴジンが、ロシアで墜落した飛行機に乗っていて死亡した。


(ここまで)


あんたたち、どこにいたんだ?

« Où étiez-vous ? » : à Valence, après les inondations meurtrières, la colère explose face au roi, Felipe VI, et au premier ministre, Pedro Sanchez 


スペインのバレンシアで大きな洪水がありました。その被害についてのルモンドの記事(2024.11.3)のタイトルです。

« Où étiez-vous ? » : à Valence, après les inondations meurtrières, la colère explose face au roi, Felipe VI, et au premier ministre, Pedro Sanchez 


【おおまかな発音】

« Où étiez-vous ? » : 
ウ エティエ ヴ

à Valence, après les inondations meurtrières, 
ア ヴァランス、アプレ レズィノンダスィヨン ムルトゥリエール

la colère explose face au roi, Felipe VI, 
ラ コレール エクスプローズ ファス オ ロワ、フェリペ スィス

et au premier ministre, Pedro Sanchez 
エ オ プルミエ ミニストル、ペドロ サンチェス


【解釈】

Où étiez-vous ? 「あなた(がた)はどこにいたのですか?」

étiez は être の半過去。

à Valence 「バレンシアで」

Valence はスペインのバレンシア地方。地中海に面しています。


après les inondations meurtrières 「多くの人が亡くなった洪水のあとで」

inondation 「洪水」(女性名詞)。動詞 inonder は「水浸しにする」。

meurtrière、形容詞 meurtrier の女性形。「人殺しの」「多くの人命を奪うような」。名詞は meurtre 「殺人」(男性名詞)です。


la colère explose face au roi  怒りが王に向かって爆発する

exploser 「爆発する」。

スペインには王様がいます。


怒りの矛先は「王」だけではなく...、

face au roi, Felipe VI, et au premier ministre, Pedro Sanchez 
 「スペイン王のフェリペ6世、そして首相のペドロ・サンチェスに向けて」

Felipe VI 「フェリペ6世」(在位 2014年6月~)。 直前の le roi の「同格」。

premier ministre 「首相」。

Pedro Sanchez  スペイン首相(2018年6月~)。


【試訳】

« Où étiez-vous ? » : à Valence, après les inondations meurtrières, la colère explose face au roi, Felipe VI, et au premier ministre, Pedro Sanchez 

「あんたたち、どこにいたんだ?」 バレンシアで、多数の死者の出た洪水後、スペイン王フェリペ6世と、首相ペドロ・サンチェスに怒りが爆発。


この怒りの原因は、救援の対応の遅れ、とくに党派間の駆け引きと、役所間の権限配分だとこの記事に書かれています。


(ここまで)

2024-06-24

人間と超人(ニーチェ)

L'homme est une corde tendue entre la bête et le Surhumain, — une corde sur l'abîme. Il est dangereux de passer au-delà, dangereux de rester en route, dangereux de regarder en arrière, frisson et arrêt dangereux.

[Nietzsche, "Ainsi parlait Zarathoustra", Traduction par Henri Albert ]


ドイツの思想家ニーチェ(1844-190)の「ツァラトゥストラはこう語った」の仏語訳より。


◆ 逐語訳

L'homme est une corde 人間は一本のロープだ tendue entre la bête et le Surhumain 獣と超人の間に張られた(一本のロープだ), — une corde sur l'abîme 深淵の上のロープだ. Il est dangereux ~するのは危険だ de passer au-delà 向こうに渡る(のは危険だ), dangereux de rester en route 途上にとどまるのは危険だ, dangereux de regarder en arrière 後ろを見るのは危険だ, frisson et arrêt dangereux 危険な震えと停止だ.


◆ 訳例

人間は、けだものと超人との間に張られた一本のロープ、深淵の上に張られたロープだ。渡るのも危険、立ち止まるも危険、振り返るも危険、身震いも停止も危険だ。 [ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』]



(以上)


2024-05-26

ヘルダーリンという存在のきらめきは

René Char の "La Conversation souveraine" から。


Le scintillement de l’être Hölderlin finit par aspirer le spectre pourtant admirable du romantisme allemand. Nerval et Baudelaire ordonnent le romantisme français entrouvert par Vigny et gonflé par Hugo. Rimbaud règne, Lautréamont lègue. Le fleuret infaillible du très bienveillant Mallarmé traverse en se jouant le corps couvert de trop de bijoux du symbolisme. Verlaine s’émonde de toutes ses chenilles : ses rares fruits alors se savourent.


◇ むずかしいけど訳してみました。

ヘルダーリンという存在のきらめきは、最後に、ドイツ・ロマン主義の亡霊 ― とはいえ感嘆すべき亡霊 ― を吸い込む。ネルヴァルとボードレールは、ヴィニーによって開かれ、ユゴーが膨らませたフランスのロマン主義を整える。ランボーは君臨し、ロートレアモンは遺贈する。好意に満ちたマラルメの無謬の剣は、象徴主義の宝飾で過剰に覆われた身体を、軽々と貫く。ヴェルレーヌは自分の身体から、象徴主義の青虫を一匹残らず剥ぎ取る。だから彼の見事な果実はゆっくり味わって食べられる。


◇ ここに出てきた人たちの生没年です。

.. Hölderlin : 1770-1843

.. Nerval : 1808-1855

.. Baudelaire : 1821-1867

.. Vigny : 1797-1863

.. Hugo : 1802-1885

.. Rimbaud : 1854-1891

.. Lautréamont : 1846-1870

.. Mallarmé : 1842-1898

.. Verlaine : 1844-1896


◇ 同じ箇所の以下の訳文が、中嶋美貴「ルネ・シャール、〈基底〉への形式上の反抗」(WASEDA RILAS JOURNAL NO.2 (2014.10))にあります。参考にさせていただきました。

「へルダーリンの存在のきらめきは、ドイツロマン主義のそれでもやはり素晴らしい効力範囲をついに吸い込むに至る。ヴィニーによって開かれ、ユゴーによって膨らまされたフランスロマン主義をネルヴァルとボードレールは整える。ランボーは支配し、ロートレアモンは次世代に伝える。マラルメのとても好意的な不謬の剣は、象徴主義のあまりに多くの宝石で覆われた身体を演じながら通過する。ヴェルレーヌは芋虫たちを自らそぎ落とす、つまりそれゆえ、そのとき彼の稀少な果実は風味豊かなものとなる。」


(2024.05.26)

 

2023-06-27

10分だけのマイクロデートで愛を持続させる

Pour faire durer l'amour, il suffirait d'organiser régulièrement des "micro-dates" de 10 minutes avec son partenaire.

女性向け(って言っていいのか...?)雑誌、Marie Claire のWebサイトの記事のタイトルからです。

※ 元記事 → Pour faire durer l'amour, il suffirait d'organiser régulièrement des "micro-dates" de 10 minutes avec son partenaire - Marie Claire 


【おおまかな発音】

Pour faire durer l'amour
プール フェールデュレ ラムール
il suffirait d'organiser régulièrement
イルスュフィレ ドルガニゼ レギュリエールマン
des "micro-dates" de 10 minutes
デミクロダット ドゥディミニュット
avec son partenaire
アヴェク ソンパルトネール

【分かち訳】

Pour faire durer l'amour 愛を持続させるためには, il suffirait ~すれば十分だろう d'organiser régulièrement 定期的に計画す(れば)des "micro-dates" de 10 minutes 十分間のマイクロデートを avec son partenaire 自分のパートナーとの


【語彙】

durer は「持続する」、faire durer ~ で「~を持続させる」。この faire は「使役動詞」。

il suffirait の suffirait は動詞 suffire(十分だ、足りる)の条件法現在形。「十分だろう」。

ここでは「条件」は、d'organiser 以下の部分。主語の il は非人称主語。〈Il suffit de + inf.~〉で「~するだけで十分だ」。

※ inf. は不定詞(動詞の原形)のこと(infinitif)です。

organiser 「組織する」「準備する」「計画する」。

régulièrement 「規則正しく」「定期的に」。

micro-dates は「マイクロデート」と訳しときました。よく使われる単語なのかな?

des "micro-dates" の des は不定冠詞の複数形。


【試訳】

愛情を持続させるには、パートナーと10分間の「マイクロデート」を定期的に企画しさえすればいいだろう。

(以上)

2023-06-11

老いるのは楽しいね(ソレルス)

J'aime vieillir et je n'ai pas peur de ma propre mort.

France Inter のページ、先月(2023年5月5日)亡くなった作家 Philippe Sollers(フィリップ・ソレルス) インタビュー音声のタイトルからの引用です。

   → L'agent secret de Philippe Sollers : "J'aime vieillir et je n'ai pas peur de ma propre mort" : épisode 1/2 du podcast Philippe Sollers, autoportrait 


【発音】

J'aime vieillir
ジェムヴィエィール

et je n'ai pas peur de ma propre mort
エ ジュネパプール ドゥマプロープルモール


【解説】

◆ J'aime vieillir 「私は老いるのが好き」。

〈aimer + 不定詞〉で「~するのが好き」。

vieillir は「老いる」。

◆ et je n'ai pas peur de ... 「そして私は...が怖くない」。

〈avoir peur de ...〉「...が怖い」。

peur は「恐怖」「不安」(女性名詞)。

◆ ma propre mort 「私自身の死」。

propre は、名詞の前において、所有形容詞(今回は ma )といっしょに使われると、「~自身の」という意味になります。


【訳例】

J'aime vieillir et je n'ai pas peur de ma propre mort.

私は老いるのが好きだ、そして自分自身の死が怖くない。
   ↓
老いるのは楽しいね、それに自分が死ぬのも怖くない。


(ここまで)


2023-06-05

また雨が降っていた

La pluie tombait de nouveau mais elle était si fine qu'elle mouillait à peine les cheveux.

[Modiano, "Une Jeunesse"]


Patrick Modiano(パトリック・モディアノ)というフランスの作家(1945年生 / ノーベル文学賞受賞)の小説『ある青春』の一文です。

※ Gallimard版(2020)の 23ページにあります。


【発音】

La pluie tombait de nouveau 
ラプリュイ トンベ ドゥヌヴォ

mais elle était si fine 
メ エレテ シィフィヌ

qu'elle mouillait à peine les cheveux
ケルムイエ アペヌ レシュヴゥ


【分かち訳】

La pluie tombait 雨が降っていた de nouveau ふたたび

mais でも elle était si fine それ(その雨)はとても細かったので] 

qu'elle mouillait それ(その雨)は濡らしていた à peine ほとんど...ない

les cheveux 髪を


【語句】

この文の動詞(述語動詞)は tombait, était, mouillait の3つ。

それぞれ不定詞は tomber(落ちる), être(~である), mouiller(濡らす)。

いずれも直説法半過去形で、主語は la pluie とそれを表してい人称代名詞の elle、つまり主語は3人称単数。

elle était si fine qu'elle mouillait ... は〈si ~ que ...〉、「とても~なので...だ」のパターン。

fine は形容詞 fin 「細かい, 細い」の女性形。

elle mouillait à peine les cheveux は à peine(ほとんど...ない) があるので「その雨は髪をほとんど濡らさなかった」


【日本語訳】

La pluie tombait de nouveau mais elle était si fine qu'elle mouillait à peine les cheveux.

雨が再び降っていた、しかしその雨はとしても細かったので、その雨は髪をほとんど濡らされなかった。

  ↓

また雨が降りだしていたが、とても細かな雨だったので、髪が濡れることはなかった。


(ここまで)


2023-02-27

彼がしてくれたことはもうだれにもできないだろう

 «Ce qu'il a fait pour nous, plus personne ne le fera»: des milliers de Brésiliens font leurs adieux à Pelé

サッカーの王様、ペレが昨年(2022年)12月末に亡くなりました。

ペレを悼むブラジルの人たちを伝える、フランスのニュースサイト RFI の 2023年1月2日の記事のタイトルです。

«Ce qu'il a fait pour nous, plus personne ne le fera»: des milliers de Brésiliens font leurs adieux à Pelé


【発音の確認】

Ce qu'il a fait pour nous
スキラフェプールヌ

plus personne ne le fera
プリュペルソヌ ヌルフラ

des milliers de Brésiliens 
デミリェドゥブレズィリァン

font leurs adieux à Pelé
フォンレールザディウアプレ


【文の意味】

01) Ce qu'il a fait

〈ce que S+V…〉で「SがVすること・もの」。英語だと〈what S+V…〉。

Ce qu'il a fait で「彼がやったこと」。

a fait は動詞 faire(する・やる)の複合過去。 fait は faire の過去分詞。


02) Ce qu'il a fait pour nous 

「彼が私たちのためのやったこと・してくれたこと」。


03) plus personne ne le fera

fera は動詞 faire の単純未来形。

活用を確認しておきましょう。

  je ferai (ジュフレ)
  tu feras (テュフラ)
  il fera (イルフラ)
  nous ferons (ヌフロン)
  vous ferez (ヴフレ)
  ils feront (イルフロン)


plus personne ne le fera の 最初の plus は ne ... plus(もはや...ない)の plus が前に出たもの。plus (もう、もはや)が強調されている感じでしょう。

personne は ne と組み合わさって「だれも...ない」

le fera の le は直前の ce qu'il a fait pour nous「あの人が俺たちのためにしてくれたこと」を受ける代名詞の le です。

ですので、plus personne ne le fera は「もうだれもそんなことをしてくれないだろう」。


04) Ce qu'il a fait pour nous, plus personne ne le fera

「彼が私たちのためにしてくれたこと、もうだれもそれをやってくれないだろう」。

「あいつが俺たちにしてくれたことはもうだれにもできないだろう」。


04) des milliers de Brésiliens 

「何千もの(多数の)ブラジル人たちが」。

millier は「千くらい」(男性名詞)。

この箇所は次の font (< faire)の主語ですね。


05) des milliers de Brésiliens font leurs adieux à Pelé

「何千ものブラジル人たちがペレに別れを告げています」。

adieu は「別れの言葉」(男性名詞)、複数形 adieux 。

〈à + Dieu〉つまり、「神のところで(また会いましょう)」が語源だと思うので、adieu は、相手ともう会わないときに使います。

スペイン語の adiós も同じように使うみたいです。

ずっと昔フランスで友達になったポーランド人の女性(フランス語話者)から、私が日本に帰るとき ” Adieu ! ” って言われて、あ~、adieu ってこういうときに使うのか、もう会わないつもりなんだな、ってちょっと悲しくしっくり来たのを思い出します。その女性の青い目が深かったです...。

faire ses adieux à ... で「...に別れの挨拶をする」。

06) «Ce qu'il a fait pour nous, plus personne ne le fera»: des milliers de Brésiliens font leurs adieux à Pelé

「彼が私たちにしてくれたこと、それと同じことをやれる人はもうだれもいないだろう」と、何千ものブラジル人たちがペレに別れを告げています。


(ここまで)

2022-12-04

高橋留美子を知ってますか

Connaissez-vous Rumiko Takahashi ? Si son nom ne vous dit rien, vous vous souvenez certainement de "Juliette je t’aime" ou "Ranma ½"…  


France Culture (文化に特化したラジオ局)の放送の説明文からです。

タイトルは、” Qui est Rumiko Takahashi, la mangaka la plus lue au monde ? ” 。

  → Qui est Rumiko Takahashi, la mangaka la plus lue au monde ?


◆ おおまかな発音を確認しておきましょう。

Qui est Rumiko Takahashi, 
キエリュミコ タカアシ

la mangaka la plus lue au monde ?
ラマンガカ ラプリュリュ オモンド

Connaissez-vous Rumiko Takahashi ? 
コネセヴ リュミコ タカアシ

Si son nom ne vous dit rien, 
スィソンノン ヌヴディリャン

vous vous souvenez certainement 
ヴヴスヴネヴ セルテネマン

de "Juliette je t’aime" ou "Ranma ½"…  
ドゥジュリエット ジュテム ウ ランマ アンドゥミ


◆ いみ

01a) Qui est Rumiko Takahashi,

・髙橋留美子とはだれか

01b) Qui est Rumiko Takahashi, la mangaka la plus lue au monde ?

・世界で一番読まれている漫画家、高橋留美子とはだれか。

la mangaka la plus lue の lue は動詞 lire(読む)の過去分詞(読まれた・読まれている)。

la plus lue は比較の最上級。「一番読まれている」。直前の名詞 la mangaka を修飾しているので lu は女性形になっています(lue)。


02) Connaissez-vous Rumiko Takahashi ?

・高橋留美子を知ってますか。

もちろん高橋留美子は漫画家の高橋留美子さんのことです。


03a) Si son nom ne vous dit rien,

・もし彼女の名前に覚えがなくても

直訳すると「もし彼女の名前があなたに何も言わなくても」。

ですが、ここでの dire は「思い出させる」「覚えがある」といった意味になります。

たとえば、

    Cela ne me dit rien.

は、「それを聞いても何も思い出さない」「それには覚えがない」という感じです。


03b) vous vous souvenez certainement 
あなたはきっと覚えている

se souvenir de ... で「~を覚えている・思い出す」(再帰動詞)。

souvenir の活用は venir と同じなので、直説法現在形は、

   je me souviens (ジュ ム スヴィェン)
   tu te souviens (テュ トゥ スヴィェン)
   il se souvient (イル ス スヴィェン)

   nous nous souvenons (ヌ ヌ スヴノン)
   vous vous souvenez (ヴ ヴ スヴネ)
   ils se souviennent (イル ス スヴィェンヌ)

となります。(ils [3人称複数]のときに n が重なるのを注意。)

certainement は「確かに, きっと」。


03c) vous vous souvenez certainement de "Juliette je t’aime" ou "Ranma ½"… 

・あなたはきっと「めぞん一刻」や「らんま1/2」のことを覚えていることでしょう。

"Juliette je t’aime" ってなんだろう...、と思ってググったら「めぞん一刻」のことでした。

きっと、主人公の一人、大家さんの音無響子(おとなしきょうこ)さんの名前が「ジュリエット」になっているのでしょう。(推測です。)

"Ranma ½" (らんま1/2[にぶんのいち])はフランス語では Ranma Un Demi (ランマアンドゥミ)と読むようです。


◆ まとめ

Connaissez-vous Rumiko Takahashi ? Si son nom ne vous dit rien, vous vous souvenez certainement de "Juliette je t’aime" ou "Ranma ½"…  

高橋留美子を知ってますか。名前では何も思い出せなくても、きっと「めぞん一刻」や「らんま1/2」のことは覚えているはず...。


※ 私の学生時代の同級生が就職して、地元に帰って住んだアパートの名前が「めぞん一刻」で、大家さんは未亡人でした。 ほんとの話です...。


(ここまで)


anma Un Dem

2022-11-21

メロスは激怒した

Melos vit rouge. Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

短編小説の冒頭からです。


◆ おおまかな発音:

Melos vit rouge. 
メロス ヴィルージュ

Il décida de tout faire
イルデシダ ドゥトゥフェール

pour éliminer
プールエリミネ

ce roi cruel et malfaisant.
スロワクリュエル エ マルフザン


■ Melos vit rouge. 

この動詞 vit は vivire の直説法現在形3人称単数、 il vit の vit でしょうか?

それとも、voir の直説法単純過去の il vit の vit?

vivire だとすると、 vivre rouge で「赤く生きる」?

voir だと voir rouge、「赤く見る」?

辞書を見てみます。

rouge の項目に voir rouge という表現があります。

「かっとなる」。「目の前が赤くなる」ということらしい。

いっぽう、vivre rouge という表現は調べた範囲では辞書で見つかりませんでした。

そうすると、Melos vit rouge. は「メロスはかっとなった」です。

※ 英語の辞書を見ると、英語でも see red で「激怒する」という表現があるようです。


この vit が単純過去なのは、次の文の動詞が  Il décida ...と単純過去になっていることからもわかります。

単純過去は日常会話やニュースの文などには出てこないのでなかなか覚えづらいですね。

たしか昔読んだフランス語の教科書に「見てそれが単純過去だとわかればいい」みたいなことが書かれていたような...。


voir の単純過去の活用を確認しておきましょう。

je vis (ヴィ)
tu vis(ヴィ)
il vit(ヴィ)
nous vîmes(ヴィム)
vous vîtes (ヴィト)
ils virent (ヴィル)


活用語尾は、

je -is
tu -is
il -it
nous -îmes
vous -îtes
ils -irent

となります。


■ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

○ Il décida 「彼は決めた・決心した」。 

décida は décider の単純過去形です。

活用は voir のときとちょっとちがいます。

je décidai (デシデ)
tu décidas (デシダ)
il décida (デシダ)
nous décidâmes (デシダーム)
vous décidâtes (デシダート)
ils décidèrent (デシデール)


活用語尾は、

je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent

となります。

この活用語尾はいわゆる「第一群規則動詞」(不定詞[原形]の語尾が er の動詞の大半)の場合です。

単純過去の活用パターンについてくわしくは、「北鎌フランス語講座」などを見てください...。


○ Il décida de tout faire

「彼はあらゆることをすると決めた・決心した」

〈décider de 不定詞〉で「...すると決める・決心する」。


tout (すべて)が動詞 faire の後(右)ではなく前(左)にあるのはなぜでしょうか。

プチ・ロワイヤル仏和辞典の tout の項目の説明文に次のように出てました。

不定詞の目的語の時は不定詞の前に置かれる: Il veut tout comprendre. 彼はすべてを理解したがっている.

tout が不定詞(=動詞の原形、今回の場合は faire )の目的語になっているときは、その不定詞(原形動詞)の前(左)に置く、ということです。

なので、de faire tout ではなくて de tout faire となります。


○ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi

「彼は、この王を排除するために、あらゆることをすると決めた・決心した」

éliminer は「除去する・排除する・取り除く」。

〈pour + 不定詞〉で「...するために」。

Il décida 彼は決めた de tout faire あらゆることをすると pour éliminer ce roi この王を排除するために


○ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

ce roi の後に形容詞が2つ付いています。

cruel (クリユエル)「残酷な」。英語の cruel (クルーェル)と同じですね。

malfaisant は「有害な, 悪意のある」。mal「悪」を faisant (faireの現在分詞)「成す」という感じです。

「彼は、この残酷で有害な王を排除するために、あらゆることをすると決めた・決心した」


まとめると、

■ Melos vit rouge. Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

「メロスは怒った。この残忍で悪辣な王を排除するためにはなんでもやってやろうと決めた。」

この文は太宰治の『走れメロス』の冒頭、

「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。」

のフランス語訳です。

「邪智」は広辞苑によると「よこしまな知恵。わるぢえ。」とのことです。


原文は以下から引用させてもらいました。

Cours, Melos! - Nouvelles du Japon 


このブログで「単純過去」が出てくる記事


(以上)

2022-10-02

台湾はウクライナとはちがう

Une fois n’est pas coutume, la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois sont d’accord sur un point : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 


新聞「ル・モンド」の今年3月15日の記事 "Taïwan craint d’être l’Ukraine de la Chine" (台湾は中国のウクライナになることを恐れる) からです。

Le Monde, "Taïwan craint d’être l’Ukraine de la Chine"


◇ おおまかな発音

Une fois n’est pas coutume, 
ユヌフワ ネパ クチュム

la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois 
ラプレズィダントタイワネーズ エ レディレジャンシノワ

sont d’accord sur un point : 
ソンダコール シュランプワン

Taïwan n’est pas l’Ukraine. 
タイワン ネパ リュクレヌ


◇ 文を読む

・ Une fois n'est pas coutume.

une fois 「一度」、coutume 「慣習、ならわし」(女性名詞)。

そのまま日本語にすると「一度は慣習ではない」、「一度だけでは慣習ではない」。

これは諺(ことわざ)で、辞書では「異例は慣例にあらず, 一度のことなら大目に見てよい」(クラウン仏和辞典)、「1度だけなら癖にはなるまい;今度だけは大目に見よう」(プチ・ロワイヤル仏和辞典)などとなっています。


・ la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois

「台湾の(女性)総統と中国の指導者たち(は)」

台湾(中華民国)の大統領(総統)は Tsai Ing-wen (ツァイ・インウェン / 蔡英文)、女性です。


・ sont d’accord sur un point

être d'accord 「意見が一致している」。

→「或る一点について(は)意見が一致している」


・  : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 

「すわわち、台湾はウクライナではない、ということだ。」

ドゥポワン(:)deux-points(コロン)は、「すわなち」「つまり」「言い換えれば」という感じになります。


◇ 試訳

Une fois n’est pas coutume, la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois sont d’accord sur un point : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 

今回は特例だ。台湾総統と中国指導者たちは、一つの点では意見が一致している。つまり、台湾はウクライナとはちがう、という点だ。


(ここまで)