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2015-11-08

空は澄み、月は輝く 4

Pas de nuages, pas de vent.

19世紀の作家フロベール (Flaubert) の手紙、第4回目です。

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(手紙の宛先のルイーズ・コレ)


ここまでは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

で、そこにきょうは、

    Pas de nuages, pas de vent.

    パ ド ニュアージュ パ ド ヴォン

と続きます。


nuage は 「雲」 、vent は 「風」 ですね。 (いずれも男性名詞)

では、pas de ... は何でしょうか。

pas といえば、否定の ne ... pas で使う pas の他に、名詞で 「歩(ほ)、歩み」 という意味の pas があります (男性名詞)。

ここではどちらなのかというと、この pas de ... は、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

の pas 以降だけが残ったものなのです。

なので、意味としては、

    雲もなく、月もない

という感じです。


pas de の de は何かというと、

    動詞の目的語につく不定冠詞・部分冠詞は、否定文では de になる

みたいな規則がありました。

いま、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

という否定文を肯定文にしてみると、

    Il y a des nuages.

    Il y a du vent.

となり、数えられる名詞の nuage の複数形には不定冠詞の複数形の des が、数えられない名詞の vent には部分冠詞の du がついています。

両者ともに、動詞 a (= avoir) の目的語になっていて、この動詞 a が否定されているので、

    des => de
    du   => de 

となっています。


ここまでの意味を確認しておきましょう。

Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent.

空は澄み渡り、月は輝いている。 やって来る潮に乗って出発しようと、錨を引き上げる水夫たちの歌声が聞こえる。雲もなく、風もない。