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2015-11-08

あらゆるものの始まりに 2

Il était donc avec Dieu au commencement. Dieu a fait toutes choses par lui ; rien n'a été fait sans lui ;

(フランス語中級)

※ 10世紀のラテン語版 「ヨハネ伝」 冒頭 ( fr.wikipedia より


キリスト教の聖典である 『新約聖書』 の 「ヨハネ伝」 冒頭を見ています。

きょうはその2回目。

    → 1回目


1回目の内容は、

    Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà ; celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu

    あらゆるものの始まりに、み言葉がすでにあった。 み言葉である人は神とともにあった。その者は神であった。

というかんじでした。


次に来ているのは、

    Il était donc avec Dieu au commencement.

    イレテ ドンク アヴェク ディウ オ コモンスモン

という文です。

この文の主語の Il は、直前の文の il était Dieu の il と同じでしょうから、「その者」(=み言葉である人、神とともにいた人、神であった人) としておきます。

文法とかでとくに困難はなさそうです。

訳してみると、

    Il était donc avec Dieu au commencement

   その者はそれゆえ、始まりにおいて神とともにいた

となります。

表現の繰り返しが多いですね。


次の文は、

    Dieu a fait toutes choses par lui ;

    ディウ ア フェ トゥット ショーズ パル リュイ

    神は / 作った / あらゆるものを / その者を通して

    神はその者を通してあらゆるものを作った

というかんじです。


その次の文、

    rien n'a été fait sans lui ;

    リィヤン ナ エテ フェ サン リュイ

の a été fait は、受動態が複合過去形になっています。

a été で、〈 avoir + êtreの過去分詞 〉 なので複合過去形。

été fait で 〈 être + 過去分詞 〉 なので受動態、です。

ですので、a été fait で 「作られた」 となります。


全体では、

    rien n'a été fait sans lui ;

    何ものも / 作られなかった / そのものなしでは

なので、

    その者を通してでなければ何ものも作られなかった

となります。


ここまでをまとめると、

    Il était donc avec Dieu au commencement. Dieu a fait toutes choses par lui ; rien n'a été fait sans lui ;

    その者は、それゆえ始まりに神とともにいた。 神はあらゆるものをその者を通して作った。 そのものを通してでなければ何ものも作られなかった。


この部分は日本語訳聖書では、

    この言は初めに神と共にあった。 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 (「口語訳」)

    この言は、初めに神と共にあった。 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。

となっています。