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2014-03-15

おぉ! なんと甘美なことか! 01

Oh! Comme il est doux d'arracher brutalement de son lit un enfant qui n'a rien encore sur la lèvre supérieure, et, avec les yeux très ouverts, de faire semblant de passer suavement la main sur son front, en inclinant en arrière ses beaux cheveux!


- On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.

   二週間爪を伸ばしたままにしておかねばならぬ。

これ ↑ は以前扱った、ロートレアモン伯爵 (Comte de Lautréamont) の 「マルドロールの歌」 ("les Chants de Maldoror") からの一節。

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


きょうはこの続きを見てみましょう。

On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours. Oh! Comme il est doux d'arracher brutalement de son lit un enfant qui n'a rien encore sur la lèvre supérieure, et, avec les yeux très ouverts, de faire semblant de passer suavement la main sur son front, en inclinant en arrière ses beaux cheveux!

続く一文が長いです...。


_ Oh! [オォ!]

「おっ!」 です。 発音するときに英語っぽく 「おぅっ!」 とならないように、あくまでも口の形は「オ」のままです。


_ Comme [コンム]

comme は、ファッションブランドの COMME des GARÇONS のように、comme の後に名詞が続くときは、「~として」 あるいは 「~のように」 という意味の前置詞です。

また、comme のあとに 「主語+述語」 の形式、つまり “文” がくるときは 「接続詞」 で、いみは、「…が~するとき」 「…が~するので」 など。

この場合は、「 Comme 主語1+述語1, 主語2+述語2 」 という形式になり、 「…1が~1するとき、…2は~2する」、「…1が~1するので、…2は~2する」 などとなります。

つまり、「 Comme 主語1+述語1 」 は「従属節」 になります。

それにたいして、「主語2+述語2」 のほうは「主節」 となります。

例を挙げると、

    Comme il pleut aujourd'hui, je ne sors pas.

    今日は雨なので、外には出ません。

で、Comme il pleut aujourd'hui が従属節、 je ne sors pas が主節になります。


さらに三つ目の comme の用法として、

    Comme 主語+述語...!

の形で、「なんて…は~なんだろう!」 という感嘆文になります。


さて、今回の文の場合、Comme からずっとたどっていくと、最後が ses beaux cheveux! となって文末に 「 ! 」 (Point d'exclamation ポワンデクスクラマシオン) があるので、感嘆文の用法じゃないあかなと予想がつきます。


_ Comme il est doux ...!

  [コム イレドゥ]

doux は 「甘い、心地よい」 などの意味の形容詞。 英語の sweet 。

そうすると、感嘆文だとして 「なんて心地よいのか!」 となります。

ところで il es doux の il が指しているのは何でしょうか?


_ Comme il est doux d'arracher ... !

  [コム イレドゥ ダラシェ]

arracher は「引き抜く、はぎ取る」 とかいう意味の動詞です。

そうすると il est doux d'arracher の il は非人称主語ととれます。


   「引っこ抜くのはなんて心地いいんだろう!」


何を「引き抜く」 と 「心地いい」んでしょうか?

続く...