日刊紙 Le Monde の Webサイトに、 漫画 『いちえふ ~福島第一原子力発電所労働記~』 の作者、竜田一人 (たつたかずと) さんのインタビューが載っています (2016/3/10付)。
今回はその見出しの文を見てみます。
※ Fukushima : « La haine de Tepco ne doit pas freiner le démantèlement de la centrale »
発音:
La haine de Tepco
ラ エヌ ドゥ テプコ
ne doit pas freiner
ヌ ドワ パ フレネ
le démantèlement de la centrale
ル デマンテールマン ドゥ ラ サントラァル
haine は 「憎しみ、嫌悪」 (女性名詞)。
haine の h はいわゆる 「有音の h (アッシュ)」 なので、定冠詞と縮約して、
l'haine
とはなりません。
la haine de ... で、「~への憎しみ」 という表現になります。
TEPCO は、「東京電力」 ですね。 英語の Tokyo Electric Power Company の頭文字ということです。
doit は devoir の直説法現在三人称単数です。
devoir は否定されると 「~してはならない、~すべきではない」 という禁止の意味になります。
ここまでで、
La haine de Tepco ne doit pas ...
東京電力への憎しみが~してはならない
となります。
続く、freiner は、
ブレーキをかける、抑制する
といういみの動詞です。
ブレーキをかける相手 (freiner の目的語)は、
le démantèlement
です。
これは、「取り壊し、解体、破壊」 です。
ですので、
La haine de Tepco ne doit pas freiner le démantèlement
東京電力への憎しみは解体にブレーキをかけてはならない
です。
さて何の 「解体」 かというと、
le démantèlement de la centrale
となっているので、la centrale の解体ということです。
centrale は女性名詞で 「発電所」 という意味があります。
ですので、全文で、
La haine de Tepco ne doit pas freiner le démantèlement de la centrale
東京電力への憎しみは発電所の解体にブレーキをかけてはならない
↓
東京電力への憎しみのせいで、福島第一原子力発電所の解体にブレーキがかかるようなことになってはいけない
というかんじになります。
□ この記事との関連で、『いちえふ ~福島第一原子力発電所労働記~』 の第一巻冒頭 (フランス語坂) が Le Monde で公開されています。
→ Fukushima : un dessinateur raconte le démantèlement de la centrale
フランス語版のタイトルは、
Au cœur de Fukushima
オ クゥール ドゥ フクシマ
となっています。
au coeur de ... は 「~の中心に」 といういみで使われますが、 coeur には、
(原子炉の) 炉心
といういみもあります。
単行本は、Kana という日本の漫画やアニメを扱っているサイトで出ています。
また、日本語でも同じ冒頭が公開されています。
→ いちえふ ~福島第一原子力発電所労働記~/竜田一人 【第34回MANGA OPEN大賞受賞作品】 - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ