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2014-10-11

遠くをぼんやりと

[フランス語初級]

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague.


フロベール( Flaubert ) 、『感情教育 ( L'Education Sentimentale ) 』 の一節。



最初の文の発音から。

Mme Arnoux regardait
マダム アルヌー ルガルデ

au loin
オ ロワン

d'une manière vague
デュヌ マニエール ヴァーグ

です。


まず、

Mme Arnoux regardait

で、

アルヌー夫人は見つめていた

という意味になります。


※ アルヌー夫人は、「二人の目が出会った (1)」 で、主人公の青年フレデリックに、帽子を拾ってもらった人です。


regardait は動詞 regarder の半過去形。

活用させてみましょう。



まず活用語幹ですが、直説法半過去形の活用語幹は直説法現在形の nous の活用語幹と同じでした。

regarder は parler や aimer と同じ第一群規則活用動詞なので、現在形の活用はシンプルです。

[直説法現在形]


je regarde ジュ ルガルド
tu regardes テュ ルガルド
il regarde イル ルガルド
nous regardons ヌ ルガルドン
vous regardez ヴ ルガルデ
ils regardent イル ルガルド

nous のときは nous regardons なので、半過去形の活用語幹は regard- になります。



では半過去形に活用させましょう。

[直説法半過去形]


je regardais ジュ ルガルデ
tu regardais テュ ルガルデ
il regardait イル ルガルデ
nous regardions ヌ ルガルディオン
vous regardiez ヴ ルガルディエ
ils regardaient イル ルガルデ

です。



続きを見ましょう。

Mme Arnoux regardait au loin

loin は「遠くに」という意味の副詞ですが、ここでは定冠詞の le が付いているので男性名詞になります。

辞書を見ると意味は「遠方」などとなっていますが、

au loin

で、

遠くに、遠くへ

という表現です。

ですので、

Mme Arnoux regardait au loin

は、

アルヌー夫人は遠くに見つめていた。

→ アルヌー夫人は遠くを見つめていた。

という感じです。



続いて、

d'une manière vague

です。

manière は「やり方」「様式」というような意味の女性名詞ですが、

d'une manière + 形容詞

で、

〜な仕方で、やり方で

となります。

vague



漠然とした、曖昧(あいまい)な、ぼんやりした

という意味の形容詞なので、

d'une manière vague

で、

曖昧な仕方で、漠然と、ぼんやりと

となるので、

Mme Arnoux regardait au loin d'une manière vague.

アルヌー夫人はぼんやりと遠くを見つめていた。

という感じです!


※ vague には女性名詞として、



という意味もありますね。



2014-10-09

上級仏単語: sporadique

今日の上級仏単語は、

    sporadique

読み方は、

    スポラディーク

意味は、

    散発的な

です。

品詞は、形容詞ですね。


2014-09-30

1844年10月の午後3時ころ 1

[フランス語中級]

Vers trois heures de l'après-midi, dans le mois d'octobre de l'année 1844, un homme âgé d'une soixantaine d'années, mais à qui tout le monde eût donné plus que cet âge, allait le long du boulevard des Italiens, le nez à la piste, les lèvres papelardes, comme un négociant qui vient de conclure une excellente affaire, ou comme un garçon content de lui-même au sortir d'un boudoir. ( Balzac, "Le cousin Pons")




バルザックという人の『いとこポンス』という小説の最初の文です。

長いですが、始めの方から見ていきましょう。

Vers trois heures
ヴェール トロワゼール

三時頃

vers はいくつか意味を持っていますが、ここでは時間で「〜頃」の意味です。

Vers trois heures de l'après-midi

ヴェール トロワゼール ドゥ ラプレミディ

午後の三時頃



つぎは、

dans le mois d'octobre

ドン ル モワ ドクトーブル

で、

10月に

です。



さらに、

dans le mois d'octobre de l'année 1844

ドン ル モワ ドクトーブル ドゥ ラネ ミルユィッソン カラントゥカトゥル

なので、

1844年の10月に

となります。



ここまでで

Vers trois heures de l'après-midi, dans le mois d'octobre de l'année 1844

1844年10月の午後3時ごろ

です。



さて、1844年10月の午後3時ころに、何が起きるのでしょうか。



続きを見ましょう。

un homme âgé d'une soixantaine d'années

アンノッム アジェ デュン スワソンテーヌ ダネ

âgé de ... で「…歳の」、 soixantaine は「約60」(女性名詞)です。

ですので、

60歳くらいの男(が)

となります。



この un homme が文の主語なのでしょうか。



これから、もう少し見ていきましょう。


上級仏単語: chantage

本日は、

    chantage

発音は、

    シャンタージュ

品詞は、

    男性名詞


-age で終わるのはたいてい男性名詞です。


意味は、

     ゆすり、おどし、恐喝

です。


きのうの、

    carnage

とちょっと音の感じが似てるような気がします...。


それから意味も両方とも良い意味じゃありません。




2014-09-29

上級仏単語: carnage

本日の上級なフランス語の単語は、

    carnage

    カルナージュ

です。


意味は、

    虐殺、殺戮

で、男性名詞です。


中東の過激派のニュースなどで目にする単語です。


2014-09-28

彼女の秘密を知ろうとしたが

(フランス語初級)

今日の例文:

En vain je cherchais à découvrir son secret.


François-René de Chateaubriand (1768 - 1848), "René"


発音の確認から。

En vain
オンヴァン

je cherchais à découvrir
ジュ シェルシェ ア デクヴリール

son secret
ソンスクレ

François-René de Chateaubriand

フランソワ ルネ ドゥ シャトブリアン


シャトーブリアンという19世紀初頭の作家の 『ルネ』 という小説からの引用です。


En vain
むだに

vain は「むなしい」「むだな」という意味の形容詞ですが、前置詞の en と組み合わせて en vain で「むなしく」「むだに」という意味になります。


En vain je cherchais

むだに私は探していた

→ 探していたがむだだった

cherchais は chercher の半過去形。

「 むだに探していた 」といのは、つまり「探してるけど無駄」「見つかってない」ということになります。


En vain je cherchais à découvrir
むだに私は見いだそうとしていた

[chercher à 不定詞]で、「〜しようとする、〜しようと試みる」。

découvrir は「見いだす」「発見する」。


En vain je cherchais à découvrir son secret.

むだに / 私は見いだそうとしていた / 彼女の秘密を

→ 私は彼女の秘密を明らかにしようとしたがむだだった。

→ 私は彼女が隠していることをどうにかして知りたいと思っていたが、それは虚しい試みだった。


son secret は「彼の秘密」「彼女の秘密」あるいは「その秘密」などのいずれにもとれますが、この文の文脈からすると「彼女の秘密」となります。


◆ 翻訳


『ルネ』 の翻訳は書店では手に入らないようです。 図書館で探しましょう。

大学書林という出版社から抜粋の対訳版で 『ルネ が出ていますが、今回の例文が掲載されているかは未確認です...。




2014-09-23

二人の目が出会った (3)

Leurs yeux se rencontrèrent.

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト


Flaubert の "L'Education Sentimentale" の、帽子が飛ぶ場面、三回目。

一回目二回目


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.


風に飛ばされた帽子を捕えてくれたフレデリックに婦人がお礼を言った後です。


Leurs yeux

レールズュ

se rencontrèrent

ス ロンコントレール


この文の主語は、

Leurs yeux

彼らの目は

で、動詞は

se rencontrèrent

です。


se rencontrer は rencontrer の代名動詞。

rencontrer は「〜に出会う、ぶつかる」というような意味。

代名動詞の用法は四つありました。

1. 再帰的用法
「自分を〜する」

2. 受動的用法
「〜される」

3. 相互的用法
「互いに〜する」

4. 本質的用法
代名動詞としてのみ使われる動詞


rencontrer の場合は 4 ではないので、1 から 3 までの用法で意味を考えると、

1. 再帰的用法
「彼らの目は自らに出会った」

2. 受動的用法
「彼らの目は出会われた」

3. 相互的用法
「彼らの目はお互いに出会った」

となり、ここでは 3の相互的用法であることがわかります。


確認のため辞書を見てみたら、『クラウン仏和辞典』の、se rencontrer の「ぶつかる, 衝突する; 合流する」という意味の例文に、

Leurs yeux se rencontrèrent.

という今回の文と同じ文があり、意味は、

彼らの目が合った.

となっています。


se rencontrèrent の時制ですが、直説法単純過去です。

直説法現在形だと、

Leurs yeux se rencontrent.

ですね。

rencontrer 単体で単純過去に活用させてみましょう。

je rencontrai
tu rencontras
il rencontra
nous rencontrâmes
vous rencontrâtes
ils rencontrèrent

ジュ ロンコントレ
テュ ロンコントラ
イル ロンコントラ
ヌ ロンコントラーム
ヴ ロンコントラート
イル ロンコントレール

となります。


これで今回の例文が終わりました。

全体を確認しておきましょう。

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "
Leurs yeux se rencontrèrent.

フレデリックは跳び上がって帽子を捕まえた。
彼女は言った。「あら、ご親切にありがとう。」
二人の視線が出会った。


2014-09-12

二人の目が出会った (2)

Elle lui dit :  -- " Je vous remercie, monsieur. "


「二人の目が出会った」の 2回目です。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education"


Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :

-- " Je vous remercie, monsieur. "

Leurs yeux se rencontrèrent.

[ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]


風で吹き飛んだ帽子を捕まえてくれたフレデリックにその婦人はどう対応したでしょうか。


その婦人はフレデリックに語りかけます。

Elle lui dit :

エル リュイ ディ


彼女は彼に言った。


lui は「彼に」とも「彼女に」ともなりますが、ここでは帽子を捕まえてくれたフレデリックに、その婦人が何か言ったのです。

そうすると dit は現在形ではないはずです。

dire の直説法現在形は、

je dis ジュ
tu dis
il dit
nous disons
vous dites
ils disent

なので、

Elle lui dit :

は、

彼女は彼に言う

と現在形にとることもできますが、

でもその前からの流れでいけば単純過去形ではないでしょうか。

dire の直説法単純過去形の活用は、

je dis ジュ ディ
tu dis テュ ディ
il dit イル ディ
nous dîmes ヌ ディーム
vous dîtes ヴ デイット
ils dirent イル ディール

なので、一人称(je, tu, il)の活用は直説法現在形も単純過去形も同じです。


さて、その人妻はフレデリックに何と言ったのか。

Je vous remercie, monsieur.

ジュ ヴ ルメルシ ムシュー

「ありがとうございます。」

と、感謝の言葉をかけました。

remercier (ルメルシィエ)は、「〜に感謝する、~にお礼を言う」 といういみです。


ここまでで、

Frédéric fit un bond et le rattrapa. Elle lui dit :
-- " Je vous remercie, monsieur. "

フレデリックは飛び上がって、帽子を捕まえた。
彼女は 「ありがとうございます」 と言った。

という感じになります。


(続く)


■ 翻訳

翻訳は文庫で手に入るものだけでも数種ありますが、ここでは岩波文庫版を紹介します。


感情教育〈上〉 (岩波文庫)




感情教育〈下〉 (岩波文庫)



2014-09-09

二人の目が出会った (1)

フランス語中級です。

今日から数回に分けて、19世紀の小説家 フロベールの 『感情教育』 という作品からの例文、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.
    Elle lui dit : -- " Je vous remercie, monsieur. "
    Leurs yeux se rencontrèrent.

    [ Flaubert , "L'Education Sentimentale" ]

を見ていきましょう。

  

  ※ 小説の引用箇所の直前の情景を描いたイラスト
     (出典: The Project Gutenberg, "Sentimental Education"


まず、最初の文の発音をおおまかに確認します。

    Frédéric fit un bond

    フレデリック フィ アン ボン

    et le rattrapa

    エ ル ラトラパ


この文には動詞が二つあります。

fit と rattrapa です。

fit の不定詞は faire、 rattrapa の不定詞は rattraper です。

それぞれ時制は直説法単純過去形です。

単純過去形は話し言葉では使われず書き言葉で使われる時制です。

そして活用がちょっと面倒です。

とりあえず、faire は三人称単数で、

    il fit

となり、rattraper は 三人称単数で

    il rattrapa

となります。


文章に戻って、

    Frédéric fit un bond

の bond は、

    跳躍、ジャンプ (男性名詞)

です。


なので、

    Frédéric fit un bond

は、

    フレデリックはジャンプした

です。

そして、

    Frédéric fit un bond et le rattrapa.

で、rattraper は「つかむ、キャッチする」という意味なので、

    フレデリックはジャンプしてそれをつかんだ

となります。


「それ le」 とは何かというと、

    フレデリックは学生で、いま客船で川をさかのぼって帰省の途中
    船の甲板で楽団の演奏を聞いている人妻に一目惚れ
    風でその人妻の帽子が吹き飛ばされます
    フレデリックはすかさずジャンプしてその帽子を捕まえます

私の記憶によれば、おおよそ以上のような場面でした。

上に掲載したイラストは、その帽子が飛ぶ直前、人妻とその夫がなにか話をしている場面です。


吹き飛ばされた 「帽子」 は、

    le chapeau

で男性名詞なので、 「それ le」となります。


□ 単純過去形の活用例

_ faire

    je fis ジュ フィ
    tu fis テュ フィ
    il fit イル フィ
    nous fîmes ヌ フィーム
    vous fîtes ヴ フィット
    ils firent イル フィール

_ rattraper

    je rattrapai ジュ ラトラペ
    tu rattrapas テュ ラトラパ
    il rattrapa イル ラトラパ
    nous rattrapâmes ヌ ラトラパーム
    vous rattrapâtes ヴ ラトラパート
    ils rattrapèrent イル ラトラペール


聞くところによるとフランス人でも単純過去形の活用を正確に書けない人は多いようなので、私たちも正確に書けなくても大丈夫!?

でも、文中に出てきたらそれが 「おっ、単純過去形!」 とわかるようにしておく程度でよい、と聞いたことがあります。


が、きちんとフランス語を学びたい人はきちんと覚えましょう!


2014-08-10

『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』のCD-ROMが検索できなくなった!

『 ロワイヤル仏和中辞典』(第2版) は、仏和の中辞典としては一番充実しています。



しかも書籍の辞書データが全文検索できるCD-ROMまでついています!

いちいちCDを挿入したりするのが面倒なときは、CD-ROMの内容をパソコンのハードディスクにコピーしても使えます。

※ ファイル数がとても多いのでコピーには時間がかかります...。

これは便利すぎます。

しかし...。

今日久しぶりに使おうと思って Internet Explorer で検索画面を表示して、検索語句を入力して「検索」ボタンを押しても動きません....

※ この辞書はWebブラウザで検索できるようになっているのですが、対応しているブラウザは Internet Explorer のみで、Google Chrome や Firefox では動きません。

ググってみると、Internet Explorer のバージョン11からの不具合とのことです。

以下のページに対処法が書かれていました。

『ロワイヤル仏和中辞典 第2版』付録CD-ROM修正ファイル ダウンロード・ページ


検索画面トップ用のHTMLファイル 「ロワイヤル仏和.htm」 をダウンロードして、入れ替えるだけなので簡単にできました。

※ ただし、CD-ROMのファイルは入れ替えられないので、これまでCD-ROMから直接検索していた人は、パソコンのハードディスクにデータを全部コピーする必要があります。



2014-07-27

上級仏単語: palmarès

今日の上級フランス単語は

    palmarès

です。

palmarès 受賞者名簿

発音は、

    パルマレス

と、最後の -s も発音します。

    → Forvo で palmarès の発音を確認


品詞は、名詞(男性名詞)。

意味は、

    受賞者名簿

です。


関連する語句に

    palme
    パルム

があります。

palme は女性名詞で、

    棕櫚(しゅろ)

です。

また、

    (勝利や栄誉の象徴としての)棕櫚の枝や葉

という意味があります。

カンヌ国際映画祭の最高賞は、

    Palme d'Or
    パルム ドール

で、or は「金(きん)、黄金」 (男性名詞)なので、訳すと

    黄金の棕櫚

となります。

2014-07-21

上級仏単語: plébiscite

今日の単語は、

    plébiscite

発音は、

    プレビシットゥ

で、男性名詞。

plébiscite 国民投票


いみは、

    国民投票、住民投票

です。


もともとは、古代ローマの平民会議の決議のことで、

プレブス (plebs) が 「平民」 という意味だそうです。


チャンは...だろうか? その5

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ? Frapperait-il au travers ? L’angoisse lui tordait l’estomac.
André Malraux, "La Condition humaine" (アンドレ・マルロー『人間の条件』 ) 冒頭の文章、第5回目。

André Malraux, "La Condition humaine"
→ André Malraux, "La Condition humaine" (amazon)

    → 4回目

いちおうここまでの訳文は、

チャンは蚊帳をめくり上げようとするのだろうか? 貫いて突くのだろうか?激しい不安で彼の胃がきりきりと痛んだ。

となりました。

残った問題は、
L’angoisse lui tordait l’estomac.

の、lui (彼に)でした。


もう一度直訳してみると、

強い不安が 彼に 胃を きりきり痛ませた。

となりますが、この 「彼に」 はなんなのか。

強い不安が彼の胃をきりきり痛ませた。

なら、

L’angoisse tordait son estomac.

というように、son estomac とならないのか。

同じような例として、たとえばクラウン仏和辞典に以下のような例文と訳文があります。

Je lui ai serré la main.

ジュ リュィ エ セレ ラ マン

私は彼(女)の手を握った.

※ serrer は「握る」です。

日本語訳では「彼の(あるいは彼女の)手を握った」となりますが、仏文では、

J'ai serré sa main.

とはなっていません。


これらの文に共通しているのは、身体(からだ)の一部(胃とか腹とか手とか)をどうこうした、という意味の文だということ。

そして、「彼の(彼女の)何なに」や「私の何なに」を表すのに、son(sa)や mon(ma)ではなく、lui や me が使われ、対象となる名詞(estomac や ventre や main)には定冠詞 (le や la)が付いている、ということです。

lui や me は文法用語で「人称代名詞」といいます。

つまり、身体の一部が動詞の目的語になる時、その身体の所有者を人称代名詞で示している、ということです。

フランス語文法の参考書をみてみましょう。

目黒士門 『現代フランス広文典』 (白水社, 2000) の 159ページ、「補語人称代名詞」 の 「間接補語」の箇所 に以下のようにあります。

「また、身体部分を表す名詞とともに用いられ、所有者を示す。」

その例文として

Il m'a serré la main.

彼は私の手を握った。

という文などが出ています。

この用法で使われる人称代名詞は 「間接補語」 の形になります。

人称代名詞には、「間接補語」 のほかに 「直接補語」 という形などがありました。

一人称や二人称 (私やあなた) のときは、「間接補語」 も 「直接補語」 も形が同じで、 me, te, nous, vous です。

が、三人称では、間接補語は lui, leur、直接補語は le/la, les でした。

※ 目黒士門 『現代フランス広文典』 (白水社) 3,888円






2014-07-13

上級仏単語: peloton

いまフランスでは、ツール・ド・フランス (Tour de France) の真っ最中です。

ツール・ド・フランスは一言でいえば、フランス縦断の自転車レースです。

J SPORTSのサイト 「ツール・ド・フランス2014 : サイクルロードレース」 で情報を得ることができます。

フランスではサッカーのワールドカップと同じかそれ以上の人気があります (たぶん...)。


そして、きょうのフランス語の上級単語は、

    peloton

    プロトン

です。


辞書を引くと、

    男性名詞

で、意味は、

    小さい糸玉(毛糸玉)

と出てます。


もうちょっと辞書を見ると、

    (スポーツで) 競争する小グループの一団

などともあります。


手元にある 『 ディコ仏和辞典』 (第2版)には、

    (マラソン・競馬・自転車競技の) 走者〔馬〕の一団、集団、グループ

となっていてわかりやすい。


つまり、ツール・ド・フランスを報じるフランス語の記事にもこの peloton はよく出てくるのです。


2014-07-12

チャンは...だろうか? その4

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ? Frapperait-il au travers ? L’angoisse lui tordait l’estomac.

André Malraux, "La Condition humaine" (アンドレ・マルロー『人間の条件』 ) 冒頭の文章、第4回目。

3回目


最初の二つの文は、

    チャンは蚊帳をめくり上げようとするのだろうか? 貫いて突くのだろうか?

というように解釈しておきました。

今日は三つ目の文です。

    L’angoisse lui tordait l’estomac.

発音は、

   ラングワッス リュィ トルデ レストマ

です。


最後の単語 estomac は最後の -c を発音しないので「エストマック」ではなく、「エストマ」になります。

男性名詞で意味は「胃」。

英語の 「胃」の意味の stomach(スタマック)とちょっと似てるけどけっこう違いますね。

さて、

    L’angoisse lui tordait l’estomac.

を、不明な単語をそのままに、前から並べて訳すと、

    アングワッスは 彼に トルデしていた 胃を

となります。

lui は「彼に」と「彼女に」との両方の可能性がありますが、ここは「チャン」のことだと思われるので「彼に」としておきましょう。

日本語の語順っぽくすると、

    アングワッスは 彼に 胃を トルデしていた

という感じでしょうか。


アングワッス(angoisse)は女性名詞で、

    強い不安、苦悩、恐怖
という意味で、単なる「心配」とかじゃなくて、息詰まるような不安です。

とりあえず、

    強い苦悩は 彼に 胃を トルデしていた

となります。


tordait は半過去形です。

不定詞(原形、元の形)は、

    tordre(トルドゥル)

です。

直説法半過去形の活用語幹は、直説法現在形の nous と同じでした。

tordre を直説法現在形に活用させると、

    je tords (ジュ トール)
    tu tords (テュ トール)
    il tord (イル トール)
    nous tordons (ヌ トルドン)
    vous tordez (ヌ トルドン) ヴ トルデ)
    ils tordent (イル トルドゥ)

となるので、nous のときのかたち、

    tordons

から - ons を取った

    tord-

が tordre の半過去形の活用語幹です。


半過去形の活用語尾は、

    je -ais
    tu -ais
    il -ait
    nous -ions
    vous -iez
    ils -aient

でしたので、活用させてみると、

    je tordais
    tu tordais
    il tordait
    nous tordions
    vous tordiez
    ils tordaient

となります。


そして tordre の意味は、

    ねじる、よじる

なので、

    L’angoisse lui tordait l’estomac.

は、

    苦悩は 彼に 胃を ねじっていた(よじらせていた)

となります。

いま手元にある 『プチロワイヤル仏和辞典』 で tordre を調べたら、
    〔胸・腹など〕をきりきり痛ませる

という意味が載っていて、その例文に、

    L'angoisse me tordait le ventre.

    激しい不安で私の胃がきりきりと痛んだ。

と出ているではないですか!

これは、今やってる、

    L’angoisse lui tordait l’estomac.

とほとんど同じです。

違いは、

    lui → me

    l’estomac → le ventre

の二箇所です。

    ※ estomac は「胃」ですが、ventre(ヴォントゥル) は「お腹」です。

すると、

    L’angoisse lui tordait l’estomac.

のほうは、

    激しい不安で彼の胃がきりきりと痛んだ。

と訳せそうです。

訳はこれでいいで良いでしょう。

でも、lui (彼に)が気になります。

もう一度直訳してみると、

    強い不安が 彼に 胃を きりきり痛ませた。

となり、このままでは「彼の胃を」とはなりません。


どうなっているのでしょうか?

続きます...。
André Malraux, "La Condition humaine"
→ André Malraux, "La Condition humaine" (amazon)





2014-06-29

上級仏単語: camouflet

きょうの上級のフランス語単語は、

    カムフレ

です。


綴りは、

    camouflet

男性名詞です。


意味は、

    侮辱、屈辱

となります。



2014-06-28

上級仏単語: chahuter

今日は

    chahuter

という単語です。

発音は

    シャユテ

です。ちょっと発音しづらいかも。


分けて書くと

    cha・hu・ter
    シャ・ユ・テ

です。


動詞で、意味は、

    騒ぐ、野次る

です。


この動詞の名詞形は

    chahut

    シャユ

で、男性名詞。

意味は、

    騒ぎ、野次

になります。


2014-06-26

チャンは...だろうか? その3

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ? Frapperait-il au travers ? L’angoisse lui tordait l’estomac.
アンドレ・マルロー『人間の条件』 (André Malraux, "La Condition humaine") の出だしの3回目。

2回目

きょうは2文目です。

Frapperait-il au travers ?

発音は、

Frapperait-il
フラプレティル

au travers ?
オ トゥラヴェール

です。


frapperait は、前回みたように、動詞 frapper の条件法現在形ですね。

活用させてみましょう。

je frapperais (ジュ フラプレ)
tu frapperais (テュ フラプレ)
il frapperait (イル フラプレ)
nous frapperions (ヌ フラプリオン)
vous frapperiez (ヴ フラプリエ)
ils frapperaient (イル フラプレ)


frapper には、

打つ, たたく, 殴る; (武器で) 刺す

などの意味があります。

そうすると、

Frapperait-il ... ?

は、

彼(チャン)は...たたくのだろうか?

みたいになりますが、何を「たたく」あるいは「打つ」のでしょうか?


つぎに

au travers

とあります。

au travers は、

横切って、貫いて

という表現なので、

Frapperait-il au travers ?

は、

彼は貫いてたたくのだろうか?

みたいになりますが、これではよくわかりません。


一番最初の文から続けて読むと、

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ? Frapperait-il au travers ?

でしたので、


チャンは蚊帳をめくり上げようとするのだろうか? 横断して(貫いて)たたくのだろうか? (?)

と訳してみましたが...。

「蚊帳を横断して(貫いて)たたく」 とは?

そこで、frapper の 「(武器で)突く」 という意味を採用して、

チャンは蚊帳をめくり上げようとするのだろうか? 貫いて突くのだろうか?

だと、なんか意味が通じる感じもします。


蚊帳の向こうに人か獲物か何かわからないけど何かがいて(何かがあって)、それをチャンは武器(ナイフ?)で突こうとしているんだけど、薄い蚊帳を持ち上げてから直接その対象を突こうというのか、それとも蚊帳もろともに貫いて刺すのか?

チャンは暗殺者?

ちょっと想像しすぎ?

この二文だけではまだ決められませんね。

ということで、続きます...。


André Malraux, "La Condition humaine"
→ André Malraux, "La Condition humaine" (amazon)


2014-06-22

チャンは...だろうか? その2

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ?
アンドレ・マルロー『人間の条件』 (André Malraux, "La Condition humaine") の出だしの続きです。

    → 1回目

何の話をしていたかというと、直説法半過去形と条件法現在形の活用が似ているということでした。

前回は直説法半過去形の活用を確認したので今日は条件法現在形の活用です。

すでに見たとおり条件法現在形の活用語尾は、直説法半過去の活用語尾が、

je -ais
tu -ais
il -ait
nous -ions
vous -iez
ils -aient

なので、それに r をつけた形で、
je -rais
tu -rais
il -rait
nous -rions
vous -riez
ils -raient

となるということでした。

では条件法現在形の活用語幹はどうなるのか。

一言でいうと「直説法単純未来形の活用語幹と同じ」となります。

うーむぅ。

では、 「 直説法単純未来形の活用語幹」はどんなだったか。

おおざっぱに言うと、「動詞の不定詞の語末の -r( -r以降 )を取っ払ったもの(ただし例外たくさん)」です。

例えば、

chanter >> chante-
trahir >> trahi-
prendre >> prend-

です。

tenter の場合は、

tenter >> tente-

です。

それぞれ条件法現在形に活用させてみると、

je chanterais (ジュ シャントゥレ)
tu chanterais (テュ シャントゥレ)
il chanterait (イル シャントゥレ)
nous chanterions (ヌ シャントゥリオン)
vous chanteriez (ヴ シャントゥリエ)
ils chanteraient (イル シャントゥレ)

je trahirais (ジュ トゥライレ)
tu trahirais (テュ トゥライレ)
il trahirait (イル トゥライレ)
nous trahirions (ヌ トゥライリオン)
vous trahiriez (ヴ トゥライリエ)
ils trahiraient (イル トゥライレ)

je prendrais (ジュ プランドゥレ)
tu prendrais (テュ プランドゥレ)
il prendrait (イル プランドゥレ)
nous prendrions (ヌ プランドゥリオン)
vous prendriez (ヴ プランドゥリエ)
ils prendraient (イル プランドゥレ)

je tenterais (ジュ タントゥレ)
tu tenterais (テュ タントゥレ)
il tenterait (イル タントゥレ)
nous tenterions (ヌ タントゥリオン)
vous tenteriez (ヴ タントゥリエ)
ils tenteraient (イル タントゥレ)

となります。


さて、

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ?

の tenterait が直説法半過去形なのか条件法現在形なのかはこれでやっとわかりました。

条件法現在形です!

で、tenter は「試みる」「やってみる」という意味で、「tenter de 不定詞」で「〜しようと試みる」となります。

ですので、

Tchen tenterait-il de ... ?

で、

チャンは…しようとするのだろうか?

となります。


条件法の意味には、断定しないで言う、というのがあるので、「~だろうか」 と訳してみました。

で、チャンは何をしようとしているかというと、

lever la moustiquaire

しようとしています。

lever は「持ち上げる」「上げる」「起こす」です。
moustiquaire は女性名詞で「蚊帳(かや)」です。

「蚊帳」が何かわからない人がいるかもしれません。

広辞苑という有名な分厚い辞書で調べると、

「蚊を防ぐために吊り下げて寝床をおおうもの。麻布・絽・木綿などで作る。かちょう。」

とあります。

寝床(ねどこ)をおおうということはベッドや布団の上に麻布とかを掛けるのでしょうか。ベッドカバーみたいにして。

その中に頭ごともぐるのか。

でも「吊り下げて」とあるので天井からテントみたいにして布団やベッドを覆って、虫が入らないようにするのか。

その場合、夏は暑くて困らないのか。

他の辞書も見てみましょう。

「夏の夜、蚊や害虫を防ぐため、四隅をつって寝床を覆う道具。麻・木綿などで粗く織って作る。かちょう。」 (デジタル大辞泉)

「四隅をつって」とあるのでやはりテントのように寝床やベッドをすっぽり覆うらしいです。

そして「 麻・木綿などで粗く織って作る」ので風通しはあるのでしょう。

※ そういえば、フランス語で「蚊」は、
moustique

でした。 (男性名詞、発音は「ムスティーク」。)


でその蚊帳をチャンは lever しようとしている。

ベッドや布団の四方に吊ってある蚊帳の布の一部をめくり上げるということでしょう。

なので、
Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ?

は、

チャンは蚊帳をめくり上げようとするのだろうか?

みたいになります。

めくり上げて何するのかはまだわかりません。

蚊帳をめくってベッド(布団)に入るのか、それともベッド(布団)から起き上がって蚊帳の外に出ようとしているのか。


André Malraux, "La Condition humaine"
→ André Malraux, "La Condition humaine" (amazon)


(続く)

2014-06-19

上級仏単語: engrenage

今日の上級仏単語は、

    engrenage

です。

発音は、

   オングルナージュ

で、男性名詞です。

※ -age で終わる名詞は男性名詞です。


もともと、

    歯車, ギア

という意味で、そこから歯車にはまり込んだ

  抜差しならない状況, 悪循環

などを意味します。


最近のフランス語のニュースだと、世界の地域紛争などの状況を表すのに使われていました。


検索してみたら、比較的易しいフランス語で 「歯車」の動きを解説しているビデオが見つかりました。

  → Engrenages - 1ère leçon (cours élémentaire)




2014-06-17

巷のフランス語: エピレ

夏が近づいています。

夏と言えば、“脱毛”。

なんてこともないですが、「エピレ」 という名前の脱毛サロンがあります。



エピレは、フランス語の

    épiler (エピレ)

という動詞からとった名前でしょう。


意味は、

    毛を抜く、脱毛する

というそのまんまないみです。


ちなみに、脱毛クリームは、

    crème à épiler  (クレーム ア エピレ)

というようです。

※ crème は女性名詞。


ついでに「シュークリーム」は、

    chou à la crème  (シュー ア ラ クレーム)

です。

chou は男性名詞で「キャベツ」っていう意味ですね。

シュークリームはキャベツに形が似ているから?


チャンは...だろうか? その1

Tchen tenterait-il de lever la moustiquaire ? Frapperait-il au travers ? L’angoisse lui tordait l’estomac ;
- André Malraux, "La Condition humaine", 1934

アンドレ・マルロー (1901-1976)の代表作『人間の条件』(1934)の出だしです。

André Malraux, "La Condition humaine"
→ André Malraux, "La Condition humaine" (amazon)


まず最初の文の発音です。

Tchen tenterait-il
チャン タントゥレティル
de lever la moustiquaire ?
ドゥ ルヴェ ラ ムスティケール

    Tchen ... ?

    チャンは...か?

Tchen は「チャン」で、人の名前でしょう。フランス人の名前じゃなく、東洋人っぽい名前です。

この引用文は小説の冒頭の一文目なので、 Tchen という名前がいきなり出てくると、小説の舞台は東南アジアなのかな、それともこのチャンというアジア人らしき人物が主人公なのかななど、いろいろ思わせられます。


ついで、

    Tchen tenterait-il ...?

と続きます。


tenterait は動詞 tenter の直説法半過去形でしょうか、それとも条件法現在形でしょうか?

直説法半過去形と条件法現在形は活用の語尾が似ているので、慣れていないと迷います。


いまそれぞれの活用の活用語尾だけを抜き出してみます。

※ ハイフン(フランス語ではトレデュニオン trait d'uion)は活用語幹を表しています。

○ 直説法半過去

    je -ais
    tu -ais
    il  -ait
    nous -ions
    vous -iez
    ils     -aient


○ 条件法現在

    je -rais
    tu -rais
    il  -rait
    nous -rions
    vous -riez
    ils     -raient


じっと見ると分かりますが、条件法現在形の活用は、直説法半過去形の活用語尾の前に r を付ければよいです。

つまり直説法半過去形の活用を覚えれば条件法現在形の活用はらくちんです。


さて、それぞれの活用語尾はわかりましたが、活用語幹はどうなるのでしょうか。

まず、 直説法半過去形の活用語幹は、直説法現在形の一人称複数形、つまり nous に対する活用の語幹と同じになります。

つまり tenter という動詞だと、直説法現在形で nous の場合は、

    nous tentons

となりますから、この tentons から最後の -ons を取り去った、

    tent-

が tenter の直説法半過去形の活用語幹です。


活用してみましょう。

    je tentais (ジュ タンテ)
    tu tentais (テュ タンテ)
    il tentait  (イル タンテ)
    nous tentions (ヌゥ タンティオン)
    vous tentiez  (ヴゥ タンティエ)
    ils tentaient   (イル タンテ)


話は戻って、そんな面倒なこと言わなくても、動詞の原形(不定詞)から -er を取ったのが直説法半過去形の活用語幹だと言えばいいのでは?

たしかに tenter や aimer など -er で終わる動詞(いわゆる第一群規則活用動詞)はそう言えるかもしれません。

が、たとえば finir だとそうはいきません。

finir の最後の -ir を取り去った fin- は直説法半過去形の活用語幹にはならないのです。

finir の直説法現在形の活用は、

    je finis  (ジュ フィニ)
    tu finis (テュ フィニ)
    il finit   (イル フィニ)
    nous finissons (ヌ フィニソン)
    vous finissez   (ヴ フィニセ)
    ils finissent     (イル フィニッス)

となるので、 nous finissons の finissons から最後の -ons を取り除いた、finiss- が直説法半過去形の活用語幹になります。


ですので finir の直説法半過去形の活用は、

    je finissais   (ジュ フィニセ)
    tu finissais   (テュ フィニセ)
    il finissait    (イル フィニセ)
    nous finissions  (ヌ フィニスィオン)
    vous finissiez   (ヴ フィニスィエ)
    ils finissaient    (イル フィニセ)

となります。

(続く)


◇ 翻訳

『人間の条件』の翻訳は新潮文庫から出ていたようですが、今は手に入らないようです。

Amazon.co.jp のマーケットプレイスでは数千円で出てたりします。



2014-05-31

父はやっと彼女がそこにいることに...。

Son père semblait enfin s'apercevoir qu'elle était là.

[ Mauriac, "Thérèse Desqueyroux" ]

(フランス語中級)


フランソワ・モーリヤックの『テレーズ・デスケルー』より。

この作品からは 3回目の引用です。

  → 1回目 「それで、きみは満足かね?
  → 2回目 「彼は彼女が言うことを聞いていない


まずは発音をおおまかに確認しましょう。

    Son père semblait enfin
 
    ソンペール ソンブレ アンファン

    s'apercevoir qu'elle était là.
 
    サペルスヴォワール ケレテラ


では文を前のほうから見ていきましょう。

    Son père semblait ...

    彼女の父は...のように見えた。

son はここでは「彼の」ではなく、「彼女の」になります。

なぜかというと、この引用文の文脈から、 son はこの小説の主人公のテレーズのことで、père はテレーズの父なのがわかるからです。

ついで、 enfin が続きます。

    Son père semblait enfin
 
    彼女の父はとうとう...のように見えた。

enfin は 「ついに、とうとう」 としておきます。


次は、動詞 s'apercevoir の原形 (不定詞) です。

    Son père semblait enfin s'apercevoir
 
s'apercevoir は、「気づく」 という意味ですね。

ですので、

    彼女の父はとうとう気づいたように見えた。


この例文のように、 sembler (~のように見える) のあとには、動詞の原形 (不定詞) を続けることができます。


では、何に気づいたのか?

    Son père semblait enfin s'apercevoir qu'...

    彼女の父はとうとう、...ということに気づいたように見えた。

s'apercevoir (気づく) のあとに  que が続くときは、 この qu' (que) の後に  [主語 + 述語動詞] が続くはずで、「~が...であることに気づく」 となります。


続きを見ると、

    Son père semblait enfin s'apercevoir qu'elle était là.

que の後の elle が主語で、était が述語動詞ですね。

là は、副詞で 「そこに、そこで」 というような意味なので、

    elle était là

で、

    彼女はそこにいた

となります。

この場合の 「彼女は」 は 主人公のテレーズです。


全体では、

    Son père semblait enfin s'apercevoir qu'elle était là.

    彼女の父はとうとう、彼女がそこにいることに気づいたように見えた。

となります。

ちょっと変えて、

    彼女の父はやっと、彼女がそこにいることに気づいたらしかった。

ではどうでしょうか。


◆ メモ

フランソワ・モーリアックはこんな感じの人。

     (Wikipediaより)

『テレーズ・デスケルウ』 についてはたとえば 「松岡正剛の千夜千冊」 で紹介されています。


2014-05-22

上級仏単語; équitable

フランス語の上級単語です。


「上級」の意味は、ふだんあまり目にしないけど、新聞などでたまに出てくる単語、みたいな感じです。

市販されているフランス語基本単語集には載っていないような単語です。

これは上級じゃなくて中級じゃないの? とか、これはよく単語集にも載っているよ、 というのもあると思いますが、そのへんは適当です...。


今日は、

    équitable

です。

発音は、

    エキターブル




意味は

    公平な、公正な

で、形容詞です。


単語の最後が -able で終わるのは形容詞ですね。


équitable という単語は、英語の equal (イーコォル) と、意味も似てるし、関係があるのか?

調べてみると、やっぱり、

    equ-

という部分はラテン語から来ていて、

    等しい

という意味があるそうです。


たとえば、スペースアルクの 「語源辞典」 の equivalence (発音: エクィヴァレンス; 意味 「等価」) という単語のページに載っています。

で、このスペースアルクの同じページに equal のほかに equitable という同じ綴りの単語もありました。

英語でも

    equitable (エクィタブル)

という語があり、意味も 「公平な、公正な」 っていう意味です!


2014-05-12

巷のフランス語: デブリ

最近、原子力発電所の事故関連で 「デブリ」 という言葉を耳にします。

「デブリ」 は、新聞社のWebサイトなどを検索すると 「原発事故で溶け落ちた燃料」 のこと。

  ※ たとえば2013年11月7日の産経ニュース 「燃料取り出し目前 福島第1「4号機」プール公開 溶け落ちた燃料、最大の障壁」 など。


英語の辞書を見ると、

    debris : 破片、残骸

などとなっていて、「フランス語」 から来ている語句だとありました。


フランス語で見ると、

    débris

で、男性名詞、意味は同じく、

    破片、残骸

となっています。


あと、よく 「スペースデブリ」 という言葉も聞きます。

こちらは 「スペース」 (space) 、つまり宇宙に残った 「破片、残骸」 で、 おもに宇宙衛星とかの残骸が宇宙空間にただよって地球のまわりを回っていて問題になっているという文脈で出てくるようです。


下の写真は、Wikipediaに載っている、地上に落下してきたスペースデブリの写真です。

Debris-sAfrica.jpg
"Debris-sAfrica". Licensed under Public domain via ウィキメディア・コモンズ.