グローバルメニュー

2015-12-16

空は澄み、月は輝く 9 (終)

Rêves-tu ? Quelle est la couleur de ton songe ?

19世紀フランスの大作家、ギュスターヴ・フローベール (Gustave Flaubert) のラブレター ( Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )、とりあえずの最終回 (第9回目) です。



(ラブ・レターの宛先: ルイーズ・コレ)

    → これまでの Flaubert の文章の解説


前回までは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ?

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 それとも窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているのかな。

というかんじになりました。


では、きょうの文の発音の確認から。

    Rêves-tu ?

    レーヴ テュ

    Quelle est la couleur de ton songe ?

    ケレ ラ クルール ドゥ トン ソンジュ


rêves は動詞 rêver (夢を見る) なので、 Rêves-tu ? は、

    夢を見ているの

です。

つぎの、

    Quelle est la couleur ...

の couleur は 「色、カラー」 (女性名詞) 。

quelle は疑問詞 (疑問形容詞) で

    どんな、何の、どれくらいの

というような意味で、形容詞として使われるので、関係している名詞の性 (男性・女性) と数 (単数・複数) に応じて形が変わります。

    男性単数 : quel
    女性単数 : quelle
    男性複数 : quels
    女性複数 : quelles

発音はいずれも 「ケル」 です。


今回の場合は、 la couleur が女性名詞で単数形なので、

    quelle

という形になっています。

ここまでで、

    Quelle est la couleur... ?

    色は何ですか

となります。

続く、

    Quelle est la couleur de ton songe ?

の songe は、男性名詞で、

     夢

という意味です。

「夢」 には動詞 rêver の名詞の形である、

    rêve

もあります(男性名詞)が、 rêve よりも songe のほうがより固いというか、文章語として使われるようです。

で、

    Quelle est la couleur de ton songe ?

    君の夢の色は何ですか

ということになります。


全文を再掲します (ラブ・レターの内容はまだまだ続きますが → 原文 ) 。

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? Penses-tu à celui qui pense à toi ? Rêves-tu ? Quelle est la couleur de ton songe ?

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。 ところで君、君は眠っているの。 窓辺にいるの。 君のことを思っている人のことを思ってくれているの。 夢でも見ているの。 君の夢の色は何色かな。












ニュースの仏単語: calomnie



11月24日にロシアの戦闘機が領空を侵犯したということで、トルコ軍に撃墜され、両国の間に緊張状態が続いています。

ロシアのプーチン大統領は、トルコがイスラム国との石油利権を守るためにこれ(撃墜)を行ったのだと非難しました。

もちろんトルコのエルドアン大統領はこれを否定、プーチン大統領の発言を、

    calomnie

だとして非難し返しています。

calomnie の発音は、

    カロムニ

で、女性名詞。

意味は、

    誹謗(ひぼう)、中傷

です。


2015-12-14

空は澄み、月は輝く 8

Penses-tu à celui qui pense à toi ?


フロベール Flaubert の手紙第8弾。 第7回の続きです。




フロベールの恋人、ルイーズ・コレ


発音の確認から。

    Penses-tu à celui qui pense à toi ?

    ポンスチュ ア スリュイ キ ポンス ア トワ


最初の、

    Penses-tu

の、penses は動詞 penser なので (直説法現在形) 、

    あなたは考えてますか、思ってますか

という感じで、

    Penses-tu à ...

の前置詞 à は、

    penser à ...

で、

   …のことを思う、考える

という表現の à です。


で、何を考えている(思っている)かというと、 à のあとに celui という代名詞が来ています。

celui にはいくつかの用法がありますが、いまみたいに、

    celui qui ...

というふうに関係題名詞 qui や que が続くと、

    …な人、…するところの人

という意味になります。

いまは、

    celui qui pense à toi

となっているので、

    あなたのことを思っている人

です。


以上で、

    Penses-tu à celui qui pense à toi ?

は、

    あなたのことを思っている人のことを思っているの?

という感じです。


◆ 確認

penser の直説法現在形の活用を確認しておきましょう。

    je pense                ジュ ポンス
    tu penses              テュ ポンス
    il pense                 イル ポンス
    nous pensons         ヌ ポンソン
    vous pensez           ヴ ポンセ
    ils pensent             イル ポンス

penser の活用は、aimer や parler などと同じです。


2015-12-10

巷のフランス語: 男の夜?

LA NUIT DE L'HOMME


お菓子もそうですが、化粧品関係の言葉はフランス語のものがたくさんあります。

今日の 「巷のフランス語」 は、Yves Saint Laurent (イヴ・サンローラン) から出ている男性向け香水シリーズのタイトル、

    LA NUIT DE L'HOMME

    ラ ニュイ ドゥ ロッム

というのを見つけました。




nuit は女性名詞で 「夜」 です。 定冠詞の la がついていますね。

homme は 「男」 。

de は、とりあえず 「~の」 と訳せる前置詞です。


すると、

    LA NUIT DE L'HOMME

は、

    男の夜

となります...。



2015-12-09

コンピュータより速い定理

À 17 ans, ils découvrent un théorème plus performant que les ordinateurs

Slate.fr の記事 (2015.11.07) から。




17才の天才少年2人が数学上の大発見をしたとのことです。

生後2ヵ月で話すことを覚えたオーストラリア人 Ivan Zelich と、中国系アメリカ人の少年 Xuming Liang が発見した定理は、最速のコンピュータよりも速い計算(推論)ができるもの!...らしいです。


文の意味を確認しましょう。

まず発音から:

    À 17 ans, ils découvrent un théorème

    ア ディセッタン イル デクーヴル アン てオレーム

    plus performant que les ordinateurs

    プリュ ペルフォルマン ク レゾルディナトゥール


最初の、

    À 17 ans,

で、

    17才で、

で、続く、

    ils découvrent un théorème

の、découvrent は動詞 découvrir (発見する) の直説法現在の三人称複数形ですね。

découvrir の活用は ouvrir (開く) といっしょなので、ouvrir の直説法現在の活用を見てみましょう。

    j'ouvre             ジューヴル
    tu ouvres          テュ ウーヴル
    il ouvre             イルーヴル
    nous ouvrons     ヌズヴロン
    vous ouvrez       ヴズヴレ
    ils ouvrent         イルズーヴル


ですので、découvrir は、

    je découvre               ジュ デクーヴル
    tu découvres             テュ デクーヴル
    il découvre                イル デクーヴル
    nous découvrons        ヌ デクヴロン
    vous découvrez          ヴ デクブレ
    ils découvrent            イル デクーヴル

となります。

découvrir も ouvrir も -ir で終わっていますが、 finir や réussir と同じ活用ではなく、 parler や aimer などと同じ活用なので注意が必要、という動詞でしたね。


で、続く、

    théorème

が、

    定理

という意味です (男性名詞)。

ですので、

    À 17 ans, ils découvrent un théorème

までで、

    17才で、彼らは定理を発見する

です。


続きの、

    plus performant que les ordinateurs

は、直前の un théorème を修飾している部分です。


plus はここでは比較の表現を作る働きをしていて、「より~な」 みたいな感じ。

performant は 「高性能の、高速の、パフォーマンスがいい」 という形容詞。

次の que は、 比較の表現の 〈 plus ~ que ... 〉 (...よりも~だ) の que です。

ordinateur は 「コンピュータ、電子計算機」 のことです (男性名詞)。


なので、

    plus performant que les ordinateurs

は、

    コンピュータよりも高性能の

です。


全体では、

    À 17 ans, ils découvrent un théorème plus performant que les ordinateurs

    17歳で、彼らはコンピューターよりも高性能の定理を発見する。

        ↓

    17歳の二人がコンピュータよりも高速な定理を発見

となります。


本文中には、二人の理論によると星間旅行が可能になるとも書いてあります!


※ この記事の日本語要約が ConyacTimes に掲載されています。



ネット利用者を笑わすビル・クリントン

Photo insolite : Bill Clinton fait rire les internautes

元アメリカ大統領 ビル・クリントンのパロディ画像。

2014年11月27日付、ヤフー・フランスのニュース記事からです。



ビル・クリントンが窓から女性の様子を覗いています。


Photo insolite : Bill Clinton fait rire les internautes

フォト アンソリット ビル クリントン フェ リール レザンテルノート


insolite は 「異常な、異様な、突飛な」 という意味です。


続く Bill Clinton が 動詞 fait の主語。

fait ( faire ) はいろんな意味(用法) がありますが、今回の場合 fait のあとに動詞 rire (笑う) の不定詞(原形) が来ています。

〈 faire + 不定詞 〉 で、「~させる」 という 〈使役〉 の意味があります。


最後の internaute はちょっと古い辞書には載っていない単語です。

Internet (インターネット) という語と、

    astronaute  (アストロノート)

    宇宙飛行士 ・ 宇宙旅行者

の後半部分の -naute を組み合わせた造語です。

    ※ -naute には 「航海者 ・ 旅行者」という意味があります。

    ※ astro- は 「星 ・ 天体」 っていう意味です。


ですので、internaute は、「ネット閲覧者、インターネット利用者」 となります。


以上で、

    Photo insolite : Bill Clinton fait rire les internautes

は、

    突飛な写真: ビル・クリントンがインターネット利用者を笑わせる

        ↓

    変な写真: ネット利用者を笑わせるビル・クリントン

という感じでしょうか。


2015-12-03

上級仏単語: vénérer

上級フランス語単語。

vénérer 崇拝する


今日は、

    vénérer

です。

読みは、

    ヴェネレ

で、動詞です。

意味は、

    崇拝する、あがめる、うやまう

です。

2015-11-27

上級仏単語: confisquer

上級フランス語単語です。



今回は、

    confisquer

    コンフィスケ

という動詞で、意味は、

    押収する、没収する

とか、

    独り占めする

とかです。



2015-11-25

脅された (?) チャーリー・シーン

Les personnes qui faisaient chanter Charlie Sheen ont-elles décidé de se venger ? 




アメリカの俳優チャーリー・シーンが病歴をばらすと脅されていたとのこと。

フランスの週刊誌 Public の記事 ( 2015/11/23 ) からです。


発音:

    Les personnes qui faisaient chanter Charlie Sheen

    レ ペルソンヌ キ フゼ シャンテ シャルリ― シーン

    ont-elles décidé de se venger ?

    オンテル デシデ ドゥ ス ヴァンジェ



この文の、

    qui faisaient chanter Charlie Sheen

の箇所は、〈関係代名詞節〉 で、Les personnes を修飾しています。

    Les personnes ... ont-elles décidé de se venger ?
             ↑
            qui faisaient chanter Charlie Sheen


なので、この関係代名詞節を取っ払った文、

    Les personnes ont-elles décidé de se venger ?

の意味から見ていきましょう。

    ※ 関係代名詞節は、先行詞を修飾している(だけな)ので、その部分を取っ払っても文の構成には影響しません。 なので、文が長くて意味を取りづらかったら、関係代名詞説をはずして考えましょう。


Les personnes の personne は 「人」 (女性名詞)で、これが主語です。

続いて ont-elles となっているので、主語の名詞の代名詞 (les pesonnes => elles) と動詞 ont (<= avoir) を倒置した疑問文になっています。

主語と動詞が倒置された疑問文が分かりづらかったら、疑問形じゃない元の文 (平叙文) にしてみましょう。

すると、

    Les personnes ont décidé de se venger.

となって、ont décidé で複合過去になっていることがわかります。

    Les personnes ont décidé

    人たちは決めた、決心した

という感じです。


décider という動詞は、〈 décider de + 不定詞 〉 で、

    ~することに決める、~する決心をする

ですので、

    Les personnes ont décidé de se venger.

    人たちは se venger する決心をした、se venger することに決めた

です。

se venger の venger は

    ~の復讐をする、~の仕返しをする

という動詞で、 se venger と代名動詞になると、たんに、

    復讐する、仕返しする

となります。

    Les personnes ont décidé de se venger.

   人たちは仕返しをすることに決めた

となりますが、もともと疑問文でしたので、

    Les personnes ont-elles décidé de se venger ?

    人たちは仕返しすることに決めたのか?

です。


さて、この 「人たち」 les personnes はどういう人たちなのでしょう?

それが、

    qui faisaient chanter Charlie Sheen

です。

qui が関係代名詞で、直前の les personnes が 〈先行詞〉 (関係代名詞節が修飾する名詞) です。

qui は、関係代名詞節中で主語になります。

faisaient が動詞です。 これは faire の直説法半過去形ですね。


半過去形の活用を確認しておきましょう。

半過去形の活用語幹は、直説法現在形のnous つまり一人称複数形の活用の語幹と同じになります。

faire の直説法現在形は、

    je fais  (ジュ フェ)
    tu fais  (テュ フェ)
    il fait    (イル フェ)
    nous faisons  (ヌ フゾン)
    vous faites    (ヴ フェット)
    ils font          (イル フォン)

でした。

ですので、この、

    nous faisons

から -ons を取って、半過去形の活用語幹は

   fais-

となります。

そして、半過去形の活用語尾は、

    je -ais
    tu -ais
    il  -ait
    nous -ions
    vous -iez
    ils     -aient

なので、faire の直説法半過去形の活用は、

    je faisais    (ジュ フゼ)
    tu faisais    (テュ フゼ)
    il faisait      (イル フゼ)
    nous faisions   (ヌ フズィオン)
    vous faisiez     (ヴ フズィエ)
    ils faisaient     (イル フゼ)

になります。


さて、

    qui faisaent

というふうに faire が三人称複数形 (主語が ils とかのとき) の形になっているのは、qui の先行詞 ( qui が修飾している名詞 ) が les personnes と三人称複数だからです。


では、

    qui faisaient chanter Charlie Sheen

の、faisaient chanter の箇所はどう解すればいいのでしょう。

〈 faire + 不定詞 〉 で 「~させる」 という 〈 使役 〉 の用法がありましたので、

    Les personnes qui faisaient chanter

で、

   チャーリー・シーンに歌わせていた人たち

なんでしょうか。

「チャーリー・シーンに歌わせる」 ...。

...。

そういえば警察かヤクザの隠語っぽいので 「ウタウ」 とかいうのがあったような。

ググってみます。

ありました。

「歌う」 は警察(ヤクザではなく)の隠語で、

    自白する

という意味があります!


では、

   チャーリー・シーンに歌わせていた人たち

は、

   チャーリー・シーンに自白させていた人たち

なのか。

脅されていたチャーリー・シーンがなぜ自白するのか...。


ちょっと待って、フランス語を考えるのに日本語の「歌う」という意味のバリエーションを考えていました。


ちゃんとフランス語の辞書 (仏和辞典とかフツフツ辞典とか) で調べましょう。

調べると...、.ありました!

     faire chanter

で、

    ゆする、脅迫する、脅す

などととあります。


オンラインのフツフツ辞典 (仏仏辞典)、Larousse のサイトで調べてみたら、

    Faire chanter quelqu'un, exercer sur lui un chantage.

    だれかを faire chanter する : その人に chantage (ゆすり・脅し) を発揮する (exercer) すること

とありました!


長かったですが、

    Les personnes qui faisaient chanter Charlie Sheen ont décidé de se venger.

だと、

    チャーリー・シーンを脅していた人たちは復讐することに決めた。

で、元の文の疑問文にすると、

    Les personnes qui faisaient chanter Charlie Sheen ont-elles décidé de se venger ?

    チャーリー・シーンを脅していた人たちは復讐することに決めのだろうか。

となります。


ここで言う 「復讐」 とは、チャーリー・シーンが自分の病気を告げずにその人たちと性行為を (コンドームなしで) したことにたいする 「復讐」 のことだと思われます。


2015-11-23

空は澄み、月は輝く 7

Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

フロベール (Flaubert) のルイーズ・コレ宛の手紙、第7回目です。


(手紙の相手: ルイーズ・コレ)

ここまでは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. 

    空は澄みわたり、月が輝いています。 やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえてきます。 雲もなく、風もありません。 川は月の下で白く、影の中では黒々としています。 蝶たちがろうそくのまわりで戯れ、夜の香りが開いた窓を通して私のところまでやって来ます。

という感じでした。


今日は、その続きの、

    Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

    エ トワ ドールチュ エチュ ア ラ フネートゥル

です。

Et toi は、手紙の相手に呼びかけています。

dors は dormir 「眠る」 の直説法現在形、tu に対する形です(二人称単数)。 

fenêtre は女性名詞で 「窓」。


以上から、

    Et toi, dors-tu ? Es-tu à ta fenêtre ? 

   そして君、君は眠っているの。 (それとも) 窓辺にいるの?

ということになります。



ビデオ教材の紹介: アリスとアントワーヌ

YouTube などでちょっと検索するとたくさんフランス語のビデオ教材が視聴できます。

きょうは、展開が面白く、会話もわかりやすいもの (フランス語字幕付き) を紹介します。


  ※ Méthode de français avec transcriptions - Video 1


22分ほどあります。

フランス語教材のDVDからの抜粋のようです。

仕事を探すアリスとアントワーヌが出会って、いっしょに暮らすことになって...、みたいな物語です。

初級後半から中級の人にお勧めします。



2015-11-22

ニュースの仏単語: perquisition

パリで起こったテロに関連して、家宅捜索などが行われています。

非常事態宣言中なので捜査令状がなくても家宅捜索が可能なようです。




この 「家宅捜索」 はフランス語で、

    perquisition

    ペルキズィシオン

といいます。

-tion で終わっているので女性名詞です。


2015-11-20

ソニー: ベータマックスのカセット終了

Sony enterre définitivement les cassettes Betamax

    ※ Le Monde.fr、 2015.11.11 の記事から





昔はテレビ番組を録画するのに 「ビデオテープ」 というものを使っていました。

ビデオテープのカセットには種類があって、ソニー陣営の 「ベータマックス」 と、パナソニック陣営の 「VHS」 が覇権を争って、ソニー側が負けたかんじに...。

ベータマックスのほうがコンパクトで画質もいいのに、とか当時はいろいろ議論し合ったものです。

そしてソニーは2002年にはベータマックス対応のビデオ機器の生産を終えていたらしいのですが、ビデオカセットテープのほうも来年の春に生産を終えるということです。

40年の歴史でした。 


で、

    Sony enterre définitivement les cassettes Betamax

    ソニ アンテール デフィニティヴマン レ カセット ベタマックス

ですが、

enterre は動詞 enterrer で、「埋葬する、葬儀を行う、埋める、葬り去る」。

enterrer の en- は 「~の中に/へ」 という意味を持つ接頭辞で、 terre は 「地球、地面、土」 (女性名詞) とかですので、 「土の中へ」 という意味になりますね。


définitivement は 形容詞 définitif (決定的な、最終の) の女性形 définitive に接尾語の -ment がついてできている副詞で、意味は 「決定的に、最終的に」 です。

    ※ 「〈 形容詞の女性形 +-ment 〉 => 副詞 」については、「 おぉ! なんと甘美なことか! 02 」 でちょっと触れています。


訳すと、

    Sony enterre définitivement les cassettes Betamax

    ソニーはベータマックスカセットを最終的に葬り去る

        ↓

    ソニー、ベータカセットを最終的に埋葬

という感じでしょうか。


2015-11-18

空は澄み、月は輝く 6

Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes. 


フロベール (Flaubert) の手紙、第6回目です。

    → 1回目2回目3回目4回目5回目

(手紙の相手: ルイーズ・コレ)

Les papillons se jouent

レ パピヨン ス ジュ

autour de mes bougies

オトゥール ドゥ メ ブジ

et l'odeur de la nuit m'arrive

エ ロドゥール ドゥ ラ ニュイ マリーヴ

par mes fenêtres ouvertes.

パル メ フネートゥル ウヴェルト


papillon は 「蝶 (チョウ)、蛾 (ガ)」 (男性名詞)。

    ※ こちら ↓ は胸に蝶の刺青のある囚人の脱獄の物語。

        

    ( スティーブ・マックイーン と ダスティン・ホフマン が出てます。 )

    ※ それから、「パピヨン」 という犬種がありますが、あれは耳の形が蝶みたいだから 「パピヨン」 って呼ぶらしいです。


で、話は戻って、そのパピヨンたち (les papillons) が何をしているかというと、

    Les papillons se jouent

jouer は英語の play とほぼ同じで、「遊ぶ、(スポーツなどを)する、(楽器を)演奏する」 などの意味があります。

se jouer は代名動詞で、ここでは、

    戯れる (たわむれる)、遊ぶ

という感じです。

    autour de mes bougies

の、bougie は 「ろうそく」 (女性名詞) なので、

    私のろうそくの周りで

    ( autour de ~ は、「~のまわりで(を)」 )

となり、

    Les papillons se jouent autour de mes bougies

までで、

    蝶たちが私のろうそくのまわりで戯れている

となります。


つづいて、後半の文です。

    et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes

odeur は 「匂い、香り」 (女性名詞) なので、

    et l'odeur de la nuit m'arrive

までで、

    そして夜の香りが私にやって来る

です。

続く、

    par mes fenêtres ouvertes

の、ouvert は 「開いた、開いている」 という形容詞で、-e がついているのは、修飾している fenêtre が女性名詞だから。

    空いた窓を通って

です。 ( 前置詞 par はここでは 〈~を通って、~から〉 という感じでしょう。)

なので、

    et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes

で、

    そして、夜の香りが開いた窓から私にやって来る

となります。


    Les papillons se jouent autour de mes bougies, et l'odeur de la nuit m'arrive par mes fenêtres ouvertes.

では、

    蝶たちが私のろうそくのまわりで戯れ、そして夜の香りが開いた窓を通して私にやって来る。

です。

    ※ この訳だと、ろうそくが何本もあることとか、窓が複数だとかということが訳されてないです...。



2015-11-17

ニュースの仏単語: état d'urgence

パリがイスラム国による襲撃を受けた後、フランスのオランド大統領が 「 非常事態 」 を宣言しました。

この、

    非常事態

は、

    état d'urgence

    エタ デュルジャンス

といいます。

état d'urgence  非常事態


    état

は、男性名詞で 「状態、状況」 。

    urgence

は、女性名詞で 「緊急」 といういみです。


直訳すると、

    緊急状態

という感じでしょうか。


では、フランスで 「非常事態」 が宣言されると具体的にはどういうことになるのか。

ネットで調べても詳しいことがなかなかわかりませんでした...。


2015-11-16

沢田研二: 世界の果てから

MON AMOUR JE VIENS DU BOUT DU MONDE



この人 ↑ は、沢田研二、愛称 ジュリー という人です。

最近知ったのですが、かつてフランスでレコードをリリースしていました!

なかりヒットしたらしいです。

日本でも全盛期のころ、1975年です。


タイトルは、

    MON AMOUR JE VIENS DU BOUT DU MONDE

    モナムール ジュ ヴィェン デュ ブ デュ モンド




最初の mon amour の amour は 「愛」 の他に 「愛する人」 という意味もあるので、「私の愛する人」 ということになりますが、この場合は呼びかけです。

訳せば、

    ぼくの愛する人よ

ですが、呼びかけなので、

    ねぇ

とか、

    あなた

とか、

    お前

とかのほうがよいかもしれません。


je viens の viens は動詞 venir の直説法現在形なので、

    私は来る、私は来ている

du bout の bout は男性名詞で 「端、終わり、果て」 で、

    le bout du monde

だと、

    世界の果て

ですね。

    ※ du monde の du は 〈 前置詞 de + 定冠詞 le 〉 の縮約形です。


では、du bout du monde の最初の du は何かというとやっぱり

    〈 前置詞 de + 定冠詞 le 〉 の縮約形

ですが、この場合の de の意味は 「~の」 ではなく、

    ~から

と取るのがよいです。

つまり、

    je viens du bout du monde

で、

    私は世界の果てから来ている

です。


ですので、

    Mon amour, je viens du bout du monde.

    ねぇ、ぼくは世界の果てから来たんだよ

という感じでしょうか。



2015-11-10

空は澄み、月は輝く 5

La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. 


フロベール (Flaubert) の手紙、第5回目です。

    → 1回目2回目3回目4回目

(手紙の相手: ルイーズ・コレ)


おおまかな発音を確認:

    La rivière est blanche sous la lune,

    ラ リヴィエール エ ブランシュ ス ラ リュヌ

    noire dans l'ombre.

    ヌワール ダン ロンブル


この文の構成は、

    A est B, C.

    AはBであり、Cだ

という比較的単純なものです。


単語の意味がわかればなんとかなりそうです。

ラブレターなので、フロベールといえど複雑な構文や難解な単語は使っていません!


単語の意味を確認しましょう。

    rivière : 川。女性名詞。
    blanche : 形容詞 blanc の女性形。
    sous : 前置詞。〜の下で。
    lune : 月。女性名詞。
    noir : 形容詞。黒い。
    ombre : 影、陰、暗闇。女性名詞。

となります。

では、直訳で分かち訳してみましょう。

    La rivière est blanche / sous la lune, / noire / dans l'ombre.

    川は白い  /  月の下で、 /  黒い  /  影の中で

となり、

まとめると、

    川は月の下では白く、影の中では黒い

という感じです。


ここまでのまとめ。

Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent. La rivière est blanche sous la lune, noire dans l'ombre. 

空は澄み渡り、月は輝いている。 やって来る潮に乗って出発しようと、錨を引き上げる水夫たちの歌声が聞こえる。 雲もなく、風もない。 川は月の下では白く、影の中では黒い。


きれいな文なので暗唱しましょう!



2015-11-09

上級仏単語: svelte


今日の上級仏単語は、

    svelte

    スヴェルト

です。

品詞は形容詞で、意味は、

    すらりとした、ほっそりした

です。

痩せるための化粧品の名前に 「スヴェルト」 がついているのがいくつかあるみたいですね。


テニス:試合中にコーヒーを注文

Masters 1000 de Paris - Stan Wawrinka commande un café en plein match

パリで開催された、テニスのワールドツアー マスターズ1000 の準々決勝。 スタニスラス・ワウリンカが試合中にコーヒーを注文してちょっと話題になったみたいです。


↓ この YAHOO FRANCE! SPORT のページで、コーヒーを飲んでいるワウリンカの様子を見ることができます。

 YAHOO! FRANCE SPORT


記事の見出しを見てみます。

発音は、だいたい、

    Masters 1000 de Paris

    マスターズ ミル ドゥ パリ

    Stan Wawrinka commande un café en plein match

    スタン ワウリンカ コモンド アン カフェ オン プラン マッチ

です。

最初の、

    Masters 1000 de Paris

はそのまま、

   パリのマスターズ1000で

です。


次の、

    Stan Wawrinka commande un café en plein match

の、commande は動詞 commander の直説法現在形。

意味は、「注文する」 です。

    ※ ほかに 「指揮する、命令する」 などの意味があります。

en plein match の match は 「試合」 (男性名詞)、もともとのフランス語の単語ではなく、英語から輸入された語です。

plein は形容詞で 「いっぱいの、満ちた」 という意味ですが、

    en plein + 名詞

で、「~の真っ最中に(で)」 「~の真ん中に(で)」 といった表現になります。

ですので、 en plein match で 「試合の真っ最中に」 です。


そうすると、

    Stan Wawrinka commande un café en plein match

で、

    スタン・ワウリンカが試合の真っ最中にコーヒーを注文する

ということになります。

「注文した」 と過去形ではなく、「注文する」 という現在形になっているのは、記事の見出しでよく使われる現在形の用法です。


これを日本のスポーツ新聞の見出しっぽく訳すと、

    パリのマスターズ1000の試合中にワウリンカがコーヒーを注文!

というかんじでしょうか。


2015-11-08

あらゆるものの始まりに 2

Il était donc avec Dieu au commencement. Dieu a fait toutes choses par lui ; rien n'a été fait sans lui ;

(フランス語中級)

※ 10世紀のラテン語版 「ヨハネ伝」 冒頭 ( fr.wikipedia より


キリスト教の聖典である 『新約聖書』 の 「ヨハネ伝」 冒頭を見ています。

きょうはその2回目。

    → 1回目


1回目の内容は、

    Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà ; celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu

    あらゆるものの始まりに、み言葉がすでにあった。 み言葉である人は神とともにあった。その者は神であった。

というかんじでした。


次に来ているのは、

    Il était donc avec Dieu au commencement.

    イレテ ドンク アヴェク ディウ オ コモンスモン

という文です。

この文の主語の Il は、直前の文の il était Dieu の il と同じでしょうから、「その者」(=み言葉である人、神とともにいた人、神であった人) としておきます。

文法とかでとくに困難はなさそうです。

訳してみると、

    Il était donc avec Dieu au commencement

   その者はそれゆえ、始まりにおいて神とともにいた

となります。

表現の繰り返しが多いですね。


次の文は、

    Dieu a fait toutes choses par lui ;

    ディウ ア フェ トゥット ショーズ パル リュイ

    神は / 作った / あらゆるものを / その者を通して

    神はその者を通してあらゆるものを作った

というかんじです。


その次の文、

    rien n'a été fait sans lui ;

    リィヤン ナ エテ フェ サン リュイ

の a été fait は、受動態が複合過去形になっています。

a été で、〈 avoir + êtreの過去分詞 〉 なので複合過去形。

été fait で 〈 être + 過去分詞 〉 なので受動態、です。

ですので、a été fait で 「作られた」 となります。


全体では、

    rien n'a été fait sans lui ;

    何ものも / 作られなかった / そのものなしでは

なので、

    その者を通してでなければ何ものも作られなかった

となります。


ここまでをまとめると、

    Il était donc avec Dieu au commencement. Dieu a fait toutes choses par lui ; rien n'a été fait sans lui ;

    その者は、それゆえ始まりに神とともにいた。 神はあらゆるものをその者を通して作った。 そのものを通してでなければ何ものも作られなかった。


この部分は日本語訳聖書では、

    この言は初めに神と共にあった。 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 (「口語訳」)

    この言は、初めに神と共にあった。 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。

となっています。




空は澄み、月は輝く 4

Pas de nuages, pas de vent.

19世紀の作家フロベール (Flaubert) の手紙、第4回目です。

    → 1回目2回目3回目

(手紙の宛先のルイーズ・コレ)


ここまでは、

    Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

で、そこにきょうは、

    Pas de nuages, pas de vent.

    パ ド ニュアージュ パ ド ヴォン

と続きます。


nuage は 「雲」 、vent は 「風」 ですね。 (いずれも男性名詞)

では、pas de ... は何でしょうか。

pas といえば、否定の ne ... pas で使う pas の他に、名詞で 「歩(ほ)、歩み」 という意味の pas があります (男性名詞)。

ここではどちらなのかというと、この pas de ... は、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

の pas 以降だけが残ったものなのです。

なので、意味としては、

    雲もなく、月もない

という感じです。


pas de の de は何かというと、

    動詞の目的語につく不定冠詞・部分冠詞は、否定文では de になる

みたいな規則がありました。

いま、

    Il n'y a pas de nuages.

    Il n'y a pas de vent.

という否定文を肯定文にしてみると、

    Il y a des nuages.

    Il y a du vent.

となり、数えられる名詞の nuage の複数形には不定冠詞の複数形の des が、数えられない名詞の vent には部分冠詞の du がついています。

両者ともに、動詞 a (= avoir) の目的語になっていて、この動詞 a が否定されているので、

    des => de
    du   => de 

となっています。


ここまでの意味を確認しておきましょう。

Le ciel est pur ; la lune brille. J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. Pas de nuages, pas de vent.

空は澄み渡り、月は輝いている。 やって来る潮に乗って出発しようと、錨を引き上げる水夫たちの歌声が聞こえる。雲もなく、風もない。


2015-11-04

上級仏単語: grelotter

昨日天気が良かったので公園で一人でお昼を食べたのですが、日があたっているところは日差しが強くて暑すぎて、日陰に入ったら気温が低くて寒すぎ...。

grelotter がたがた震える


寒かったり、暑かったり、怖かったりして 「がたがた震える」 のが、

    grelotter

    グルロテ

    がたがた震える

です。


2015-11-01

空は澄み、月は輝く 3

J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

(→ Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

 (ルイーズ・コレ)

ギュスターヴ・フロベールが、恋人のルイーズ・コレに宛てたラブレター、3回目。

    → 空は澄み、月は輝く 1
    → 空は澄み、月は輝く 2


2回目は、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たちが歌っているのが聞こえる

    水夫たちが歌いながら錨を引き上げているのが聞こえてくる

まででした。

あとには、

    pour partir avec le flot qui va venir

と続いています。


paritir は 「出発する」。

pour は前置詞で 「目的」 を表すことができるので、

    pour partir

で、

    出発する目的で

    出発しようと(して)

というかんじです。

水夫たちは、船の引き上げて出発しようとしているのでしょう。

つぎの、

    avec le flot

の flot は 「上げ潮、海流、川の流れ」 なので、

   潮とともに、潮に乗って (出発しようと)

しているわけです。


最後の、

   qui va venir

ですが、この文の前半にあった qui lèvent の qui と同じく、主格(=主語になる)の関係代名詞です。

 va venir の va は aller で、〈 aller + 不定詞 〉 で、「近い未来」 を表すのでしたから、

    le flot qui va venir

で、

    これからやって来る上げ潮

となります。

ですので、

    pour partir avec le flot qui va venir

で、

    これからやって来る上げ潮とともに出発するために

    やって来る潮に乗って出発しようと

となるので、文全体では、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir.

    やって来る潮に乗って出航しようと、水夫たちが錨を上げながら歌っているのが聞こえる

        ↓

    歌いながら錨を上げている水夫たちの声が聞こえて来ます。上げ潮に乗って出航しようというのでしょう。

というかんじです。


2015-10-30

上級仏単語: bafouiller

bafouiller 口ごもる


上級仏単語、前回は

    bafouer

    バフエ

    嘲弄する

でしたが、今回は

    bafouiller

    バフゥィエ

という動詞で、意味は、

    口ごもる

となります。


発音と綴りが、ちょっと似てますので。

    → bafouiller の発音をForvo で確認

しましょう。


上級仏単語: bafouer

bafouer 嘲弄する


今日の上級仏単語は、

    bafouer

    バフエ

で、動詞です。

意味は、

    嘲弄する (ちょうろうする)

です。

つまり、あざけったり、バカにしたり、からかったりすることです。


Webの発音辞典の Forvo で発音を確認してみましょう。

    → bafouer (Forvo)


2015-10-28

空は澄み、月は輝く 2

J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre pour partir avec le flot qui va venir. 

(→ Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

フロベールが、ルイーズ・コレに宛てたラブレターの書き出し2回目です。

    → 空は澄み、月は輝く 1


 ルイーズ・コレ



1回目の、

    Le ciel est pur ; la lune brille.

    空は澄み、月は輝く

の続きです。


発音は、

    J'entends des marins chanter

    ジャンタン デ マラン シャンテ

    qui lèvent l'ancre

    キ レーヴ ローンクル
 
    pour partir avec le flot
 
    プール パルティール アヴェク ル フロ

    qui va venir.

    キ ヴァ ヴニール

です。

qui という語が2箇所あります。 文の構成はどうなっているのでしょう。


文の前のほうから見ていきましょう。

    J'entends

    私には聞こえる

entends は entendre の直説法現在形です。


次の、

    J'entends des marins chanter

で、marin は 「水夫・船乗り」 (男性名詞)、chanter は動詞 「歌う」 の不定詞(原形)。

entendre は

    entendre + 人/物 + 不定詞

の語順で、

    人/物が~するのが聞こえる

という意味なので、

    J'entends des marins chanter 

は、

    水夫たちが歌うのが聞こえる

となります。
    
    ※ des marins の des は不定冠詞の複数形。


続いて、qui lèvent l'ancre が続きます。

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

ancre は 「(船の) 錨(いかり)」 (女性名詞) です。

    ※ 英語の anchor (アンカー) ですね。

l'ancre の前の lèvent は、動詞 lever (上げる・持ち上げる) の直説法現在形 三人称複数 なので、

     lèvent l'ancre

は、

    錨を引き上げる

といういみで、動詞 lèvent の主語は三人称複数形のはずです。


では、lèvent の直前の qui は何でしょうか。

関係代名詞ですね。

qui は 「主格の関係代名詞」 なので、lèvent の主語になっています。

そして関係代名詞なので、qui 以降の qui lèvent l'ancre (=関係代名詞節) が修飾する名詞 (先行詞) を探さなくてはなりません。

つまりこの場合、「錨を引き上げ」 ているのは 〈だれ〉 か、ということです。

関係代名詞の先行詞は、ふつうその関係代名詞の直前、つまりすぐ左にあります。

いまの場合、関係代名詞 qui の直前には chanter という動詞 (不定詞) があります。

が、動詞は先行詞にはなりません。

    ※ 先行詞は基本的に 「名詞」 です。

そこでさらに左 (chanter の左) を見ると、 des marins という名詞がありました。

ちょうど des marins は複数形 (三人称複数形) なので、lèvent の主語としてバッチリです。


結局、

    des marins ... qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たち

という関係で、

    J'entends des marins chanter qui lèvent l'ancre

    錨を引き上げている水夫たちが歌っているのが聞こえる

        ↓

    水夫たちが歌いながら錨を引き上げているのが聞こえてくる

というかんじになります。


最後の、pour partir avec le flot qui va venir は次回...。



2015-10-27

空は澄み、月は輝く 1

Le ciel est pur ; la lune brille. 

( Gustave Flaubert : Lettres à Louise Colet )

ギュスターヴ・フロベール というフランス19世紀の作家が、恋人のルイーズ・コレに宛てたラブレターの書き出しから。

    → このブログのフロベールの記事

 ルイーズ・コレ Louise Colet



発音は、

    Le ciel est pur

    ル スィェル エ ピュール

    la lune brille

    ラ リュヌ ブリィーユ

というかんじです。


ciel の意味は「空(そら)」。

    ※ 定冠詞 le が付いているので男性名詞です。

Le ciel est ... で 「空は...だ」。


で、空はどんなかというと、pur です。

pur は形容詞で、意味は、

    純粋な、澄んだ

で、英語の pure ですね。

Le ciel est pur で、「空は澄みわたっている」 というかんじでしょうか。


つぎの、

    la lune brille

の lune は 「 月、お月さま 」 です (女性名詞)。

brille は動詞 briller (ブリィェ) が活用したものです。

    ※ 直説法現在形、三人称単数です。

意味は、

   月は輝いている

となります。


全体で、

    Le ciel est pur ; la lune brille. 

    空は澄みわたって、月は輝いている

です。


この文の原文は、


のページ冒頭にあります。

この手紙の日付がページ右上に記載されていて、

    Nuit de samedi au dimanche, minuit. 8-9 Août 1846

なので、1846年8月8日土曜日の深夜に書いてるようです。


土曜の深夜に、澄んだ空と明るく輝く月を窓から見ながら、書いたラブレターでしょうか。



2015-10-23

上級仏単語: mythomanie

mythomanie 虚言癖


本日の上級仏単語は、

    mythomanie

    ミトマニ

です。


意味は、

   虚言癖、虚言症 (女性名詞)

です。


2015-10-19

上級仏単語: ovule

ovule 卵子


ovule (オヴュッル) は、

   卵子 (卵細胞)、(植物の)胚珠

です (男性名詞)。


「胚珠」 は植物の種になる部分なので、やはり卵細胞の部分です。


2015-10-18

あらゆるものの始まりに 1

Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà ; celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu.

(フランス語中級)


キリスト教の 『新約聖書』 のフランス語版をちょっとだけ読んでみます。

新約聖書の中の 「ヨハネ伝」(ヨハネによる福音書) の冒頭です。

※ 10世紀のラテン語版「ヨハネ伝」冒頭 ( fr.wikipedia より)


日本語でもそうですが、フランス語版の聖書にもバージョンがいくつもあります。

    ※ 新約聖書の 「原文」 は古典ギリシャ語。

そして、バージョンによってけっこう文面が違っていたりして面白いです。

ここでは、La Bible en français courant というバージョンからの引用です。

  ※ 引用元: Évangile selon Jean 1, La Bible en français courant (FRC97) | Chapitre 1 | La Bible App | Bible.com


このバージョンのタイトル、

    La Bible en français courant

    ラ ビーブル アン フランセ クラン

の Bible は 「聖書」、 courant は 「日常の、普通の、ありふれた」 という意味があるので français courant で 「日常フランス語」  でしょうか。

    La Bible en français courant

    日常フランス語による聖書

というかんじです。

つまり、古めかしい言葉ではなく、現在よく使われているフランス語に訳した、ということでしょう。


さて、最初の

    Au commencement de toutes choses, 

    オ コマンスマン ドゥ トゥットゥ ショーズ, 

    la Parole existait déjà

    ラ パロール エグズィステ デジャ

から。

au commencement は、「始まりに」 、de toutes choses は 「あらゆるものの」 なので、前半は 「あらゆるものの始まりに」 となります。

つづいて、la Parole の parole は 「言葉」 ですが、大文字で始まっているので 「み言葉」 としておきましょう。

existait は動詞 exister 「存在する」 の直説法半過去形です。

すると、la Parole existait déjà で、「み言葉はすでに存在していた」 です。

くっつけると、

    Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà

    あらゆるものの始まりに、み言葉がすでにあった。

となります。


次の文は、

    celui qui est la Parole était avec Dieu, 

    スリュイ キ エ ラ パロール エテ アヴェク ディウ

    et il était Dieu

    エ イレテ ディウ

celui qui ... という表現は、「...する人・者」 という意味になるので、

    ※ qui は次に来る動詞の主語になる関係代名詞)  

celui qui est la Parole で、「み言葉である(ところの)人・者」 です。 

そしてこの celui qui est la Parole の celui が次の動詞 était の主語になっているので、

    celui ... était avec Dieu

    ...な人・者は神とともにあった

となります。

全体では、

    celui qui est la Parole était avec Dieu, 

    み言葉である人は、神とともにあった

です。

    celui qui est la Parole の est は現在形、celui ... était avec Dieu の était が過去形になっているのが気になります。


次は

    et il était Dieu

なので、

    そして、彼 (その人・者) は神であった

というかんじです。


後半をまとめると、

    celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu

    み言葉である人は、神とともにいた。そしてその人は神だった

となります。


全部で、

    Au commencement de toutes choses, la Parole existait déjà ; celui qui est la Parole était avec Dieu, et il était Dieu

    あらゆるものの始まりに、み言葉がすでにあった。 み言葉である人は神とともにあった。その者は神であった。

です。

これをそのまま図式化すると、

    み言葉=キリスト?=神

ということなのでしょうか...。


日本語訳を見てみます。

    初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 (「口語訳」)

    初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 (「新共同訳」)

この二つの訳文は同じです。「言」 は 「ことば」 と読めばいいのでしょうか。


この訳と 『日常フランス語による聖書』版のフランス語を見ると、

1. 「あらゆるものの始まり」 の 「あらゆるものの」 が日本語版にはない

2. 「み言葉である人は、神とともにいた。そしてその人は神だった」 の箇所は、日本語訳では、「言は神と共にあった。言は神であった」 となっていて 「人(者)」 が表現されていない

という違いがあります。 

とくに 2 の違いは大きいですね...。

うーむぅ、おもしろいです。


2015-10-16

ホモ・ナレディは何に似ていたのか

À quoi ressemblait l'Homo naledi, le nouveau lointain cousin de l'homme ?

(フランス語中級)


Le Journal du Dimanche の2015年9月11日の記事より





一ヶ月ほど前、「ホモ・ナレディ」 という新種のヒト属の化石が大量に南アフリカで見つかったというニュースがありました。

なんか樹上生活をするサル系と、二足歩行をするヒト系の両方の特長を備えているそうです。

300万年ほどまえの人たち (サルたち?) らしいです。


発音は、

    À quoi ressemblait l'Homo naledi

    ア クワ ルソンブレ ロモ ナレディ

    le nouveau lointain cousin de l'homme

    ル ヌヴォ ロワンタン クザン ドゥ ロッム

というかんじです。


ressemlait は動詞 ressembler の直説法半過去形です。

意味は、「 ressembler à ~」 で、「~に似ている」 となります。


文頭の

    À quoi

の À は 「 ressembler à ~」 の à で、quoi は 「 何 」 といういみの疑問代名詞です。

ので、

    À quoi ressemblait l'Homo naledi

までで、

    ホモ・ナレディは何に似ていたのだろうか

みたいになります。

    ※ l'Homo naledi が ressemblait の主語です。


後半の、

    le nouveau lointain cousin de l'homme

は、文の中にどう位置づくのでしょうか。

とりあえず、意味をとっておくと、
     le nouveau lointain cousin de l'homme

    新たな / 遠い / いとこ / 人間の
      ↓
    人間の新たな遠いいとこ

となりますが、 cousin には 「同類」 みたいな意味もあるので、

    人間の、新たに出現した遠い同類

というかんじでしょうか。


さて、この 「人間の、新たに出現した遠い同類」 は前の部分とどう関わるのか。

    À quoi ressemblait l'Homo naledi,

    ホモ・ナレディは何に似ていたのだろうか
    le nouveau lointain cousin de l'homme ?

    人間の、新たに出現した遠い同類

となっているので、 le nouveau lointain cousin de l'homme は、l'Homo naledi の説明 (=同格) になっていると考えればよいでしょう。


そうすると、

    新たに出現した、人類の遠い同類であるホモ・ナレディは、何に似ていたのだろうか?

みたいになります。

2015-10-15

私の心に涙降る 3 (ヴェルレーヌ)

Gustave Caillebotte, "Rue de Paris, temps de pluie", 1877


    Il pleure dans mon coeur
    Comme il pleut sur la ville ;
    Quelle est cette langueur
    Qui pénètre mon coeur ?


ポール・ヴェルレーヌ の詩の冒頭、3回めです。

    → 1回目 私の心に涙降る 1
    → 2回目 私の心に涙降る 2

今日は三行目を見てみます。

    Quelle est cette langueur

    ケレ セット ラングール

quelle は疑問形容詞 quel の女性形です。

この文の主語である cette langueur が女性名詞なので、それに一致して女性形の quelle になっています。

langueur は、

    もの憂さ、けだるさ、憂愁、やるせなさ、恋わずらい

などなので、

    Quelle est cette langueur

で、

    このけだるさは何だろう

というかんじです。


つづく、

    Qui pénètre mon coeur ?

    キ ペネートル モン クール

の qui は疑問詞?

この文は前の行からの続きで、

    Quelle est cette langueur qui pénètre mon coeur ?

となっているので、qui は関係代名詞になります。

pénètre は動詞 pénétrer (入り込む、しみ込む) の直説法現在三人称単数形。 

qui pénètre mon coeur は、直前の cette langueur を修飾しているのことになるので、

    私の心に入り込むこのもの憂さは何だろうか

となります。


全体では、

    Il pleure dans mon coeur
    Comme il pleut sur la ville ;
    Quelle est cette langueur
    Qui pénètre mon coeur ?

    私の心に涙降る
    街に雨が降るように
    私の心にしみ通る
    このもの憂さは何だろう

というかんじです。


ここで、堀口大學の訳をみておきましょう。

    巷に雨の降るごとく
    われの心に涙ふる。
    かくも心ににじみ入る
    このかなしみは何やらん?


鈴木信太郎は、

    都に雨の降るごとく
    わが心にも涙ふる。
    心の底ににじみいる
    このわびしさは何ならむ。


そして、金子光晴は、

    しとしとと街にふる雨は、
    涙となって僕の心をつたう。
    このにじみ入るけだるさは
    いったいどうしたことなんだ?

です!


2015-10-14

母はときおり、私の額を撫でながら言った 2

Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front en me disant :

— Alors, les petits garçons ne racontent plus à leur maman les chagrins qu'ils ont?

( Marcel Proust, "À la recherche du temps perdu")


マルセル・プルーストの大長編小説 『失われた時を求めて』 からの引用、第二回目。

    → 一回目: 母はときおり、私の額を撫でながら言った 1


こちらは、プルーストの肖像写真。

※ プルースト ( Wikipédia )


今日は、二つ目の文です。

まずは発音から。

    Alors, les petits garçons ne racontent plus

    アロール レ プティ ガルソン ヌ ラコント プリュ

    à leur maman les chagrins qu'ils ont?

    ア レール ママン レ シャグラン キルゾン


文の最後にクェスチヨンマークがあるので、この文は疑問文です。

が、主語と動詞の位置は入れ替わっていません。

フランス語は、普通の文の語順のままでも疑問文になります。


分けて訳してみましょう。

    Alors, les petits garçons ne racontent plus


    それでは / 小さな男の子たちは / もはや語らない

    à leur maman les chagrins qu'ils ont?

    彼らのママに / 悩みを / 彼らが持っている

で、これが疑問文になっているので、

    それじゃ、小さな男の子たちはもうお母さんには自分の悩みを語ってくれないの?

という感じになります。


全体を訳してみましょう。

    ときおり母はその手を私の額に当ててこう言った。
    じゃあ、かわいい坊やたちは抱えている悩みをもうお母さんには話してくれないのね。



ニュースの仏単語: cagoule

cagoule (カグゥッル) は、女性名詞。

目や口だけに穴が開いていて、頭からすっぽりかぶるやつです。

銀行強盗や F1レーサーがかぶるようなやつ。

目出し帽とか、覆面とか、あと、防寒頭巾とかです。

 (fr.Wikipedia
※ Un US Navy Seal portant une cagoule, en Afghanistan.
(アフガニスタンでカグールを被ったアメリカ海軍特殊部隊員)

おとといの 「顔を隠したまま歩くのは禁止!」 で紹介した、 「ブルカ禁止法」 では、 cagoule を被って街を歩くのも禁止されているようです。



2015-10-12

顔を隠したまま歩くのは禁止!

Il est interdit, en France, d'évoluer dans un espace public avec le visage dissimulé.


ニュースで学ぶフランス語、RFI のWebサイトのニュースから。

    ※ RFI (Radio France Internationale) はフランス政府運営のラジオ国際放送。



このニュースのタイトルは、

    France: la «loi sur la burqa», cinq ans après

    フランス ラ ロワ シュル ビュルカ サンカン アプレ

で、「フランス: 『 ブルカ禁止法 』 の5年後」 というかんじです。


フランスでは5年前の2010年10月、公共の場で頭をすっぽり覆うものを着用することを禁止する法律が成立しました。

一般には 「ブルカ禁止法」 と呼ばれていますが、この法律はとくにブルカを禁止しているわけではなく、たとえばフルフェイスのヘルメットなども同様に対象になるようです。

    ※ ブルカは、イスラム教徒の女性が着用する、頭のてっぺんから足もとまでを覆うヴェールの一種です。


おおまかな発音は、

    Il est interdit, en France,

    イレ アンテルディ アン フランス

    d'évoluer dans un espace public

    デヴォリュエ ダンザンネスパ―ス ピュブリーク

    avec le visage dissimulé.

    アヴェク ル ヴィザージュ ディシィミュレ

です。


最初の、

    Il est interdit, en France,

の interdit は動詞 interdire (アンテルディール)  「禁止する」 の過去分詞なので、

    est interdit

で、[ être + 過去分詞 ] の形になっていますから、受動態ということになります。

つまり、

    それは、フランスでは、禁止されている

といういみです。

en France の前後に virgule 「 , 」 (ヴィルギュル) がありますので、この en France は付加的に挿入されているかんじです。


ついで、

    d'évoluer dans un espace public

の évoluer は、

    進化する、発展する、展開する

などのいみの動詞です。

つぎに出てくる、espace public は、

    公共の空間 (場所)

なので、

    d'évoluer dans un espace public 

で、

    公共の場所で進化する(発展する、展開する) すること

となりますが、これではちょっと意味がわかりません。

なので、もう少し先を見てみましょう。


続いて、

    avec le visage dissimulé.

ですが、visage は 「顔」で、dissimulé.は動詞 dissimuler 「隠す」 の過去分詞です。

ですので avec le visage dissimulé で、

    隠された顔で

みたいになりそうですが、なんか変ですね。

こういうときは、

    avec A B 

で、「 A を B の状態で 」 と考えます。


※ 受験とかで英文法やった人は、with の 「付帯状況」 とかいうやつです。

    たとえば、Don't speak with your mouth full. で、
    「 口をいっぱいにしたまましゃべるな 」 となる、みたいな。


そうすると avec le visage dissimulé は、

    顔を隠して、顔を隠したままで

となります。


全体では、とりあえず、

    Il est interdit, en France, d'évoluer dans un espace public avec le visage dissimulé.

    それは禁じられている / フランスで / 公共の場所で進化すること / 顔を隠したまま

となりますが、évoluer を 「 進化する、発展する 」 などと訳すのはいみが合わないので、もうちょっと辞書を見ると、

    (人が) 動き廻る

というのがあります。 これだと、

    それは禁じられている / フランスで / 公共の場所で動きまわること / 顔を隠したまま

となって 「 顔を隠したまま (つまりブルカとかかぶったまま) 公共の場所を歩くこと」 となるのでよいですね。


最後に、Il est interdit の Il を 「それは」 としている件については、

    Il est ~ de 不定詞 ...

        ※ 「不定詞」 は動詞の変化していない形、つまり原形のこと。

で、

    「 ... するのは ~ だ 」

という構文がありました。

これを適用すると、

  フランスでは、顔を隠したまま公共の場所を動き回るは禁止されている。

となります。


◇ 復習

では、以下の分かち訳を見て、もとのフランス文にもどしてみましょう。

    (それは)禁じられている / フランスで / 公共の場所で動きまわること(は) / 顔を隠したまま


正解は、

    Il est interdit, en France, d'évoluer dans un espace public avec le visage dissimulé.

です。


2015-10-09

二時のバスに乗った。

J'ai pris l'autobus à deux heures. Il faisait très chaud.

(Albert Camus, "L'étranger", 1942)


アルベール・カミュ 『異邦人』 からの引用、3回目です。

    → 一回目: 今日、母さんが死んだ

    → 二回目: 太陽が空に登る速さに


この文章もまだ小説が始まって間もなくのことで、 施設にいる母親の死を知った主人公が、葬式に出席するため出発しようとしている場面です。


発音は、

    J'ai pris l'autobus à deux heures.

    ジェ プリ ロトビュス ア ドゥゼール

    Il faisait très chaud.

    イル フゼ トレ ショ

です。

最初の ai pris は、動詞 prendre (プランドゥル) の複合過去です。

prendre は英語の take っぽい単語で、「取る」 を中心としたいろんな意味の幅を持っています。

ここでは

    prendre l'autobus

で、「バスに乗る」 という表現です。

ですので、

    J'ai pris l'autobus à deux heures.

で、

    私は2時のバスに乗った

となります。


次の文、

    Il faisait très chaud.

は、現在形で言うと、

    Il fait très chaud.  (イル フェ トレ ショ)

の直説法半過去形なので、

    とても暑かった

というかんじです。


「バスに乗った」 は複合過去で、「暑かった」 は半過去で表現されているのがポイント!

(どんなポイント?)


では、訳した日本語を見て、元のフランス語になおしてみましょう。


    私は2時のバスに乗った。 とても暑かった。

        ↓

    J'ai pris l'autobus à deux heures. Il faisait très chaud.


◇ 原文

L'Étranger の原文は、

    Albert Camus, L'ÉTRANGER. Roman

    Camus "L'Étranger "

で手に入ります。


母はときおり、私の額を撫でながら言った 1

Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front en me disant :

— Alors, les petits garçons ne racontent plus à leur maman les chagrins qu'ils ont?

( Marcel Proust, "À la recherche du temps perdu")

※ Marcel Proust ( Wikipédia )

マルセル・プルーストという 20世紀前半の大作家が書いた大長編 『失われた時を求めて ( À la recherche du temps perdu )』の第二部、 「花咲く乙女たちの影に ( À l'ombre des jeunes filles en fleurs )」 からの引用です。


前半の発音:

    Quelquefois ma mère passait sa main 

    ケルクフワ マ メール パセ サ マン

    sur mon front en me disant 

    シュル モン フロン オン ム ディゾン


前から解してみましょう。

    Quelquefois 

    ときおり   

        ↓

    Quelquefois ma mère 

    ときおり、私の母は

        ↓

    Quelquefois ma mère passait sa main

    ときおり、私の母は彼女の手を移した

        ↓

    Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front

    ときおり、私の母は彼女の手を私の額(ひたい)に移した

        ↓

    Quelquefois ma mère passait sa main sur mon front en me disant

    ときおり、私の母は、…と言いながら、彼女の手を私の額(ひたい)に移した

        ↓

    ときおり母は手を私の額に当ててこう言った。

        or

    母はときおり、私の額を撫でながら言った。


※ en me disant のところは 「ジェロンディフ」 っていうやつですね。


原文は、Wikisource の 「 À l’ombre des jeunes filles en fleurs/Première partie 」 を開いて、本文欄の左に記載されている ページ数のような数字の 91 のあたりにあります。





◇ 翻訳

『失われた時を求めて』 の翻訳はいくつかあります。

たとえば、『 失われた時を求めて〈3〉第二篇・花咲く乙女たちのかげに〈1〉』  (高遠弘美 訳 / 光文社古典新訳文庫) などです。