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2014-03-04

巷のフランス語: プランタン銀座と四季の呼び名

(巷のフランス語 / フランス語初級)

巷(ちまた)のフランス語、港(みなと)のフランス語ではありません。


東京の銀座三丁目に、プランタン銀座というデパートがあります。

 プランタン銀座
※ プランタン銀座 (Wikipediaより


調べてみると1984年4月の開業です。

私の学生時代まっただ中で、当時はおしゃれの代名詞にもなってたと思います。

おしゃれに憧れてたけど、決しておしゃれじゃなかった(おしゃれになれなかった)学生でした。


このデパートの元になっているのが、フランスのパリにある老舗(しにせ)デパート Printemps (プランタン) です。

printemps は 「春」(男性名詞) なので、デパートの Printemps は 「春屋百貨店」 でしょうか。

printemps の後半の temps は 「時」 という単語ですね。

前半の prin- はもともと 「最初の」 という意味の言葉から来ているらしいです。

ですので、 prin-temps で 「最初の時」。

その年の最初の頃が 「春」 ということでしょう。


ついでに、夏、秋、冬も確認しておきましょう。

夏は?

    été (エテ / 男性名詞)

été は、基本動詞 être の過去分詞と同じ綴りです。


秋。 英語の autumn (オータム) と綴りが似てるけど違うのでややこしい。

    automne (オトンヌ / 男性名詞)

綴りに入っている -m- は発音しません。


そして、冬は?

    hiver (イヴェール / 男性名詞)。

※ h は「無音のh」です。


それぞれ、「春に」 「夏に」 「秋に」 「冬に」 というときは、

    au printemps   (オ プランタン)
 
    en été            (オンネテ)

    en automne     (オンノトンヌ)

    en hiver          (オニヴェール)

でした。


あの娘はぼくの両目のまぶたに立っている




Elle est debout sur mes paupières

[ Paul Éluard, "L'amoureuse" ]



(フランス語初級 )

20世紀前半の詩人、ポール・エリュアールの "L'amoureuse" (ラムルーズ / 愛する女[ひと])という詩の冒頭の一節です。

発音は、

    Elle est debout  エレ ドゥブ

    sur mes paupières  シュル メ ポピエール

というかんじです。


debout は 「立った状態で、立って」 という副詞 です。

ですので、 Elle est debout で、「彼女は立っている」 です。


この 「彼女 Elle 」 は、この詩のタイトルの L'amoureuse でしょう。

amoureuse は amoureux の女性形です。

amoureux は 「恋をしている」 という形容詞ですが、名詞として使われると 「恋人」 となります。

この詩のタイトルは L'amoureuse なので女性です。

なのでタイトルを 「ぼくの恋人」 とするとどうでしょうか。訳し過ぎかな。


さて、Elle est debout の後に sur mes paupières と続きます。

sur は 「~の上に、~に接して」 のいみの前置詞。

mes は所有形容詞 mon (私の) の複数形。

   ※ 所有形容詞については 「不幸が俺の神だった」 で少し書いています。


paupière は 「まぶた」 (女性名詞)。

sur mes paupières と paupière が複数形になっているので 「ぼくの(両)まぶたの上に」 という感じ。


そうすると、

    Elle est debout sur mes paupières.

    彼女はぼくの両まぶたの上に立っている。

となりますが、どんなイメージなんでしょう。


両目を閉じてゆっくり考えてみましょう。


原文は 「Eluard, Elle est debout sur mes paupières」 などで検索すると見つかります。

翻訳は書店では手に入らないと思うので、図書館へ行きましょう。


2014-03-03

上級仏単語: incarcérer

今日の単語: incarcérer

発音は、「アンカルセレ」。

意味は、「投獄する」。


2014-03-02

参考書 『フランス語ライブ教室』

フランス語の参考書は英語みたいにむちゃくちゃたくさんあるわけではないですが、それでもかなりの数が出ています。

今日はじっくり読める読み物としての文法参考書を紹介します。

フランス語ライブ教室―「発信」できるフランス文法参考書』 (宇田川博 / 駿河台出版社 / 2,625円) です。

 フランス語ライブ教室


出版されたのは 1996年ですが、フランス語の文法はこの20年間基本的にというか全然変わっていないので内容は古臭くありません。

というより、教室で上質の講義を聞いているような、かんで含めるような解説が新鮮に感じられると思います。


たとえば、疑問文の三つの形式、

   Tu es content?
   Est-ce que tu es content?
   Es-tu content?

を紹介する場合も、たんに三つの形式だけを紹介するのではなく、それらの細かなニュアンスの違いが述べられていたり (本書 63ページ)、

(このブログの前の記事 「それで、きみは満足かね?」 でも、ちょうど疑問文の三つの形式を形式だけで紹介していますが...。)


また、はじめて半過去形を習ったときに、 「半分の過去ってどういうこと?」 と思った人も多いと思いますが(私もその一人です)、半過去の 「半」 ってどういう意味なのかちゃんと書いてあります (本書 222ページ以降)!


この参考書で、じっくり考えながら文法を学びましょう。

まったくのフランス語初心者ではなく、少し文法がわかってきた(わからなくなってきた) 初級終了段階の人におすすめします。

また、中級の方も読めば目からウロコ(が落ちる)です!

私も今でも時々読み返しては「なるほどぉ~」 と関心しています。


彼は彼女が言うことを聞いていない

[フランス語初級]

Il ne l'écoute pas ; ne la voit plus.

[ Mauriac, "Thérèse Desqueyroux" ]


フランソワ・モーリヤックの『テレーズ・デスケルー』 からの引用第二弾です。

一回目


まずは発音の確認をしましょう。

    Il ne                 イルヌ
    l'écoute pas ;     レクトゥパ
    ne la voit plus.   ヌラヴォワ プリュ


écoute は動詞 écouter の、voit は動詞 voir の「直説法現在 三人称単数形」です。

「三人称」 とは何かというと、この世のもののうち「私(たち)」(je, nous)が一人称、私の目の前にいる「あなた(たち)」(tu, vous)が二人称、それ以外が三人称となります。

il (ils) や elle (elles) も三人称です。


さて、最初の Il ne l'écoute pas ですが、 l'écoute の l' は le なのか、la なのか知る必要があります。

答えは次の ne la voit plus で予想できます。

Il ne l'écoute pas ; ne la voit plus. と続いているので、 l'écoute の l' と、la voit の la は同じもの (同じ人称代名詞) だと予想してよいでしょう。

そうすると Il ne l'écoute pas で「彼は彼女の言うことを聞いていない」 となります。


引用箇所の前後を読むとわかりますが、 ここでの「彼女」は主人公のテレーズで、「彼」はテレーズの父親です。 ( → 原文


次の ne la voit plus ですが、ne ... plus は「もはや〜ない」という否定の表現なので、

    (彼は)もはや彼女を見ていない

となります。

全体では、

    Il ne l'écoute pas ; ne la voit plus.

    彼は彼女の話を聞いていない、もはや彼女を見てもいない。

とか、

   父はテレーズの話を聞いてはいないし、もう彼女のほうを見てさえいない。

となるでしょう。


◆ écouter と voir の活用

écouter と voir は基本中の基本単語です。

それぞれの現在形 (直説法現在形) の活用を確認しておきましょう。

    j'écoute         ジェクットゥ
    tu écoutes     テュ エクットゥ
    il écoute        イレクットゥ
    nous écoutons    ヌゼクトン
    vous écoutez     ヴゼクテ
    ils écoutent       イルゼクットゥ

    je vois             ジュ ヴォワ
    tu vois            テュ ヴォア
    il voit              イル ヴァア
    nous voyons     ヌヴァイヨン
    vous voyez      ヴヴォィエ
    ils voient         イルヴォワ


2014-03-01

上級仏単語 : rêne

上級仏単語


今日の単語は: rêne  [レーヌ]

品詞は: 女性名詞

意味は: 手綱 (たづな)

です。



2014-02-28

それで、きみは満足かね?

(フランス語初級)


Alors, tu es contente ?

[ Francois Mauriac (1885-1970), "Thérèse Desqueyroux", 1927 ]

20世紀の作家、フランソワ・モーリヤックの『テレーズ・デスケルー』という小説から。

発音ですが、疑問文なので最後を上がり調子に読みましょう。

Alors,
アロール
tu es contente ?
テュ エ コンタントゥ

alorsは「それじゃ、それで」みたいな感じで、会話のきっかけを与えています。

contente は形容詞 content の女性形で (ということは、 主語の tu は女性ですね ) 、意味は 「満足した、うれしい」 などでした。

ですので、

    Tu es contente.

で 「きみは(あなたは) 満足している、うれしい」 となり、今回はこれが疑問形

    Tu es contente ?

なので、「きみは満足かね?」 「うれしいかい?」 となります。

全文の

    Alors, tu es contente ?

だと、「 それで、君は満足なのかね?」 っていう感じでしょうか。


◆  フランス語の疑問形の作り方は大きく分けると三つあって、今回の場合はそのうちの一つ、肯定文(疑問や否定ではない文) の最後に 「 ?」 を付けるというやり方です。

他には、 文頭に Est-ce que (エスク) を付けるやり方、

    Est-ce que tu es contente?

主語と動詞を倒置する方法、

    Es-tu contente?

がありました。


◆ 『テレーズ・デスケルー』 は、 地方の閉じ込められた暮らしの倦怠から、夫を毒殺しようとした女の話。

翻訳は作家 遠藤周作の訳で 『テレーズ・デスケルウ』 (講談社文芸文庫) など。




映画化もされていますが、日本語字幕のものはないようです。

フランス語版の DVD は "Thérèse Desqueyroux" (amazon.fr) で。

フランス語原文は Association @lyon というサイトにあります。


2014-02-27

この本が明らかにしているのは 4

[フランス語中級]

この本が明らかにしているのは 3」 (レーニンの 『帝国主義論』 序文) の続きです。

(なかなか終わりません...。)


原文:

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


前回は、

    Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, ...

    この書が明らかにしているのは、1914年から1918年の戦争が両陣営ともに帝国主義戦争であり( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり )、世界の分割のための戦争だったということである。

までやりました。

今回はこの文の最後の une guerre pour le partage du monde の後に、 pour la distribution et la redistribution des colonies と続く箇所を扱います。


発音は、

    pour la distribution
    プール ラ ディストリビュション

    et la redistribution
    エ ラ ルディストリビュション

    des colonies
    デ コロニ

です。


この pour 以下の箇所は、直前の pour le partage du monde と同じパターン (同格) だと予想できます。


図式化すると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste
            ( ... )
        une guerre
            pour le partage du monde,
            pour la distribution et la redistribution des colonies,

という感じでしょうか。


pour la distribution et la redistribution des colonies の、 distribution は 「配分、分配」 で、redistribution は 「再配分、再分配」 です。

* redistribution の re- は 「再」 という意味を持っています。

colonie は 女性名詞で 「植民地」 です。

ですので、 la distribution et la redistribution des colonies で、「植民地の分配と再分配」 となります。


ではさきほどの骨格図に沿って日本語を入れて行きましょう。

    la guerre de 1914-1918 a été
    1914-1918の戦争は...だった
        une guerre impérialiste
        帝国主義戦争
            ( ... )
        une guerre
        戦争
            pour le partage du monde,
            世界の分割のための
            pour la distribution et la redistribution des colonies,
            植民地の分配と再分配のための

これをつなげて訳してみましょう。

    1914-1918の戦争は 帝国主義戦争 であり、世界の分割のための、 植民地の分配と再分配のための戦争だった。


では、省略した箇所も入れて訳しましょう。

    Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies,

この本が明らかにするのは、1914-1918年の戦争がどちらの陣営から見ても帝国主義戦争であり ( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり ) 、世界の分割のための戦争、 植民地の分配と再分配のための戦争だったということである。


2014-02-26

上級仏単語: patrimoine

今日の単語は、

    patrimoine

    パトゥリモワーヌ

男性名詞。

意味は、

    世襲財産、遺産

です。



2014-02-25

この本が明らかにしているのは 3

[フランス語中級]

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


レーニンの 『帝国主義論』 序文、 前回前々回からの続きです。


前回は、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage) ...

「この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったこと( すなわち、征服と、略奪と、強奪の戦争だったこと )を明らかにしている。」

というところまででした。


さらに文は続きます。

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde,  ...

丸括弧が閉じた後のカンマの後にまた une guerre ... が出てきました。

こういう場合、最初に出てきた表現の言い換え、言い直し、追加説明などのパターンが考えられます。

丸括弧の部分などを省いて骨格だけ取り出してみると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste,
        une guerre pour le partage du monde

となります。

つまり、 une guerre impérialiste (帝国主義戦争)を、 une guerre pour le partage du monde と言い替えていることになります。


発音は、

    une guerre pour le partage du monde
    ユヌゲール プール ル パルタージュ デュ モーンドゥ

partage は定冠詞 le がついていることからもわかるように男性名詞で、意味は「分割」。

すると une guerre pour le partage du monde は「世界の分割のための戦争」となります。

ここでの前置詞 pour は目的を表しています。

pour が「目的」を表していることをはっきりさせるように言うと、 「世界の分割を目的とした戦争」となります。


このかたちで訳すと

    la guerre de 1914-1918 a été
       une guerre impérialiste,
       une guerre pour le partage du monde

    1914年から1918年の戦争は
       帝国主義戦争であり、
       世界の分割のための戦争
    だった

という感じです。


さらに括弧の箇所も入れて骨格図にすると、

    la guerre de 1914-1918 a été
        une guerre impérialiste
             (c'est-à-dire une guerre
                  de conquête,
                  de pillage,
                  de brigandage ),
        une guerre pour le partage du monde


となり、図に対応させて訳すと

    1914年から1918年の戦争は...だった
        帝国主義戦争
           ( つまり戦争
                  征服の
                  略奪の
                  強奪の )
        世界の分割のための戦争


となりますが、これではなんだかよくわからないので、もうちょっと日本語寄りの図にしてみます。

    1914年から1918年の戦争は
        帝国主義戦争であり
           ( つまり
                   征服と
                   略奪と
                   強奪の
               戦争であり )
        世界の分割のための戦争
   だった



では、ここまでの全体を訳して確認しておきましょう。

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde ...

「この書が明らかにしているのは、1914年から1918年の戦争が両陣営ともに帝国主義戦争であり( つまり征服と略奪と強奪の戦争であり )、世界の分割のための戦争だったということである。」


■ リンク
  → 前回の記事 「この本が明らかにしているのは 2
  → 前々回の記事 「この本が明らかにしているのは 1


■ 翻訳

前々回は、光文社古典新訳文庫の翻訳を紹介しましたが、今回は岩波文庫版です。

・ 『帝国主義―資本主義の最高の段階としての








2014-02-23

上級仏単語 : à huis clos

今日の上級仏単語は熟語表現です。

    à huis clos

à huis clos 非公開で

発音は、「 ア ユィ クロ」 。

フランス人による発音は、いつもの FORVO で確認できます。

huis は、同じ 「ユィ」 という発音で一字違いの huit がありますが、こちらは数字の 8ですね。


à huis clos の意味は、「扉を閉めた状態で」 「非公開で」 です。


huis はもともと 「(家の) 戸口 ・ 扉 」 (男性名詞) という意味ですが、単独で使われることはなく、いつも huis clos という形になります。

clos は clore (閉じる)[クロール] という動詞の過去分詞ですので、「閉じた (閉じられた)」 「閉まった」 です。

なので、 huis clos を直訳すれば 「閉じた扉」 になりますが、実際には huis clos だけだと 「傍聴禁止」 という意味で使われます。

それに前置詞 à がついて à huis clos で、 「扉を閉ざして」 「非公開で」 になります。



◆ サルトルの 「出口なし」

昔 ジャン=ポール・サルトル ( Jean-Paul Sartre ) という有名なフランスの文学者・哲学者がいました (1905-1980)。

その人の戯曲に "Huis clos" というのがあります。


翻訳では 「出口なし」 というタイトルになっています。

つまり huis clos を 「接見禁止」 という訳ではなく、もともとの意味の 「閉ざされた扉」 という意味で訳しているわけです。


その戯曲のなかでとても有名になった言葉があります。

    L'enfer, c'est les Autres.

    地獄っていうのは、他人たちのことなんだな。

です。 ちょっとこわいですね。



※ 蛇足ですが、サルトルの生没年を覚える語呂合わせがあります。

    重苦負いつ、行く我。

    (じゅうく[19] おいつ[05]、 いく [19] われ [80])


たしか 『ジョーク哲学史』 ( 加藤尚武 ) という本に載っていたような気がします。

いざというときに役立てましょう!


※  『ジョーク哲学史』 も 「出口なし」 も手に入りにくいようです。 図書館で探してみてください。



2014-02-22

不幸が俺の神だった

[フランス語初級]

Le malheur  a été mon Dieu.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


今回もアルチュール・ランボーの『地獄の季節』から。

この文は A = B型のシンプルな文ですね。


とりあえず発音を確認しておきましょう。

    Le malheur    ル マルール
    a été                ア エテ
    mon Dieu.      モンディゥ


では、単語の意味を確認しながら文を見ていきましょう。

malheur は男性名詞(定冠詞の le がついていることからもわかります)で、「不幸、災い」といった意味。

a は動詞 avoir が活用したものですね( avoir の直説法現在、三人称単数形 )。

次の été は「夏」でしょうか。

ではなくて、ここでは動詞 être の過去分詞です。

つまり [ avoir + 過去分詞 ] で複合過去形になっています。

現在形にすると 、 a été が est になるので、

    Le malheur est mon Dieu.

となります。


mon は文法用語でいうと 「所有形容詞」で、「私の」 という意味。

Dieu は「神」です。

直前の所有形容詞の mon は男性名詞の単数形につくときの形( 女性名詞の単数形につくときは ma [マ] )なので、Dieu (神) は男性名詞です。

さきほどの現在形にした文、

    Le malheur est mon Dieu.

は、「不幸は私の神である」 ということになります。


で、もとの文は、

    Le malheur  a été mon Dieu.

という過去形 (複合過去形) の文なので、 意味は、

    不幸は私の神でした。

みたいになりますが、「地獄の季節」 は詩なので、それっぽく訳して、

    不幸は俺の神だった。

でどうでしょう。


◆ 所有形容詞

英語でいうと my, your, his, her, our, their などに該当するのが、 mon, ton, son, notre, votre, leur  などの所有形容詞です。

なぜ 「所有形容詞」 というかといえば、「私の」 とか 「あなたの」 とか、「彼の」 とかの意味なので、つまり、「だれだれの」 ということなので、「所有」 の概念・意味を持っていることと、

「だれだれの」 のあとには、そのだれかの 「もの」 となる名詞が付きます。 名詞を修飾するのは 「形容詞」 なので、 「だれだれの」 を表す mon, ton, son, notre, votre は 「所有」 の意味を持った 「形容詞」 ということになります。


[練習]

* フランス語に直せ。

    「不幸はあいつの(彼の)神だった。」

    → Le malheur  a été son Dieu.


※ ランボーの 「地獄の季節」 の翻訳についての情報は、投稿 「俺は逃げた。」 をご覧ください。

※ 原文は、Wikisource にあります。


屋根裏部屋へと通じる木の階段は

フランス語中級

L'escalier de bois qui menait au grenier était très raide.

(Guillaume Apollinaire, "Les Exploits d'un jeune Don Juan", 1911)
  

「ミラボー橋の下 セーヌは流れる」 で有名な ギョーム・アポリネール の小説から。


この文には動詞が 2個出てきます。

menait と était です。

どちらが文の中心となる動詞(文の骨格を作る動詞)でしょうか。

(両方ともそうだ、という可能性もあります。)

menait は qui の後に続いています。 qui はここでは関係代名詞です。

関係代名詞の箇所(関係代名詞節)は、文全体の中心にはなりません。

なぜならば関係代名詞の箇所(関係代名詞節)は、その直前にある名詞を修飾するための箇所なので (その名詞に従属している立場なので)、 文の骨格にはなれないからです。

したがって関係代名詞の箇所を省いてしまっても、その文は文として成立します。


今回の場合、関係代名詞の箇所(関係代名詞節) は、

    qui menait au grenier

の箇所なので、ここを省いた文にすると、

    L'escalier de bois (....) était très raide.
    レスカリエ ドゥ ボワ (...) エテ トゥレ レッドゥ

になります。


主語の部分(主部)は L'escalier de bois で、

escalier (エスカリェ)は男性名詞で「階段」、bois 男性名詞で「木、材木」。

( bois には「森、林」という意味もありますが、ここではこの意味は適しません。)

ですので L'escalier de bois で「木製の階段」 となります。

de bois の前置詞 de は「材質、素材」を表しています。 「材質が木の階段」「木でできた階段」です。

était は動詞 être の直説法半過去形、意味はここでは 「~だった」。

raide は 「(傾斜の)急な、険しい」

したがって L'escalier de bois (....) était très raide. の意味は、「木の階段はとても急だった。」となります。


では、関係代名詞 の箇所 (関係代名詞節)を復活させて考えましょう。

L'escalier de bois ( qui menait au grenier ) était très raide.

発音は、

    qui menait au grenier

    キムネ オ グルニェ

動詞 menait の不定詞(原形)は mener (ムネ)で、通路や道がどこかに 「つながっている、通じる、至る」ことを表します。

「(どこか)に通じる」 の 「〜に」 の部分は、前置詞の à を使います。

ここでは au grenier へと続きます。

(au は前置詞 à と定冠詞 le が合体したもの。)

grenier は定冠詞 le がついているので男性名詞です。

意味は 「屋根裏部屋」。

menait au grenier で 「屋根裏部屋へと通じていた」 という感じです。


では、「何が」 屋根裏部屋へ通じているのでしょうか。

つまり、動詞 menait の主語は?

それが qui menait ... の関係代名詞 qui になります。

qui は、qui の後に続く動詞の主語であり、同時に関係代名詞の箇所 (関係代名詞節) を直前の名詞に結びつけ、その名詞を修飾する役割をします。

この文の場合は qui が修飾している名詞は(すぐ左の bois )ではなく、 L'escalier になります。

(なぜ bois じゃないかというと意味から考えればそうなると思います。)


なので、

    L'escalier ... qui menait au grenier

で、

    階段 ← 屋根裏部屋に通じた

の関係になるので、訳すと、

    「屋根裏部屋に通じている階段」

となるわけです。


全体では、

    L'escalier de bois qui menait au grenier était très raide.

   屋根裏部屋へと通じる木の階段はとても(勾配が)急だった。

という感じです。


◆ 作品情報

Guillaume Apollinaire (ギョーム・アポリネール / 1880-1918 ) は詩人・小説家。

"Les Exploits d'un jeune Don Juan" (レゼクスプロワ ダン ジュン ドン ジュアン) は彼のポルノチックな小説作品。

exploit は「快挙、偉業」 といった意味で、この場合はさまざまな女性と関係を持ったという意味を含んでいます。

そのまま訳せば 「若いドン・ジュアンの快挙」 でしょうか。

邦訳は  『若きドン・ジュアンの冒険』  や 『若きドン・ジュアンの手柄ばなし』 というタイトルなどで出ていましたが、現在は手に入りにくいようです。

原文は Wikisource のページで手に入ります。



2014-02-20

上級仏単語: dégringolade

今日も上級フランス語単語。

今日は、

    dégringolade

    デグランゴラードゥ

なんか、おかしな雰囲気の単語です。

フランス人による発音を FORVOで確認できます


意味は、

     転落、墜落、没落、暴落

などで、悪い意味で(急に)落ちていく感じ、転げ落ちる感じです。


2014-02-18

上級仏単語: cohue

本日の上級フランス語単語は、

  cohue

発音は 「コユ」。

意味は、「人混み、雑踏、群衆」 (女性名詞)。

似た単語でより一般的に使われるのが、 foule (フッル / 女性名詞)。

foule の意味も cohue と同じです。 つまり 「人混み」 「雑踏」 「群衆」 とかです。


2014-02-16

俺は逃げた。

[フランス語初級]

Je me suis enfui.

[Arthur Rimbaud, "Une saison en enfer", 1873]


これまでにも数回出てきた、アルチュール・ランボー 『地獄の一季節』 からです。

まずは、だいたいの発音です。

   Je me suis enfui.
   ジュムスュィ ザンフュィ

suis の最後の -s と、次の動詞 enfui の en- をリエゾンさせて  「ザンフュィ」 と読みましょう。

その、me suis enfui の箇所ですが、ここは代名動詞の複合過去形になっています。

me suis enfui の不定詞 (原形) は s'enfuir (サンフュィール) で、「逃げる、逃げ去る」 という意味です。

この s'enfuir という代名動詞から、人称代名詞 se を取り去ると enfuir が残りますが、enfuir 単体で利用されることはありません。

enfuir はいつも代名動詞 s'enfuir としてしか使われません。

こういう代名動詞を 「本質的代名動詞」 と言ったりします。

他には se souvenir (「 [de を] 思い出す 」)なども本質的代名動詞です。

* 代名動詞の分類はふつう、「再帰的」 「相互的」 「受動的」 「本質的」 の四つあります。


さて、代名動詞の複合過去形は助動詞に avoir ではなく être を使います。

なので、

   × Je m'ai enfui. 

ではなく、

   ○ Je me suis enfui.

となります。

さらに、本質的代名動詞の複合過去形の過去分詞 (この場合 enfui ) は、主語に性数一致します。

つまり、主語が複数なら -s が、主語が女性名詞なら -e がつきます。

この文の場合、もし主語の Je が女性なら、

   Je me suis enfuie.

となるわけです。

「彼らは逃げた」 なら、

   Ils sont enfuis. (イルソン タンフュィ)

「彼女たちは逃げた」 なら

   Elles sont enfuies. (エルソン タンフュィ

ですね。


代名動詞の複合過去形については、「奇妙な出来事がオランで起こった」 という記事でも触れていますので参考にしてください。

他にも、Webで 「フランス語 代名動詞 複合過去」 とかで検索すればいろんな人がたくさん解説してくれています! 


◇ 訳例

Je me suis enfui.

俺は逃げた。


◇ 翻訳

"Une saison en enfer" は、『地獄の季節』 という題名でいくつかの翻訳が出ています。

とくに 小林秀雄という人の訳 (岩波文庫) が有名です。




また、ランボーのフランス語原文の息づかいに忠実に、注釈付きで訳したものとして、( あのクイズダービーの迷回答で有名な ) 篠沢秀夫さんの 地獄での一季節』 (大修館書店 / 3,675円) があります。

 


上級仏単語: promulguer

フランス語の新聞や批評文などを読むときによく出てくる (と思われる) 単語をチェック!

今日の単語は、

   promulguer

品詞は動詞です。

発音は 「プロミュルゲ」 。

意味は、「(法律を) 発布・公布する」 となります。


2014-02-15

上級仏単語: cumul

今日の上級仏単語は cumul です。

発音は 「キュミュル」、品詞は男性名詞、意味は 「兼任、兼務」 。


この本が明らかにしているのは 2

フランス語中級

レーニンの 『帝国主義論』 序文の続きです。

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


前回の記事 「この本が明らかにしているのは 1」

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]


前回は、丸括弧の部分の前までやりました。

・ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

・ この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったことを、明らかにしている。


今回は、une guerre impérialiste のあとの丸括弧で括られた箇所を見てみます。

( c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage )

とりあえずだいたいの発音を確認。

c'est-à-dire
セタディール
une guerre de conquête,
ユヌゲール ドゥ コンケート
de pillage,
ドゥ ピヤージュ
de brigandage
ドゥ ブリガンダージュ

c'est-à-dire は「言いかえれば、すなわち」。

guerre は女性名詞で「戦争」。

une guerre のあとに de に続く表現が同じパターンで三つ続いています。

une guerre
   de conquête,
   de pillage,
   de brigandage

この3パターンはいずれも une guerre (戦争)を修飾していると考えられます。

  conquête は女性名詞で 「征服」。

  pillage は男性名詞で 「略奪」。

  brigandage は女性名詞で 「強盗 、強奪」。

なので、「征服の、略奪の、強奪の戦争」 などとなります。

そうするとここまでで、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage) ...

「この書は、1914年から1918年の戦争が、両陣営ともに帝国主義戦争だったこと( すなわち、征服と、略奪と、強奪の戦争だったこと )を明らかにしている。」

です。


■ リンク




上級仏単語: lucratif

上級仏単語はフランス語の新聞を読むための単語集(のつもり)です。

今日の単語は、

  lucratif

です。

発音は

  リュクラティ~フ

意味は、

  「金のもうかる、営利の」

で、品詞は形容詞。

ネット上の仏仏辞典で見てみたら、 「お金をもたらす」 もののこと、って出ていました。


2014-02-08

上級仏単語: saccager

雪がすごいです...。

今日の上級仏単語は saccager 。

発音はすなおに [サカジェ]。

最後が -er で終わってるので動詞っぽいですね。

そうです、動詞です。

※ でも、最後が -er でも動詞じゃないのもあります。


意味は 「略奪する、荒らす」 です。


覚え方は、「略奪したやつを探せ~(さがじぇ~)!」 ではどうでしょう...か?

ダメ...?


2014-02-06

心で見ないとちゃんと見えない

On ne voit bien qu'avec le coeur. L'essentiel est invisible pour les yeux.

[ Antoine de Saint-Exupéry, "Le petit prince" ]


今回は、アントワーヌ・ドゥ・サン=テグジュペリの 『ちっちゃな王子』 ( 『星の王子さま』 ) の有名な一節。



   ※ Le Petit Prince de Saint Exupéry


だいたいの発音は、

    On ne voit bien

    オンヌヴォワビャン

    qu'avec le coeur.

    カヴェク ル クール

です。


この最初の文には ne ... que という表現が使われています。

この ne ... que を取り去ると、

    On voit bien avec le coeur.

となります。

意味は、

    On voit bien    人はちゃんと見える

    avec le coeur  心で

となり、「心でもってちゃんと見える」、「心で見ればちゃんと見える」みたいな感じになります。


この場合の前置詞の avec は〈手段〉を表します。つまり「〜を使って」「〜を手段として」といういみです。

avec le coeur で「心を使って」「心を手段として」、です。

voir は「見える、目に入る」(英語の see )ですが、「何が」見えるのか(つまり動詞 voir の目的語)は記述されていません。

    ※ ここでちょっと voir の現在形(直説法現在形)の活用を確認しておきましょう。

      je vois ジュ ヴォワ
      tu voit テュ ヴォワ
      il voit イル ヴォワ
      nous voyons ヌ ヴォワィヨン
      vous voyez ヴ ヴォワィエ
      ils voient イル ヴォワ


さて ne ... que ですが、これは「〜しか...ない」という〈限定〉の表現ですね。

何を 〈限定〉するかというと、que の直後にある語句を限定します。

    On ne voit bien qu'avec le coeur.

この文の場合は、 qu'avec le coeur なので、「心でしか...しない」となるわけです。

    ※ que は次に母音で始まる語がくると 〈エリジオン〉 します。つまり 〈 qu' 〉 という形になって次の語とくっつきます。


まとめると、

    On ne voit bien     人はよく見えない

    qu'avec le coeur.   心を手段としてしか


となって、つまり、この文の意味は、

    人は心でのみちゃんと見える。

    心で見ないとちゃんと見えないんだよ。

という感じです。


◆ リンク


→ 翻訳はいっぱいあります、たとえば 『ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫) 』。



2014-01-09

上級仏単語: diffamer


「上級仏単語」 では、おもにフランス語の新聞に “たまに” 出てくる単語を掲載しています。

知っていると知らないとでは、フランス語の新聞を読む効率がぜんぜん違います (たぶん)!


きょうは diffamer です。

発音はそのまま 「ディファメ」 。

意味は、「 ~を中傷する, ~の名誉を傷つける」 です。




2013-12-28

この本が明らかにしているのは 1

フランス語中級

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste (c'est-à-dire une guerre de conquête, de pillage, de brigandage), une guerre pour le partage du monde, pour la distribution et la redistribution des colonies, des "zones d'influence" du capital financier, etc.

[ Lénine, Préface de "L'impérialisme, stade suprême du capitalisme" ]


レーニンという人が書いた『帝国主義論』という本のフランス語訳の序文です。

1925年 フランス語版 表紙 (Wikipedia)


レーニンは20世紀初頭にロシア革命を首謀して、ロシア帝国を崩壊させ、ソ連という国を創った人です。 ソ連は20世紀の終わりに消滅して、今はまたロシアという国になってます。

この文章は最後までピリオド period (フランス語では point [プワンまたはポワン] )が出てこないので、これ全体で一つの文ですね。

ちょっと長いですが文の最初から見ていきたいと思います。

---

Ce livre montre (スリーヴル モーントゥル)の、montre は動詞 montrer の直説法現在形。意味は「見せる」とか「示す」で、英語で言えば show でしょう。

なので、ここまでで 「この本は...を示している」「...ということを明らかにしている」、「この本に書いてあることはこうである」 というような意味になります。

続いて Ce livre montre que ... と続くので、 「この本は que 以下のことを示している」 という文なんだなと予想をつけます。

こういう時の que の後には「主語」と「述語」からなる〈文〉が来るはず。つまり「〜は…である( …する )ことをこの本は示している」というふうになるはず。

と思って続きを見ると que の後は la guerre (ラ ゲール)となっています。


_ Ce livre montre que la guerre ...(スリーヴル モーントゥル ク ラゲール)

guerre は女性名詞で「戦争」。

la guerre のすぐ後には de 1914-1918 とあるので、この戦争は 「1914から1918年にかけての戦争」 、つまり第一次世界大戦のことだとわかります。

ところで 1914 の読み方は、ミルヌフソンカトルズ mille neuf cent quatorze 、つまり 千・九・百・十四で、1918 は、ミルヌフソンディズユィット mille neuf cent dix-huit、つまり 千・九・百・十八 です。

de 1914-1918 の年号の間の 「 - 」 ですが、ここでは à と同じです、つまり、de 1914 à 1918 ということです。

de ~ à … で、「~から…まで」、 英語の from ~ to …  という表現と同じです。

さて、 que の後には「主語」 と 「述語」 が来るのではないかという予想でした。

そうだとすると  la guerre de 1914-1918 が主語で、「1914年から1918年の戦争は....だったということをこの本は明らかにしている」 ということになります。

そういう予想で、la guerre de 1914-1918 の後を見ると、 予想通り述語となる動詞表現 a été が来ています。


_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

a été (ア エテ) ですが、a は 動詞 avoir の直説法現在形、 été は名詞だと 「夏」 という意味ですが、ここでは動詞 être の過去分詞形です。

つまり、[avoirの直説法現在形 + 動詞の過去分詞] のかたちなので、「複合過去」 ということになります。

意味は、être は 「~です、~である」 という意味があるので、それを過去っぽく言えば 「~であった」 です。

la guerre de 1914-1918 a été ... で、「1914年から1918年までの戦争は、...だった」 となります。

では、その戦争は「何」だったのか。

a été のあとに de part et d'autre という表現があります。 これはなんかちょっと 「熟語」 っぽい。

そこで辞書を調べてみると、de part et d'autre には、

どちら側も, 双方とも(に)、互いに

などの意味があります。

発音は「ドゥ パール エ ドートゥル」とふつうに読むのではなく、 part と et をつなげて(=リエゾンさせて) 「ドゥパルテドートゥル」と読んでください。

そうすると、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre ...

で、

この書籍が示しているのは、1914から1918年にかけての戦争は、どちら側も ... であったということである。

という感じになりそうです。

で、結局、どんなんだったかといと、


_ Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

une guerre impérialiste (ユヌ ゲール アンペリアリスト)の impérialiste は、「帝国主義の」という形容詞。

名詞形は impérialism (アンペリアリスム)。男性名詞で意味は「帝国主義」。

ですので une guerre impérialiste で 「帝国主義の戦争」「帝国主義的戦争」「帝国主義戦争」などとなります。

さて、これで、

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

までは、

1914年から1918年の戦争はどちらの側も帝国主義戦争であったことをこの本は明らかにしている。

となります。


が、「 どちらの側も」というのがなんだかまだあいまいです。

もういちど de part et d'autre を、今度は仏仏辞典(つまりフランス語の国語辞典)で調べてみました。

或る仏仏辞典では de part et d'autre を réciproquement と説明しています。

réciproquement (レシプロークモン)は「お互いに」「相互に」です。

ここは戦争の話なので、「 どちら側も 」「お互いに」 というのは、戦争をしている両方の側ということでしょう。

そこでこんな訳文にしてみます。

Ce livre montre que la guerre de 1914-1918 a été de part et d'autre une guerre impérialiste

「この本によって明らかにされるのは、1914年から18年にかけての戦争が両陣営ともに帝国主義による戦争だったことである。」


→ 続き 「 この本が明らかにしているのは 2


◆ リンク

_ フランス語訳 (Marxists Internet Archive)
_ 日本語訳 『帝国主義論』  (光文社古典新訳文庫)


2013-12-11

上級仏単語 : pâtir

pâtir

[パティール]

pâtir de ~ で、「~から被害を受ける」、「~で苦しむ」。


私は十五だった

J'avais quinze ans.

[Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"]

(フランス語初級)


もう十分に冬になって、朝は身が引きしまるほど寒く、夜は星がきれいです。

きょうの例文は、アラン・フルニエによる青春文学 『グラン・モーヌ』 から。

語り手が若かりし頃を回想して、「そのときぼくは15才だった」 と言ってるような場面です...。


◆ 発音

J'avais
ジャヴェ

quinze ans.
カーンザン

Alain-Fournier
アラン・フルニェ

Le grand Meaulnes
ル グラン モーヌ


◆ 語句

◇ j'avais は je と avais で、avais は avoir の直説法半過去形。

[avoir の直説法半過去形の活用の確認]

j'avais (ジャヴェ)
tu avais (テュ アヴェ)
il avait (イラヴェ)
nous avions (ヌザヴィオン)
vous aviez (ヴザヴィエ)
ils avaient (イルザヴェ)


[確認]

* カタカナの発音を見て、綴りを書いてみましょう。

ジャヴェ
テュ アヴェ
イラヴェ
ヌザヴィオン
ヴザヴィエ
イルザヴェ

* 何も見ないで avoir の直説法半過去形の活用を書いてみましょう。


◇ quinze (カーンズ) は数字の 15 です。

[数字の11から20までの復習]

11 onze (オーンズ)
12 douze (ドゥーズ)
13 treize (トゥレーズ)
14 qutorze (クァトルズ)
15 quinze (カーンズ)
16 seize (セーズ)
17 dix-sept (ディセットゥ)
18 dix-huit (ディズユィットゥ)
19 dix-neuf (ディズヌフ)
20 vingt (ヴァン)


[確認]

* カタカナの発音を見て、綴りを書こう。

11 オーンズ
12 ドゥーズ
13 トゥレーズ
14 クァトルズ
15 カーンズ
16 セーズ
17 ディセットゥ
18 ディズユィットゥ
19 ディズヌフ
20 ヴァン


[確認]

* 数字を見て綴りを書きましょう。

11
12
13
14
15
16
17
18
19
20


[確認]

* 11から20までの数字を暗唱してください。


◇ ans

an (アン)は、男性名詞で 「年(ねん)、~歳」 。

「私は15歳です」なら、 J'ai quinze ans. (ジェ カーンザン)


◇ Alain-Fournier, "Le grand Meaulnes"

Alain-Fournier は、1886年生まれのフランスの小説家。 第一次世界大戦に従軍して27才で戦死。

Le grand Meaulnes : アラン・フルニエの小説。 grand は「背が高い」。 なので直訳すると「背高ノッポのあのモーヌ」 か。


◆ 意味

J'avais quinze ans.
私は15歳だった。


[練習]

「私は15歳だった。」 をフランス語で書け。


◆ 関連情報

◇翻訳など

グラン・モーヌ』 (岩波文庫 / 天沢退二郎 訳)
モーヌの大将』 (大学書林語学文庫)


◇ 原文

Le Grand Meaulnes by Alain-Fournier (Project Gutenberg )


2013-07-20

愛を定義するのはむずかしい

Il est difficile de définir l'amour.

(フランス語初級)

ラ・ロシュフコー という人の "Maximes" (『箴言集』) から。

[ 読み方 ]

Il est difficile
イレ ディフィシィッル
de définir l'amour
ドゥ デフィニール ラムール

La Rochefoucauld
ラ ロシュフコ
Maximes
マクシィム

[ 語句 ]

difficile : 形容詞. 「 難しい、困難な 」
définir : 動詞. 「 明確に示す, 定義する 」
amour : 男性名詞.  「愛, 恋」

l'amour の l' : 定冠詞の “縮約形”. 単数の定冠詞 le , la は、母音で始まる名詞に付くときは、 l' となってその名詞にくっつきます。 この場合は、amour が男性名詞なので、 l'amour の l' は le の縮約形です。

La Rochefoucauld : ラ・ロシュフコー (ラ・ロシュフーコー)、1643-1680. フランスの “モラリスト”。 『箴言集』 にいっぱい詰まった短い箴言が有名です。 Webを検索すると、日本語でも彼の箴言がいろいろ見つかります。

例えば 「 太陽も死も直視できない (Le soleil ni la mort ne se peuvent regarder fixement.) 」 とかです。 かっこいいです。

フランス語の引用集だと  wikiquote にたくさんあります (英訳つき)。

maxime : 男性名詞. 「格言, 教訓」、複数形で「格言集、箴言(しんげん)」.


[ 文の構成 ]

_ Il est ... de 不定詞 ~

( 「不定詞」 は動詞の原形(変化してない形)のことです。 )

[ Il est ... de 不定詞 ~ ] で、「 ~するのは、... だ 」 みたいな感じになります。

この文はいわゆる 非人称構文 です。

以前出てきた例文だと、
Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui. [ ]

というのがありました。

今回の場合は、

Il est difficile de définir l'amour.

「愛を定義するのは困難だ」、「愛とは何かを明確に示すことはむずかしい」 という感じになります。

『箴言集』 の翻訳本は、岩波文庫版 などがあります。


2013-05-05

二週間爪を伸ばしておけ

On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.

( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )

ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 から。

『マルドロールの歌』の文はこれまで二回扱っています。

でも大丈夫、簡単に手でこうやって (2013/02/11)
これは失敬、どうも髪の毛が (2013-02-09)

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


○ 発音

では、いつものように発音を確認しましょう。

On doit
オン ドワ
laisser pousser
レセ プセ
ses ongles
セゾングル
pendant quinze jours.
ポンドン カーンズ ジュール


実際に耳で聞いてみたい方は :

発音例 (Sound Cloud)

ネイティブの発音じゃないので適度に参考にしてください...。


○ 語句と解説

単語の意味を確認しながら文の内容を見ていきましょう。


_ on

「不定代名詞」、文の主語としてのみ使われます。なぜ「不定」な代名詞かというと、「不特定の人」を示したりするからです。「だれかが」とか「人は」「人々は」とか。

ほかに、「あなたは」「わたしは」「私たちは」みたいに、vous や je や nous などの代わりに使われることもあります。

主語の on に続く動詞は三人称単数形、つまり il や elle のときと同じ活用になります。たとえ on が「私」や「あなた」を内容として指していても、動詞の活用は三人称単数形です。


_ doit

devoir の直説法現在・三人称単数形。 意味は 「~しなければならない」 など。

とりあえず On doit ... で「人は~しなければならない」って感じになりますかね。


_ laisser

「 laisser + 不定詞 」で、「~させる」「~するがままにしておく」です。

* 「不定詞」って動詞の原形(活用しない形)ですね。

そうすると On doit laisser ... で、 「人は~するがままにしておかねばならぬ」。


_ pousser

英語の push 。 「~を押す」という意味ですが、このあとすぐに ses ongles と「爪」という名詞がきているので、ここでは 「生える(はえる)」「伸びる」。

なので、On doit laisser pousser ... までは 「人は伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」みたいな感じ。

では、何を伸びっぱなしにしておくのか。

_ ses

所有形容詞 son の複数形です。いみは「彼の」とか「彼女の」とか「それの」とかです。

ところでなぜ「所有形容詞」っていうのか?

所有形容詞は他に mon (私の)とか ton (君の)とかがありますが、いずれも「だれだれの」という意味があります。「だれだれの」ですから「所有」の意味を持っているわけです。

また「形容詞」ですが、形容詞の役割は「名詞を修飾する」こと。 所有形容詞は「だれだれの」という意味ですから、必ずその後には「私の本」「彼の車」みたいに、「本」「車」などの「名詞」が来ます。

つまり、所有形容詞は「名詞を修飾」します。なので所有「形容詞」です。

話はもどって、この ses ongles の ses (彼の、彼女の、それの)の「彼、彼女、それ」とは「だれ」なんでしょうか?


_ ongle

男性名詞で「爪」という意味。

そうすると On doit laisser pousser ses ongles で、「彼の(彼女の)爪を伸ばしっぱなしにしておくべきだ」になりますが、この「爪」は「だれ」の爪なんでしょうか。

さきほど主語の on という代名詞(不定代名詞)は主語にしか使われないと言いました。

では on の所有形容詞ってないんでしょうか?

何が言いたいかというと、たとえば je ならばその所有形容詞は mon、tu なら ton です。 では on の所有形容詞は?

on は所有形容詞の形がないので、ほかの所有形容詞である son を借用します。

ses ongles は 主語 on 自身の爪だということになります。

なので、On doit laisser pousser ses ongles は 「人は自分の爪を伸びるがままにしておかねばならぬ」と解することができます。


_ pendant

前置詞で、「~の間」と期間を表します。 英語だと during でしょうか。


_ quinze

数詞ですね。「15」です。


_ jour

男性名詞。「日」、英語の day 。

quinze jours で「15日」、pendant quinze jours で「15日間」ということになりますが、フランス人は「今日」から数えて15日間と考えるらしく、pendant quinze jours は、今日から数えて15日間、つまり「二週間」となります。

これで、On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours. は、「人は二週間の間自分の爪を伸びっぱなしにしておかなくてはいけない」 となりますね。


○ 逐語訳

On 人は quinze jours 二週の pendant 間 ses ongles 自分の爪が pousser 伸びる laisser がままにして doit おかねばならぬ。


○ 分かち訳

On 人は doit せねばならぬ laisser pousser 伸びっぱなしに ses ongles 自分の爪を pendant quinze jours 二週の間.


○ 訳例

On doit laisser pousser ses ongles pendant quinze jours.

二週間ずっと爪を伸ばしたままにしておくんだ。


○ リンク

→ 原文: Wikisource

→ 翻訳: 集英社文庫ちくま文庫



2013-05-01

他人を評価するより自分を評価することのほうが

Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.

[Antoine de Saint-Exupéry, "Le Petit Prince"]


アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ  『星の王子さま』 から。

今回は 「比較」 の表現と、「非人称構文」 が出てきます。




   ※ Le Petit Prince de Saint Exupéry


■ 発音

Il est
イレ

bien plus difficile
ビャン プリュ ディフィシィル

de se juger soi-même
ドゥ ス ジュジェ スワメーム

que de juger autrui.
ク ドゥ ジュジェ オトゥリュィ

Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ ドゥ サン テグジュペリ

Le Petit Prince
ル プティ プランス


■ 語句

bien : ここでは次の plus difficile の強調。「かなり」「ずっと」
plus 〜 que ... : 比較の表現。「... より 〜 だ」
juger : 動詞。「を裁く」「判断する、評価する」

se juger : 「裁かれる」「自分を評価する」
soi-même : 代名詞。soi の強勢形。
se juger soi-même : 「自分自身を評価する」

autrui : 代名詞。「他人」
juger autrui : 「他人を評価する」

Antoine de Saint-Exupéry : アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。 フランスの作家。 1900-1944。
Le Petit Prince : サン=テグジュペリの小説。 日本語訳題名は 『星の王子さま』 など。


■ 文の構成: 非人称構文

この文をもうちょっとわかりやすい単純な形にしてみます。

Il est difficile de se juger soi-même.
(それはむずしい / 自分自身を評価することは)

これは Il est ~ de ... という構文で、「...するのは~だ」 となります。

Il est ~ de ... の 「...」 には動詞の原形(不定詞) がきます。
また、主語の Il はいわゆる 「非人称主語」 とか 「形式主語」 と呼ばれるもので、この Il 自体は意味(内容)をもっていません。

" Il est difficile " だけをみると 「(それは) むずかしい 」 となります。
この場合に 「むずかしい」 とされている 「 Il (それ) 」 の中身は何か?

その中身が、「 de ... 」 の部分になります。

Il est difficile de se juger soi-même.
(自分自身を評価することはむずかしい)

つまり、Il は de以下の 「自分自身を評価すること」 を受けている (指している) わけです。

ですので、この場合の 「 de ... 」 の箇所を 「意味上の主語」 と言ったりもします

* この形式主語については 「 フランス語の非人称のil - 北鎌フランス語講座 - 文法編 」 で詳しく解説されています。


■ 文の構成: 比較

この文中の 「 plus 〜 que ... 」 は、比較の表現で、「... より 〜 だ」 となります。

Il est plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.
(自分自身を評価することは、他人を評価するすることよりむずかしい)


■  強調の bien

plus の前についている bien はplus を強調しています。「ずっと」って感じです。


■ 分かち訳

Il (それは) bien plus difficile よりずっとむずかしい  est です de se juger soi-même 自分自身を評価するのは  que de juger autrui 他人を評価するのより .


■ 逐語訳

(Il それは=) de se juger soi-même 自分自身を評価するのは  que de juger autrui 他人を評価するのより
bien plus difficile よりずっとむずかしい  est です


■ 訳文

Il est bien plus difficile de se juger soi-même que de juger autrui.

自分自身を評価するのは、他人を評価するよりずっとむずかしい。


■ 関連情報

→ 「あのときの王子くん」 (大久保 ゆう 訳 / 青空文庫)



2013-03-05

奇妙な出来事がオランで起こった


フランス語中級

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

( Albert Camus, "La Peste" )


フランスの小説家、アルベール・カミュ ( 1913-1960 ) の『ペスト』 の冒頭です。

    → このブログのカミュに関連する記事


  『ペスト』 新潮文庫版 (以前の表紙画像)


アルジェリアのオランという都市がペストに襲われ、その中でもがき・闘う人々が描かれています。


○ 発音

Les curieux événements
レ キュリウゼヴェヌモン
qui font le sujet
キ フォン ル シュジェ
de cette chronique
ドゥ セットゥ クロニーク
se sont produits
スソン プロデュィ
en 194.,
オン ミルヌフサンキャラントゥポワン
à Oran.
ア オラン

    → 発音例 (ネイティブの発音ではありません!)


○ 語句

curieux : 奇妙な、変な
événement : (男性名詞) 出来事、事件
qui : (関係代名詞)
font : 動詞 faire の直説法現在、三人称複数形
sujet : (男性名詞) 主題、テーマ
chronique : (女性名詞) 年代記, 編年史
produit : 動詞 produire の過去分詞
produire : 生産する、産み出す
se produire : 生じる、起こる
Oran : オラン(架空の街の名)

Albert Camus :
peste : (女性名詞) ペスト


○  直訳

この記録の de cette chronique 主題となる qui font le sujet 奇妙な出来事は Les curieux événements、194x年に en 194. オランで à Oran 起こった se sont produits 。


○  分かち訳

Les curieux événements (奇妙な出来事は)qui font le sujet (←主題となる)de cette chronique (←この記録の)se sont produits (起こった)en 194.(194x年に), à Oran(オランで).


○ 文の骨格

この文の骨格となるのは次の部分です。

Les curieux événements se sont produits en 194..

→ 奇妙な出来事が194x年に起きた。


○ 代名動詞の複合過去形

動詞の部分 se sont produits は se produire の複合過去形になっています。

se produire は代名動詞で、代名動詞の複合過去では、助動詞に être を使います。

さらにここでは se sont produits と、過去分詞 produit に s が付いています。

これは、代名動詞で使われている代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語のときは、複合形(複合過去や大過去など)で過去分詞がその代名詞に性数一致するからです。

se produire の代名詞 se は、動詞 produire の直接目的語です。

* なぜそうなのかはまたの機会に!

なので、複合形になると produire の過去分詞 produit は人称代名詞se に性数一致します。

この文、

Les curieux événements se sont produits en 194..

の場合、se は主語の les curieux événements を受けているので、se は男性複数です。

そこで過去分詞 produit が se に性数一致して produits となります。


○ 関係代名詞 qui

qui font le sujet de cette chronique の qui は関係代名詞です。

関係代名詞の役割は二つあります。

一つは、関係代名詞の直前にある名詞を修飾(説明)すること。

もう一つは、関係代名詞の後に続く部分の主語や目的語となること。つまり関係代名詞はその後に続く語句と一緒になって、[主語+述語]というセットを作ります。

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

この文の場合、qui が関係代名詞で、直前の名詞 les curieux événements を修飾しています。

また、qui は font le sujet de cette chronique の主語になっています。

[ les curieux événements ] <= [ qui font le sujet de cette chronique ]

[ 奇妙な出来事 ] <= [ (それは)この記録の主題となっている ]

なので「この記録の主題となっている奇妙な出来事」みたいになります。


○ faire の活用

動詞 faire (の直説法現在形の、とくに複数形)は独特の活用をしますので、確認しておきましょう。

je fais (ジュ フェ)
tu fais (テュ フェ)
il fait (イル フェ)
nous faisons (ヌ フゾン)
vous faites (ヴ フェットゥ)
ils font (イル フォン)

faisons の発音は「フェゾン」ではなく、「フゾン」なので注意!


○ 訳例

Les curieux événements qui font le sujet de cette chronique se sont produits en 194., à Oran.

この記録のテーマである一連の奇妙な出来事は、194x年にオランで起こった。


○ 関連リンク



2013-02-14

そこで私は本を書くことに

[フランス語初級]

Je me décidai alors à écrire un livre.

(Léon Trotsky, "Ma Vie")

トロツキーの自伝、『わが生涯』のフランス語訳より。

トロツキーは今から 100年前に起きたロシア革命の中心人物の一人です。

トロツキー 18才
トロツキー 18才 (Wikipedia)


○ 発音

Je me décidai
ジュムデシデ
alors
アロール
à écrire
ア エクリール
un livre.
アン リーヴル


○ 語句

décidai : 動詞 décider の単純過去形
décider : 決める
se décider :  決心する
se décider à 不定詞 :  〜する決心をする
alors :  それで(そこで)


○  直訳

Je me décidai alors à écrire un livre.

そこで alors 私は je 本を書くことを à écrire un livre 決心した me décidai 。


○ 分かち訳

Je (私は) me décidai (決心した) alors (そこで) à écrire un livre (本を書くことを) .


○ 単純過去形

単純過去形は、過去の事実や出来事を淡々と・客観的に述べるさいに使われる時制です。

* 単純過去形は話し言葉では使われません。

se décider の場合、以下のように活用します。

je me décidai
tu te décidas
il se décida
nous nous décidâmes (デシダーム)
vous vous décidâtes (デシダート)
ils se décidèrent (デシデール)


この活用パターンは、不定詞の語尾が -er で終わる動詞に共通です。

たとえば donner だと、

je donnai
tu donnas
il donna
nous donnâmes
vous donnâtes
ils donnèrent

となりますね。

活用語尾を取り出すと、

je -ai
tu -as
il -a
nous -âmes
vous -âtes
ils -èrent

です。

-er 以外の動詞はまたちょっと違った形で活用します!


○ 試訳

Je me décidai alors à écrire un livre.

そこで私は本を書くことにした。

○ リンク

フランス語訳
翻訳 (岩波文庫)


2013-02-11

でも大丈夫、簡単に手でこうやって

Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節。

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


今日はこの文章の後半を見ていきます。

○ 発音

mais,

ce n'est rien,
スネリャン
car,
カル
avec ma main,
アヴェック ママン
je suis parvenu
ジュスュイ パルヴニュ
facilement
ファシッルモン
à les remettre
アレ ルメートゥル
dans leur première position.
ダン ルール プルミエール ポジシオン


○ 語句

ce n'est rien : なんでもない、たいしたことない
parvenu : 動詞 parvenir の過去分詞
parvenir : 到達する
parvenir à + 不定詞 : やっと〜できる,〜することに成功する
facilement 容易に, 簡単に
remettre 元の場所に置く


○ 逐語訳

しかし mais, なんでもありません ce n'est rien, というのも car, 私の手で avec ma main, それらの最初の位置に dans leur première position 簡単に facilement それらを戻すことが à les remettre 私はできました je suis parvenu (から)。


○ 分かち訳

mais (しかし), ce n'est rien (なんてことありません) , car (だって) , avec ma main (私の手を使って) , je suis parvenu facilement (簡単に〜できました[から]) à les remettre (それらを元に戻すことが) dans leur première position (それらの最初の位置に) .


○ parvenir の複合過去

je suis parvenu の箇所は parvenir の複合過去形です。

複合過去形は、[ avoir または être の直説法現在形]と[動詞の過去分詞]をつなげて作ります。

avoir と être のどちらを使うかは 動詞によって決まっていました。

→ 参考: 「どこに行ってたの?」 (フランス語を学ぶ人)


* être を使うのは、なんらかの「移動」の意味をもった自動詞です。

parvenir は venir などと同様に être を使うことになっています。

なので j'ai parvenu ではなく je suis parvenu になります。


○ je suis parvenu の je は男?それとも女?

je suis parvenu の場合の主語の je が男性か女性かを見分けることはできるのでしょうか。

じつは複合過去(や大過去などの複合形時制)で être を使う場合、過去分詞は主語に性数一致します!

Je suis venu.

なら je は男性、

Je suis venue.

なら je は女性。

主語が nous で全員女性なら、

Nous sommes venues.

となります。

なので、je suis parvenu の je は男性です。


○ 試訳

mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

でも大丈夫、簡単にこうやって手でもとに戻すことができましたから。


○ 関連リンク

→ 「これは失敬、どうも髪の毛が」 (フランス語を学ぶ人)


2013-02-09

これは失敬、どうも髪の毛が


Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête; mais, ce n'est rien, car, avec ma main, je suis parvenu facilement à les remettre dans leur première position.

( Comte de Lautréamont, "les Chants de Maldoror" )


ロートレアモン伯爵 『マルドロールの歌』 の一節です。

"Chants de Maldoror" 初版, 1968, Wikipedia より


ロートレアモンは 1846年から1870年まで生きた (短命です!)、フランスの詩人です。

今回はこの文章の前半を見ていきましょう。


○ 発音

Pardon,
パルドン
il me semblait
イル ム サンブレ
que mes cheveux
ク メ シュヴ
s'étaient dressés
セテ ドゥレセ
sur ma tête
シュル マ テートゥ

Comte de Lautréamont
コントゥ ドゥ ロトレアモン
Les Chants de Maldoror
レ シャン ドゥ マルドロール


○ 語句

pardon : 失礼、すみません
sembler : 〜のように見える・思われる

il me semble que ... で、「私には...のように見える」という表現。que の後には、主語と述語動詞からなる文が来る。
今回は mes cheveux が主語で、 s'étaient dressés が述語動詞。

cheveu : [男性名詞] 髪の毛。複数形は cheveux と、最後に x がつきます。
dresser : まっすぐ立てる
se dresser : [代名動詞] まっすぐに立つ
tête : [女子名詞] 頭


○ 逐語訳

失敬 pardon 、私の髪が mes cheveux 私の頭上で sur ma tête まっすぐ立っていた s'étaient dressés ように que 私には思われました il me semblait 。


○ 分かち訳

Pardon (失礼), il me semblait (私には思えた) que (...と) mes cheveux (私の髪が) s'étaient dressés (立ち上がっていた) sur ma tête (私の頭の上で);


○ 大過去の用法

文中の semblait は(直説法)半過去ですが、 s'étaient dressés は (直説法) 大過去になっています。

大過去の形は、[ avoir または être の半過去形 ]  + [ 動詞の過去分詞 ] です。

s'étaient dressés の場合は、 être の半過去形と se dresser の過去分詞 dressé との組み合わせになっています。

  * dresser の過去分詞 dressé の最後に -s がついてるのはなんでかな~?


avoir とくっつくか、être とくっつくかは動詞によって決まっています。

複合過去形の場合と同じなので、複合過去形の説明をしたとこを参考にしてください。

さらに、代名動詞の場合はすべて être と結びつくことになっています。

なので、ここで 代名動詞 se dresser は être と結びついています。

大過去の用法ですが、英文法で言うところの「過去完了形」のようなものです。
つまり、或る過去の時点までに起こった出来事をいい表します。

この文の場合、 il me semblait (私には~と思えた) の semblait の半過去形で表されるのが 「或る過去の時点」 で、 「髪の毛が立っていた」 のは、「と思えた semblait 」 その時点よりさらに前 (過去) ということになります。

「私の髪の毛が立っていた」 ことを、それより後になって、「と思えた」 と言っているわけです。

この説明で大丈夫でしょうか...。


○ dressés の最後の s

代名動詞の大過去や複合過去では、その人称代名詞 (se とか) に過去分詞 (dressé とか) が性数一致する場合としない場合があります。

性数一致するかしないかは、代名動詞の作り(構造)によります。

性数一致するのは、代名動詞の代名詞(人称代名詞)が、その動詞の直接目的語(〜を)になっている場合です。

dresser は「〜をまっすぐ立てる」という動詞で、「〜」には直接目的語の名詞(や代名詞が)入ります。

これが se dresser という代名動詞になると、代名動詞の人称代名詞 se は「自分自身」(=主語を指す代名詞)を表すので、

    se dresser
    自分をまっすぐ立てる
         ↓
    まっすぐ立つ

みたいになります。

けっきょく、代名動詞 se dresser の人称代名詞 se は動詞 dresser の直接目的語です!

なので se dresser の場合は、se に dresser の過去分詞は性数一致します。

mes cheveux s'étaient dressés の se は主語の mes cheveux (男性名詞複数)を受けているので、dresser の過去分詞の最後に s が付いています!

説明がくどいっ?


○ 訳例

Pardon, il me semblait que mes cheveux s'étaient dressés sur ma tête;

これは失敬、どうも髪の毛が逆立っていたように見えたので。


○ リンク

→ 原文: Wikisource
→ 翻訳: 集英社文庫ちくま文庫


2013-02-05

上級仏単語: altercation

altercation 口論


altercation

_ 発音

アルテルカシォン

_ 品詞

女性名詞

* -tion で終わる名詞は女性名詞。

_ 意味

口論、けんか


2013-02-03

少しは黙ったらどうなんだ

フランス語初級


Vous ne voulez pas vous taire?

( Zola, "L'Assommoir")

ゾラの 『居酒屋』 から。 朝帰りした夫ランティエにうるさく詰め寄るジェルヴェーズに、ランティエが発した一言。


○発音

疑問文なので上がり調子に読みましょう。

Vous ne voulez pas
ヴヌ ヴレパ
vous taire?
ヴ テール


○ 語句

se taire [代名動詞] 黙る

vouloir の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。綴りをよく見て特徴を覚えよう。

je veux ジュヴ
tu veux チュヴ
il veut イルヴ
nous voulons ヌヴロン
vous voulez ヴヴレ
ils veulent イルヴッル


○ 逐語訳

あなたは vous 黙ることを se taire 欲しない ne voulez pas のか ?


○ 分かち訳

Vous ne voulez pas あなたは欲しない
vous taire 黙ることを
? のか?


○ 疑問文の作り方

フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。

その一つが、肯定文(疑問文じゃない普通の文)の語順のまま、最後に(ピリオドの代わりに)クエスチョンマークを付けるやり方です。


* フランス語では「ピリオド」を「プワン ( point ) 」、「 クエスチョンマーク 」を「プワン ダンテロガシオン ( point d'interrogation ) 」と言います。


このやり方だと、

Vous ne voulez pas vous taire.
あなたは黙ることを欲しない。

という文(肯定文)を疑問文にすると、

Vous ne voulez pas vous taire?

となります。簡単です!


○ 試訳

少しは黙ったらどうなんだ。



2013-02-02

どこに行ってたの?



フランス語初級

Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?

( Zola, "L'Assommoir")

物語の冒頭で、朝帰りした夫のランティエを、ジェルヴェーズが問い詰めようとする場面です。


○発音

Où es-tu allé?
ウ エチュ アレ

où as-tu passé la nuit?
ウ アチュ パセ ラ ニュイ


○語句

où どこに、どこで
allé 動詞 aller の過去分詞
passé 動詞 passer の過去分詞
passer (時間を)過ごす
nuit [女性名詞] 夜


○逐語訳

どこに où あなたは tu 行った es allé の ?
どこで où あなたは tu 夜を la nuit 過ごした passé の ?


○試訳

Où es-tu allé? où as-tu passé la nuit?

どこに行ってたの? どこで夜を明かしたの?


○ 疑問文の作り方

この二つの文は両方とも「疑問文」です。疑問文は、「〜です」ではなく、「〜ですか」という文です。

*「〜です」のほうは 「肯定文」(こうていぶん)などといいます。

フランス語で疑問文を作るには三つのやり方があります。

そのうちの一つが、主語と動詞の倒置(並び順をひっくり返すこと)です。

この場合だと

tu es alllé
tu as passé

という肯定文の語順がそれぞれ

es-tu allé
as-tu passé

となります。倒置された動詞と主語(の代名詞)はハイフン( - )でつなぎます。


○ 複合過去

過去の出来事を言い表すための過去形の形はいくつかあります。

たとえば、半過去、複合過去、単純過去などです。

単純過去は単純な出来事を、複合過去は錯綜した出来事を言い表す、なんてことはありません。

今回の文では複合過去が使われています。

複合過去は最も普通に過去の出来事を、「〜した」と言い表すときに使います。

複合過去は、avoir か être の現在形(直説法現在形)の後に動詞の過去分詞を付けて作ります。

たとえば、

tu vas (おまえは行く)
tu passes (おまえは過ごす)

はそれぞれ、

tu es alllé (おまえは行った)
tu as passé (おまえは過ごした)

となります。

avoir と être の使い分けはきちんと決まっていて、ほとんどの動詞は avoir を使います。

être を使うのは、主に次のような動詞です。(カッコ内は過去分詞)

aller ( allé )
venir ( venu )
partir ( parti )
arriver  ( arrivé )
naître ( né )
mourir ( mort )
monter ( monté )
descendre ( descendu )
sortir ( sorti )
entrer ( entré )
tomber ( tombé)
rester ( resté )
devenir ( devenu )

これらはすべて自動詞(目的語を取らない動詞)で、どの動詞にも「移動」の意味が含まれています。

大学一年のときのフランス語の授業でこれらの動詞を暗記するための呪文を教えてもらいました。

おうらいはっちゃくせいししょうこうしゅつにゅうらくりゅうじょう

これはさきほどの動詞の意味を漢字一字で表して並べて、それを音読みしたものです。

往来発着生死昇降出入落留成

行く(往く)aller ( allé )
来る venir ( venu )
出発する partir ( parti )
着く arriver  ( arrivé )
生まれる naître ( né )
死ぬ mourir ( mort )
登る, 昇る monter ( monté )
降りる descendre ( descendu )
出る sortir ( sorti )
入る entrer ( entré )
落ちる tomber ( tombé)
留まる rester ( resté )
成る devenir ( devenu )

覚えやすい!! 



2013-01-26

犬に棒を見せると(ライプニッツ)

フランス語中級

Par exemple : quand on montre le bâton aux chiens, ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée et crient et fuient.

(Leibniz, "Monadologie")




○ 発音

Par exemple パレグザーンプル:
quand on montre カントン モントゥル
le bâton aux chiens ルバトン オ シァン,
ils se souviennent イル ス スヴィエンヌ
de la douleur ドゥ ラ ドゥルール
qu'il leur a causée キル レール ア コゼ
et crient エ クリ
et fuient エ フュイ

Leibniz ライブニッツ
Monadologie モナドロジ


○ 語句

par exemple : たとえば
quand : ここでは接続詞で「〜するとき」
montre : 動詞 montrer の直説法現在、三人称単数形。主語は on 。
montrer : 見せる
bâton : [男性名詞] 棒、杖
aux : 前置詞 à と 定冠詞 les の縮約形
chien : [男性名詞] 犬
souviennent : 動詞 souvenir の直説法現在、三人称複数形。主語は ils (= les chiens)
se souvenir de ... : ...を思い出す、を覚えている
douleur : [女性名詞]  痛み、苦痛
leur : [人称代名詞] 彼らに、それらに(三人称複数)。ここでは「その犬たちに」
causer : …の原因となる,…を引き起こす
crier : 叫ぶ、わめく
fuir : 逃げる
Leibniz : ライプニッツ、1646-1716、ドイツの哲学者
Monadologie : フランス語で書かれた、ライプニッツの著作。日本語では 『単子論』 などと訳されている
monade : [女性名詞] (哲学用語) モナド、単子


○ 逐語訳

たとえば par exemple、人が on 棒を le bâton 犬に aux chiens 見せる montre 時 quand、犬どもは ils その棒が彼らに il leur 引き起こした a causée 痛みを de la douleur 思い出す se souviennent 、そして叫び et crient そして逃げる et fuient 。


○ 文の骨格

この文の作りの一番中心となる部分は、

ils se souviennent de la douleur

です。 「彼らは痛みを思い出す」となります。
ここに quand on montre le bâton が加わって、

quand on montre le bâton
ils se souviennent de la douleur

だと、「人が棒を見せるとき、 彼らは痛みを思い出す 」となります。

文法用語では、ils se souviennent de la douleur を主節、quand on montre le bâton を「従属節」といいます。

さらに「彼ら」は「痛みを思い出す」だけでなく、

quand on montre le bâton
ils  se souviennent de la douleur
  et crient
  et fuient

「叫んだり」「逃げたり」します。

ここまでで、

「人が棒を見せると
 彼らは痛みを思い出し
 そして叫び
 そして逃げる」

となります。

これでこの文の骨格となる作りを確認できました。


○ 説明の追加

まだこの文にはいろいろくっついています。

まず le bâton の後の aux chiens ですが、これは「棒を見せる」相手、対象です。

quand on montre le bâton aux chiens

「人が犬どもに棒を見せるとき」

つぎに、la douleur qu'il leur a causée を見てみます。

qu'il leur a causée は (関係代名詞節で)、 la douleur を修飾しています。

「それ(棒)が彼らに(犬どもに)引き起こした」→「痛み」となります。

a causée は 「 avoir の現在形(直説法現在形) + 動詞の過去分詞」 の組み合わせなので、「複合過去」 というやつになります。

これで、

quand on montre le bâton aux chiens,
ils se souviennent de la douleur qu'il leur a causée
et crient et fuient.

「 人が犬たちに棒を見せるとき
  彼らは、その棒が彼らに引き起こした痛みを思い出し
  叫んで逃げる」

となります。


○ 過去分詞の性数一致

さきほどの la douleur を修飾している qu'il leur a causée で使われている過去分詞 causée は 語末に -e がついていますが、これはなぜでしょうか。

これには、こんな規則がありました。

☆ 複合過去や大過去などで、動詞の目的語(直接目的語)が、過去分詞より前 (左) にあると、過去分詞はその目的語に性数一致する

というやつです。

授業や参考書で学んだのを覚えていますか? 私は大学1年のとき初めてこのことを学んだはずなんですが、まったくその時の記憶はありません!

この箇所 (la douleur qu'il leur a causée) の場合は、動詞 causer (~を引き起こす) の目的語は、a causée より前(左)にある、関係代名詞の que です。

そして、この que はその前(左)にある la douleur という女性名詞単数形を指しています。

けっきょく、複合過去になっている動詞 causer の目的語(直接目的語) が過去分詞 causé より前(左)にあるので、その目的語 ( que => la douleur ) の性数(ここでは女性名詞単数) に合わせて、過去分詞 causé が causée となっています。


○ 翻訳例

「たとえば、イヌに棒を見せたら、イヌはそれがかつて引き起こした苦痛を思いだして、吠えて走り去る。」
( 「単子論(モナドロジー)」 (Robert Latta, 山形浩生 訳) より。英語版からの翻訳です。26番目の文に載っています。)

この英語版原文:

For instance, when a stick is shown to dogs, they remember the pain it has caused them, and howl and run away.
 (Robert Latta 訳, "THE MONADOLOGY")


○ 補足

_ se souvenir の直説法現在形の活用
je me souviens
tu te souviens
il se souvient
nous nous souvenons
vous vous souvenez
ils se souviennent


○ リンク

→ 『モナドロジー・形而上学叙説』 (中公クラシックス):
フランス語原文 (UQAC)



2013-01-19

彼はジェルヴェーズの顔を

フランス語初級

Et il regardait le visage de Gervaise, rougi par les larmes.

( Zola, "L'Assommoir")






悲しまないで


フランス語初級

Ne vous désolez pas, madame Lantier.

( Zola, "L'Assommoir" )


[発音]

Ne vous désolez pas
ヌ ヴ デゾレ パ

madame Lantier.
マダム ランティエ


[語句]

Ne vous désolez pas : 代名動詞 se désoler の vous に対する命令形の否定文

se désoler : 悲しむ, 嘆く

désoler : 悲しませる, 困らせる

madame Lantier : ランティエ夫人 (ここでは呼びかけ)


[日本語訳]

ランティエさん、そう嘆かないで。


2013-01-12

この瘴気からずっと遠くへ

Envole-toi bien loin de ces miasmes morbides

[ フランス語初級 ]

ボードレールの詩集 『悪の華』 ( "Les Fleurs du Mal" )に入っている「上昇」 ( Elévation )という詩より。


[ 発音 ]

Les Fleurs du Mal
レ フルール デュ マル

élévation
エレヴァシォン

Envole-toi
オンヴォル トワ

bien loin
ビャン ロワン

de ces miasmes morbides
ドゥ セ ミアスム モルビィドゥ


[ 語句 ]

élévation : [女性名詞] 上昇

Envole-toi : s'envoler の tu に対する命令形

s'envoler : 飛び立つ, 飛び去る

loin : [副詞] 遠くへ(に), はるかに。 bien loin の bien は loin の強調。

loin de : …から遠くへ(に)

miasme : [男性名詞] (腐敗物から出る)ガス, 臭気; 瘴気()

morbide : 病的な, 不健全な


[ 訳 ]

Envole-toi  飛び立て

bien loin ずっと遠くへ

de ces miasmes morbides この病的な瘴気から

「飛び立て、病に満ちたこの瘴気からずっと遠くへ。」


[ 関連記事 ]

→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(1)」 (2012/2/29)
→ 「愚かさと過ちと罪と吝嗇が(2)」 (2012/3/04)