フランス語中級
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.
[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]
レーニンという人が書いた『帝国主義論』という本のフランス語訳の序文です。
1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)
レーニンは20世紀初頭にロシア革命を首謀して、ロシア帝国を崩壊させ、ソ連という国を創った人です。 ソ連は20世紀の終わりに消滅して、今はまたロシアという国になってます。
この文章は最後までピリオド period (フランス語では point [プワンまたはポワン] )が出てこないので、これ全体で一つの文ですね。
ちょっと長いですが文の最初から見ていきたいと思います。
---
Ce livre montre (スリーヴル モーントゥル)の、montre は動詞 montrer の直説法現在形。意味は「見せる」とか「示す」で、英語で言えば show でしょう。
なので、ここまでで 「この本は...を示している」「...ということを明らかにしている」、「この本に書いてあることはこうである」 というような意味になります。
続いて Ce livre montre que ... と続くので、 「この本は que 以下のことを示している」 という文なんだなと予想をつけます。
こういう時の que の後には「主語」と「述語」からなる〈文〉が来るはず。つまり「〜は…である( …する )ことをこの本は示している」というふうになるはず。
と思って続きを見ると que の後は la guerre (ラ ゲール)となっています。
_ Ce livre montre que la guerre ...(スリーヴル モーントゥル ク ラゲール)
guerre は女性名詞で「戦争」。
la guerre のすぐ後には de 1914-1918 とあるので、この戦争は 「1914から1918年にかけての戦争」 、つまり第一次世界大戦のことだとわかります。
ところで 1914 の読み方は、ミルヌフソンカトルズ mille neuf cent quatorze 、つまり 千・九・百・十四で、1918 は、ミルヌフソンディズユィット mille neuf cent dix-huit、つまり 千・九・百・十八 です。
de 1914-1918 の年号の間の 「 - 」 ですが、ここでは à と同じです、つまり、de 1914 à 1918 ということです。
de ~ à … で、「~から…まで」、 英語の from ~ to … という表現と同じです。
さて、 que の後には「主語」 と 「述語」 が来るのではないかという予想でした。
そうだとすると la guerre de 1914-1918 が主語で、「1914年から1918年の戦争は....だったということをこの本は明らかにしている」 ということになります。
そういう予想で、la guerre de 1914-1918 の後を見ると、 予想通り述語となる動詞表現 a été が来ています。
_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
a été (ア エテ) ですが、a は 動詞 avoir の直説法現在形、 été は名詞だと 「夏」 という意味ですが、ここでは動詞 être の過去分詞形です。
つまり、[avoirの直説法現在形 + 動詞の過去分詞] のかたちなので、「複合過去」 ということになります。
意味は、être は 「~です、~である」 という意味があるので、それを過去っぽく言えば 「~であった」 です。
la guerre de 1914-1918 a été ... で、「1914年から1918年までの戦争は、...だった」 となります。
では、その戦争は「何」だったのか。
a été のあとに de part et d'autre という表現があります。 これはなんかちょっと 「熟語」 っぽい。
そこで辞書を調べてみると、de part et d'autre には、
どちら側も, 双方とも(に)、互いに
などの意味があります。
発音は「ドゥ パール エ ドートゥル」とふつうに読むのではなく、 part と et をつなげて(=リエゾンさせて) 「ドゥパルテドートゥル」と読んでください。
そうすると、
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre ...
で、
この書籍が示しているのは、1914から1918年にかけての戦争は、どちら側も ... であったということである。
という感じになりそうです。
で、結局、どんなんだったかといと、
_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
une guerre impérialiste (ユヌ ゲール アンペリアリスト)の impérialiste は、「帝国主義の」という形容詞。
名詞形は impérialism (アンペリアリスム)。男性名詞で意味は「帝国主義」。
ですので une guerre impérialiste で 「帝国主義の戦争」「帝国主義的戦争」「帝国主義戦争」などとなります。
さて、これで、
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
までは、
1914年から1918年の戦争はどちらの側も帝国主義戦争であったことをこの本は明らかにしている。
となります。
が、「 どちらの側も」というのがなんだかまだあいまいです。
もういちど de part et d'autre を、今度は仏仏辞典(つまりフランス語の国語辞典)で調べてみました。
或る仏仏辞典では de part et d'autre を réciproquement と説明しています。
réciproquement (レシプロークモン)は「お互いに」「相互に」です。
ここは戦争の話なので、「 どちら側も 」「お互いに」 というのは、戦争をしている両方の側ということでしょう。
そこでこんな訳文にしてみます。
Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste
「この本によって明らかにされるのは、1914年から18年にかけての戦争が両陣営ともに帝国主義による戦争だったことである。」
→ 続き 「 この本が明らかにしているのは 2 」
◆ リンク
_ フランス語訳 (Marxists Internet Archive)
_ 日本語訳 『帝国主義論』 (光文社古典新訳文庫)
2013-12-28
2013-12-11
私は十五だった
J'avais quinze ans.
[Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"]
(フランス語初級)
もう十分に冬になって、朝は身が引きしまるほど寒く、夜は星がきれいです。
きょうの例文は、アラン・フルニエによる青春文学 『グラン・モーヌ』 から。
語り手が若かりし頃を回想して、「そのときぼくは15才だった」 と言ってるような場面です...。
◆ 発音
J'avais
ジャヴェ
quinze ans.
カーンザン
Alain-Fournier
アラン・フルニェ
Le grand Meaulnes
ル グラン モーヌ
◆ 語句
◇ j'avais は je と avais で、avais は avoir の直説法半過去形。
[avoir の直説法半過去形の活用の確認]
j'avais (ジャヴェ)
tu avais (テュ アヴェ)
il avait (イラヴェ)
nous avions (ヌザヴィオン)
vous aviez (ヴザヴィエ)
ils avaient (イルザヴェ)
[確認]
* カタカナの発音を見て、綴りを書いてみましょう。
ジャヴェ
テュ アヴェ
イラヴェ
ヌザヴィオン
ヴザヴィエ
イルザヴェ
* 何も見ないで avoir の直説法半過去形の活用を書いてみましょう。
◇ quinze (カーンズ) は数字の 15 です。
[数字の11から20までの復習]
11 onze (オーンズ)
12 douze (ドゥーズ)
13 treize (トゥレーズ)
14 qutorze (クァトルズ)
15 quinze (カーンズ)
16 seize (セーズ)
17 dix-sept (ディセットゥ)
18 dix-huit (ディズユィットゥ)
19 dix-neuf (ディズヌフ)
20 vingt (ヴァン)
[確認]
* カタカナの発音を見て、綴りを書こう。
11 オーンズ
12 ドゥーズ
13 トゥレーズ
14 クァトルズ
15 カーンズ
16 セーズ
17 ディセットゥ
18 ディズユィットゥ
19 ディズヌフ
20 ヴァン
[確認]
* 数字を見て綴りを書きましょう。
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
[確認]
* 11から20までの数字を暗唱してください。
◇ ans
an (アン)は、男性名詞で 「年(ねん)、~歳」 。
「私は15歳です」なら、 J'ai quinze ans. (ジェ カーンザン)
◇ Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"
Alain-Fournier は、1886年生まれのフランスの小説家。 第一次世界大戦に従軍して27才で戦死。
Le grand Meaulnes : アラン・フルニエの小説。 grand は「背が高い」。 なので直訳すると「背高ノッポのあのモーヌ」 か。
◆ 意味
J'avais quinze ans.
私は15歳だった。
[練習]
「私は15歳だった。」 をフランス語で書け。
◆ 関連情報
◇翻訳など
『グラン・モーヌ』 (岩波文庫 / 天沢退二郎 訳)
『モーヌの大将』 (大学書林語学文庫)
◇ 原文
Le Grand Meaulnes by Alain-Fournier (Project Gutenberg )
[Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"]
(フランス語初級)
もう十分に冬になって、朝は身が引きしまるほど寒く、夜は星がきれいです。
きょうの例文は、アラン・フルニエによる青春文学 『グラン・モーヌ』 から。
語り手が若かりし頃を回想して、「そのときぼくは15才だった」 と言ってるような場面です...。
◆ 発音
J'avais
ジャヴェ
quinze ans.
カーンザン
Alain-Fournier
アラン・フルニェ
Le grand Meaulnes
ル グラン モーヌ
◆ 語句
◇ j'avais は je と avais で、avais は avoir の直説法半過去形。
[avoir の直説法半過去形の活用の確認]
j'avais (ジャヴェ)
tu avais (テュ アヴェ)
il avait (イラヴェ)
nous avions (ヌザヴィオン)
vous aviez (ヴザヴィエ)
ils avaient (イルザヴェ)
[確認]
* カタカナの発音を見て、綴りを書いてみましょう。
ジャヴェ
テュ アヴェ
イラヴェ
ヌザヴィオン
ヴザヴィエ
イルザヴェ
* 何も見ないで avoir の直説法半過去形の活用を書いてみましょう。
◇ quinze (カーンズ) は数字の 15 です。
[数字の11から20までの復習]
11 onze (オーンズ)
12 douze (ドゥーズ)
13 treize (トゥレーズ)
14 qutorze (クァトルズ)
15 quinze (カーンズ)
16 seize (セーズ)
17 dix-sept (ディセットゥ)
18 dix-huit (ディズユィットゥ)
19 dix-neuf (ディズヌフ)
20 vingt (ヴァン)
[確認]
* カタカナの発音を見て、綴りを書こう。
11 オーンズ
12 ドゥーズ
13 トゥレーズ
14 クァトルズ
15 カーンズ
16 セーズ
17 ディセットゥ
18 ディズユィットゥ
19 ディズヌフ
20 ヴァン
[確認]
* 数字を見て綴りを書きましょう。
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
[確認]
* 11から20までの数字を暗唱してください。
◇ ans
an (アン)は、男性名詞で 「年(ねん)、~歳」 。
「私は15歳です」なら、 J'ai quinze ans. (ジェ カーンザン)
◇ Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"
Alain-Fournier は、1886年生まれのフランスの小説家。 第一次世界大戦に従軍して27才で戦死。
Le grand Meaulnes : アラン・フルニエの小説。 grand は「背が高い」。 なので直訳すると「背高ノッポのあのモーヌ」 か。
◆ 意味
J'avais quinze ans.
私は15歳だった。
[練習]
「私は15歳だった。」 をフランス語で書け。
◆ 関連情報
◇翻訳など
『グラン・モーヌ』 (岩波文庫 / 天沢退二郎 訳)
『モーヌの大将』 (大学書林語学文庫)
◇ 原文
Le Grand Meaulnes by Alain-Fournier (Project Gutenberg )
ラベル:
Alain-Fournier,
フランス語初級,
縮約,
数字,
半過去
2013-07-20
愛を定義するのはむずかしい
Il est difficile de définir l'amour.
(フランス語初級)
ラ・ロシュフコー という人の "Maximes" (『箴言集』) から。
[ 読み方 ]
Il est difficile
イレ ディフィシィッル
de définir l'amour
ドゥ デフィニール ラムール
La Rochefoucauld
ラ ロシュフコ
Maximes
マクシィム
[ 語句 ]
difficile : 形容詞. 「 難しい、困難な 」
définir : 動詞. 「 明確に示す, 定義する 」
amour : 男性名詞. 「愛, 恋」
l'amour の l' : 定冠詞の “縮約形”. 単数の定冠詞 le , la は、母音で始まる名詞に付くときは、 l' となってその名詞にくっつきます。 この場合は、amour が男性名詞なので、 l'amour の l' は le の縮約形です。
La Rochefoucauld : ラ・ロシュフコー (ラ・ロシュフーコー)、1643-1680. フランスの “モラリスト”。 『箴言集』 にいっぱい詰まった短い箴言が有名です。 Webを検索すると、日本語でも彼の箴言がいろいろ見つかります。
例えば 「 太陽も死も直視できない (Le soleil ni la mort ne se peuvent regarder fixement.) 」 とかです。 かっこいいです。
フランス語の引用集だと wikiquote にたくさんあります (英訳つき)。
maxime : 男性名詞. 「格言, 教訓」、複数形で「格言集、箴言(しんげん)」.
[ 文の構成 ]
_ Il est ... de 不定詞 ~
( 「不定詞」 は動詞の原形(変化してない形)のことです。 )
[ Il est ... de 不定詞 ~ ] で、「 ~するのは、... だ 」 みたいな感じになります。
この文はいわゆる 非人称構文 です。
以前出てきた例文だと、
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui. [ → ]
というのがありました。
今回の場合は、
Il est difficile de définir l'amour.
「愛を定義するのは困難だ」、「愛とは何かを明確に示すことはむずかしい」 という感じになります。
2013-05-05
二週間爪を伸ばしておけ
On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.
( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )
ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 から。
『マルドロールの歌』の文はこれまで二回扱っています。
→ でも大丈夫、簡単に手でこうやって (2013/02/11)
→ これは失敬、どうも髪の毛が (2013-02-09)
○ 発音
では、いつものように発音を確認しましょう。
On doit
オン ドワ
laisser pousser
レセ プセ
ses ongles
セゾングル
pendant quinze jours.
ポンドン カーンズ ジュール
実際に耳で聞いてみたい方は :
→ 発音例 (Sound Cloud)
ネイティブの発音じゃないので適度に参考にしてください...。
○ 語句と解説
単語の意味を確認しながら文の内容を見ていきましょう。
_ on
「不定代名詞」、文の主語としてのみ使われます。なぜ「不定」な代名詞かというと、「不特定の人」を示したりするからです。「だれかが」とか「人は」「人々は」とか。
ほかに、「あなたは」「わたしは」「私たちは」みたいに、vous や je や nous などの代わりに使われることもあります。
主語の on に続く動詞は三人称単数形、つまり il や elle のときと同じ活用になります。たとえ on が「私」や「あなた」を内容として指していても、動詞の活用は三人称単数形です。
_ doit
devoir の直説法現在・三人称単数形。 意味は 「~しなければならない」 など。
とりあえず On doit ... で「人は~しなければならない」って感じになりますかね。
_ laisser
「 laisser + 不定詞 」で、「~させる」「~するがままにしておく」です。
* 「不定詞」って動詞の原形(活用しない形)ですね。
そうすると On doit laisser ... で、 「人は~するがままにしておかねばならぬ」。
_ pousser
英語の push 。 「~を押す」という意味ですが、このあとすぐに ses ongles と「爪」という名詞がきているので、ここでは 「生える(はえる)」「伸びる」。
なので、On doit laisser pousser ... までは 「人は伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」みたいな感じ。
では、何を伸びっぱなしにしておくのか。
_ ses
所有形容詞 son の複数形です。いみは「彼の」とか「彼女の」とか「それの」とかです。
ところでなぜ「所有形容詞」っていうのか?
所有形容詞は他に mon (私の)とか ton (君の)とかがありますが、いずれも「だれだれの」という意味があります。「だれだれの」ですから「所有」の意味を持っているわけです。
また「形容詞」ですが、形容詞の役割は「名詞を修飾する」こと。 所有形容詞は「だれだれの」という意味ですから、必ずその後には「私の本」「彼の車」みたいに、「本」「車」などの「名詞」が来ます。
つまり、所有形容詞は「名詞を修飾」します。なので所有「形容詞」です。
話はもどって、この ses ongles の ses (彼の、彼女の、それの)の「彼、彼女、それ」とは「だれ」なんでしょうか?
_ ongle
男性名詞で「爪」という意味。
そうすると On doit laisser pousser ses ongles で、「彼の(彼女の)爪を伸ばしっぱなしにしておくべきだ」になりますが、この「爪」は「だれ」の爪なんでしょうか。
さきほど主語の on という代名詞(不定代名詞)は主語にしか使われないと言いました。
では on の所有形容詞ってないんでしょうか?
何が言いたいかというと、たとえば je ならばその所有形容詞は mon、tu なら ton です。 では on の所有形容詞は?
on は所有形容詞の形がないので、ほかの所有形容詞である son を借用します。
ses ongles は 主語 on 自身の爪だということになります。
なので、On doit laisser pousser ses ongles は 「人は自分の爪を伸びるがままにしておかねばならぬ」と解することができます。
_ pendant
前置詞で、「~の間」と期間を表します。 英語だと during でしょうか。
_ quinze
数詞ですね。「15」です。
_ jour
男性名詞。「日」、英語の day 。
quinze jours で「15日」、pendant quinze jours で「15日間」ということになりますが、フランス人は「今日」から数えて15日間と考えるらしく、pendant quinze jours は、今日から数えて15日間、つまり「二週間」となります。
これで、On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours. は、「人は二週間の間自分の爪を伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」 となりますね。
○ 逐語訳
On 人は quinze jours 二週の pendant 間 ses ongles 自分の爪が pousser 伸びる laisser がままにして doit おかねばならぬ。
○ 分かち訳
On 人は doit せねばならぬ laisser pousser 伸びっぱなしに ses ongles 自分の爪を pendant quinze jours 二週の間.
○ 訳例
On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.
二週間ずっと爪を伸ばしたままにしておくんだ。
○ リンク
→ 原文: Wikisource
→ 翻訳: 集英社文庫、ちくま文庫
( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )
ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 から。
『マルドロールの歌』の文はこれまで二回扱っています。
→ でも大丈夫、簡単に手でこうやって (2013/02/11)
→ これは失敬、どうも髪の毛が (2013-02-09)
○ 発音
では、いつものように発音を確認しましょう。
On doit
オン ドワ
laisser pousser
レセ プセ
ses ongles
セゾングル
pendant quinze jours.
ポンドン カーンズ ジュール
実際に耳で聞いてみたい方は :
→ 発音例 (Sound Cloud)
ネイティブの発音じゃないので適度に参考にしてください...。
○ 語句と解説
単語の意味を確認しながら文の内容を見ていきましょう。
_ on
「不定代名詞」、文の主語としてのみ使われます。なぜ「不定」な代名詞かというと、「不特定の人」を示したりするからです。「だれかが」とか「人は」「人々は」とか。
ほかに、「あなたは」「わたしは」「私たちは」みたいに、vous や je や nous などの代わりに使われることもあります。
主語の on に続く動詞は三人称単数形、つまり il や elle のときと同じ活用になります。たとえ on が「私」や「あなた」を内容として指していても、動詞の活用は三人称単数形です。
_ doit
devoir の直説法現在・三人称単数形。 意味は 「~しなければならない」 など。
とりあえず On doit ... で「人は~しなければならない」って感じになりますかね。
_ laisser
「 laisser + 不定詞 」で、「~させる」「~するがままにしておく」です。
* 「不定詞」って動詞の原形(活用しない形)ですね。
そうすると On doit laisser ... で、 「人は~するがままにしておかねばならぬ」。
_ pousser
英語の push 。 「~を押す」という意味ですが、このあとすぐに ses ongles と「爪」という名詞がきているので、ここでは 「生える(はえる)」「伸びる」。
なので、On doit laisser pousser ... までは 「人は伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」みたいな感じ。
では、何を伸びっぱなしにしておくのか。
_ ses
所有形容詞 son の複数形です。いみは「彼の」とか「彼女の」とか「それの」とかです。
ところでなぜ「所有形容詞」っていうのか?
所有形容詞は他に mon (私の)とか ton (君の)とかがありますが、いずれも「だれだれの」という意味があります。「だれだれの」ですから「所有」の意味を持っているわけです。
また「形容詞」ですが、形容詞の役割は「名詞を修飾する」こと。 所有形容詞は「だれだれの」という意味ですから、必ずその後には「私の本」「彼の車」みたいに、「本」「車」などの「名詞」が来ます。
つまり、所有形容詞は「名詞を修飾」します。なので所有「形容詞」です。
話はもどって、この ses ongles の ses (彼の、彼女の、それの)の「彼、彼女、それ」とは「だれ」なんでしょうか?
_ ongle
男性名詞で「爪」という意味。
そうすると On doit laisser pousser ses ongles で、「彼の(彼女の)爪を伸ばしっぱなしにしておくべきだ」になりますが、この「爪」は「だれ」の爪なんでしょうか。
さきほど主語の on という代名詞(不定代名詞)は主語にしか使われないと言いました。
では on の所有形容詞ってないんでしょうか?
何が言いたいかというと、たとえば je ならばその所有形容詞は mon、tu なら ton です。 では on の所有形容詞は?
on は所有形容詞の形がないので、ほかの所有形容詞である son を借用します。
ses ongles は 主語 on 自身の爪だということになります。
なので、On doit laisser pousser ses ongles は 「人は自分の爪を伸びるがままにしておかねばならぬ」と解することができます。
_ pendant
前置詞で、「~の間」と期間を表します。 英語だと during でしょうか。
_ quinze
数詞ですね。「15」です。
_ jour
男性名詞。「日」、英語の day 。
quinze jours で「15日」、pendant quinze jours で「15日間」ということになりますが、フランス人は「今日」から数えて15日間と考えるらしく、pendant quinze jours は、今日から数えて15日間、つまり「二週間」となります。
これで、On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours. は、「人は二週間の間自分の爪を伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」 となりますね。
○ 逐語訳
On 人は quinze jours 二週の pendant 間 ses ongles 自分の爪が pousser 伸びる laisser がままにして doit おかねばならぬ。
○ 分かち訳
On 人は doit せねばならぬ laisser pousser 伸びっぱなしに ses ongles 自分の爪を pendant quinze jours 二週の間.
○ 訳例
On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.
二週間ずっと爪を伸ばしたままにしておくんだ。
○ リンク
→ 原文: Wikisource
→ 翻訳: 集英社文庫、ちくま文庫
2013-05-01
他人を評価するより自分を評価することのほうが
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
[Antoine de Saint-Exupéry, "Le Petit Prince"]
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 から。
今回は 「比較」 の表現と、「非人称構文」 が出てきます。
※ Le Petit Prince de Saint Exupéry
■ 発音
Il est
イレ
bien plus difficile
ビャン プリュ ディフィシィル
de se juger soi-même
ドゥ ス ジュジェ スワメーム
que de juger autrui.
ク ドゥ ジュジェ オトゥリュィ
Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ ドゥ サン テグジュペリ
Le Petit Prince
ル プティ プランス
■ 語句
bien : ここでは次の plus difficile の強調。「かなり」「ずっと」
plus 〜 que ... : 比較の表現。「... より 〜 だ」
juger : 動詞。「を裁く」「判断する、評価する」
se juger : 「裁かれる」「自分を評価する」
soi-même : 代名詞。soi の強勢形。
se juger soi-même : 「自分自身を評価する」
autrui : 代名詞。「他人」
juger autrui : 「他人を評価する」
Antoine de Saint-Exupéry : アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。 フランスの作家。 1900-1944。
Le Petit Prince : サン=テグジュペリの小説。 日本語訳題名は 『星の王子さま』 など。
■ 文の構成: 非人称構文
この文をもうちょっとわかりやすい単純な形にしてみます。
Il est difficile de se juger soi-même.
(それはむずしい / 自分自身を評価することは)
これは Il est ~ de ... という構文で、「...するのは~だ」 となります。
Il est ~ de ... の 「...」 には動詞の原形(不定詞) がきます。
また、主語の Il はいわゆる 「非人称主語」 とか 「形式主語」 と呼ばれるもので、この Il 自体は意味(内容)をもっていません。
" Il est difficile " だけをみると 「(それは) むずかしい 」 となります。
この場合に 「むずかしい」 とされている 「 Il (それ) 」 の中身は何か?
その中身が、「 de ... 」 の部分になります。
Il est difficile de se juger soi-même.
(自分自身を評価することはむずかしい)
つまり、Il は de以下の 「自分自身を評価すること」 を受けている (指している) わけです。
ですので、この場合の 「 de ... 」 の箇所を 「意味上の主語」 と言ったりもします
* この形式主語については 「 フランス語の非人称のil - 北鎌フランス語講座 - 文法編 」 で詳しく解説されています。
■ 文の構成: 比較
この文中の 「 plus 〜 que ... 」 は、比較の表現で、「... より 〜 だ」 となります。
Il est plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
(自分自身を評価することは、他人を評価するすることよりむずかしい)
■ 強調の bien
plus の前についている bien はplus を強調しています。「ずっと」って感じです。
■ 分かち訳
Il (それは) bien plus difficile よりずっとむずかしい est です de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより .
■ 逐語訳
(Il それは=) de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより
bien plus difficile よりずっとむずかしい est です
■ 訳文
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
自分自身を評価するのは、他人を評価するよりずっとむずかしい。
■ 関連情報
→ 「あのときの王子くん」 (大久保 ゆう 訳 / 青空文庫)
[Antoine de Saint-Exupéry, "Le Petit Prince"]
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 から。
今回は 「比較」 の表現と、「非人称構文」 が出てきます。
※ Le Petit Prince de Saint Exupéry
■ 発音
Il est
イレ
bien plus difficile
ビャン プリュ ディフィシィル
de se juger soi-même
ドゥ ス ジュジェ スワメーム
que de juger autrui.
ク ドゥ ジュジェ オトゥリュィ
Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ ドゥ サン テグジュペリ
Le Petit Prince
ル プティ プランス
■ 語句
bien : ここでは次の plus difficile の強調。「かなり」「ずっと」
plus 〜 que ... : 比較の表現。「... より 〜 だ」
juger : 動詞。「を裁く」「判断する、評価する」
se juger : 「裁かれる」「自分を評価する」
soi-même : 代名詞。soi の強勢形。
se juger soi-même : 「自分自身を評価する」
autrui : 代名詞。「他人」
juger autrui : 「他人を評価する」
Antoine de Saint-Exupéry : アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。 フランスの作家。 1900-1944。
Le Petit Prince : サン=テグジュペリの小説。 日本語訳題名は 『星の王子さま』 など。
■ 文の構成: 非人称構文
この文をもうちょっとわかりやすい単純な形にしてみます。
Il est difficile de se juger soi-même.
(それはむずしい / 自分自身を評価することは)
これは Il est ~ de ... という構文で、「...するのは~だ」 となります。
Il est ~ de ... の 「...」 には動詞の原形(不定詞) がきます。
また、主語の Il はいわゆる 「非人称主語」 とか 「形式主語」 と呼ばれるもので、この Il 自体は意味(内容)をもっていません。
" Il est difficile " だけをみると 「(それは) むずかしい 」 となります。
この場合に 「むずかしい」 とされている 「 Il (それ) 」 の中身は何か?
その中身が、「 de ... 」 の部分になります。
Il est difficile de se juger soi-même.
(自分自身を評価することはむずかしい)
つまり、Il は de以下の 「自分自身を評価すること」 を受けている (指している) わけです。
ですので、この場合の 「 de ... 」 の箇所を 「意味上の主語」 と言ったりもします
* この形式主語については 「 フランス語の非人称のil - 北鎌フランス語講座 - 文法編 」 で詳しく解説されています。
■ 文の構成: 比較
この文中の 「 plus 〜 que ... 」 は、比較の表現で、「... より 〜 だ」 となります。
Il est plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
(自分自身を評価することは、他人を評価するすることよりむずかしい)
■ 強調の bien
plus の前についている bien はplus を強調しています。「ずっと」って感じです。
■ 分かち訳
Il (それは) bien plus difficile よりずっとむずかしい est です de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより .
■ 逐語訳
(Il それは=) de se juger soi-même 自分自身を評価するのは que de juger autrui 他人を評価するのより
bien plus difficile よりずっとむずかしい est です
■ 訳文
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
自分自身を評価するのは、他人を評価するよりずっとむずかしい。
■ 関連情報
→ 「あのときの王子くん」 (大久保 ゆう 訳 / 青空文庫)
2013-03-05
奇妙な出来事がオランで起こった
フランス語中級
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
( Albert Camus, "La Peste" )
フランスの小説家、アルベール・カミュ ( 1913-1960 ) の『ペスト』 の冒頭です。
→ このブログのカミュに関連する記事
『ペスト』 新潮文庫版 (以前の表紙画像)
アルジェリアのオランという都市がペストに襲われ、その中でもがき・闘う人々が描かれています。
○ 発音
Les curieux événements
レ キュリウゼヴェヌモン
qui font le sujet
キ フォン ル シュジェ
de cette chronique
ドゥ セットゥ クロニーク
se sont produits
スソン プロデュィ
en 194.,
オン ミルヌフサンキャラントゥポワン
à Oran.
ア オラン
→ 発音例 (ネイティブの発音ではありません!)
○ 語句
curieux : 奇妙な、変な
événement : (男性名詞) 出来事、事件
qui : (関係代名詞)
font : 動詞 faire の直説法現在、三人称複数形
sujet : (男性名詞) 主題、テーマ
chronique : (女性名詞) 年代記, 編年史
produit : 動詞 produire の過去分詞
produire : 生産する、産み出す
se produire : 生じる、起こる
Oran : オラン(架空の街の名)
Albert Camus :
peste : (女性名詞) ペスト
○ 直訳
この記録の de cette chronique 主題となる qui font le sujet 奇妙な出来事は Les curieux événements、194x年に en 194. オランで à Oran 起こった se sont produits 。
○ 分かち訳
Les curieux événements (奇妙な出来事は)qui font le sujet (←主題となる)de cette chronique (←この記録の)se sont produits (起こった)en 194.(194x年に), à Oran(オランで).
○ 文の骨格
この文の骨格となるのは次の部分です。
Les curieux événements se sont produits en 194..
→ 奇妙な出来事が194x年に起きた。
○ 代名動詞の複合過去形
動詞の部分 se sont produits は se produire の複合過去形になっています。
se produire は代名動詞で、代名動詞の複合過去では、助動詞に être を使います。
さらにここでは se sont produits と、過去分詞 produit に s が付いています。
これは、代名動詞で使われている代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語のときは、複合形(複合過去や大過去など)で過去分詞がその代名詞に性数一致するからです。
se produire の代名詞 se は、動詞 produire の直接目的語です。
* なぜそうなのかはまたの機会に!
なので、複合形になると produire の過去分詞 produit は人称代名詞se に性数一致します。
この文、
Les curieux événements se sont produits en 194..
の場合、se は主語の les curieux événements を受けているので、se は男性複数です。
そこで過去分詞 produit が se に性数一致して produits となります。
○ 関係代名詞 qui
qui font le sujet de cette chronique の qui は関係代名詞です。
関係代名詞の役割は二つあります。
一つは、関係代名詞の直前にある名詞を修飾(説明)すること。
もう一つは、関係代名詞の後に続く部分の主語や目的語となること。つまり関係代名詞はその後に続く語句と一緒になって、[主語+述語]というセットを作ります。
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
この文の場合、qui が関係代名詞で、直前の名詞 les curieux événements を修飾しています。
また、qui は font le sujet de cette chronique の主語になっています。
[ les curieux événements ] <= [ qui font le sujet de cette chronique ]
[ 奇妙な出来事 ] <= [ (それは)この記録の主題となっている ]
なので「この記録の主題となっている奇妙な出来事」みたいになります。
○ faire の活用
動詞 faire (の直説法現在形の、とくに複数形)は独特の活用をしますので、確認しておきましょう。
je fais (ジュ フェ)
tu fais (テュ フェ)
il fait (イル フェ)
nous faisons (ヌ フゾン)
vous faites (ヴ フェットゥ)
ils font (イル フォン)
faisons の発音は「フェゾン」ではなく、「フゾン」なので注意!
○ 訳例
Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.
この記録のテーマである一連の奇妙な出来事は、194x年にオランで起こった。
○ 関連リンク
→ フランス語原文
2013-02-14
そこで私は本を書くことに
[フランス語初級]
Je me décidai alors à écrire un livre.
(Léon Trotsky, "Ma Vie")
トロツキーの自伝、『わが生涯』のフランス語訳より。
トロツキーは今から 100年前に起きたロシア革命の中心人物の一人です。
※ トロツキー 18才 (Wikipedia)
○ 発音
Je me décidai
ジュムデシデ
alors
アロール
à écrire
ア エクリール
un livre.
アン リーヴル
○ 語句
décidai : 動詞 décider の単純過去形
décider : 決める
se décider : 決心する
se décider à 不定詞 : 〜する決心をする
alors : それで(そこで)
○ 直訳
Je me décidai alors à écrire un livre.
そこで alors 私は je 本を書くことを à écrire un livre 決心した me décidai 。
○ 分かち訳
Je (私は) me décidai (決心した) alors (そこで) à écrire un livre (本を書くことを) .
○ 単純過去形
単純過去形は、過去の事実や出来事を淡々と・客観的に述べるさいに使われる時制です。
* 単純過去形は話し言葉では使われません。
se décider の場合、以下のように活用します。
je me décidai
tu te décidas
il se décida
nous nous décidâmes (デシダーム)
vous vous décidâtes (デシダート)
ils se décidèrent (デシデール)
この活用パターンは、不定詞の語尾が -er で終わる動詞に共通です。
たとえば donner だと、
je donnai
tu donnas
il donna
nous donnâmes
vous donnâtes
ils donnèrent
となりますね。
活用語尾を取り出すと、
je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent
です。
-er 以外の動詞はまたちょっと違った形で活用します!
○ 試訳
Je me décidai alors à écrire un livre.
そこで私は本を書くことにした。
○ リンク
→ フランス語訳
→ 翻訳 (岩波文庫)
Je me décidai alors à écrire un livre.
(Léon Trotsky, "Ma Vie")
トロツキーの自伝、『わが生涯』のフランス語訳より。
トロツキーは今から 100年前に起きたロシア革命の中心人物の一人です。
○ 発音
Je me décidai
ジュムデシデ
alors
アロール
à écrire
ア エクリール
un livre.
アン リーヴル
○ 語句
décidai : 動詞 décider の単純過去形
décider : 決める
se décider : 決心する
se décider à 不定詞 : 〜する決心をする
alors : それで(そこで)
○ 直訳
Je me décidai alors à écrire un livre.
そこで alors 私は je 本を書くことを à écrire un livre 決心した me décidai 。
○ 分かち訳
Je (私は) me décidai (決心した) alors (そこで) à écrire un livre (本を書くことを) .
○ 単純過去形
単純過去形は、過去の事実や出来事を淡々と・客観的に述べるさいに使われる時制です。
* 単純過去形は話し言葉では使われません。
se décider の場合、以下のように活用します。
je me décidai
tu te décidas
il se décida
nous nous décidâmes (デシダーム)
vous vous décidâtes (デシダート)
ils se décidèrent (デシデール)
この活用パターンは、不定詞の語尾が -er で終わる動詞に共通です。
たとえば donner だと、
je donnai
tu donnas
il donna
nous donnâmes
vous donnâtes
ils donnèrent
となりますね。
活用語尾を取り出すと、
je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent
です。
-er 以外の動詞はまたちょっと違った形で活用します!
○ 試訳
Je me décidai alors à écrire un livre.
そこで私は本を書くことにした。
○ リンク
→ フランス語訳
→ 翻訳 (岩波文庫)
2013-02-11
でも大丈夫、簡単に手でこうやって
Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.
ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節。
ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節。
今日はこの文章の後半を見ていきます。
○ 発音
mais,
メ
ce n'est rien,
スネリャン
car,
カル
avec ma main,
アヴェック ママン
je suis parvenu
ジュスュイ パルヴニュ
facilement
ファシッルモン
à les remettre
アレ ルメートゥル
dans leur première position.
ダン ルール プルミエール ポジシオン
○ 語句
ce n'est rien : なんでもない、たいしたことない
parvenu : 動詞 parvenir の過去分詞
parvenir : 到達する
parvenir à + 不定詞 : やっと〜できる,〜することに成功する
facilement 容易に, 簡単に
remettre 元の場所に置く
○ 逐語訳
しかし mais, なんでもありません ce n'est rien, というのも car, 私の手で avec ma main, それらの最初の位置に dans leur première position 簡単に facilement それらを戻すことが à les remettre 私はできました je suis parvenu (から)。
○ 分かち訳
mais (しかし), ce n'est rien (なんてことありません) , car (だって) , avec ma main (私の手を使って) , je suis parvenu facilement (簡単に〜できました[から]) à les remettre (それらを元に戻すことが) dans leur première position (それらの最初の位置に) .
○ parvenir の複合過去
je suis parvenu の箇所は parvenir の複合過去形です。
複合過去形は、[ avoir または être の直説法現在形]と[動詞の過去分詞]をつなげて作ります。
avoir と être のどちらを使うかは 動詞によって決まっていました。
→ 参考: 「どこに行ってたの?」 (フランス語を学ぶ人)
* être を使うのは、なんらかの「移動」の意味をもった自動詞です。
parvenir は venir などと同様に être を使うことになっています。
なので j'ai parvenu ではなく je suis parvenu になります。
○ je suis parvenu の je は男?それとも女?
je suis parvenu の場合の主語の je が男性か女性かを見分けることはできるのでしょうか。
じつは複合過去(や大過去などの複合形時制)で être を使う場合、過去分詞は主語に性数一致します!
Je suis venu.
なら je は男性、
Je suis venue.
なら je は女性。
主語が nous で全員女性なら、
Nous sommes venues.
となります。
なので、je suis parvenu の je は男性です。
○ 試訳
mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.
でも大丈夫、簡単にこうやって手でもとに戻すことができましたから。
○ 発音
mais,
メ
ce n'est rien,
スネリャン
car,
カル
avec ma main,
アヴェック ママン
je suis parvenu
ジュスュイ パルヴニュ
facilement
ファシッルモン
à les remettre
アレ ルメートゥル
dans leur première position.
ダン ルール プルミエール ポジシオン
○ 語句
ce n'est rien : なんでもない、たいしたことない
parvenu : 動詞 parvenir の過去分詞
parvenir : 到達する
parvenir à + 不定詞 : やっと〜できる,〜することに成功する
facilement 容易に, 簡単に
remettre 元の場所に置く
○ 逐語訳
しかし mais, なんでもありません ce n'est rien, というのも car, 私の手で avec ma main, それらの最初の位置に dans leur première position 簡単に facilement それらを戻すことが à les remettre 私はできました je suis parvenu (から)。
○ 分かち訳
mais (しかし), ce n'est rien (なんてことありません) , car (だって) , avec ma main (私の手を使って) , je suis parvenu facilement (簡単に〜できました[から]) à les remettre (それらを元に戻すことが) dans leur première position (それらの最初の位置に) .
○ parvenir の複合過去
je suis parvenu の箇所は parvenir の複合過去形です。
複合過去形は、[ avoir または être の直説法現在形]と[動詞の過去分詞]をつなげて作ります。
avoir と être のどちらを使うかは 動詞によって決まっていました。
→ 参考: 「どこに行ってたの?」 (フランス語を学ぶ人)
* être を使うのは、なんらかの「移動」の意味をもった自動詞です。
parvenir は venir などと同様に être を使うことになっています。
なので j'ai parvenu ではなく je suis parvenu になります。
○ je suis parvenu の je は男?それとも女?
je suis parvenu の場合の主語の je が男性か女性かを見分けることはできるのでしょうか。
じつは複合過去(や大過去などの複合形時制)で être を使う場合、過去分詞は主語に性数一致します!
Je suis venu.
なら je は男性、
Je suis venue.
なら je は女性。
主語が nous で全員女性なら、
Nous sommes venues.
となります。
なので、je suis parvenu の je は男性です。
○ 試訳
mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.
でも大丈夫、簡単にこうやって手でもとに戻すことができましたから。
2013-02-09
これは失敬、どうも髪の毛が
Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.
( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )
ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節です。
ロートレアモンは 1846年から1870年まで生きた (短命です!)、フランスの詩人です。
今回はこの文章の前半を見ていきましょう。
○ 発音
Pardon,
パルドン
il me semblait
イル ム サンブレ
que mes cheveux
ク メ シュヴ
s'étaient dressés
セテ ドゥレセ
sur ma tête
シュル マ テートゥ
Comte de Lautréamont
コントゥ ドゥ ロトレアモン
Les Chants de Maldoror
レ シャン ドゥ マルドロール
○ 語句
pardon : 失礼、すみません
sembler : 〜のように見える・思われる
il me semble que ... で、「私には...のように見える」という表現。que の後には、主語と述語動詞からなる文が来る。
今回は mes cheveux が主語で、 s'étaient dressés が述語動詞。
cheveu : [男性名詞] 髪の毛。複数形は cheveux と、最後に x がつきます。
dresser : まっすぐ立てる
se dresser : [代名動詞] まっすぐに立つ
tête : [女子名詞] 頭
○ 逐語訳
失敬 pardon 、私の髪が mes cheveux 私の頭上で sur ma tête まっすぐ立っていた s'étaient dressés ように que 私には思われました il me semblait 。
○ 分かち訳
Pardon (失礼), il me semblait (私には思えた) que (...と) mes cheveux (私の髪が) s'étaient dressés (立ち上がっていた) sur ma tête (私の頭の上で);
○ 大過去の用法
文中の semblait は(直説法)半過去ですが、 s'étaient dressés は (直説法) 大過去になっています。
大過去の形は、[ avoir または être の半過去形 ] + [ 動詞の過去分詞 ] です。
s'étaient dressés の場合は、 être の半過去形と se dresser の過去分詞 dressé との組み合わせになっています。
* dresser の過去分詞 dressé の最後に -s がついてるのはなんでかな~?
avoir とくっつくか、être とくっつくかは動詞によって決まっています。
複合過去形の場合と同じなので、複合過去形の説明をしたとこを参考にしてください。
さらに、代名動詞の場合はすべて être と結びつくことになっています。
なので、ここで 代名動詞 se dresser は être と結びついています。
大過去の用法ですが、英文法で言うところの「過去完了形」のようなものです。
つまり、或る過去の時点までに起こった出来事をいい表します。
この文の場合、 il me semblait (私には~と思えた) の semblait の半過去形で表されるのが 「或る過去の時点」 で、 「髪の毛が立っていた」 のは、「と思えた semblait 」 その時点よりさらに前 (過去) ということになります。
「私の髪の毛が立っていた」 ことを、それより後になって、「と思えた」 と言っているわけです。
この説明で大丈夫でしょうか...。
○ dressés の最後の s
代名動詞の大過去や複合過去では、その人称代名詞 (se とか) に過去分詞 (dressé とか) が性数一致する場合としない場合があります。
性数一致するかしないかは、代名動詞の作り(構造)によります。
性数一致するのは、代名動詞の代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語(〜を)になっている場合です。
dresser は「〜をまっすぐ立てる」という動詞で、「〜」には直接目的語の名詞(や代名詞が)入ります。
これが se dresser という代名動詞になると、代名動詞の人称代名詞 se は「自分自身」(=主語を指す代名詞)を表すので、
se dresser
自分をまっすぐ立てる
↓
まっすぐ立つ
みたいになります。
けっきょく、代名動詞 se dresser の人称代名詞 se は動詞 dresser の直接目的語です!
なので se dresser の場合は、se に dresser の過去分詞は性数一致します。
mes cheveux s'étaient dressés の se は主語の mes cheveux (男性名詞複数)を受けているので、dresser の過去分詞の最後に s が付いています!
説明がくどいっ?
○ 訳例
Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête;
これは失敬、どうも髪の毛が逆立っていたように見えたので。
○ リンク
→ 原文: Wikisource
→ 翻訳: 集英社文庫、ちくま文庫
2013-02-05
2013-02-03
少しは黙ったらどうなんだ
フランス語初級
Vous ne voulez pas vous taire?
( Zola, "L'Assommoir")
ゾラの 『居酒屋』 から。 朝帰りした夫ランティエにうるさく詰め寄るジェルヴェーズに、ランティエが発した一言。
○発音
疑問文なので上がり調子に読みましょう。
Vous ne voulez pas
ヴヌ ヴレパ
vous taire?
ヴ テール
○ 語句
se taire [代名動詞] 黙る
vouloir の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。綴りをよく見て特徴を覚えよう。
je veux ジュヴ
tu veux チュヴ
il veut イルヴ
nous voulons ヌヴロン
vous voulez ヴヴレ
ils veulent イルヴッル
○ 逐語訳
あなたは vous 黙ることを se taire 欲しない ne voulez pas のか ?
○ 分かち訳
Vous ne voulez pas あなたは欲しない
vous taire 黙ることを
? のか?
○ 疑問文の作り方
フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。
その一つが、肯定文(疑問文じゃない普通の文)の語順のまま、最後に(ピリオドの代わりに)クエスチョンマークを付けるやり方です。
* フランス語では「ピリオド」を「プワン ( point ) 」、「 クエスチョンマーク 」を「プワン ダンテロガシオン ( point d'interrogation ) 」と言います。
このやり方だと、
Vous ne voulez pas vous taire.
あなたは黙ることを欲しない。
という文(肯定文)を疑問文にすると、
Vous ne voulez pas vous taire?
となります。簡単です!
○ 試訳
少しは黙ったらどうなんだ。
Vous ne voulez pas vous taire?
( Zola, "L'Assommoir")
ゾラの 『居酒屋』 から。 朝帰りした夫ランティエにうるさく詰め寄るジェルヴェーズに、ランティエが発した一言。
○発音
疑問文なので上がり調子に読みましょう。
Vous ne voulez pas
ヴヌ ヴレパ
vous taire?
ヴ テール
○ 語句
se taire [代名動詞] 黙る
vouloir の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。綴りをよく見て特徴を覚えよう。
je veux ジュヴ
tu veux チュヴ
il veut イルヴ
nous voulons ヌヴロン
vous voulez ヴヴレ
ils veulent イルヴッル
○ 逐語訳
あなたは vous 黙ることを se taire 欲しない ne voulez pas のか ?
○ 分かち訳
Vous ne voulez pas あなたは欲しない
vous taire 黙ることを
? のか?
○ 疑問文の作り方
フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。
その一つが、肯定文(疑問文じゃない普通の文)の語順のまま、最後に(ピリオドの代わりに)クエスチョンマークを付けるやり方です。
* フランス語では「ピリオド」を「プワン ( point ) 」、「 クエスチョンマーク 」を「プワン ダンテロガシオン ( point d'interrogation ) 」と言います。
このやり方だと、
Vous ne voulez pas vous taire.
あなたは黙ることを欲しない。
という文(肯定文)を疑問文にすると、
Vous ne voulez pas vous taire?
となります。簡単です!
○ 試訳
少しは黙ったらどうなんだ。
2013-02-02
どこに行ってたの?
フランス語初級
Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?
( Zola, "L'Assommoir")
物語の冒頭で、朝帰りした夫のランティエを、ジェルヴェーズが問い詰めようとする場面です。
○発音
Où es-tu allé?
ウ エチュ アレ
où as-tu passé la nuit?
ウ アチュ パセ ラ ニュイ
○語句
où どこに、どこで
allé 動詞 aller の過去分詞
passé 動詞 passer の過去分詞
passer (時間を)過ごす
nuit [女性名詞] 夜
○逐語訳
どこに où あなたは tu 行った es allé の ?
どこで où あなたは tu 夜を la nuit 過ごした passé の ?
○試訳
Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?
どこに行ってたの? どこで夜を明かしたの?
○ 疑問文の作り方
この二つの文は両方とも「疑問文」です。疑問文は、「〜です」ではなく、「〜ですか」という文です。
*「〜です」のほうは 「肯定文」(こうていぶん)などといいます。
フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。
そのうちの一つが、主語と動詞の倒置(並び順をひっくり返すこと)です。
この場合だと
tu es alllé
tu as passé
という肯定文の語順がそれぞれ
es-tu allé
as-tu passé
となります。倒置された動詞と主語(の代名詞)はハイフン( - )でつなぎます。
○ 複合過去
過去の出来事を言い表すための過去形の形はいくつかあります。
たとえば、半過去、複合過去、単純過去などです。
単純過去は単純な出来事を、複合過去は錯綜した出来事を言い表す、なんてことはありません。
今回の文では複合過去が使われています。
複合過去は最も普通に過去の出来事を、「〜した」と言い表すときに使います。
複合過去は、avoir か être の現在形(直説法現在形)の後に動詞の過去分詞を付けて作ります。
たとえば、
tu vas (おまえは行く)
tu passes (おまえは過ごす)
はそれぞれ、
tu es alllé (おまえは行った)
tu as passé (おまえは過ごした)
となります。
avoir と être の使い分けはきちんと決まっていて、ほとんどの動詞は avoir を使います。
être を使うのは、主に次のような動詞です。(カッコ内は過去分詞)
aller ( allé )
venir ( venu )
partir ( parti )
arriver ( arrivé )
naître ( né )
mourir ( mort )
monter ( monté )
descendre ( descendu )
sortir ( sorti )
entrer ( entré )
tomber ( tombé)
rester ( resté )
devenir ( devenu )
これらはすべて自動詞(目的語を取らない動詞)で、どの動詞にも「移動」の意味が含まれています。
大学一年のときのフランス語の授業でこれらの動詞を暗記するための呪文を教えてもらいました。
おうらいはっちゃくせいししょうこうしゅつにゅうらくりゅうじょう
これはさきほどの動詞の意味を漢字一字で表して並べて、それを音読みしたものです。
往来発着生死昇降出入落留成
行く(往く)aller ( allé )
来る venir ( venu )
出発する partir ( parti )
着く arriver ( arrivé )
生まれる naître ( né )
死ぬ mourir ( mort )
登る, 昇る monter ( monté )
降りる descendre ( descendu )
出る sortir ( sorti )
入る entrer ( entré )
落ちる tomber ( tombé)
留まる rester ( resté )
成る devenir ( devenu )
覚えやすい!!
2013-01-26
犬に棒を見せると(ライプニッツ)
フランス語中級
Par exemple : quand on montre le bâton aux chiens, ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée et crient et fuient.
(Leibniz, "Monadologie")
○ 発音
Par exemple パレグザーンプル:
quand on montre カントン モントゥル
le bâton aux chiens ルバトン オ シァン,
ils se souviennent イル ス スヴィエンヌ
de la douleur ドゥ ラ ドゥルール
qu'il leur a causée キル レール ア コゼ
et crient エ クリ
et fuient エ フュイ
Leibniz ライブニッツ
Monadologie モナドロジ
○ 語句
par exemple : たとえば
quand : ここでは接続詞で「〜するとき」
montre : 動詞 montrer の直説法現在、三人称単数形。主語は on 。
montrer : 見せる
bâton : [男性名詞] 棒、杖
aux : 前置詞 à と 定冠詞 les の縮約形
chien : [男性名詞] 犬
souviennent : 動詞 souvenir の直説法現在、三人称複数形。主語は ils (= les chiens)
se souvenir de ... : ...を思い出す、を覚えている
douleur : [女性名詞] 痛み、苦痛
leur : [人称代名詞] 彼らに、それらに(三人称複数)。ここでは「その犬たちに」
causer : …の原因となる,…を引き起こす
crier : 叫ぶ、わめく
fuir : 逃げる
Leibniz : ライプニッツ、1646-1716、ドイツの哲学者
Monadologie : フランス語で書かれた、ライプニッツの著作。日本語では 『単子論』 などと訳されている
monade : [女性名詞] (哲学用語) モナド、単子
○ 逐語訳
たとえば par exemple、人が on 棒を le bâton 犬に aux chiens 見せる montre 時 quand、犬どもは ils その棒が彼らに il leur 引き起こした a causée 痛みを de la douleur 思い出す se souviennent 、そして叫び et crient そして逃げる et fuient 。
○ 文の骨格
この文の作りの一番中心となる部分は、
ils se souviennent de la douleur
です。 「彼らは痛みを思い出す」となります。
ここに quand on montre le bâton が加わって、
quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur
だと、「人が棒を見せるとき、 彼らは痛みを思い出す 」となります。
文法用語では、ils se souviennent de la douleur を主節、quand on montre le bâton を「従属節」といいます。
さらに「彼ら」は「痛みを思い出す」だけでなく、
quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur
et crient
et fuient
「叫んだり」「逃げたり」します。
ここまでで、
「人が棒を見せると
彼らは痛みを思い出し
そして叫び
そして逃げる」
となります。
これでこの文の骨格となる作りを確認できました。
○ 説明の追加
まだこの文にはいろいろくっついています。
まず le bâton の後の aux chiens ですが、これは「棒を見せる」相手、対象です。
quand on montre le bâton aux chiens
「人が犬どもに棒を見せるとき」
つぎに、la douleur qu'il leur a causée を見てみます。
qu'il leur a causée は (関係代名詞節で)、 la douleur を修飾しています。
「それ(棒)が彼らに(犬どもに)引き起こした」→「痛み」となります。
a causée は 「 avoir の現在形(直説法現在形) + 動詞の過去分詞」 の組み合わせなので、「複合過去」 というやつになります。
これで、
quand on montre le bâton aux chiens,
ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée
et crient et fuient.
「 人が犬たちに棒を見せるとき
彼らは、その棒が彼らに引き起こした痛みを思い出し
叫んで逃げる」
となります。
○ 過去分詞の性数一致
さきほどの la douleur を修飾している qu'il leur a causée で使われている過去分詞 causée は 語末に -e がついていますが、これはなぜでしょうか。
これには、こんな規則がありました。
☆ 複合過去や大過去などで、動詞の目的語(直接目的語)が、過去分詞より前 (左) にあると、過去分詞はその目的語に性数一致する
というやつです。
授業や参考書で学んだのを覚えていますか? 私は大学1年のとき初めてこのことを学んだはずなんですが、まったくその時の記憶はありません!
この箇所 (la douleur qu'il leur a causée) の場合は、動詞 causer (~を引き起こす) の目的語は、a causée より前(左)にある、関係代名詞の que です。
そして、この que はその前(左)にある la douleur という女性名詞単数形を指しています。
けっきょく、複合過去になっている動詞 causer の目的語(直接目的語) が過去分詞 causé より前(左)にあるので、その目的語 ( que => la douleur ) の性数(ここでは女性名詞単数) に合わせて、過去分詞 causé が causée となっています。
○ 翻訳例
「たとえば、イヌに棒を見せたら、イヌはそれがかつて引き起こした苦痛を思いだして、吠えて走り去る。」
( 「単子論(モナドロジー)」 (Robert Latta, 山形浩生 訳) より。英語版からの翻訳です。26番目の文に載っています。)
この英語版原文:
For instance, when a stick is shown to dogs, they remember the pain it has caused them, and howl and run away.
(Robert Latta 訳, "THE MONADOLOGY")
○ 補足
_ se souvenir の直説法現在形の活用
je me souviens
tu te souviens
il se souvient
nous nous souvenons
vous vous souvenez
ils se souviennent
○ リンク
→ 『モナドロジー・形而上学叙説』 (中公クラシックス):
→ フランス語原文 (UQAC)
Par exemple : quand on montre le bâton aux chiens, ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée et crient et fuient.
(Leibniz, "Monadologie")
(Leibniz ※ fr.wikipedia より)
○ 発音
Par exemple パレグザーンプル:
quand on montre カントン モントゥル
le bâton aux chiens ルバトン オ シァン,
ils se souviennent イル ス スヴィエンヌ
de la douleur ドゥ ラ ドゥルール
qu'il leur a causée キル レール ア コゼ
et crient エ クリ
et fuient エ フュイ
Leibniz ライブニッツ
Monadologie モナドロジ
○ 語句
par exemple : たとえば
quand : ここでは接続詞で「〜するとき」
montre : 動詞 montrer の直説法現在、三人称単数形。主語は on 。
montrer : 見せる
bâton : [男性名詞] 棒、杖
aux : 前置詞 à と 定冠詞 les の縮約形
chien : [男性名詞] 犬
souviennent : 動詞 souvenir の直説法現在、三人称複数形。主語は ils (= les chiens)
se souvenir de ... : ...を思い出す、を覚えている
douleur : [女性名詞] 痛み、苦痛
leur : [人称代名詞] 彼らに、それらに(三人称複数)。ここでは「その犬たちに」
causer : …の原因となる,…を引き起こす
crier : 叫ぶ、わめく
fuir : 逃げる
Leibniz : ライプニッツ、1646-1716、ドイツの哲学者
Monadologie : フランス語で書かれた、ライプニッツの著作。日本語では 『単子論』 などと訳されている
monade : [女性名詞] (哲学用語) モナド、単子
○ 逐語訳
たとえば par exemple、人が on 棒を le bâton 犬に aux chiens 見せる montre 時 quand、犬どもは ils その棒が彼らに il leur 引き起こした a causée 痛みを de la douleur 思い出す se souviennent 、そして叫び et crient そして逃げる et fuient 。
○ 文の骨格
この文の作りの一番中心となる部分は、
ils se souviennent de la douleur
です。 「彼らは痛みを思い出す」となります。
ここに quand on montre le bâton が加わって、
quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur
だと、「人が棒を見せるとき、 彼らは痛みを思い出す 」となります。
文法用語では、ils se souviennent de la douleur を主節、quand on montre le bâton を「従属節」といいます。
さらに「彼ら」は「痛みを思い出す」だけでなく、
quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur
et crient
et fuient
「叫んだり」「逃げたり」します。
ここまでで、
「人が棒を見せると
彼らは痛みを思い出し
そして叫び
そして逃げる」
となります。
これでこの文の骨格となる作りを確認できました。
○ 説明の追加
まだこの文にはいろいろくっついています。
まず le bâton の後の aux chiens ですが、これは「棒を見せる」相手、対象です。
quand on montre le bâton aux chiens
「人が犬どもに棒を見せるとき」
つぎに、la douleur qu'il leur a causée を見てみます。
qu'il leur a causée は (関係代名詞節で)、 la douleur を修飾しています。
「それ(棒)が彼らに(犬どもに)引き起こした」→「痛み」となります。
a causée は 「 avoir の現在形(直説法現在形) + 動詞の過去分詞」 の組み合わせなので、「複合過去」 というやつになります。
これで、
quand on montre le bâton aux chiens,
ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée
et crient et fuient.
「 人が犬たちに棒を見せるとき
彼らは、その棒が彼らに引き起こした痛みを思い出し
叫んで逃げる」
となります。
○ 過去分詞の性数一致
さきほどの la douleur を修飾している qu'il leur a causée で使われている過去分詞 causée は 語末に -e がついていますが、これはなぜでしょうか。
これには、こんな規則がありました。
☆ 複合過去や大過去などで、動詞の目的語(直接目的語)が、過去分詞より前 (左) にあると、過去分詞はその目的語に性数一致する
というやつです。
授業や参考書で学んだのを覚えていますか? 私は大学1年のとき初めてこのことを学んだはずなんですが、まったくその時の記憶はありません!
この箇所 (la douleur qu'il leur a causée) の場合は、動詞 causer (~を引き起こす) の目的語は、a causée より前(左)にある、関係代名詞の que です。
そして、この que はその前(左)にある la douleur という女性名詞単数形を指しています。
けっきょく、複合過去になっている動詞 causer の目的語(直接目的語) が過去分詞 causé より前(左)にあるので、その目的語 ( que => la douleur ) の性数(ここでは女性名詞単数) に合わせて、過去分詞 causé が causée となっています。
○ 翻訳例
「たとえば、イヌに棒を見せたら、イヌはそれがかつて引き起こした苦痛を思いだして、吠えて走り去る。」
( 「単子論(モナドロジー)」 (Robert Latta, 山形浩生 訳) より。英語版からの翻訳です。26番目の文に載っています。)
この英語版原文:
For instance, when a stick is shown to dogs, they remember the pain it has caused them, and howl and run away.
(Robert Latta 訳, "THE MONADOLOGY")
○ 補足
_ se souvenir の直説法現在形の活用
je me souviens
tu te souviens
il se souvient
nous nous souvenons
vous vous souvenez
ils se souviennent
○ リンク
→ 『モナドロジー・形而上学叙説』 (中公クラシックス):
→ フランス語原文 (UQAC)
2013-01-19
彼はジェルヴェーズの顔を
フランス語初級
Et il regardait le visage de Gervaise, rougi par les larmes.
( Zola, "L'Assommoir")
Et il regardait le visage de Gervaise, rougi par les larmes.
( Zola, "L'Assommoir")
悲しまないで
フランス語初級
Ne vous désolez pas, madame Lantier.
( Zola, "L'Assommoir" )
[発音]
Ne vous désolez pas
ヌ ヴ デゾレ パ
madame Lantier.
マダム ランティエ
[語句]
Ne vous désolez pas : 代名動詞 se désoler の vous に対する命令形の否定文
se désoler : 悲しむ, 嘆く
désoler : 悲しませる, 困らせる
madame Lantier : ランティエ夫人 (ここでは呼びかけ)
[日本語訳]
ランティエさん、そう嘆かないで。
2013-01-12
この瘴気からずっと遠くへ
Envole-toi bien loin de ces miasmes morbides
[ フランス語初級 ]
ボードレールの詩集 『悪の華』 ( "Les Fleurs du Mal" )に入っている「上昇」 ( Elévation )という詩より。
[ 発音 ]
Les Fleurs du Mal
レ フルール デュ マル
élévation
エレヴァシォン
Envole-toi
オンヴォル トワ
bien loin
ビャン ロワン
de ces miasmes morbides
[ 語句 ]
élévation : [女性名詞] 上昇
Envole-toi : s'envoler の tu に対する命令形
s'envoler : 飛び立つ, 飛び去る
loin : [副詞] 遠くへ(に), はるかに。 bien loin の bien は loin の強調。
loin de : …から遠くへ(に)
miasme : [男性名詞] (腐敗物から出る)ガス, 臭気; 瘴気()
morbide : 病的な, 不健全な
[ 訳 ]
Envole-toi 飛び立て
bien loin ずっと遠くへ
de ces miasmes morbides この病的な瘴気から
[ 関連記事 ]
→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(1)」 (2012/2/29)
→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)」 (2012/3/04)
[ フランス語初級 ]
ボードレールの詩集 『悪の華』 ( "Les Fleurs du Mal" )に入っている「上昇」 ( Elévation )という詩より。
[ 発音 ]
Les Fleurs du Mal
レ フルール デュ マル
élévation
エレヴァシォン
Envole-toi
オンヴォル トワ
bien loin
ビャン ロワン
de ces miasmes morbides
ドゥ セ ミアスム モルビィドゥ
[ 語句 ]
élévation : [女性名詞] 上昇
Envole-toi : s'envoler の tu に対する命令形
s'envoler : 飛び立つ, 飛び去る
loin : [副詞] 遠くへ(に), はるかに。 bien loin の bien は loin の強調。
loin de : …から遠くへ(に)
miasme : [男性名詞] (腐敗物から出る)ガス, 臭気; 瘴気()
morbide : 病的な, 不健全な
[ 訳 ]
Envole-toi 飛び立て
bien loin ずっと遠くへ
de ces miasmes morbides この病的な瘴気から
「飛び立て、病に満ちたこの瘴気からずっと遠くへ。」
[ 関連記事 ]
→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(1)」 (2012/2/29)
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