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2022-11-21

メロスは激怒した

Melos vit rouge. Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

短編小説の冒頭からです。


◆ おおまかな発音:

Melos vit rouge. 
メロス ヴィルージュ

Il décida de tout faire
イルデシダ ドゥトゥフェール

pour éliminer
プールエリミネ

ce roi cruel et malfaisant.
スロワクリュエル エ マルフザン


■ Melos vit rouge. 

この動詞 vit は vivire の直説法現在形3人称単数、 il vit の vit でしょうか?

それとも、voir の直説法単純過去の il vit の vit?

vivire だとすると、 vivre rouge で「赤く生きる」?

voir だと voir rouge、「赤く見る」?

辞書を見てみます。

rouge の項目に voir rouge という表現があります。

「かっとなる」。「目の前が赤くなる」ということらしい。

いっぽう、vivre rouge という表現は調べた範囲では辞書で見つかりませんでした。

そうすると、Melos vit rouge. は「メロスはかっとなった」です。

※ 英語の辞書を見ると、英語でも see red で「激怒する」という表現があるようです。


この vit が単純過去なのは、次の文の動詞が  Il décida ...と単純過去になっていることからもわかります。

単純過去は日常会話やニュースの文などには出てこないのでなかなか覚えづらいですね。

たしか昔読んだフランス語の教科書に「見てそれが単純過去だとわかればいい」みたいなことが書かれていたような...。


voir の単純過去の活用を確認しておきましょう。

je vis (ヴィ)
tu vis(ヴィ)
il vit(ヴィ)
nous vîmes(ヴィム)
vous vîtes (ヴィト)
ils virent (ヴィル)


活用語尾は、

je -is
tu -is
il -it
nous -îmes
vous -îtes
ils -irent

となります。


■ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

○ Il décida 「彼は決めた・決心した」。 

décida は décider の単純過去形です。

活用は voir のときとちょっとちがいます。

je décidai (デシデ)
tu décidas (デシダ)
il décida (デシダ)
nous décidâmes (デシダーム)
vous décidâtes (デシダート)
ils décidèrent (デシデール)


活用語尾は、

je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent

となります。

この活用語尾はいわゆる「第一群規則動詞」(不定詞[原形]の語尾が er の動詞の大半)の場合です。

単純過去の活用パターンについてくわしくは、「北鎌フランス語講座」などを見てください...。


○ Il décida de tout faire

「彼はあらゆることをすると決めた・決心した」

〈décider de 不定詞〉で「...すると決める・決心する」。


tout (すべて)が動詞 faire の後(右)ではなく前(左)にあるのはなぜでしょうか。

プチ・ロワイヤル仏和辞典の tout の項目の説明文に次のように出てました。

不定詞の目的語の時は不定詞の前に置かれる: Il veut tout comprendre. 彼はすべてを理解したがっている.

tout が不定詞(=動詞の原形、今回の場合は faire )の目的語になっているときは、その不定詞(原形動詞)の前(左)に置く、ということです。

なので、de faire tout ではなくて de tout faire となります。


○ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi

「彼は、この王を排除するために、あらゆることをすると決めた・決心した」

éliminer は「除去する・排除する・取り除く」。

〈pour + 不定詞〉で「...するために」。

Il décida 彼は決めた de tout faire あらゆることをすると pour éliminer ce roi この王を排除するために


○ Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

ce roi の後に形容詞が2つ付いています。

cruel (クリユエル)「残酷な」。英語の cruel (クルーェル)と同じですね。

malfaisant は「有害な, 悪意のある」。mal「悪」を faisant (faireの現在分詞)「成す」という感じです。

「彼は、この残酷で有害な王を排除するために、あらゆることをすると決めた・決心した」


まとめると、

■ Melos vit rouge. Il décida de tout faire pour éliminer ce roi cruel et malfaisant. 

「メロスは怒った。この残忍で悪辣な王を排除するためにはなんでもやってやろうと決めた。」

この文は太宰治の『走れメロス』の冒頭、

「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。」

のフランス語訳です。

「邪智」は広辞苑によると「よこしまな知恵。わるぢえ。」とのことです。


原文は以下から引用させてもらいました。

Cours, Melos! - Nouvelles du Japon 


このブログで「単純過去」が出てくる記事


(以上)

2022-10-02

台湾はウクライナとはちがう

Une fois n’est pas coutume, la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois sont d’accord sur un point : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 


新聞「ル・モンド」の今年3月15日の記事 "Taïwan craint d’être l’Ukraine de la Chine" (台湾は中国のウクライナになることを恐れる) からです。

Le Monde, "Taïwan craint d’être l’Ukraine de la Chine"


◇ おおまかな発音

Une fois n’est pas coutume, 
ユヌフワ ネパ クチュム

la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois 
ラプレズィダントタイワネーズ エ レディレジャンシノワ

sont d’accord sur un point : 
ソンダコール シュランプワン

Taïwan n’est pas l’Ukraine. 
タイワン ネパ リュクレヌ


◇ 文を読む

・ Une fois n'est pas coutume.

une fois 「一度」、coutume 「慣習、ならわし」(女性名詞)。

そのまま日本語にすると「一度は慣習ではない」、「一度だけでは慣習ではない」。

これは諺(ことわざ)で、辞書では「異例は慣例にあらず, 一度のことなら大目に見てよい」(クラウン仏和辞典)、「1度だけなら癖にはなるまい;今度だけは大目に見よう」(プチ・ロワイヤル仏和辞典)などとなっています。


・ la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois

「台湾の(女性)総統と中国の指導者たち(は)」

台湾(中華民国)の大統領(総統)は Tsai Ing-wen (ツァイ・インウェン / 蔡英文)、女性です。


・ sont d’accord sur un point

être d'accord 「意見が一致している」。

→「或る一点について(は)意見が一致している」


・  : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 

「すわわち、台湾はウクライナではない、ということだ。」

ドゥポワン(:)deux-points(コロン)は、「すわなち」「つまり」「言い換えれば」という感じになります。


◇ 試訳

Une fois n’est pas coutume, la présidente taïwanaise et les dirigeants chinois sont d’accord sur un point : Taïwan n’est pas l’Ukraine. 

今回は特例だ。台湾総統と中国指導者たちは、一つの点では意見が一致している。つまり、台湾はウクライナとはちがう、という点だ。


(ここまで)




2022-07-25

ONE PIECE に熱狂するフランス

C’est un phénomène qui va déferler le 8 décembre : la sortie du 100e tome de “One Piece” est attendue par des centaines de milliers de lecteurs en France, où il détrône presque le Gaulois Astérix. 

[ “One Piece”, une folie française. ( M Le magazine du Monde. 2021.12.04, No.533 )]

※ フランスの日刊紙 Le Monde が発行している週刊誌 " M Le magazine du Monde " の、昨年12月の記事のリード文から。

マンガ『ONE PIECE』第100巻のフランス語版の発売を待ち望むフランス人についての話です。

    → 関連記事:Le manga « One Piece », une passion française


【記事のタイトル】

記事のタイトルは、

“One Piece”, une folie française. 

ワンピース ユヌフォリフランセーズ

『ワンピース』、フランス(人)の熱狂
    ↓
『ワンピース』に熱狂するフランス

みたいな感じになっています。


【発音】

おおまかな発音です。

※ カタカナなのであくまで「おおまか」にです。

C’est un phénomène qui va déferler le 8 décembre : 
セタンフェノメーヌ キヴァデフェルレ ルユィット デサンブル

la sortie du 100e tome de “One Piece” est attendue 
ラソルティ デュサンティェームトム ドゥワンピース エタタンデュ

par des centaines de milliers de lecteurs en France, 
パル デサンテーヌ ドゥミリェ ドゥレクトゥール アンフランス

où il détrône presque le Gaulois Astérix. 
ウ イルデトゥローヌ プレスク ルゴロワアステリクス


【文の解説】

[01] C’est un phénomène ... : 

これ(それ)は...な現象だ


phénomène は「現象」、不定冠詞 un がついているので男性名詞ですね。

この Ce は、この文の終りにあるコロン( : )のあとに続く事態を指していると考えられます。


[02] C’est un phénomène qui va déferler le 8 décembre 

これは12月8日に沸き起ころうとしている現象だ。


qui は関係代名詞で、次の動詞 va (aller) の主語。

関係代名詞節 qui va déferler le 8 décembre が un phénomène を修飾。

déferler(動詞)は「波が砕け散る」こと。

ここでは「或る現象」が、「波が砕け散る」ように「沸き起ころう」としていることです。


[03] la sortie du 100e tome de “One Piece” est attendue 

『ONE PIECE』の第100巻の発売が待たれている


soritie は動詞 sortirの名詞。「外出」。ここではマンガが soitir することなので「発行」「発売」。 定冠詞 la がついているので女性名詞だとわかります。

tome は1巻、2巻の「巻」。ここでは le 100e tome なので「100巻目」。定冠詞が le なので tome は男性名詞。(tome が男性名詞なので定冠詞は le 。)

100e は centième 。

attendue は動詞 attendre の過去分詞の女性形。受動態になっています。主語の la soritie が女性名詞なので、語末に e がついてます。


[04] par des centaines de milliers de lecteurs en France

フランスで数十万の読者によって(→ 待たれている)


un centaine de ... で「およそ100くらいの...」、un millier de ... だと「およそ1000くらいの...」。

des centaines de milliers de ... はそれが組み合わさって複数になっています。1000の100倍なので、「およそ数十万くらいの...」。

lecteur は lire する人。読者。


[05] la sortie du 100e tome de “One Piece” est attendue par des centaines de milliers de lecteurs en France

ONE PIECE 100巻目の発売が、フランスの数十万の読者によって待たれている。

 

[06] où il détrône presque le Gaulois Astérix. 

そこ(フランス)では、それはほぼゴール人アステリクスの権威に取って代わる

où はここでは関係代名詞。この部分全体が、直前の名詞 France の説明になっています。

où は「そこでは」っていう感じで読むといいです。

détrôner は、trône(王座・王位)を dé(除去・剥奪)するので「廃位する」。そこから「権威を失わせる, とって代わる」。

gaulois は Gaule (ゴール, ガリア)の形容詞で、「ガリア, ゴールの」「ガリア, ゴール人の」。

Astérix(アステリクス)は、フランス(ヨーロッパ?)では知らない人はいない、バンドデシネ(マンガ)です。主人公の名前が Astérix です。

古代ローマ時代のゴール(ガリア: 現在のフランスを含む地域)で、ローマの侵略と戦うコミカルなヒーローです。

そのアステリクスの人気(王座・権威)に One Piece が取って代わる(détrôner)、ということです。


【訳例】

C’est un phénomène qui va déferler le 8 décembre : la sortie du 100e tome de “One Piece” est attendue par des centaines de milliers de lecteurs en France, où il détrône presque le Gaulois Astérix. 

12月8日に一つの現象が沸き起ころうとしている。フランスの数十万の読者によって、ONE PIECE 100巻目の発売が待たれているのだ。ゴール人アステリクスの権威が取って代わられようとしている。


(ここまで)


2022-05-05

ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所で

Dans un bouge de quartier de Londres, dans un lieu hétéroclite des plus sales, au sous-sol, Dirty était ivre. Elle l'était au dernier degré, j'étais près d'elle (ma main avait encore un pansement, suite d'une blessure de verre cassé). Ce jour-là, Dirty avait une robe du soir somptueuse (mais j'étais mal rasé, les cheveux en désordre). Elle étirait ses longues jambes, entrée dans une convulsion violente. Le bouge était plein d'hommes dont les yeux devenaient très sinistres. Ces yeux d'hommes troublés faisaient penser à des cigares éteints. Dirty étreignait ses cuisses nues à deux mains. Elle gémissait en mordant un rideau sale. Elle était aussi saoule qu'elle était belle : elle roulait des yeux ronds et furibonds en fixant la lumière du gaz.


フランスの20世紀の思想家・作家の Gerotes Bataille の小説 "Le Bleu du ciel"(空の青)の冒頭部分です。

一文ずつざっと見てみます。


01. Dans un bouge de quartier de Londres ロンドンの街の安酒場で, dans un lieu hétéroclite des plus sales 一番汚い場所のうちの雑多な一箇所で, au sous-sol 地下で, Dirty était ivre ダーティーは酔っていた. 

  • bouge : 汚く狭苦しい家, 安酒場
  • hétéroclite : 雑多な

→ ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所、その地下で、ダーティーは酔っていた。


02. Elle l'était au dernier degré 彼女はこの上なく酔っていた, j'étais près d'elle 私は彼女のそばにいた (ma main avait encore un pansement 私の片手にはまだ包帯があった, suite d'une blessure de verre cassé 割れたグラスによる傷の結果[としての] ). 

  • au dernier degré : この上なく
  • pansement : 包帯
  • suite : (女性名詞) 結果

→ 完全に酔っ払っていた。私は彼女のそばにいた(私の手にはまだ包帯が巻かれていた。割れたグラスで手を切ったのだ)。


03. Ce jour-là その日, Dirty avait une robe du soir somptueuse ダーティーは豪華なイブニングドレスを着ていた (mais j'étais mal rasé しかし私はちゃんと髭を剃ってなかった, les cheveux en désordre 髪はくしゃくしゃで). 

  • somptueux : 豪華な
  • raser : 髭を剃る

→ その日のダーティーは豪華なイブニングドレスをまとっていた(私のほうはちゃんと髭も剃らず、髪はぼさぼさだった)。


04. Elle étirait ses longues jambes 彼女は長い脚を伸ばしていた, entrée dans une convulsion violente 激しい麻痺状態に入って. 

  • étirer : (手足を)伸ばす
  • convulsion : 痙攣, 身悶え

→ 彼女は長い脚をピンと伸ばして、激しく身悶えし始めた。


05. Le bouge était plein d'hommes その安酒場は男たちでいっぱいだった dont les yeux devenaient très sinistres その男たちの目はとても陰険になっていた. 

  • sinistre : 不吉な, 陰鬱な, 陰険な

→ 酒場は男たちでいっぱいで、みなひどく陰鬱な目つきになっていた。


06. Ces yeux d'hommes troublés 男たちの濁った目は faisaient penser à des cigares éteints 火の消えた葉巻を思わせた . 

  • troublé : 濁った
  • éteint : 消えた [ éteindre(消す)の過去分詞 ]

→ 男たちの濁った目つきは火の消えた葉巻を思わせた。


07. Dirty étreignait ダーティーは抱きしめていたい ses cuisses nues 自分のむきだしのももを à deux mains 両手で . 

  • étreignait : étreindre(抱きしめる)の半過去形
  • cuisse : (女性名詞)腿(もも)。(女性の)尻。

→ ダーティーはむき出しになった自分の太ももに両手でしがみついていた。


08. Elle gémissait 彼女は呻いていた en mordant un rideau sale 汚いカーテンを噛みながら . 

  • gémir : 呻く(うめく)、嘆く(なげく) 

→ 汚らしいカーテンに噛みつき呻く。


09. Elle était aussi saoule qu'elle était belle 彼女は彼女が美しいのと同じくらい酔っていた : 

saoul : soûl と同じ。「酔った」。発音は「スー」。女性形 saoule は「スッル」 

→ 彼女の酩酊の度合いは、彼女の美しさに比例していた。


10. elle roulait des yeux ronds et furibonds 彼女は丸く怒りに満ちた両目を回していた en fixant la lumière du gaz ガスの明かりをじっと見つめながら . 

  • furibond :  怒り狂った, 怒気を含んだ → furieux
  • fixer : じっと見つめる

→ 怒りに満ちた丸い目をくるくるさせて、ガスの明かりにじっと目を凝らしている。


まとめて:

ロンドンの街の安酒場、薄汚れた界隈の雑多な場所、その地下で、ダーティーは酔っていた。完全に酔っ払っていた。私は彼女のそばにいた(私の手にはまだ包帯が巻かれていた。割れたグラスで手を切ったのだ)。その日のダーティーは豪華なイブニングドレスをまとっていた(私のほうはちゃんと髭も剃らず、髪はぼさぼさだった)。彼女は長い脚をピンと伸ばして、激しく身悶えし始めた。酒場は男たちでいっぱいで、みなひどく陰鬱な目つきになっていた。男たちの濁った目つきは火の消えた葉巻を思わせた。ダーティーはむき出しになった自分の太ももに両手でしがみついていた。汚らしいカーテンに噛みつき呻く。彼女の酩酊の度合いは、彼女の美しさと比例していた。怒りに満ちた丸い目をくるくるさせて、ガスの明かりにじっと目を凝らしている。 


(ここまで)


2022-05-04

地下鉄のザジ 冒頭

Doukipudonktan, se demanda Gabriel excédé. Pas possible, ils se nettoient jamais. Dans le journal, on dit qu’il y a pas onze pour cent des appartements à Paris qui ont des salles de bains, ça m’étonne pas, mais on peut se laver sans. Tous ceux-là qui m’entourent, ils doivent pas faire de grands efforts. D’un autre côté, c’est tout de même pas un choix parmi les plus crasseux de Paris. Y a pas de raison. C’est le hasard qui les a réunis. On peut pas supposer que les gens qu’attendent à la gare d’Austerlitz sentent plus mauvais que ceux qu’attendent à la gare de Lyon. Non vraiment, y a pas de raison. Tout de même quelle odeur.

(Raymond Queneau, "Zazie dans le métro", 1959)


20世紀の作家、レイモン・クノーの『地下鉄のザジ』(1959)の冒頭の段落です。

※ 最初の一文目の解説は、「いったいどこから臭ってくるんだ」(2022.4.25) にあります。

一文ずつ、試訳をあげておきます。

Doukipudonktan, se demanda Gabriel excédé.
いったいどこから臭ってくるんだ? ガブリエルはうんざりして言った。

Pas possible, ils se nettoient jamais.
冗談じゃない、体を洗ったりなんかしないんだな。

Dans le journal, on dit qu’il y a pas onze pour cent des appartements à Paris qui ont des salles de bains,
新聞で言ってた、パリで風呂のあるアパートは11パーセントもないって。

ça m’étonne pas, mais on peut se laver sans. 
だろうね。でもなくたって洗えるじゃないか。

Tous ceux-là qui m’entourent, ils doivent pas faire de grands efforts.
俺のまわりのこいつらみんな、たいした努力もしないってわけだ。

D’un autre côté, c’est tout de même pas un choix parmi les plus crasseux de Paris. まあだけど、パリで一番垢だらけの場所の中からここが選ばれたってわけじゃない。

Y a pas de raison.
理由なんかないんだ。

C’est le hasard qui les a réunis.
ここに集まってきたのは偶然なのさ。

On peut pas supposer que les gens qu’attendent à la gare d’Austerlitz sentent plus mauvais que ceux qu’attendent à la gare de Lyon. 
オーステルリッツ駅で待ってるやつらのほうがリヨン駅で待ってるやつらより臭い、なんてことは言えないんだ。

Non vraiment, y a pas de raison.
そうさ、理由なんかない。

Tout de même quelle odeur.
それにしたってなんて匂いだ。


まとめて:

いったいどこから臭ってくるんだ? ガブリエルはうんざりして言った。冗談じゃない、体を洗ったりなんかしないんだな。新聞で言ってた、パリで風呂のあるアパートは11パーセントもないって。だろうね。でもなくたって洗えるじゃないか。俺のまわりのこいつらみんな、たいした努力もしないってわけだ。まあだけど、パリで一番垢だらけの場所の中からここが選ばれたってわけじゃない。ここに集まってきたのは偶然なのさ。オーステルリッツ駅で待ってるやつらのほうがリヨン駅で待ってるやつらより臭い、なんてことは言えないんだ。そうさ、理由なんかない。それにしたってなんて匂いだ。
[レイモン・クノー『地下鉄のザジ』]


(以上)


2022-05-01

死ぬほどの苦しみだったので

Dans sa mortelle angoisse, tous les dangers lui eussent semblé préférables. 

[Stendhal, "Le Rouge et le Noir"]

19世紀の小説家スタンダールの『赤と黒』からです。

お金持ちの家の家庭教師になった、若くて利発で貧乏な主人公ジュリアンが、その家の奥さんを誘惑してやろうと手を握ろうとするけれど、なかなかその勇気がでずに苦しんでいる場面です。


【おおまかな発音】

Dans sa mortelle angoisse, 

ダンサモルテランゴワッス

tous les dangers lui eussent semblé préférables. 

トゥレダンジェ リュィイッスサンブレ プレフェラーブル


【語句】

mortelle : 形容詞 mortel の女性形。名詞 mort(死)の形容詞形。いみは「死すべき」「致命的な」「(死ぬほど)つらい」。

angoisse : 女性名詞。激しい不安や恐れ・苦悩。

sembler : 「~のように思われる・見える」。後ろに動詞の不定形(原形)

préférable : 形容詞。「より好ましい」。動詞形は préférer 「~をより好む」。


【文法】

eussent semblé の eussent は、動詞 avoir の接続法半過去形です。


avoir の接続法半過去形の活用は、

j' eusse [ジュス]
tu eusses [テュ ユス]
il eût [イリュ]
nous eussions [ヌズュシィオン]
vous eussiez [ヴズュシィエ]
ils eussent [イルズュス]

です。

覚えにくい...。


eussent semblé は〈avoirの接続法半過去 + 動詞の過去分詞〉なので「接続法大過去」です。

ここでの接続法大過去の用法ですが、いわゆる「条件法過去第2形」と言われる用法で、条件法過去形の代わりに使われます。

つまり、過去における仮定に対する帰結をあらわして「~だっただろう」という感じです。

この eussent semblé を条件法過去形で書けば、aurait  semblé となります。


【訳文】

Dans sa mortelle angoisse 彼の死ぬほどの苦悩の中では, tous les dangers あらゆる危険が lui eussent semblé 彼には思えただろう préférables より好ましく. 

→ 死ぬほどの苦悩の中では、あらゆる危険も彼には好ましく思えただろう。

⇒ 死ぬほどの苦しみだったので、他のどんな危険も彼にはましに思えただろう。


(以上)

2022-04-30

カトリック教会は極右に対する防波堤だった

Longtemps, l’Église catholique a semblé constituer un barrage à l’influence du Front national : plus les électeurs étaient pratiquants, moins ils votaient pour l’extrême droite. Ce n’est plus le cas. 

[Le Monde, Éditorial, 2022.04.21, "La discrétion de l’Église face à l’extrême droite"]


フランスの新聞 Le Monde の4月21日の社説(l'Éditorial)の冒頭です。

タイトルは、

La discrétion de l’Église face à l’extrême droite

極右を前にした教会の遠慮

となっています。


[発音]

Longtemps, l’Eglise catholique a semblé constituer un barrage 

ロンタン レグリーズカトリーク アサンブレ コンスティチュエ アンバラージュ

à l’influence du Front national : 

アランフリュアンス デュフロンナショナル

plus les électeurs étaient pratiquants,

プリュレゼレクトゥール エテ プラティカン 

moins ils votaient pour l’extrême droite. 

ムワン イルヴォテ プールレクストレームドロワット

Ce n’est plus le cas.

スネプリュルカ


[分かち訳]

Longtemps 長い間, 

l’Église catholique カトリック教会は 

a semblé ...に見えた 

constituer un barrage 障害となっている 

à l’influence du Front national 国民戦線の影響への 

: つまり、

plus les électeurs étaient pratiquants 有権者たちが宗義を守る人たちであればあるほど, 

moins ils votaient その人たちは投票することが少なかった 

pour l’extrême droite 極右へ. 

Ce n’est plus le cas もはやそういう場合ではない。


[語句]

Église catholique : カトリック教会。église は女性名詞。

constituer : ~を構成する, ~となる

barrage :[男性名詞] 通行止め、せき止めるための障害物

influence : [女性名詞] 影響

Front national : 国民戦線

: (deux points) : すなわち, つまり, というのも 

électeur : 選挙人, 有権者

pratiquant : 宗教の決まりを守る人。 catholique pratiquant で「日曜ごとに教会に行くカトリック教徒」。

voter : 投票する

extrême droite : 極右

Plus ..., moins ~. :  ...すればするほど、ますます~でなくなる。

cas :[男性名詞] 場合, 事態。 Ce n'est pas le cas. で「実際はそうではない」。


[訳文]

長いあいだカトリック教会は国民戦線の影響を防ぐものとなっているように見えた。つまり、日曜のミサにきちんと行く人有権者たちであればあるほど、極右に投票することがなかった。しかしもはやそうではない。


(以上)

2022-04-25

いったいどこから臭ってくるんだ

Doukipudonktan, se demanda Gabriel excédé.

(Raymond Queneau, "Zazie dans le métro", 1959)


20世紀の作家、レイモン・クノーの『地下鉄のザジ』(1959)の冒頭の一文です。


おおまかな発音:

Doukipudonktan, se demanda Gabriel excédé.

ドゥキピュドンクタン スドゥモンダ ガブリエル エクセデ


最初の長い単語(?)、doukipudonktan は辞書に載ってません(たぶん)。

doukipudonktan(ドゥキピュドンクタン)は、

D'où qu'il pue donc tant ?
ドゥキルピュドンクタン

という文を、口語で実際に発音したときの音を表しています。

ふつうに書くと、

D'où qu'il pue donc tant ?
ドゥキルピュドンクタン

ですが、その ル( il の l )の音が落ちて

Doukipudonktan ドゥキピュドンクタン

となっています。

ふつうはこんな書き方はしません。

この小説の作者(レイモン・クノー)はわざとこんな書き方をしたんでしょう(たぶんおもしろがって?)。


で、もとの文

D'où qu'il pue donc tant ?

の、

D'où は de + où。英語だと from where で「どこから」。


D'où qu'il pue ... の que は何かというと...。

この文全体は疑問文ですが、ふつうの疑問文の書き方だと、たとえば、

D'où esc-ce qu'il pue donc tant ?

というように est-ce que を入れたりします。

D'où qu'il pue donc tant ? の que はおもに口語で、この est-ce que の代わりとして使われるようです。

たとえば、手元にある仏和辞典には、

《話》 疑問詞+que 《=疑問詞+est-ce que, 倒置を避けるため》.

Pourquoi que tu demandes ça? どうしてそんなことを聞くんだ

とあります(クラウン仏和辞典より)。


donc はここでは

 《疑問・命令・驚きなどの強調》いったい,へえ,おい,まさか(プチ・ロワイヤル仏和辞典) 

にある、「いったい」っていうかんじでしょう。


pue は puer (悪臭を発する、臭い)という動詞。

il pue の主語の il は、意味を持たない、形式上の主語です。

たとえば辞書にはこんな例文が載っていました。

Ça pue dans cette salle. この部屋は臭い. (クラウン仏和辞典)

この Ça と同じかんじです。


tant は「そんなに」「とても」。


ここまでで Doukipudonktan ( D'où qu'il pue donc tant ) ? は、

いったいどこからこんなに臭ってるんだ?

となります。


次の、

se demanda Gabriel excédé

では、述語動詞の se demanda と、主語の Gabriel が倒置しています。

これは疑問の形ではないです。

「...とガブリエルは自問した」です。

demanda は、demander の単純過去です。

se demander は demander の代名動詞で「自問する」「いぶかる」です。


こういう場合、ふつうはその前の Doukipudonktan を、引用符で囲んで、

"Doukipudonktan", se demanda Gabriel excédé.

とします。


さいごの excédé は、動詞 excéder(超える)の過去分詞です。

excéder には「疲れさせる」「いらいらさせる」という意味もあります。がまんできる状態を〈超える〉っていうことから来ているのでしょう。

ですので、過去分詞 excédé は「疲れた」「いらいらした」となります。

Doukipudonktan, se demanda Gabriel excédé.

いったいどこからこんなに臭ってくるんだ、いらいらしたガブリエルは自問した。 

この excédé を形容詞的に Gabriel を修飾してるんじゃなくて、副詞っぽく動詞部分(se demanda)を修飾していると考えると、

いったいどこからこんなに臭ってくるんだ? と、ガブリエルはいらいらして言った。

ってかんじになります。 こっちのほうが自然ですね。


(以上)


2022-02-07

単純過去の終わり

Le passé simple serait-il un temps en voie de disparition ? 

フランスのニュース週刊誌「ル・ポワン(Le Point)」のWebサイトの、2017年(2017.12.17)の記事からです。

La fin du passé simple, c'est la perte d'une nuance de l'esprit

フランス語の動詞の活用のなかでも、普段あまり使わないので、なかなか覚えていられない「単純過去」が使われなくなりつつあることについての記事。


◆ 発音

おおまかな発音の確認です。

Le passé simple serait-il un temps en voie de disparition ?
ルパセサンプル スレティル アンタン アンヴォワドディスパリシォン


◆ 解釈

Le passé simple serait-il un temps en voie de disparition ?

この疑問文を平叙文にしてみると、

Le passé simple serait un temps en voie de disparition.

となります。

le passé simple はフランス語の時制の「単純過去」のこと。

serait は動詞 être の条件法現在形。

un temps の temps はここでは単純過去についてのことなので、「時、時間」ではなく、「時制」のこと。

en voie de の voie は「道」(女性名詞)。
en voie de ...で「…の途上に」「…しつつある」というかんじです。

disparition は「消滅」。動詞 disparaître (消滅する)の名詞形ですね。

※ - tion で終わっている名詞は〈女性名詞〉です。

以上で、Le passé simple serait un temps en voie de disparition. は、「単純過去は消滅しつつある時制なのだろう」となります。

このでの seraitの条件法は、断定を避ける用法です。


原文はこれの疑問文、

Le passé simple serait-il un temps en voie de disparition ?

なので、「単純過去は消滅しつつある時制なのだろうか」となります。


◇ この記事のタイトル、

La fin du passé simple, c'est la perte d'une nuance de l'esprit
ラファン デュパセサンプル セラペルト デュヌニュアンス ドゥレスプリ

のほうは、

単純の過去の終わり、それは精神のニュアンスが失われること

となります。

(以上)

2021-10-13

地下鉄の硬い切符が姿を消します

MÉTRO PARISIEN: LE TICKET CARTONNÉ VA COMMENCER À DISPARAÎTRE DES STATIONS EN OCTOBRE

フランスのニュース専門局 BFM TV のWebサイトの一つ ”BFM Paris” の記事(2021.9.31)より。

   → Métro parisien: le ticket cartonné va commencer à disparaître des stations en octobre 


パリのメトロの硬い切符ももうすぐSUICAのようなカードになっていくという記事です。


○ すべて大文字になっている記事のタイトルを小文字にすると、

Métro parisien: le ticket cartonné va commencer à disparaître des stations en octobre


◆ 発音は: 

Métro parisien: le ticket cartonné va commencer 
メトロ パリズィアン ルティケカルトネ ヴァコマンセ

à disparaître des stations en octobre
アディスパレートル デスタスィオン アンノクトーブル


◆ 単語

cartonné ですが、これは動詞 cartonner の過去分詞です。

名詞 carton(男性名詞)は「ボール紙」「厚紙」 で、動詞 cartonner は「厚紙で装丁する」「ハードカバーをつける」などとあります。

cartonné は過去分詞なので「厚紙で装丁した」「ハードカバーの」となります。が、ここでは le ticket cartonné で「厚紙の切符」ということでしょう。

パリの地下鉄の切符は結構な厚紙だった記憶があります(ン十年前)。

 va commencer は〈aller + inf. 〉なので「これから~する」という「近接未来」。

   ※ inf. は「不定詞」(動詞の原形)を表します。 不定詞を表す infinitif(アンフィニテイフ)の略です。

〈 commencer à + inf. 〉で「~し始める」。

disparaître は「なくなる」「姿を消す」。

des stations の station は「駅」。この des は?

不定冠詞複数形の des、なのか、それとも〈 前置詞 de + 定冠詞複数形 les 〉?

いみから考えて「地下鉄の駅から姿を消す」ということでしょうから、前置詞の de は「~から」といういみもあるので、ここの des は〈 前置詞 de + 定冠詞複数形 les 〉ですね。


◆ 文全体の意味

Métro parisien パリの地下鉄 : le ticket cartonné 厚紙の切符は va commencer à disparaître まもなく姿を消し始めるでしょう des stations 駅から en octobre 10月に

パリの地下鉄: あの硬い紙の切符は10月になると、地下鉄の駅から姿を消し始めます。


(ここまで)


2021-09-14

他者の実存は私たちの自由の条件(ジャン=リュック・ナンシー)

Il développe par exemple, dans **L’Expérience de la liberté** (Galilée, 1988), l’argument selon lequel notre liberté n’est pas un absolu que viendrait limiter l’existence d’autrui. C’est au contraire l’existence d’autrui, et notre « être-avec », qui serait la condition de toute liberté.

["La mort de Jean-Luc Nancy, philosophe de la fragilité de l’existence",  le 26 août 2021, lemonde.fr ] 


フランスの哲学者、ジャン=リュック・ナンシーが少し前に亡くなりました。

そのルモンドの追悼記事の抜粋からです。


◆ 分かち訳

Il développe 彼は(~を)展開している par exemple たとえば, dans **L’Expérience de la liberté** (Galilée, 1988) 『自由の経験』(ガリレー, 1988)において, l’argument 議論を(展開している) selon lequel それ(その議論)によれば notre liberté n’est pas un absolu 私たちの自由は或る絶対的なものではない que viendrait limiter l’existence d’autrui 他者の実存が制限しに来るだろうような(絶対的なもの). 

C’est au contraire 反対に l’existence d’autrui 他者の実存(と), et notre « être-avec » そして私たちの「ともに存在すること」なのである, qui serait la condition de toute liberté あらゆる自由の条件となるだろうものは.


・ selon lequel の lequel は関係代名詞で、先行詞は l'arugument。


・ un absolu que viendrait limiter l’existence d’autrui の que も関係代名詞。先行詞は un absolu。viendrait limiter の主語は l’existence d’autrui。「他者の実存が制限しに来るだろうような絶対的なもの」。

◆ 試訳

『自由の経験』(ガリレー, 1988)において、ジャン=リュック・ナンシーは、以下のような議論を展開している。私たちの自由は、他者の実存によって限界づけられてしまうような絶対的な何かなのではない。反対に、他者の実存や、私たちが「共に存在すること」こそが、あらゆる自由の条件となっているのだ、と。

[「実存の脆さ(もろさ)についての哲学者、ジャン=リュック・ナンシーの死」, ルモンド, 2021.8.26 ]


(ここまで)


2021-09-12

ホテル「空」

先日、車に乗っていたら「空」という名前のホテルがあった。

ホテル ciel

秋の青い空とホテル「Ciel」。

ciel(シィェル)は「空」(男性名詞)。

ふつうは定冠詞 le をつけて使う。

たとえば、

Le ciel est pur, la lune brille.

空は済み、月は輝く。

この文の解説は:

空は澄み、月は輝く 1 (2015.10.27)

でやってます。

(ここまで)





2021-09-09

カトリック教会は21世紀の後にも生き残る?

Le catholicisme peut-il survivre au XXIe siècle ?

フランスの新聞「ル・モンド」の 2021.8.29 の記事のタイトルからです。


◆ ざっくり発音

Le catholicisme peut-il survivre au XXIe siècle ?

ル カトリシスム プティル シュルヴィーヴル オ ヴァンテユニエーム スィエークル


◆ 語句

catholicisme は「カトリック教」「カトリック教会」のこと。

語尾の -isme は、〈「制度・体系・主義・主張・職業・特性」の意を表す男性名詞語尾〉と『ロワイヤル仏和中辞典』に出ています。

なので catholicisme も男性名詞です。

ほかには、marxisme (マルクシスム)で「マルクス主義」とか。

(発音は英語と違って「イズム」じゃなくて「イスム」。)

XXIe は「21番目の」ことで、綴りで書くと vingt et unième(ヴァンテユニエーム)。

survivre は英語の survive と同じで「生き残る」。

survivre à ~ で〈~よりも後に生き残る〉。


◆ 文意

Le catholicisme カトリック教会は peut-il できるのだろうか survivre au XXIe siècle 21世紀の後に生き残ることが ?

→ カトリック教会は21世紀の後にも生き残ることができるのだろうか。

(ここまで)


2021-05-03

ラ・メゾン白金のショコラサンド

おいしいお菓子をいただきました。

ラ・メゾン白金のショコラサンド。

ラ・メゾン白金のショコラサンド

おいしいです...。

「ラ・メゾン」は la maison。

maison は「家」、定冠詞 la がついているので女性名詞。

ショコラサンドのショコラは chocolat、つまりチョコレート(男性名詞)。

サンドは...、何語?

古いマンガで「めぞん一刻」ってありましたね!?

マンション名とかにもときどき「メゾン」ってついているのがあります。

辞書を見ると maison には「自家製の」「その店特製の」という形容詞的な使い方もあるようです。

たとえば、

tarte maison

で「自家製タルト」みたいな。

ところで、maison に見た目と音が似ている単語は?

セ・ゾ・ン!

saison、こちらは「季節」、英語の seasonです。

(ここまで)




2021-05-02

4人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションを離れた

Après près de six mois dans l’espace, quatre astronautes – trois Américains et un Japonais −, ont quitté, samedi 1er mai, la Station spatiale internationale à bord d’un vaisseau de la société SpaceX, pour revenir sur Terre ; un voyage qui doit se solder par un amerrissage au large de la Floride en pleine nuit.

新聞 Le Monde のWebサイトの5月2日の記事、

→ Quatre astronautes de l’ISS de retour sur la Terre avec une navette SpaceX

の冒頭からです。


【発音】

まずざっくりと発音を確認。

Après près de six mois dans l’espace,
アプレプレドゥシモワ ダンレスパース

quatre astronautes – trois Américains et un Japonais −,
カトゥルアストゥロノート トゥロワザメリケン エ アンジャポネ

ont quitté, samedi 1er mai,
オンキテ サムディプルミェメ

la Station spatiale internationale
ラスタィオンスパスィアル アンテルナショナル

à bord d’un vaisseau de la société SpaceX,
アボールダンヴェソ ドゥラソスィエテ スパースイクス

pour revenir sur Terre ;
プールルヴニール シュルテール

un voyage qui doit se solder
アンヴワヤージュ キドワスソルデ

par un amerrissage au large de la Floride en pleine nuit.
パルァンナメリサージュ オラジュジュドゥラフロリード アンプレンヌニュイ


【前から確認】

では、文章を前から区切って見ていきます。

◆ Après près de six mois dans l’espace,
   宇宙での6ヶ月近くのあとで

près de ... で「の近くに(で)」。

espace(男性名詞)は「場所」「空間」「宇宙」、英語の space。


◆ quatre astronautes – trois Américains et un Japonais −,
   4人の宇宙飛行士 –  アメリカ人3人と日本人1人 – が 

astronaute の astro- は「天体」や「星」という意味の接頭語。 astrologie で「占星術」、atronomie だと「天文学」。


◆ ont quitté, samedi 1er mai, la Station spatiale internationale
   離れた / 5月1日土曜日に / 国際宇宙ステーションを

複合過去 ont quitté の主語は quatre astronautes。

1er は premier のこと。

spatial は「宇宙の」という形容詞。 voyage spatial で「宇宙旅行」。


◆ à bord d’un vaisseau de la société SpaceX,
   スペースX社の宇宙船に乗って

à bord de ... で「(船・車・飛行機)に乗って」。

vaisseau は「(軍艦などの大きな)船」。

SpaceXは、PayPalや電気自動車企業テスラの創設者、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が設立した宇宙開発事業を行う企業。


◆ pour revenir sur Terre ;
   地球に戻るために

女性名詞 terre(「土」「地面」など)は「地球」といういみで使うときは大文字で始めるのが一般的。

◆ un voyage
   すなわち...な旅である

un voyage の前にセミコロン(;)がある。 

セミコロン(英語:semicolon)はフランス語では point-virgule[ポワンヴィルギュル]。 virgule はカンマ( ,)(英語 comma)のこと。

point-virgule(;)は point(.)とヴィルギュル(,)の中間くらいの区切り度を表すのが一般的。

ここでは、直前の文を続けて「つまりそれは...な旅である」というくらいの感じかな。


◆ qui doit se solder par un amerrissage
   最後に(...への)着水へと結果する予定の(旅)

この箇所は直前の名詞 un voyage を修飾する関係代名詞節。

ここでの doit(devoir)は「しなければならない」(義務)ではおかしいので、「...することになっている」(未来)という意味にとりましょう。

se solder で「最後に...の結果になる」。

solder は(借金を)「精算する」という意味があるので se solder だと「精算される」→「精算した結果...になる」という感じか。

amerrissage は飛行艇などが「着水」すること。

動詞は amerrir 「着水する」。地面に「着陸する」だと atterrir 。

amerrir には mer(海)が、atterrir には terre(陸)が入ってる!


◆ au large de la Floride en pleine nuit.
   真夜中にフロリダの沖合に(直水する)

large は「広い」という形容詞ではなく、定冠詞 le がついてることからも男性名詞。

男性名詞の large には「沖(沖合)」という意味がある。

en plein ~ で「~の真っ只中に/で」。


【逐語訳】

本文に訳を入れ込んでみます。

Après près de six mois dans l’espace 宇宙での6ヶ月近くの後で, quatre astronautes – trois Américains et un Japonais − 4人(アメリカ人3人と日本人1人)の宇宙飛行士が, ont quitté, samedi 1er mai, la Station spatiale internationale 国際宇宙ステーションを5月1日に離れた à bord d’un vaisseau de la société SpaceX スペースX社の宇宙船に乗って, pour revenir sur Terre 地球に戻るために; un voyage これは...な旅である qui doit se solder par un amerrissage 着水で終わるはずの au large de la Floride en pleine nuit 深夜にフロリダの沖合への.


【日本語訳】

全体の訳文です。

宇宙で半年近くを過ごしたあと、4人の宇宙飛行士(アメリカ人3人と日本人1人)は地球に戻るべく、5月1日、スペースX社の宇宙船に乗り国際宇宙ステーションを離れた。この旅は深夜フロリダ沖に着水予定となっている。


(ここまで)


2021-05-01

我が同志たちが介入し危険な任務を遂行するであろう

フランスでは、国の現状を憂えた元将校や軍人たちが、大統領や国の指導者たちに訴えかけた内容が波紋を呼んでいるようです。

この訴え(アピール)文は、保守・右派系の雑誌 "Valeurs actuelles" に 4月21日に掲載されました。

記事のタイトルは、

→ « Pour un retour de l’honneur de nos gouvernants » : 20 généraux appellent Macron à défendre le patriotisme

「我が政治指導者たちの名誉の回復に向けて」:将校20人がマクロンに愛国主義を守るよう呼びかけ

というものです。 


その宣言文(アピール文)の最後の2段落を読んでみます

原文: Par contre, si rien n’est entrepris, le laxisme continuera à se répandre inexorablement dans la société, provoquant au final une explosion et l’intervention de nos camarades d’active dans une mission périlleuse de protection de nos valeurs civilisationnelles et de sauvegarde de nos compatriotes sur le territoire national.


逐語訳: Par contre それに対し, si rien n’est entrepris もし何も企てられなければ, le laxisme continuera à se répandre 放任主義が拡大し続けるだろう inexorablement 抗いがたく dans la société この社会で, provoquant au final 最終的に(...と~とを)を引き起こし une explosion 怒りの爆発と et l’intervention de nos camarades d’active 現役軍の我々の同志たちの介入とを(引き起こし) dans une mission périlleuse 危険な任務への(介入を)de protection de nos valeurs civilisationnelles われわれの文明の諸価値の擁護と et de sauvegarde de nos compatriotes われわれの同胞の保護と(の危険な任務) sur le territoire national この国の領土における(保護).


和訳: そうはならずに、もし何も手立てが講じられず、この社会において放任主義が抗い難く拡がり続けるならば、ついに怒りが爆発し、国軍の我が同志たちが介入し、我々の文明の価値の擁護と、この国家の領土における同胞の保護という危険な任務を遂行することになるであろう。


原文: On le voit, il n’est plus temps de tergiverser, sinon, demain la guerre civile mettra un terme à ce chaos croissant, et les morts, dont vous porterez la responsabilité, se compteront par milliers.


逐語訳: On le voit 人にはそれが見える, il n’est plus temps de tergiverser もはや躊躇するときではない, sinon そうでなければ, demain 明日にも la guerre civile 内戦が mettra un terme 終止符を打つだろう à ce chaos croissant この増大している混沌に, et les morts そして死者たちが, dont vous porterez la responsabilité あなたがたがその責任を担うことになる(死者たちが), se compteront 数えられるだろう par milliers 幾千となく.


和訳: おわかりであろう、もはや躊躇すべきときではない。さもなくば明日にも内戦が勃発し、この増大し続ける混沌に終止符を打ち、あなたがた(=大統領、官僚、国会議員)が責を負うべき数千の死者が生ずるであろう。


(ここまで)


2021-04-29

生物多様性を断念しなければならないのか

Faut-il renoncer à la biodiversité ?

France Culture の放送(LE 03/05/2019)のタイトルからです。

→ https://www.franceculture.fr/emissions/la-grande-table-2eme-partie/faut-il-renoncer-a-la-biodiversite


発音は、

Faut-il renoncer à la biodiversité 

フォティル ルノンセ アラビオディヴェルシテ

です。


Faut-il は Il faut (~しなければならない)の倒置疑問文。

つまり、「~しなければならないのか」。

〈renoncer à ~〉で、「~を諦める、断念する」。

biodiversité は〈bio + diversité〉。

bio- は「生・生命」を表す接頭語。

たとえば biologie は「生物学」(女性名詞)(=生[命]の学)。

biographie は「伝記」(=人の生の記述)。

diversité は「多様性」(女性名詞)。

英語の diversity(ダイバーシティ)は「多様性」という意味で日本語でも使われています。

関連語に形容詞の divers(ディヴェール)「さまざまな、多様な」があります。

なので、biodiversité は「生物多様性」です。

まとめると、

     Faut-il renoncer à la biodiversité ?

     生物多様性を断念しなければならないのか?

です。


Faut-il で始まる疑問文は以下にも出ています。


(ここまで)


2021-01-09

つまり恐怖という限界だ

Pour aller au bout de l'extase où nous nous perdons dans la jouissance, nous devons toujours en poser l'immédiate limite : c'est l'horreur.

[Bataille: Preface a "Madame Edwarda"]


Georges Bataille という20世紀のフランスの作家・思想家の『マダム・エドワルダ』という小説の序文からの引用です。


【おおまかな発音

Pour aller au bout de l'extase
プール アレ オブドゥレクスターズ
où nous nous perdons dans la jouissance,
ウ ヌヌペルドン ダンラジュイサンス
nous devons toujours en poser
ヌドゥヴォン トゥジュール アンポゼ
l'immédiate limite : c'est l'horreur.
リメディアット リミット セ ロルール


【解釈】

◇ Pour aller au bout de l'extase
恍惚(忘我)の果てまで行くには

au bout de ... で「の果てに、の終わりに」。

bout は 「先端、端」「果て、終わり」。男性名詞。

extase は「忘我」「恍惚」。女性名詞。英語では extacy(エクスタシィ)。


◇ où nous nous perdons dans la jouissance,
私たちが快感の中で失われていく

この箇所は直前の名詞 l'extase を修飾。

où は「そこで」( = その恍惚状態の中で)(= dans cette extase)っていう感じの関係代名詞。

se perdre は代名動詞で「道に迷う」「失われる」。

jouissance は動詞 jouir(楽しむ、性的快感を得る)の名詞形(女性名詞)。「楽しみ」「性的快感」。


◇ nous devons toujours en poser l'immédiate limite
私たちはつねにそこに直接の限界を設けなければならない

nous devons toujours : 私たちはつねに~しなければならない。

l'immédiate limite : 直接の限界

en poser の en は de l'extase のことで、l'immédiate limite にかかる。

つまり、l'immédiate limite de l'extase、「恍惚の直接の限界」。


: c'est l'horreur
つまり、恐れである。

この deux-points「:」(英語のコロン colon)は「すなわち、つまり」みたいな感じ。言い換え。

全体で、

Pour aller au bout de l'extase
恍惚の果てに行くには
où nous nous perdons dans la jouissance,
私たちが快楽の中で失われていく(→ 恍惚の果てに行くには)
nous devons toujours en poser l'immédiate limite
私たちはそこに直接の限界を設けなければならない
: c'est l'horreur.
すなわち、それは恐怖(という限界)である。


まとめて、

Pour aller au bout de l'extase où nous nous perdons dans la jouissance, nous devons toujours en poser l'immédiate limite : c'est l'horreur.

恍惚とは私たちが快楽の中で自己を失うこと、その恍惚の果てに行き着くには、いつでもそこに直接的な限界が立てられている必要がある。つまり恐怖という限界が。

[バタイユ『マダム・エドワルダ』序文]


2020-07-14

爆竹で恋人のペニスを爆破

Apprenant que son compagnon envisageait de la quitter, une femme s'est vengée en lui attachant des pétards autour du pénis.

2010年1月の、ネットで見つけた記事から。

    ( "Le blog de katman",  Publié le 1 janvier 2010 par katman )


◆ おおまかな発音

Apprenant que son compagnon envisageait de la quitter, 
アプルナン ク ソンコンパニョン アンヴィザジェ ドゥラキテ

une femme s'est vengée en lui attachant des pétards autour du pénis.
ユヌファム セヴァンジェ アンリュィアタシャン デペタール オトゥールデュペニス


◆ 文法・解釈

◇ Apprenant que ...
  「...ということを知って」

apprenant は動詞 apprendre の現在分詞。

ここでは分詞構文で「...ということを知って」という感じ。

que は接続詞で、この que の後ろにには〈主語+動詞...〉のセットが続きます。


◇ son compagnon envisageait de la quitter
  「彼女の夫が彼女と別れようと考えていた」

compagnon は「仲間」「伴侶、夫」(男性名詞)。女性形は compagne(コンパーニュ
)。

envisageait は動詞 envisager の直説法半過去形。
〈envisager de + 不定詞〉で、「~することを考える、~するつもりだ」

de la quitter の quitter は「~を離れる」「~と別れる」。

この la は人称代名詞で、ここでは「彼女」のこと。

※ この「彼女」がだれなのかはこの後出てきます。

ここまでで、

Apprenant que son compagnon envisageait de la quitter
「夫が自分と別れるつもりでいると知って」

となります。


◇ une femme s'est vengée
「或る女が恨みを晴らした」

venger は「の仇(あだ)を討つ」「に仕返しをする」で、

se  venger と代名動詞になると「仕返しする」「恨みを晴らす」という意味です。

ここではその代名動詞が複合過去形になっていて、過去分詞 vengé が主語の une femme と性数一致して語末に e が着いています。

※ 代名動詞の人称代名詞がその動詞の直接目的補語のときは、複合過去形のとき、過去分詞はその人称代名詞に性数一致する、みたいな規則がありました!

この文の主語の une femme が、前半の

Apprenant que son compagnon envisageait de la quitter

の、son compagnon の 所有形容詞 son、de la quitter の人称代名詞 la によって指示されているものです。 


◇ en lui attachant des pétards autour du pénis
「爆竹を夫のペニスのまわりに結びつけて」

attacher : 結びつける、つなぐ
pétard : 爆竹(男性名詞)
autour de ~ : ~のまわりに

attachant は attacher の現在分詞形。

〈en + 現在分詞〉は「ジェロンディフ」というやつで、「~しながら」という同時性を表したり、「~したので」みたいな理由を示したり、「~すれば」という条件を提示したり、いろんな意味を表します。

ここでは「~して、~することによって」という〈手段〉っぽく考えました。

en lui attachant の lui は son compagnon のことです。

ここの人称代名詞 luiは le pénis の所有者を示しています。

辞書には、たとえば「体の一部を表す語とともに所有形容詞の代わりとして」(ロワイヤル仏和中辞典)という説明があり、例文として、

     Je lui ai pris la main.  私は彼(女)の手を取った

が挙げられています。


◆ 訳例

Apprenant que son compagnon envisageait de la quitter, une femme s'est vengée en lui attachant des pétards autour du pénis.

或る女が、自分の伴侶が自分と別れようとしているのを知り、男のペニスに爆竹を巻きつけて復讐した。

という感じになります。

[おまけ]

リンク先の記事のタイトルになっている、

Une femme fait exploser le pénis de son petit ami avec des pétards
ユヌ ファム フェテクスプロゼ ルペニス ドゥ ソンプティタミ アヴェク デペタール

は、

ある女が爆竹で恋人のペニスを破裂させる。

ですね。


2020-03-05

スーパーの品不足は心配?

Coronavirus : faut-il craindre une pénurie dans les supermarchés ?

フランスの経済誌「レゼコー」(Les Echos)の2020.3.3の記事タイトルからです。

  → Coronavirus : faut-il craindre une pénurie dans les supermarchés ?


◆ おおまかな発音を確認。

Coronavirus : faut-il craindre une pénurie
コロナヴィリュス フォティル クランドル ユヌペニュリ

dans les supermarchés ?
ダン レシュペルマルシェ

◆ 文を分解して解釈

Coronavirus : コロナウィルス。virus[ヴィリュス]は男性名詞。

faut-il craindre : 「(~を)恐れなければならないのか」。 Il faut craindre (~を恐れなければならない)の倒置疑問文。

craindre : ~を恐れる、怖がる、心配する、懸念する

une pénurie : pénurie は「不足、欠乏」。不定冠詞 une がついてることからわかるとおり女性名詞。

dans les supermarchés : 「スーパーで」。「スーパーマーケット」はフランス語で supermarché (男性名詞)。 marché だけだと「市場(いちば)、市場(市場)」ですね。


◆ 訳文例

Coronavirus : faut-il craindre une pénurie dans les supermarchés ?
コロナウィルス: スーパーの商品不足を心配すべきか。

(ここまで)