(フランス語中級)
キリスト教の聖典である 『新約聖書』 の 「ヨハネ伝」 冒頭を見ています。
きょうはその2回目。
→ 1回目
1回目の内容は、
Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà ; celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu
あらゆるものの始まりに、み言葉がすでにあった。 み言葉である人は神とともにあった。その者は神であった。
というかんじでした。
次に来ているのは、
Il était donc avec Dieu au commencement.
イレテ ドンク アヴェク ディウ オ コモンスモン
という文です。
この文の主語の Il は、直前の文の il était Dieu の il と同じでしょうから、「その者」(=み言葉である人、神とともにいた人、神であった人) としておきます。
文法とかでとくに困難はなさそうです。
訳してみると、
Il était donc avec Dieu au commencement
となります。
表現の繰り返しが多いですね。
次の文は、
Dieu a fait toutes choses par lui ;
ディウ ア フェ トゥット ショーズ パル リュイ
神は / 作った / あらゆるものを / その者を通して
神はその者を通してあらゆるものを作った
というかんじです。
その次の文、
rien n'a été fait sans lui ;
リィヤン ナ エテ フェ サン リュイ
の a été fait は、受動態が複合過去形になっています。
a été で、〈 avoir + êtreの過去分詞 〉 なので複合過去形。
été fait で 〈 être + 過去分詞 〉 なので受動態、です。
ですので、a été fait で 「作られた」 となります。
全体では、
rien n'a été fait sans lui ;
何ものも / 作られなかった / そのものなしでは
なので、
その者を通してでなければ何ものも作られなかった
となります。
ここまでをまとめると、
Il était donc avec Dieu au commencement. Dieu a fait toutes choses par lui ; rien n'a été fait sans lui ;
その者は、それゆえ始まりに神とともにいた。 神はあらゆるものをその者を通して作った。 そのものを通してでなければ何ものも作られなかった。
この部分は日本語訳聖書では、
この言は初めに神と共にあった。 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 (「口語訳」)
この言は、初めに神と共にあった。 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
となっています。