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2013-02-14

そこで私は本を書くことに

[フランス語初級]

Je me décidai alors à écrire un livre.

(Léon Trotsky, "Ma Vie")

トロツキーの自伝、『わが生涯』のフランス語訳より。

トロツキーは今から 100年前に起きたロシア革命の中心人物の一人です。

トロツキー 18才
※ トロツキー 18才 (Wikipedia)


○ 発音

Je me décidai
ジュムデシデ
alors
アロール
à écrire
ア エクリール
un livre.
アン リーヴル


○ 語句

décidai : 動詞 décider の単純過去形
décider : 決める
se décider :  決心する
se décider à 不定詞 :  〜する決心をする
alors :  それで(そこで)


○  直訳

Je me décidai alors à écrire un livre.

そこで alors 私は je 本を書くことを à écrire un livre 決心した me décidai 。


○ 分かち訳

Je (私は) me décidai (決心した) alors (そこで) à écrire un livre (本を書くことを) .


○ 単純過去形

単純過去形は、過去の事実や出来事を淡々と・客観的に述べるさいに使われる時制です。

* 単純過去形は話し言葉では使われません。

se décider の場合、以下のように活用します。

je me décidai
tu te décidas
il se décida
nous nous décidâmes (デシダーム)
vous vous décidâtes (デシダート)
ils se décidèrent (デシデール)


この活用パターンは、不定詞の語尾が -er で終わる動詞に共通です。

たとえば donner だと、

je donnai
tu donnas
il donna
nous donnâmes
vous donnâtes
ils donnèrent

となりますね。

活用語尾を取り出すと、

je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent

です。

-er 以外の動詞はまたちょっと違った形で活用します!


○ 試訳

Je me décidai alors à écrire un livre.

そこで私は本を書くことにした。

○ リンク

→ フランス語訳
→ 翻訳 (岩波文庫)


2013-02-11

でも大丈夫、簡単に手でこうやって

Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節。

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


今日はこの文章の後半を見ていきます。

○ 発音

mais,
メ
ce n'est rien,
スネリャン
car,
カル
avec ma main,
アヴェック ママン
je suis parvenu
ジュスュイ パルヴニュ
facilement
ファシッルモン
à les remettre
アレ ルメートゥル
dans leur première position.
ダン ルール プルミエール ポジシオン


○ 語句

ce n'est rien : なんでもない、たいしたことない
parvenu : 動詞 parvenir の過去分詞
parvenir : 到達する
parvenir à + 不定詞 : やっと〜できる,〜することに成功する
facilement 容易に, 簡単に
remettre 元の場所に置く


○ 逐語訳

しかし mais, なんでもありません ce n'est rien, というのも car, 私の手で avec ma main, それらの最初の位置に dans leur première position 簡単に facilement それらを戻すことが à les remettre 私はできました je suis parvenu (から)。


○ 分かち訳

mais (しかし), ce n'est rien (なんてことありません) , car (だって) , avec ma main (私の手を使って) , je suis parvenu facilement (簡単に〜できました[から]) à les remettre (それらを元に戻すことが) dans leur première position (それらの最初の位置に) .


○ parvenir の複合過去

je suis parvenu の箇所は parvenir の複合過去形です。

複合過去形は、[ avoir または être の直説法現在形]と[動詞の過去分詞]をつなげて作ります。

avoir と être のどちらを使うかは 動詞によって決まっていました。

→ 参考: 「どこに行ってたの?」 (フランス語を学ぶ人)


* être を使うのは、なんらかの「移動」の意味をもった自動詞です。

parvenir は venir などと同様に être を使うことになっています。

なので j'ai parvenu ではなく je suis parvenu になります。


○ je suis parvenu の je は男?それとも女?

je suis parvenu の場合の主語の je が男性か女性かを見分けることはできるのでしょうか。

じつは複合過去(や大過去などの複合形時制)で être を使う場合、過去分詞は主語に性数一致します!

Je suis venu.

なら je は男性、

Je suis venue.

なら je は女性。

主語が nous で全員女性なら、

Nous sommes venues.

となります。

なので、je suis parvenu の je は男性です。


○ 試訳

mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

でも大丈夫、簡単にこうやって手でもとに戻すことができましたから。


○ 関連リンク

→ 「これは失敬、どうも髪の毛が」 (フランス語を学ぶ人)


2013-02-09

これは失敬、どうも髪の毛が


Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )


ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節です。

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


ロートレアモンは 1846年から1870年まで生きた (短命です!)、フランスの詩人です。

今回はこの文章の前半を見ていきましょう。


○ 発音

Pardon,
パルドン
il me semblait
イル ム サンブレ
que mes cheveux
ク メ シュヴ
s'étaient dressés
セテ ドゥレセ
sur ma tête
シュル マ テートゥ

Comte de Lautréamont
コントゥ ドゥ ロトレアモン
Les Chants de Maldoror
レ シャン ドゥ マルドロール


○ 語句

pardon : 失礼、すみません
sembler : 〜のように見える・思われる

il me semble que ... で、「私には...のように見える」という表現。que の後には、主語と述語動詞からなる文が来る。
今回は mes cheveux が主語で、 s'étaient dressés が述語動詞。

cheveu : [男性名詞] 髪の毛。複数形は cheveux と、最後に x がつきます。
dresser : まっすぐ立てる
se dresser : [代名動詞] まっすぐに立つ
tête : [女子名詞] 頭


○ 逐語訳

失敬 pardon 、私の髪が mes cheveux 私の頭上で sur ma tête まっすぐ立っていた s'étaient dressés ように que 私には思われました il me semblait 。


○ 分かち訳

Pardon (失礼), il me semblait (私には思えた) que (...と) mes cheveux (私の髪が) s'étaient dressés (立ち上がっていた) sur ma tête (私の頭の上で);


○ 大過去の用法

文中の semblait は(直説法)半過去ですが、 s'étaient dressés は (直説法) 大過去になっています。

大過去の形は、[ avoir または être の半過去形 ]  + [ 動詞の過去分詞 ] です。

s'étaient dressés の場合は、 être の半過去形と se dresser の過去分詞 dressé との組み合わせになっています。

  * dresser の過去分詞 dressé の最後に -s がついてるのはなんでかな~?


avoir とくっつくか、être とくっつくかは動詞によって決まっています。

複合過去形の場合と同じなので、複合過去形の説明をしたとこを参考にしてください。

さらに、代名動詞の場合はすべて être と結びつくことになっています。

なので、ここで 代名動詞 se dresser は être と結びついています。

大過去の用法ですが、英文法で言うところの「過去完了形」のようなものです。
つまり、或る過去の時点までに起こった出来事をいい表します。

この文の場合、 il me semblait (私には~と思えた) の semblait の半過去形で表されるのが 「或る過去の時点」 で、 「髪の毛が立っていた」 のは、「と思えた semblait 」 その時点よりさらに前 (過去) ということになります。

「私の髪の毛が立っていた」 ことを、それより後になって、「と思えた」 と言っているわけです。

この説明で大丈夫でしょうか...。


○ dressés の最後の s

代名動詞の大過去や複合過去では、その人称代名詞 (se とか) に過去分詞 (dressé とか) が性数一致する場合としない場合があります。

性数一致するかしないかは、代名動詞の作り(構造)によります。

性数一致するのは、代名動詞の代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語(〜を)になっている場合です。

dresser は「〜をまっすぐ立てる」という動詞で、「〜」には直接目的語の名詞(や代名詞が)入ります。

これが se dresser という代名動詞になると、代名動詞の人称代名詞 se は「自分自身」(=主語を指す代名詞)を表すので、

    se dresser
    自分をまっすぐ立てる
         ↓
    まっすぐ立つ

みたいになります。

けっきょく、代名動詞 se dresser の人称代名詞 se は動詞 dresser の直接目的語です!

なので se dresser の場合は、se に dresser の過去分詞は性数一致します。

mes cheveux s'étaient dressés の se は主語の mes cheveux (男性名詞複数)を受けているので、dresser の過去分詞の最後に s が付いています!

説明がくどいっ?


○ 訳例

Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête;

これは失敬、どうも髪の毛が逆立っていたように見えたので。


○ リンク

→ 原文: Wikisource
→ 翻訳: 集英社文庫、ちくま文庫


2013-02-05

上級仏単語: altercation

altercation 口論


altercation

_ 発音

アルテルカシォン

_ 品詞

女性名詞

* -tion で終わる名詞は女性名詞。

_ 意味

口論、けんか


2013-02-03

少しは黙ったらどうなんだ

フランス語初級


Vous ne voulez pas vous taire?

( Zola, "L'Assommoir")

ゾラの 『居酒屋』 から。 朝帰りした夫ランティエにうるさく詰め寄るジェルヴェーズに、ランティエが発した一言。


○発音

疑問文なので上がり調子に読みましょう。

Vous ne voulez pas
ヴヌ ヴレパ
vous taire?
ヴ テール


○ 語句

se taire [代名動詞] 黙る

vouloir の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。綴りをよく見て特徴を覚えよう。

je veux ジュヴ
tu veux チュヴ
il veut イルヴ
nous voulons ヌヴロン
vous voulez ヴヴレ
ils veulent イルヴッル


○ 逐語訳

あなたは vous 黙ることを se taire 欲しない ne voulez pas のか ?


○ 分かち訳

Vous ne voulez pas あなたは欲しない
vous taire 黙ることを
? のか?


○ 疑問文の作り方

フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。

その一つが、肯定文(疑問文じゃない普通の文)の語順のまま、最後に(ピリオドの代わりに)クエスチョンマークを付けるやり方です。


* フランス語では「ピリオド」を「プワン ( point ) 」、「 クエスチョンマーク 」を「プワン ダンテロガシオン ( point d'interrogation ) 」と言います。


このやり方だと、

Vous ne voulez pas vous taire.
あなたは黙ることを欲しない。

という文(肯定文)を疑問文にすると、

Vous ne voulez pas vous taire?

となります。簡単です!


○ 試訳

少しは黙ったらどうなんだ。



2013-02-02

どこに行ってたの?



フランス語初級

Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?

( Zola, "L'Assommoir")

物語の冒頭で、朝帰りした夫のランティエを、ジェルヴェーズが問い詰めようとする場面です。


○発音

Où es-tu allé?
ウ エチュ アレ

où as-tu passé la nuit?
ウ アチュ パセ ラ ニュイ


○語句

où どこに、どこで
allé 動詞 aller の過去分詞
passé 動詞 passer の過去分詞
passer (時間を)過ごす
nuit [女性名詞] 夜


○逐語訳

どこに où あなたは tu 行った es allé の ?
どこで où あなたは tu 夜を la nuit 過ごした passé の ?


○試訳

Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?

どこに行ってたの? どこで夜を明かしたの?


○ 疑問文の作り方

この二つの文は両方とも「疑問文」です。疑問文は、「〜です」ではなく、「〜ですか」という文です。

*「〜です」のほうは 「肯定文」(こうていぶん)などといいます。

フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。

そのうちの一つが、主語と動詞の倒置(並び順をひっくり返すこと)です。

この場合だと

tu es alllé
tu as passé

という肯定文の語順がそれぞれ

es-tu allé
as-tu passé

となります。倒置された動詞と主語(の代名詞)はハイフン( - )でつなぎます。


○ 複合過去

過去の出来事を言い表すための過去形の形はいくつかあります。

たとえば、半過去、複合過去、単純過去などです。

単純過去は単純な出来事を、複合過去は錯綜した出来事を言い表す、なんてことはありません。

今回の文では複合過去が使われています。

複合過去は最も普通に過去の出来事を、「〜した」と言い表すときに使います。

複合過去は、avoir か être の現在形(直説法現在形)の後に動詞の過去分詞を付けて作ります。

たとえば、

tu vas (おまえは行く)
tu passes (おまえは過ごす)

はそれぞれ、

tu es alllé (おまえは行った)
tu as passé (おまえは過ごした)

となります。

avoir と être の使い分けはきちんと決まっていて、ほとんどの動詞は avoir を使います。

être を使うのは、主に次のような動詞です。(カッコ内は過去分詞)

aller ( allé )
venir ( venu )
partir ( parti )
arriver  ( arrivé )
naître ( né )
mourir ( mort )
monter ( monté )
descendre ( descendu )
sortir ( sorti )
entrer ( entré )
tomber ( tombé)
rester ( resté )
devenir ( devenu )

これらはすべて自動詞(目的語を取らない動詞)で、どの動詞にも「移動」の意味が含まれています。

大学一年のときのフランス語の授業でこれらの動詞を暗記するための呪文を教えてもらいました。

おうらいはっちゃくせいししょうこうしゅつにゅうらくりゅうじょう

これはさきほどの動詞の意味を漢字一字で表して並べて、それを音読みしたものです。

往来発着生死昇降出入落留成

行く(往く)aller ( allé )
来る venir ( venu )
出発する partir ( parti )
着く arriver  ( arrivé )
生まれる naître ( né )
死ぬ mourir ( mort )
登る, 昇る monter ( monté )
降りる descendre ( descendu )
出る sortir ( sorti )
入る entrer ( entré )
落ちる tomber ( tombé)
留まる rester ( resté )
成る devenir ( devenu )

覚えやすい!! 



2013-01-26

犬に棒を見せると(ライプニッツ)

フランス語中級

Par exemple : quand on montre le bâton aux chiens, ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée et crient et fuient.

(Leibniz, "Monadologie")




○ 発音

Par exemple パレグザーンプル:
quand on montre カントン モントゥル
le bâton aux chiens ルバトン オ シァン,
ils se souviennent イル ス スヴィエンヌ
de la douleur ドゥ ラ ドゥルール
qu'il leur a causée キル レール ア コゼ
et crient エ クリ
et fuient エ フュイ

Leibniz ライブニッツ
Monadologie モナドロジ


○ 語句

par exemple : たとえば
quand : ここでは接続詞で「〜するとき」
montre : 動詞 montrer の直説法現在、三人称単数形。主語は on 。
montrer : 見せる
bâton : [男性名詞] 棒、杖
aux : 前置詞 à と 定冠詞 les の縮約形
chien : [男性名詞] 犬
souviennent : 動詞 souvenir の直説法現在、三人称複数形。主語は ils (= les chiens)
se souvenir de ... : ...を思い出す、を覚えている
douleur : [女性名詞]  痛み、苦痛
leur : [人称代名詞] 彼らに、それらに(三人称複数)。ここでは「その犬たちに」
causer : …の原因となる,…を引き起こす
crier : 叫ぶ、わめく
fuir : 逃げる
Leibniz : ライプニッツ、1646-1716、ドイツの哲学者
Monadologie : フランス語で書かれた、ライプニッツの著作。日本語では 『単子論』 などと訳されている
monade : [女性名詞] (哲学用語) モナド、単子


○ 逐語訳

たとえば par exemple、人が on 棒を le bâton 犬に aux chiens 見せる montre 時 quand、犬どもは ils その棒が彼らに il leur 引き起こした a causée 痛みを de la douleur 思い出す se souviennent 、そして叫び et crient そして逃げる et fuient 。


○ 文の骨格

この文の作りの一番中心となる部分は、

ils se souviennent de la douleur

です。 「彼らは痛みを思い出す」となります。
ここに quand on montre le bâton が加わって、

quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur

だと、「人が棒を見せるとき、 彼らは痛みを思い出す 」となります。

文法用語では、ils se souviennent de la douleur を主節、quand on montre le bâton を「従属節」といいます。

さらに「彼ら」は「痛みを思い出す」だけでなく、

quand on montre le bâton
ils  se souviennent de la douleur
  et crient
  et fuient

「叫んだり」「逃げたり」します。

ここまでで、

「人が棒を見せると
 彼らは痛みを思い出し
 そして叫び
 そして逃げる」

となります。

これでこの文の骨格となる作りを確認できました。


○ 説明の追加

まだこの文にはいろいろくっついています。

まず le bâton の後の aux chiens ですが、これは「棒を見せる」相手、対象です。

quand on montre le bâton aux chiens

「人が犬どもに棒を見せるとき」

つぎに、la douleur qu'il leur a causée を見てみます。

qu'il leur a causée は (関係代名詞節で)、 la douleur を修飾しています。

「それ(棒)が彼らに(犬どもに)引き起こした」→「痛み」となります。

a causée は 「 avoir の現在形(直説法現在形) + 動詞の過去分詞」 の組み合わせなので、「複合過去」 というやつになります。

これで、

quand on montre le bâton aux chiens,
ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée
et crient et fuient.

「 人が犬たちに棒を見せるとき
  彼らは、その棒が彼らに引き起こした痛みを思い出し
  叫んで逃げる」

となります。


○ 過去分詞の性数一致

さきほどの la douleur を修飾している qu'il leur a causée で使われている過去分詞 causée は 語末に -e がついていますが、これはなぜでしょうか。

これには、こんな規則がありました。

☆ 複合過去や大過去などで、動詞の目的語(直接目的語)が、過去分詞より前 (左) にあると、過去分詞はその目的語に性数一致する

というやつです。

授業や参考書で学んだのを覚えていますか? 私は大学1年のとき初めてこのことを学んだはずなんですが、まったくその時の記憶はありません!

この箇所 (la douleur qu'il leur a causée) の場合は、動詞 causer (~を引き起こす) の目的語は、a causée より前(左)にある、関係代名詞の que です。

そして、この que はその前(左)にある la douleur という女性名詞単数形を指しています。

けっきょく、複合過去になっている動詞 causer の目的語(直接目的語) が過去分詞 causé より前(左)にあるので、その目的語 ( que => la douleur ) の性数(ここでは女性名詞単数) に合わせて、過去分詞 causé が causée となっています。


○ 翻訳例

「たとえば、イヌに棒を見せたら、イヌはそれがかつて引き起こした苦痛を思いだして、吠えて走り去る。」
( 「単子論(モナドロジー)」 (Robert Latta, 山形浩生 訳) より。英語版からの翻訳です。26番目の文に載っています。)

この英語版原文:

For instance, when a stick is shown to dogs, they remember the pain it has caused them, and howl and run away.
 (Robert Latta 訳, "THE MONADOLOGY")


○ 補足

_ se souvenir の直説法現在形の活用
je me souviens
tu te souviens
il se souvient
nous nous souvenons
vous vous souvenez
ils se souviennent


○ リンク

→ 『モナドロジー・形而上学叙説』 (中公クラシックス):
→ フランス語原文 (UQAC)



2013-01-19

彼はジェルヴェーズの顔を

フランス語初級

Et il regardait le visage de Gervaise, rougi par les larmes.

( Zola, "L'Assommoir")






悲しまないで


フランス語初級

Ne vous désolez pas, madame Lantier.

( Zola, "L'Assommoir" )


[発音]

Ne vous désolez pas
ヌ ヴ デゾレ パ

madame Lantier.
マダム ランティエ


[語句]

Ne vous désolez pas : 代名動詞 se désoler の vous に対する命令形の否定文

se désoler : 悲しむ, 嘆く

désoler : 悲しませる, 困らせる

madame Lantier : ランティエ夫人 (ここでは呼びかけ)


[日本語訳]

ランティエさん、そう嘆かないで。


2013-01-12

この瘴気からずっと遠くへ

Envole-toi bien loin de ces miasmes morbides

[ フランス語初級 ]

ボードレールの詩集 『悪の華』 ( "Les Fleurs du Mal" )に入っている「上昇」 ( Elévation )という詩より。


[ 発音 ]

Les Fleurs du Mal
レ フルール デュ マル

élévation
エレヴァシォン

Envole-toi
オンヴォル トワ

bien loin
ビャン ロワン

de ces miasmes morbides
ドゥ セ ミアスム モルビィドゥ


[ 語句 ]

élévation : [女性名詞] 上昇

Envole-toi : s'envoler の tu に対する命令形

s'envoler : 飛び立つ, 飛び去る

loin : [副詞] 遠くへ(に), はるかに。 bien loin の bien は loin の強調。

loin de : …から遠くへ(に)

miasme : [男性名詞] (腐敗物から出る)ガス, 臭気; 瘴気()

morbide : 病的な, 不健全な


[ 訳 ]

Envole-toi  飛び立て

bien loin ずっと遠くへ

de ces miasmes morbides この病的な瘴気から

「飛び立て、病に満ちたこの瘴気からずっと遠くへ。」


[ 関連記事 ]

→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(1)」 (2012/2/29)
→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)」 (2012/3/04)


2012-07-01

上級仏単語: désinvolte

désinvolte 

【発音】
désinvolte 
デザインヴォルトゥ

【品詞】
形容詞


【意味】
無遠慮な, なれなれしい, ずうずうしい

2012-06-26

上級仏単語: contumace

【発音】
contumace
コンチュマス


【品詞】
女性名詞


【意味】
被告が法廷に欠席すること、法定への出頭拒否。


【用例】
par contumace
欠席裁判で



2012-06-17

あの人の不思議な優雅さに

(フランス語中級)


Ses délicatesses mystérieuses m'avaient séduite.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]

ランボーの『地獄の一季節』からです。

『地獄の一季節』 については以前の記事を見てください。


【発音】

Ses délicatesses
セ デリカテッス

mystérieuses
ミステリゥーズ

m'avaient séduite.
マヴェ セデュイット

→ 音声 (ネイティブではありません)


【語句】

délicatesse : (女性名詞) 繊細さ、優雅さ、細心さ [英語: delicacy]

mystérieuse : 形容詞 mystérieux (ミステリゥ) の女性形。

* 語尾が -x で終わる形容詞の女性形は、その -x が -se になりましたね。 たとえば heureux (ウル) が heureuse (ウルーズ) になったように。

mystérieux : (形容詞) 神秘的な、不思議な、謎の

séduit (セデュィ) : 動詞 séduire (セデュィール) の過去分詞

séduire : (動詞) 誘惑する、魅惑する

m'avaient séduite : séduire の大過去。「私を惑わした。」

* 大過去形は avoirまたはêtreの半過去形 のあとに動詞の過去分詞がついた形でした。

* 過去分詞 séduit の語尾に -e がついているのに注意。発音は[セデュィット]。


【訳】

Ses délicatesses mystérieuses m'avaient séduite.

_ 彼の神秘的な繊細さが私を魅惑したのです。

_ あの人が持っている不思議な優雅さに私は惑わされてしまったのです。


【文法解説】

●なぜ大過去を使ってるのか

なぜ m'avaient séduite と大過去形になっているかというと、大過去形の意味(用法)は「或る過去の時点までに完了している過去」 みたいな感じでした。物語とかで、何か出来事が語られていて、その出来事より前のことを表現したいときとかです。

この文の場合も、語りの中心になっている「過去」がこの文の前後に表現されているはずです。 「あの人のせいで私は堕落してしまった(← 中心となる過去のできごと)。というのもあの人の不思議な優雅な仕草にこころ引かれてしまったから( ← 「堕落」してしまった理由となるできごと ← 「堕落」した過去より以前のこと )」 みたいなかんじで。

できれば、翻訳か原文を読んで確かめてみてください。


● séduit になぜ -e がついているか

ここでは séduire の過去分詞である séduit に -e がついて séduite となっています。

これはなぜでしょうか?

「複合過去形や大過去形で、過去分詞の直接目的語が、その過去分詞より前(左)にあるときは、その過去分詞はその直接目的語に性数一致する」、みたいな規則を思い出してくれましたか?

この文で m'avaient séduite の m' (me) は、過去分詞 séduit の直接目的語です。

(直接目的語の「直接」は 前置詞とかがつかないでそのまんま(直接に)動詞の目的語になってる、みたいないみです。)

「私を(me)」 「誘惑した」 わけです。

そして、この場合、誘惑された「私(me)」 は、女性です。

なぜ、女性だとわかるのか。

それは、過去分詞の séduit に -e がついて séduite となっているからです。

というのも、「複合過去形や大過去形で、過去分詞の直接目的語が、その過去分詞より前(左)にあるときは、その過去分詞はその直接目的語に性数一致する」 からです。

この説明でわかりますか?

もっとわかりやすい説明を考えだしたら( あるいはどこかで見つけたら ) お知らせしますので、きょうはここまででお願いします。


【関連投稿】

→ 「海の風が俺の胸を」 (2012/2/5)
→ 「地獄の道連れの告白を聞こう」 (2011/11/21)


2012-04-29

綴り字記号つきの文字の入力

パソコンでフランス語を入力するときに 「綴り字記号 (アクサン) 」 つきの文字は、日本語キーボードからは直接打つことができません。

Ça va? の ç とか、étranger の é とか。


キーボードの設定をフランス語配列のキーボードに変更すれば可能ですが、その場合、日本語が入力できなくなるので、日本語とフランス語混じりの文章を書くときは不便です。

( ほかにも数年前までは 「文字コード」の制約もあって、一つの文書に日本語とフランス語を同時に記述するのは困難でした。 )


たとえば、マイクロソフトのワープロソフト Word だと、ショートカットキーを使ってアクサンつき文字を入力することができます。

たとえば、[ Ctrl ] + [ , ] のあとで c を打つと ç が入力されます。



他の文字については Word のヘルプにも書いてあるはずですが、ヘルプのどこにあるか見つけづらいので、「ワード フランス語 アクサン」 などで Webを検索すると見つかると思います。

いま検索してみたら、たとえば 「 アクサンの入力方法(wordやexcelの場合):フランス語会話の勉強法 」 というページにわかりやすく表で載っていました。


私は普段の文章書きには Word ではなくテキストエディターを使っています。

テキストエディターは Word (ワープロ) のように文字を大きくしたり色をつけたり、図や表を入れたりということがいっさいできません。

純粋に文字 (テキスト) だけを編集するソフトです。 そのぶん動作が軽快です。

私が知っている範囲だと、 EmEditor というテキストエディターは、日本語入力中でも、 Word と同じショートカットキーで綴り字記号つきの文字を入力することができます。




便利! なのですが、私はパソコンを使い始めたときから秀丸エディターというのを使っていて、秀丸エディターはこの方法でも綴り字記号つき文字を入力できません...。


(EmEdotorからコピーして貼り付けてみた。)


なので、一時的に秀丸エディターから EmEditor に常用エディターを変更してみたこともありました。

機能的にはEmEditorで十分(すぎるほど)なのですが、体というか指先に染みこんだ秀丸エディターの操作感を忘れられずに秀丸に戻りました。


どうすればいいのか。

しばらく綴り字記号つきの文字を入力する場合は、EmEditorを別途たちあげて、EmEditorでショートカットキーを使って ç や é や à を入力して、それをコピーして秀丸に貼り付けていました。

それから、気がついて、フランス語を入力するファイルの先頭に、よく使うアクサンつきの文字を入力しておいて、そのつどそこからコピーするようにしました。

こんな感じです。




でも、これでもまだ不便です。

もっといい方法はないのか?...


(続く...)


2012-04-15

彼女は立ち上がって、コーヒーが残っているかを


(フランス語中級)

Elle se leva pour aller voir s'il restait du café.

[ Zola, "L'Assommoir" ]

エミール・ゾラの 『居酒屋』 の一節(第7章)。


【発音】

Elle se leva
エル ス ルヴァ

pour aller voir .
プール アレ ヴォワール

s'il restait du café
シィル レステ デュ カフェ


今回はフランス語の音声をつけてみました...。
ネイティブの発音ではありませんよ...。

→ 音声  [ SoundCloud ]


【語句】

_ leva : lever の直説法単純過去

_ se lever : 「起き上がる、立ち上がる」

_ aller voir : 「見に行く」

_ si : ここでは「~かどうか」

_ restait : rester (「留まる、~の状態でいる」) の直説法半過去形

_ il reste ~ : 「~が残っている」 。 この場合、il はいわゆる「非人称」の主語。

_ du café : ここでは du は部分冠詞。


【説明】

●単純過去形

Elle se leva で、「彼女は立ち上がった、彼女は起き上がった」ですが、「“立ち” 上がった」のか「“起き” 上がった」 のかどちらがいいかは状況(文脈)によります。

ここでは、「彼女」が椅子かなんかに座っていて、そこから「立ち上がった」ことにします。

leva の時制は単純過去形です。

引用文はエミール・ゾラの『居酒屋』という小説からですが、小説などでは 「だれだれは~した、それから~して、~した」みたいに、順番に何かが起こったり、だれかが何かを次々にしたりする様子が描かれます。

そういう場合に単純過去形が使われることが多いです。日常会話では単純過去形は使われません。

日本語でいえば「単純過去」はちょっと「古文」みたいな感じがするのかもしれません。


●pourの意味

つぎに Elle se leva pour aller voir ですが、前置詞 pour は「目的」を表すので、pour aller voir で 「見に行くために」となり、「彼女は~を見に行くために立ち上がった」 となります。

ですが、pour には「結果」の意味もあるので、「彼女は立ち上がって~を見に行った」でもいいですね。

どちらにするかはやはり状況(文脈)の自然さで選びましょう。


●siの意味

s'il restait du café で 「コーヒーが残っているかどうか(を)」。

ここでの si は 「~かどうか」です。また、il は 「非人称」になります。


●半過去形

rester が単純過去ではなくて、半過去形になっているのは、「コーヒーが残っている」というのは順番に起こったりしたりするような動きではなく、そのときの「状態」「状況」だからです。

そうした過去の「状況」「状態」「背景」を表す時制は、単純過去ではなく、複合過去でもなく、半過去になります。


【訳】

Elle se leva pour aller voir s'il restait du café.
彼女は立ち上がって、コーヒーが残っているか見に行った。


【補足】

* lever の直説法単純過去の活用

je levai
ジュ ルヴェ
tu levas
テュ ルヴァ
il leva
イル ルヴァ
nous levâmes
ヌ ルヴァーム
vous levâtes
ヴ ルヴァートゥ
ils levèrent
イル ルヴェール


【関連記事】


→ 原文
* このページ内を検索すると該当する文章が見つかります。



フランス語入門005:「きみはそれが嫌いだ。」


例文: Tu détestes ça.


○発音

tu [テュ]: u の発音は唇を恥ずかしいくらい思い切り突きだして[イ]!

déteste [デテストゥ]: 語末の -es は発音しません

ça [サ]



○意味

tu : 「君は、あなたは」

détestes : 「が嫌いだ」

ça : 「それ、これ、あれ」

Te détestes ça. : 「きみはそれが嫌いだ。」


○解説

「私はそれが嫌いだ。」は、 Je déteste ça. (ジュ デテゥストゥ サ) でした。

「きみはそれが嫌いだ。」 になると、 Je が Tu に代わります。

それから変わったところはどこでしょう?

そうです、Je 「私は」 のときの déteste 「が嫌いだ」 が、Tu 「きみは」 になると détestes と、最後に -s がついています。

そうです。 「私はきみを愛している。」 が Je t'aime. で、「きみは私を愛してる。」が Tu m'aimes. だったのと同じです。

aime, aimes や déteste, détestes を「動詞」といいます。

Je や Tu はその動詞に対する「主語」ですね。

つまり、動詞の形は主語によって変わるということになります。

これを「動詞の活用」といったりします。

どのくらい「変わる」のか? それはまだ秘密です...。

とりあえず、

je → aime、déteste
tu → aimes, détestes

というふうに、

je → -e
tu → -es

というパターンがあることになります。




2012-04-14

上級仏単語: crapuleusement

crapuleusement


【発音】

crapuleusement
クラピュルーズモン


【品詞】

副詞


【意味】

卑劣に、下劣に


2012-03-25

ナンビクワラの人たちは(2)

(フランス語中級)

Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

[ Claude Lévi-Strauss, "Tristes tropiques", 1955 ]

前回の続き。きょうはこの文章の後半部分、puis se nourrissent ... からです。


【発音】

puis se nourrissent 
ピュイ ス ヌリッス

légèrement 
レジェールモン

des reliefs de la veille. 
デ ルリィエフ ドゥ ラ ヴェイユ


【語句】

puis : (副詞) 次に、それから

nourrissent < nourrir。
* ここの se nourrissent の主語は文頭の Les Nambikwara ですね。

nourrir (ヌリール) : 食べ物を与える
* se nourrir de ~ で、 「を食べる、摂取する」。
* 名詞は nourriture (ヌリチュール/女性名詞) で 「栄養, 食べ物」などのいみ。
* 活用は finir, choisir などと同じ。
* nourrir の直説法現在形の活用の実際は 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)」 を見てください。
*choisir の直説法現在形の活用は 「ああ、俺は苦しいんだ。」 で確認しています。


légèrement : (副詞) 軽く、少しばかり 
* 形容詞は léger (レジェ) で 「軽い」。

des : (ここでは) 前置詞 de + 定冠詞 les。
* des が文中に現れたら、「不定冠詞複数形のdes」 か、「前置詞 de + 定冠詞複数形のles」 かのどちらかです。
* ここの de は se nourrissent につながります。

relief : (男性名詞)[複数形で] 食事の残り物

veille : (女性名詞)前日
* 「昨日」は hier


【分かち訳】

puis se nourrissent
それから(…を)食べる

légèrement 
軽く

des reliefs de la veille. 
前日の残り物を(食べる)


【全体の訳】

Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

ナンビクワラの人たちは日の出とともに起きて、残り火をかき立て、夜のあいだに冷えた体をなんとか暖める。そして、前日の残り物で軽い食事をする。


上級仏単語: hilare


【発音】
hilare
イラール

【品詞】
形容詞

【意味】
陽気な、上機嫌の


2012-03-13

ナンビクワラの人たちは(1)


Les Nambikwara se réveillent avec le jour, raniment le feu, se réchauffent tant bien que mal du froid de la nuit, puis se nourrissent légèrement des reliefs de la veille.

[ Claude Lévi-Strauss, "Tristes tropiques", 1955 ]


クロード・レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』 より。
きょうは、この文章の前半を見てみます。


【発音】

Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

avec le jour, 
アヴェク ル ジュール

raniment le feu,
ラニーム ル フゥ

se réchauffent tant bien que mal
ス レショッフ タン ビヤン ク マル

du froid de la nuit,
デュ フロワ ドゥ ラ ニュイ


【語句】

◇ Les Nambikwara se réveillent
レ ナンビクワラ ス レヴェイユ

Nambikwara : 「ナンビクワラ族」。ブラジルのアマゾン奥地に住む人々。
les Nambikwara : 「ナンビクワラ族の人たち」 
se réveiller (ス レヴェイェ): (代名動詞)[眠りから]目覚める

→ 「ナンビクワラの人たちは目覚める」


◇ avec le jour,
アヴェク ル ジュール

jour : (男性名詞) 一日、日中、陽の光
se réveiller avec le jour : 日の光とともに目覚める

→ 「陽の光とともに」


◇ raniment le feu,

ranimer : 生気をかきたてる、活気づける
feu : (男性名詞) 火、暖炉、こんろ
ranimer le feu : 火をかきたてる

→ 「火をかきたてる」


◇ se réchauffent tant bien que mal

réchauffer : 温め直す
se réchauffer : (代名動詞) 体を暖める
tant bien que mal : どうにかこうにか、やっと、なんとか

→ 「どうにかこうにか体を暖める」


◇ du froid de la nuit,

froid : (男性名詞) 寒さ、冷たさ。 (形容詞) 寒い、冷たい。
nuit : (女性名詞) 夜

* du froid の de は、ここでは「寒さから(体を暖める)」の「から」。

→ 「夜の寒さから」


◇ Claude Lévi-Strauss : クロード・レヴィ=ストロース、1908-2009。フランスの人類学者。

◇ Tristes tropiques

triste : (形容詞) 悲しい
tropique : (男性名詞) 回帰線。[複数形で] 熱帯地方
Tristes tropiques : 「悲しき熱帯」。 レヴィ=ストロースの初期の作品。


【意味】

Les Nambikwara se réveillent avec le jour,
ナンビクワラの人たちは日の光とともに目覚め

raniment le feu,
火をかきたて

se réchauffent tant bien que mal
なんとか体を暖める

du froid de la nuit
夜の寒さから


【訳】

ナンビクワラの人たちは、日の出とともに起きて、残り火をかきたて、夜の冷えからなんとか体を暖める。


【補足】

* ranimer は re + animer から。re は「再び」、animer は「活気づける」。

* réchauffer も re + chauffer から。 chauffer は「温める、暖める」。

* se réveiller や se réchauffer は、いわゆる「代名動詞」。

* réveiller の直説法現在形の活用を確認してみましょう。aimer や parler などとおなじ 「第一群規則活用動詞」ですね。

je réveille (ジュ レヴェイユ)
tu réveilles (テュ レヴェイユ)
il réveille (イル レヴェイユ)
nous réveillons (ヌ レヴェイヨン)
vous réveillez (ヴ レヴェイェ)
ils réveillent (イル レヴェイユ)



* レヴィ=ストロースは、なんと100歳すぎまで生きてました!

* レヴィ=ストロースという姓は、ジーパンのリーバイ・ストラウス(Levi Strauss) と(ほぼ) 同じ綴り。 橋爪大三郎さんの 『はじめての構造主義』(講談社現代新書) にこのネタが載っていたような記憶があります。

→ 追記(2012/3/25): 本棚の本を調べてみました。 『はじめての構造主義』の冒頭に出てました。

「そんなことを考えながら、ある日ぶらぶら、渋谷の道玄坂を歩いていきますと ― なんと、私の知らぬまに、はやばやとでっかい広告の看板まで出ているではないか。 『 LEVI STRAUSS 』 こりゃ不思議だ。どうしてこんなところに、レヴィ=ストロースの広告が出ているんだろ。そうか、ボクの知らないうちに、世の中は意外に進んでいるのかもしれないな。」 ( 『はじめての構造主義』 講談社現代新書、1988、12ページより )