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2014-02-28

それで、きみは満足かね?

(フランス語初級)


Alors, tu es contente ?

[ Francois Mauriac (1885-1970), "Thérèse Desqueyroux", 1927 ]

20世紀の作家、フランソワ・モーリヤックの『テレーズ・デスケルー』という小説から。

発音ですが、疑問文なので最後を上がり調子に読みましょう。

Alors,
アロール
tu es contente ?
テュ エ コンタントゥ

alorsは「それじゃ、それで」みたいな感じで、会話のきっかけを与えています。

contente は形容詞 content の女性形で (ということは、 主語の tu は女性ですね ) 、意味は 「満足した、うれしい」 などでした。

ですので、

    Tu es contente.

で 「きみは(あなたは) 満足している、うれしい」 となり、今回はこれが疑問形

    Tu es contente ?

なので、「きみは満足かね?」 「うれしいかい?」 となります。

全文の

    Alors, tu es contente ?

だと、「 それで、君は満足なのかね?」 っていう感じでしょうか。


◆  フランス語の疑問形の作り方は大きく分けると三つあって、今回の場合はそのうちの一つ、肯定文(疑問や否定ではない文) の最後に 「 ?」 を付けるというやり方です。

他には、 文頭に Est-ce que (エスク) を付けるやり方、

    Est-ce que tu es contente?

主語と動詞を倒置する方法、

    Es-tu contente?

がありました。


◆ 『テレーズ・デスケルー』 は、 地方の閉じ込められた暮らしの倦怠から、夫を毒殺しようとした女の話。

翻訳は作家 遠藤周作の訳で 『テレーズ・デスケルウ』 (講談社文芸文庫) など。




映画化もされていますが、日本語字幕のものはないようです。

フランス語版の DVD は "Thérèse Desqueyroux" (amazon.fr) で。

フランス語原文は Association @lyon というサイトにあります。


2014-02-27

この本が明らかにしているのは 4

[フランス語中級]

この本が明らかにしているのは 3」 (レーニンの 『帝国主義論』 序文) の続きです。

(なかなか終わりません...。)


原文:

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


前回は、

    Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, ...

    この書が明らかにしているのは、1914年から1918年の戦争が両陣営ともに帝国主義戦争であり( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり )、世界の分割のための戦争だったということである。

までやりました。

今回はこの文の最後の une guerre pour le partage du monde の後に、 pour la distribution et la redistribution des colonies と続く箇所を扱います。


発音は、

    pour la distribution
    プール ラ ディストリビュション

    et la redistribution
    エ ラ ルディストリビュション

    des colonies
    デ コロニ

です。


この pour 以下の箇所は、直前の pour le partage du monde と同じパターン (同格) だと予想できます。


図式化すると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste
            ( ... )
        une guerre
            pour le partage du monde,
            pour la distribution et la redistribution des colonies,

という感じでしょうか。


pour la distribution et la redistribution des colonies の、 distribution は 「配分、分配」 で、redistribution は 「再配分、再分配」 です。

* redistribution の re- は 「再」 という意味を持っています。

colonie は 女性名詞で 「植民地」 です。

ですので、 la distribution et la redistribution des colonies で、「植民地の分配と再分配」 となります。


ではさきほどの骨格図に沿って日本語を入れて行きましょう。

    la guerre de 1914-1918 a été
    1914-1918の戦争は...だった
        une guerre impérialiste
        帝国主義戦争
            ( ... )
        une guerre
        戦争
            pour le partage du monde,
            世界の分割のための
            pour la distribution et la redistribution des colonies,
            植民地の分配と再分配のための

これをつなげて訳してみましょう。

    1914-1918の戦争は 帝国主義戦争 であり、世界の分割のための、 植民地の分配と再分配のための戦争だった。


では、省略した箇所も入れて訳しましょう。

    Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies,

この本が明らかにするのは、1914-1918年の戦争がどちらの陣営から見ても帝国主義戦争であり ( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり ) 、世界の分割のための戦争、 植民地の分配と再分配のための戦争だったということである。


2014-02-26

上級仏単語: patrimoine

今日の単語は、

    patrimoine

    パトゥリモワーヌ

男性名詞。

意味は、

    世襲財産、遺産

です。



2014-02-25

この本が明らかにしているのは 3

[フランス語中級]

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


レーニンの 『帝国主義論』 序文、 前回前々回からの続きです。


前回は、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage) ...

「この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったこと( すなわち、征服と、略奪と、強奪の戦争だったこと )を明らかにしている。」

というところまででした。


さらに文は続きます。

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde,  ...

丸括弧が閉じた後のカンマの後にまた une guerre ... が出てきました。

こういう場合、最初に出てきた表現の言い換え、言い直し、追加説明などのパターンが考えられます。

丸括弧の部分などを省いて骨格だけ取り出してみると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste,
        une guerre pour le partage du monde

となります。

つまり、 une guerre impérialiste (帝国主義戦争)を、 une guerre pour le partage du monde と言い替えていることになります。


発音は、

    une guerre pour le partage du monde
    ユヌゲール プール ル パルタージュ デュ モーンドゥ

partage は定冠詞 le がついていることからもわかるように男性名詞で、意味は「分割」。

すると une guerre pour le partage du monde は「世界の分割のための戦争」となります。

ここでの前置詞 pour は目的を表しています。

pour が「目的」を表していることをはっきりさせるように言うと、 「世界の分割を目的とした戦争」となります。


このかたちで訳すと

    la guerre de 1914-1918 a été
       une guerre impérialiste,
       une guerre pour le partage du monde

    1914年から1918年の戦争は
       帝国主義戦争であり、
       世界の分割のための戦争
    だった

という感じです。


さらに括弧の箇所も入れて骨格図にすると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste
             (c'est-à-dire une guerre
                  de conquête,
                  de pillage,
                  de brigandage ),
        une guerre pour le partage du monde


となり、図に対応させて訳すと

    1914年から1918年の戦争は...だった
        帝国主義戦争
           ( つまり戦争
                  征服の
                  略奪の
                  強奪の )
        世界の分割のための戦争


となりますが、これではなんだかよくわからないので、もうちょっと日本語寄りの図にしてみます。

    1914年から1918年の戦争は
        帝国主義戦争であり
           ( つまり
                   征服と
                   略奪と
                   強奪の
               戦争であり )
        世界の分割のための戦争
   だった



では、ここまでの全体を訳して確認しておきましょう。

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde ...

「この書が明らかにしているのは、1914年から1918年の戦争が両陣営ともに帝国主義戦争であり( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり )、世界の分割のための戦争だったということである。」


■ リンク
  → 前回の記事 「この本が明らかにしているのは 2
  → 前々回の記事 「この本が明らかにしているのは 1


■ 翻訳

前々回は、光文社古典新訳文庫の翻訳を紹介しましたが、今回は岩波文庫版です。

・ 『帝国主義―資本主義の最高の段階としての








2014-02-23

上級仏単語 : à huis clos

今日の上級仏単語は熟語表現です。

    à huis clos

à huis clos 非公開で

発音は、「 ア ユィ クロ」 。

フランス人による発音は、いつもの FORVO で確認できます。

huis は、同じ 「ユィ」 という発音で一字違いの huit がありますが、こちらは数字の 8ですね。


à huis clos の意味は、「扉を閉めた状態で」 「非公開で」 です。


huis はもともと 「(家の) 戸口 ・ 扉 」 (男性名詞) という意味ですが、単独で使われることはなく、いつも huis clos という形になります。

clos は clore (閉じる)[クロール] という動詞の過去分詞ですので、「閉じた (閉じられた)」 「閉まった」 です。

なので、 huis clos を直訳すれば 「閉じた扉」 になりますが、実際には huis clos だけだと 「傍聴禁止」 という意味で使われます。

それに前置詞 à がついて à huis clos で、 「扉を閉ざして」 「非公開で」 になります。



◆ サルトルの 「出口なし」

昔 ジャン=ポール・サルトル ( Jean-Paul Sartre ) という有名なフランスの文学者・哲学者がいました (1905-1980)。

その人の戯曲に "Huis clos" というのがあります。


翻訳では 「出口なし」 というタイトルになっています。

つまり huis clos を 「接見禁止」 という訳ではなく、もともとの意味の 「閉ざされた扉」 という意味で訳しているわけです。


その戯曲のなかでとても有名になった言葉があります。

    L'enfer, c'est les Autres.

    地獄っていうのは、他人たちのことなんだな。

です。 ちょっとこわいですね。



※ 蛇足ですが、サルトルの生没年を覚える語呂合わせがあります。

    重苦負いつ、行く我。

    (じゅうく[19] おいつ[05]、 いく [19] われ [80])


たしか 『ジョーク哲学史』 ( 加藤尚武 ) という本に載っていたような気がします。

いざというときに役立てましょう!


※  『ジョーク哲学史』 も 「出口なし」 も手に入りにくいようです。 図書館で探してみてください。



2014-02-22

不幸が俺の神だった

[フランス語初級]

Le malheur  a été mon Dieu.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


今回もアルチュール・ランボーの『地獄の季節』から。

この文は A = B型のシンプルな文ですね。


とりあえず発音を確認しておきましょう。

    Le malheur    ル マルール
    a été                ア エテ
    mon Dieu.      モンディゥ


では、単語の意味を確認しながら文を見ていきましょう。

malheur は男性名詞(定冠詞の le がついていることからもわかります)で、「不幸、災い」といった意味。

a は動詞 avoir が活用したものですね( avoir の直説法現在、三人称単数形 )。

次の été は「夏」でしょうか。

ではなくて、ここでは動詞 être の過去分詞です。

つまり [ avoir + 過去分詞 ] で複合過去形になっています。

現在形にすると 、 a été が est になるので、

    Le malheur est mon Dieu.

となります。


mon は文法用語でいうと 「所有形容詞」で、「私の」 という意味。

Dieu は「神」です。

直前の所有形容詞の mon は男性名詞の単数形につくときの形( 女性名詞の単数形につくときは ma [マ] )なので、Dieu (神) は男性名詞です。

さきほどの現在形にした文、

    Le malheur est mon Dieu.

は、「不幸は私の神である」 ということになります。


で、もとの文は、

    Le malheur  a été mon Dieu.

という過去形 (複合過去形) の文なので、 意味は、

    不幸は私の神でした。

みたいになりますが、「地獄の季節」 は詩なので、それっぽく訳して、

    不幸は俺の神だった。

でどうでしょう。


◆ 所有形容詞

英語でいうと my, your, his, her, our, their などに該当するのが、 mon, ton, son, notre, votre, leur  などの所有形容詞です。

なぜ 「所有形容詞」 というかといえば、「私の」 とか 「あなたの」 とか、「彼の」 とかの意味なので、つまり、「だれだれの」 ということなので、「所有」 の概念・意味を持っていることと、

「だれだれの」 のあとには、そのだれかの 「もの」 となる名詞が付きます。 名詞を修飾するのは 「形容詞」 なので、 「だれだれの」 を表す mon, ton, son, notre, votre は 「所有」 の意味を持った 「形容詞」 ということになります。


[練習]

* フランス語に直せ。

    「不幸はあいつの(彼の)神だった。」

    → Le malheur  a été son Dieu.


※ ランボーの 「地獄の季節」 の翻訳についての情報は、投稿 「俺は逃げた。」 をご覧ください。

※ 原文は、Wikisource にあります。


屋根裏部屋へと通じる木の階段は

フランス語中級

L'escalier de bois qui menait au grenier était très raide.

(Guillaume Apollinaire, "Les Exploits d'un jeune Don Juan", 1911)
  

「ミラボー橋の下 セーヌは流れる」 で有名な ギョーム・アポリネール の小説から。


この文には動詞が 2個出てきます。

menait と était です。

どちらが文の中心となる動詞(文の骨格を作る動詞)でしょうか。

(両方ともそうだ、という可能性もあります。)

menait は qui の後に続いています。 qui はここでは関係代名詞です。

関係代名詞の箇所(関係代名詞節)は、文全体の中心にはなりません。

なぜならば関係代名詞の箇所(関係代名詞節)は、その直前にある名詞を修飾するための箇所なので (その名詞に従属している立場なので)、 文の骨格にはなれないからです。

したがって関係代名詞の箇所を省いてしまっても、その文は文として成立します。


今回の場合、関係代名詞の箇所(関係代名詞節) は、

    qui menait au grenier

の箇所なので、ここを省いた文にすると、

    L'escalier de bois (....) était très raide.
    レスカリエ ドゥ ボワ (...) エテ トゥレ レッドゥ

になります。


主語の部分(主部)は L'escalier de bois で、

escalier (エスカリェ)は男性名詞で「階段」、bois 男性名詞で「木、材木」。

( bois には「森、林」という意味もありますが、ここではこの意味は適しません。)

ですので L'escalier de bois で「木製の階段」 となります。

de bois の前置詞 de は「材質、素材」を表しています。 「材質が木の階段」「木でできた階段」です。

était は動詞 être の直説法半過去形、意味はここでは 「~だった」。

raide は 「(傾斜の)急な、険しい」

したがって L'escalier de bois (....) était très raide. の意味は、「木の階段はとても急だった。」となります。


では、関係代名詞 の箇所 (関係代名詞節)を復活させて考えましょう。

L'escalier de bois ( qui menait au grenier ) était très raide.

発音は、

    qui menait au grenier

    キムネ オ グルニェ

動詞 menait の不定詞(原形)は mener (ムネ)で、通路や道がどこかに 「つながっている、通じる、至る」ことを表します。

「(どこか)に通じる」 の 「〜に」 の部分は、前置詞の à を使います。

ここでは au grenier へと続きます。

(au は前置詞 à と定冠詞 le が合体したもの。)

grenier は定冠詞 le がついているので男性名詞です。

意味は 「屋根裏部屋」。

menait au grenier で 「屋根裏部屋へと通じていた」 という感じです。


では、「何が」 屋根裏部屋へ通じているのでしょうか。

つまり、動詞 menait の主語は?

それが qui menait ... の関係代名詞 qui になります。

qui は、qui の後に続く動詞の主語であり、同時に関係代名詞の箇所 (関係代名詞節) を直前の名詞に結びつけ、その名詞を修飾する役割をします。

この文の場合は qui が修飾している名詞は(すぐ左の bois )ではなく、 L'escalier になります。

(なぜ bois じゃないかというと意味から考えればそうなると思います。)


なので、

    L'escalier ... qui menait au grenier

で、

    階段 ← 屋根裏部屋に通じた

の関係になるので、訳すと、

    「屋根裏部屋に通じている階段」

となるわけです。


全体では、

    L'escalier de bois qui menait au grenier était très raide.

   屋根裏部屋へと通じる木の階段はとても(勾配が)急だった。

という感じです。


◆ 作品情報

Guillaume Apollinaire (ギョーム・アポリネール / 1880-1918 ) は詩人・小説家。

"Les Exploits d'un jeune Don Juan" (レゼクスプロワ ダン ジュン ドン ジュアン) は彼のポルノチックな小説作品。

exploit は「快挙、偉業」 といった意味で、この場合はさまざまな女性と関係を持ったという意味を含んでいます。

そのまま訳せば 「若いドン・ジュアンの快挙」 でしょうか。

邦訳は  『若きドン・ジュアンの冒険』  や 『若きドン・ジュアンの手柄ばなし』 というタイトルなどで出ていましたが、現在は手に入りにくいようです。

原文は Wikisource のページで手に入ります。



2014-02-20

上級仏単語: dégringolade

今日も上級フランス語単語。

今日は、

    dégringolade

    デグランゴラードゥ

なんか、おかしな雰囲気の単語です。

フランス人による発音を FORVOで確認できます


意味は、

     転落、墜落、没落、暴落

などで、悪い意味で(急に)落ちていく感じ、転げ落ちる感じです。


2014-02-18

上級仏単語: cohue

本日の上級フランス語単語は、

  cohue

発音は 「コユ」。

意味は、「人混み、雑踏、群衆」 (女性名詞)。

似た単語でより一般的に使われるのが、 foule (フッル / 女性名詞)。

foule の意味も cohue と同じです。 つまり 「人混み」 「雑踏」 「群衆」 とかです。


2014-02-16

俺は逃げた。

[フランス語初級]

Je me suis enfui.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


これまでにも数回出てきた、アルチュール・ランボー 『地獄の一季節』 からです。

まずは、だいたいの発音です。

   Je me suis enfui.
   ジュムスュィ ザンフュィ

suis の最後の -s と、次の動詞 enfui の en- をリエゾンさせて  「ザンフュィ」 と読みましょう。

その、me suis enfui の箇所ですが、ここは代名動詞の複合過去形になっています。

me suis enfui の不定詞 (原形) は s'enfuir (サンフュィール) で、「逃げる、逃げ去る」 という意味です。

この s'enfuir という代名動詞から、人称代名詞 se を取り去ると enfuir が残りますが、enfuir 単体で利用されることはありません。

enfuir はいつも代名動詞 s'enfuir としてしか使われません。

こういう代名動詞を 「本質的代名動詞」 と言ったりします。

他には se souvenir (「 [de を] 思い出す 」)なども本質的代名動詞です。

* 代名動詞の分類はふつう、「再帰的」 「相互的」 「受動的」 「本質的」 の四つあります。


さて、代名動詞の複合過去形は助動詞に avoir ではなく être を使います。

なので、

   × Je m'ai enfui. 

ではなく、

   ○ Je me suis enfui.

となります。

さらに、本質的代名動詞の複合過去形の過去分詞 (この場合 enfui ) は、主語に性数一致します。

つまり、主語が複数なら -s が、主語が女性名詞なら -e がつきます。

この文の場合、もし主語の Je が女性なら、

   Je me suis enfuie.

となるわけです。

「彼らは逃げた」 なら、

   Ils sont enfuis. (イルソン タンフュィ)

「彼女たちは逃げた」 なら

   Elles sont enfuies. (エルソン タンフュィ

ですね。


代名動詞の複合過去形については、「奇妙な出来事がオランで起こった」 という記事でも触れていますので参考にしてください。

他にも、Webで 「フランス語 代名動詞 複合過去」 とかで検索すればいろんな人がたくさん解説してくれています! 


◇ 訳例

Je me suis enfui.

俺は逃げた。


◇ 翻訳

"Une saison en enfer" は、『地獄の季節』 という題名でいくつかの翻訳が出ています。

とくに 小林秀雄という人の訳 (岩波文庫) が有名です。




また、ランボーのフランス語原文の息づかいに忠実に、注釈付きで訳したものとして、( あのクイズダービーの迷回答で有名な ) 篠沢秀夫さんの 地獄での一季節』 (大修館書店 / 3,675円) があります。

 


上級仏単語: promulguer

フランス語の新聞や批評文などを読むときによく出てくる (と思われる) 単語をチェック!

今日の単語は、

   promulguer

品詞は動詞です。

発音は 「プロミュルゲ」 。

意味は、「(法律を) 発布・公布する」 となります。


2014-02-15

上級仏単語: cumul

今日の上級仏単語は cumul です。

発音は 「キュミュル」、品詞は男性名詞、意味は 「兼任、兼務」 。


この本が明らかにしているのは 2

フランス語中級

レーニンの 『帝国主義論』 序文の続きです。

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


前回の記事 「この本が明らかにしているのは 1」

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]


前回は、丸括弧の部分の前までやりました。

・ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

・ この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったことを、明らかにしている。


今回は、une guerre impérialiste のあとの丸括弧で括られた箇所を見てみます。

( c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage )

とりあえずだいたいの発音を確認。

c'est-à-dire
セタディール
une guerre de conquête,
ユヌゲール ドゥ コンケート
de pillage,
ドゥ ピヤージュ
de brigandage
ドゥ ブリガンダージュ

c'est-à-dire は「言いかえれば、すなわち」。

guerre は女性名詞で「戦争」。

une guerre のあとに de に続く表現が同じパターンで三つ続いています。

une guerre
   de conquête,
   de pillage,
   de brigandage

この3パターンはいずれも une guerre (戦争)を修飾していると考えられます。

  conquête は女性名詞で 「征服」。

  pillage は男性名詞で 「略奪」。

  brigandage は女性名詞で 「強盗 、強奪」。

なので、「征服の、略奪の、強奪の戦争」 などとなります。

そうするとここまでで、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage) ...

「この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったこと( すなわち、征服と、略奪と、強奪の戦争だったこと )を明らかにしている。」

です。


■ リンク




上級仏単語: lucratif

上級仏単語はフランス語の新聞を読むための単語集(のつもり)です。

今日の単語は、

  lucratif

です。

発音は

  リュクラティ~フ

意味は、

  「金のもうかる、営利の」

で、品詞は形容詞。

ネット上の仏仏辞典で見てみたら、 「お金をもたらす」 もののこと、って出ていました。


2014-02-08

上級仏単語: saccager

雪がすごいです...。

今日の上級仏単語は saccager 。

発音はすなおに [サカジェ]。

最後が -er で終わってるので動詞っぽいですね。

そうです、動詞です。

※ でも、最後が -er でも動詞じゃないのもあります。


意味は 「略奪する、荒らす」 です。


覚え方は、「略奪したやつを探せ~(さがじぇ~)!」 ではどうでしょう...か?

ダメ...?


2014-02-06

心で見ないとちゃんと見えない

On ne voit bien qu'avec le coeur. L'essentiel est invisible pour les yeux.

[ Antoine de Saint-Exupéry, "Le petit prince" ]


今回は、アントワーヌ・ドゥ・サン=テグジュペリの 『ちっちゃな王子』 ( 『星の王子さま』 ) の有名な一節。



   ※ Le Petit Prince de Saint Exupéry


だいたいの発音は、

    On ne voit bien

    オンヌヴォワビャン

    qu'avec le coeur.

    カヴェク ル クール

です。


この最初の文には ne ... que という表現が使われています。

この ne ... que を取り去ると、

    On voit bien avec le coeur.

となります。

意味は、

    On voit bien    人はちゃんと見える

    avec le coeur  心で

となり、「心でもってちゃんと見える」、「心で見ればちゃんと見える」みたいな感じになります。


この場合の前置詞の avec は〈手段〉を表します。つまり「〜を使って」「〜を手段として」といういみです。

avec le coeur で「心を使って」「心を手段として」、です。

voir は「見える、目に入る」(英語の see )ですが、「何が」見えるのか(つまり動詞 voir の目的語)は記述されていません。

    ※ ここでちょっと voir の現在形(直説法現在形)の活用を確認しておきましょう。

      je vois ジュ ヴォワ
      tu voit テュ ヴォワ
      il voit イル ヴォワ
      nous voyons ヌ ヴォワィヨン
      vous voyez ヴ ヴォワィエ
      ils voient イル ヴォワ


さて ne ... que ですが、これは「〜しか...ない」という〈限定〉の表現ですね。

何を 〈限定〉するかというと、que の直後にある語句を限定します。

    On ne voit bien qu'avec le coeur.

この文の場合は、 qu'avec le coeur なので、「心でしか...しない」となるわけです。

    ※ que は次に母音で始まる語がくると 〈エリジオン〉 します。つまり 〈 qu' 〉 という形になって次の語とくっつきます。


まとめると、

    On ne voit bien     人はよく見えない

    qu'avec le coeur.   心を手段としてしか


となって、つまり、この文の意味は、

    人は心でのみちゃんと見える。

    心で見ないとちゃんと見えないんだよ。

という感じです。


◆ リンク


→ 翻訳はいっぱいあります、たとえば 『ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫) 』。