Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front en me disant :
— Alors, les petits garçons ne racontent plus à leur maman les chagrins qu'ils ont?
( Marcel Proust, "À la recherche du temps perdu")
マルセル・プルーストという 20世紀前半の大作家が書いた大長編 『失われた時を求めて ( À la recherche du temps perdu )』の第二部、 「花咲く乙女たちの影に ( À l'ombre des jeunes filles en fleurs )」 からの引用です。
前半の発音:
Quelquefois ma mère passait sa main
ケルクフワ マ メール パセ サ マン
sur mon front en me disant
シュル モン フロン オン ム ディゾン
前から解してみましょう。
Quelquefois
ときおり
↓
Quelquefois ma mère
ときおり、私の母は
↓
Quelquefois ma mère passait sa main
ときおり、私の母は彼女の手を移した
↓
Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front
ときおり、私の母は彼女の手を私の額(ひたい)に移した
↓
Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front en me disant
ときおり、私の母は、…と言いながら、彼女の手を私の額(ひたい)に移した
↓
ときおり母は手を私の額に当ててこう言った。
or
母はときおり、私の額を撫でながら言った。
※ en me disant のところは 「ジェロンディフ」 っていうやつですね。
原文は、Wikisource の 「 À l’ombre des jeunes filles en fleurs/Première partie 」 を開いて、本文欄の左に記載されている ページ数のような数字の 91 のあたりにあります。
◇ 翻訳
『失われた時を求めて』 の翻訳はいくつかあります。
たとえば、『 失われた時を求めて〈3〉第二篇・花咲く乙女たちのかげに〈1〉』 (高遠弘美 訳 / 光文社古典新訳文庫) などです。