フランスのニュース週刊誌 "Le Nouvel Observateur" (ル・ヌヴェル・オプセルヴァトゥール) の 2017.9.8 の記事から。
記事のタイトルは、
L'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé est mort
ロッムダフェール エ メセーヌ ピエール ベルジェ エモール
となっています。
affaire は複数形で「商売」(女性名詞)という意味があり、homme d'affaires だと「実業家」です。
mécène は男性名詞で「芸術の庇護者・パトロン」。
homme d'affaires et mécène で「実業家で芸術の庇護者」となります。
この l'homme d'affaires et mécène はつぎの Pierre Bergé の同格( Pierre Bergé の説明)で、
l'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé
実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェ
となります。 ですので、
L'homme d'affaires et mécène Pierre Bergé est mort
実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェが死んだ
↓
実業家で芸術の庇護者であるピエール・ベルジェ死去
というタイトルです。
ピエール・ベルジェという人は「イヴ・サンローラン」の共同創業者です。 イヴ・サンローランはすでに2008年に他界。2014年の映画『イヴ・サンローラン』ではピエール・ベルジェ本人が出演して、サンローランについて、二人の関係について語っています。
それでは、引用箇所です。
スィ ジュナヴェパ エメ サンロラン
je ne me serais jamais lancé
ジュヌムスレ ジャメ ランセ
dans la haute couture
ダン ラ オトクチュール
この文は、条件法過去を使っていますね。
条件法過去は、「過去の事実に反する仮定」を表現するときに使われます。
※ 条件法現在の活用については
→ 「チャンは...だろうか? その1」
を見てください。
条件法過去を使った文のパターンは、
Si ... 直説法大過去..., ~ 条件法過去 ~.
で、「もし...だったなら、~だったろうに」みたいな感じです。
この文の場合は、
Si je n'avais pas aimé Saint Laurent,
もし私がサンローランを愛していなかったら
je ne me serais jamais lancé dans la haute couture
決して私はオートクチュールに身を投じなかっただろう
となります。
直説法大過去は、[ avoir または être の半過去形 ] + [ 動詞の過去分詞 ] という形です。
今回は n'avais pas aimé の部分です。
条件法過去のほうは、[ avoir または être の条件法現在 ] + [ 動詞の過去分詞 ] です。
me serais jamais lancé が条件法過去ですね。
lancer という動詞は「投げる」という意味ですが、 se lancer と代名動詞になると「(事業・冒険などに)身を投じる」という意味があります。
代名動詞は、直説法複合過去や条件法過去などの複合形(avoirまたはêtre + 過去分詞)になるときは être を使います。
ですので今回は être の条件法現在の serais が使われています。
couture は「裁縫、仕立て」という意味(女性名詞)です。
※ 動詞は coudre (クードゥル)「縫う」
haute couture で「高級婦人服デザイナー」「高級婦人服仕立て業」といった意味になります。 「オートクチュール」は日本語になっていますね。
まとめると、
Si je n'avais pas aimé Saint Laurent, je ne me serais jamais lancé dans la haute couture.
もしサンローランを愛していなかったら、私は決してオートクチュールに身を投じたりしなかっただろう。
です。